2003年12月定例会 青少年総合対策特別委員会
深刻な高校生の薬物乱用に対策を
松崎: 覚せい剤や大麻などの薬物について神奈川県の高校生の現状を取り上げたい。8月の調査では、大麻について高校生女子の全国平均の経験率は0.3%なのに神奈川県は3.7%で全国の12倍、覚せい剤についても全国平均の8倍にのぼっている。こうした薬物の入手経路は?
県側: 最近検挙補導された少年の例では、覚せい剤は暴力団風の密売人から、大麻は外国人の密売人から、街頭で声をかけられて入手したということだ。
松崎: 友人から気軽に手に入れてためしに使用してみたという段階なので、県の調査で30人に1人とか40人に1人という状況にあるのかと思ったが、暴力団や外国人という犯罪捜査の重要な対象と神奈川県の高校生との間に直接接点ができていることは、非常に深刻だ。
県側: 動機の点では、好奇心から友達に誘われたりして、あそこに行けば声をかけられるよということで手を染める。県警としては、末端密売人の暴力団関係者や外国人から突き上げ捜査を進め検挙を徹底していく。
松崎: 密売人にしてみれば少年は購買層としてガードが甘く狙いをつけやすいのではないか。最近子どもたちは「誰にも迷惑をかけていない」とよく言う。そういう子どもたちの言葉と「暴力団」「外国人」「密売人」とが結びつく感覚が一般的な大人の側にはないし、衝撃的だ。今までのやり方でよいのか、高校の前の小中学校の教育で見直すところはないか。
県側: 一言で「こうだ」とは言えない。今の子どもたちがよく言う「誰にも迷惑をかけていない」「自分に関係ないから」というようなことがあるが、周りもなぜ注意しないのかという問題もある。大事なことは粘り強く繰り返し指導して行くことだと考えている。
青少年保護育成条例実施での県と横浜市の連携強化へ
松崎: 神奈川県の青少年保護育成条例に基づく有害図書の立入調査について、県はどのように取り組んできたか。
県側: 昨年度は1185件の立入調査を行い、陳列方法など1298件の指導を実施した。従業員からの聞き取りで条例違反があればその場で指導し改善させている。
松崎: 横浜市が新たに立入調査に加わるとのことだが、県だけでは不十分だったのか。
県側: 県としては現行条例の運用は十分な対応をしていると思っている。
松崎: 横浜市との関係でこれまでの経過と今後の見通しを聞きたい。
県側: ツーショットダイヤルや1000台を超す有害図書の自動販売機などを背景に条例が大改正された平成8年に、横浜市に立入調査などの権限を委譲する話を持ちかけたが実現しなかった経緯がある。今回は横浜市のほうからの意見なので、横浜市とともに取り組んでいきたい。
松崎: この機会に県と市が大いに連携を強化して取り組んでもらいたい。
新総合計画最終案を巡って・不登校に取り組む市民活動支援強化を
松崎: 県の新しい総合計画の最終案では、不登校の子どもたちへの支援が学校復帰のための支援となっているが、現状に即したものか。文部科学省の通知でも、そういう限定はもうやめようと言っている。将来の社会的自立に向けた支援と位置づけるべきだ。
県側: 3月の文部科学省報告は、指摘の通り、今の学校に登校することだけを最終目標とはせず、社会的に自立することを目指す支援が必要としている。直ちに学校に復帰できない児童や生徒がいることも事実であり、社会的自立を新たな視点において支援を充実させる。
松崎: 次に、不登校の子どもへの支援を数値目標とし、2006年までに支援率100%とうたっているが、聞き慣れない言葉に戸惑いもある。一体どういう意味か。
県側: 年間150日以上の長期欠席の児童や生徒に対して学校外での支援を充実させようということだ。訪問相談や教育支援センターいわゆる適応指導教室などの支援を充実させていく。
松崎: もう一点、NPOなど市民活動との連携を明確に打ち出しているが、この点は是非とも強化していただきたい。
県側: 県としては来年4月にはNPO支援の拠点をつくる。具体的には、青少年センターと総合研修センターを統合し、総合的な相談とフリースクールなどを運営するNPOへの支援を行う。また、NPO活動の場や機材の提供、スタッフ研修、NPO同士のネットワーク作りの支援を行う。