2004年6月定例会での本会議一般質問
7月16日本会議一般質問のまとめ パート4
地域運営学校について
松 崎: 来年4月から、国の法改正で地域運営学校がスタートすることになった。これは地域の住民や保護者が一定の権限を持って各学校に設置される学校運営協議会に参加し、教員の配置や学校の方針に直接意見を反映させるもので、世界の教育改革の流れをくむ制度がようやく始まる。知事はかつて、学校が地域から支えられるどころか、地域から孤立した空間になってしまい、学校が担うべき役割が増大したにもかかわらず、十分な対応ができていないことを鋭く指摘していた。今回の地域運営学校の制度化は、学校が設置されている場所の一番近くにいる住民が自分たちの学校としてその運営に参画するものであり、私も教育改革の名にふさわしい公立学校が誕生するものと考えるが、思いの程をお聞きしたい。
知 事: 学校は、子どもたちの社会性をはぐくんでいく重要な場所だから地域から孤立した空間であってはならないし、ひとが地域に生き生かされているのと同じ様に、学校も地域社会の一部として、社会とともに育ち協力し合っていかなければならない。そういう意味で、学校運営を校長や教師だけに任せるのでなく、地域社会の人々や保護者も参加しながら学校運営の方針を決めていくなど地域で学校を育てていくという発想が必要であると私はかねてより訴え続けてきた。このたびの地域運営学校のスタートは、地域との協働による学校づくりや、より透明で開かれた信頼される学校づくりを行う上で望ましい方向性と考えているし、今回の制度導入をきっかけに、学校、地域社会、保護者がそれぞれ子どもたちを育てることについての責任を果たしあうような機運が醸成されることを期待している。
松 崎: 神奈川県の9000人を超える不登校の児童生徒への対応や県民の教育に対する熱い期待に応えるためにも、新しい公立学校のモデルとして地域運営学校を誕生させることは大変重要で意義深いし、多様化し高度化した県民のニーズに応えるためにも積極的に導入を進めていくべきである。では、今回制度化された地域運営学校を具体的にどのように推進していくのか。推進していく立場から県教育委員会は、公立小中学校を設置する市町村教育委員会に対してどのような指導を行っていくのか。
教育長: 今回の制度化で、地域の期待に応えた学校運営を行い、地域に信頼される学校づくりを実現させるための選択肢が拡大したと考えている。ただ、地域運営学校とそれ以外の学校とで基本的な教育水準に格差を生じさせないこととか、学校運営協議会の委員には公立学校としての公正性、中立性を確保できる人材を幅広く任命していくこと、教職員の任命について適正な判断がなされるよう教育委員会や学校が情報を提供することが必要だ。地域運営学校はまずは地域とのつながりの深い小中学校が対象になると考えており、当面既に学校評議員制度が十分機能し地域住民や保護者の参加で学校運営の改善に取り組んでいる学校で導入されるのが望ましい。学校設置者である市町村教育委員会が地域の特色や学校の実態、地域や保護者の要望等を的確に把握して検討してもらいたいところだが、県教育委員会としても、この制度が新しい学校運営の選択肢の一つとなるよう、市町村教育委員会に働きかけていく。 松 崎: 県民の教育に対する危機感の背景には学校を巡る深刻な事件や不祥事の続発がある。逆に教員からは事務量の増大や心理的なストレスの深まりを聞く。地域運営学校にしてもその中身を実践するのは教員であることに変わりがないのだから、この大きなスタートのときにあわせて、教員がいま一体どういう状況にあるのかをまず、つぶさに調べてほしい。その上で、資質の向上や仕事の進め方の改革に、具体策を持って取り組んでいただきたい。