2004年12月 決算特別委員会の質疑のまとめ
神奈川県立の病院事業決算についての質疑

県立病院の医師の確保を

松崎:   臨床研修の必修化で、大学病院の医師が引き上げられるので、全国的に医師の確保に大変苦慮している地方がある。神奈川県の場合は、精神科や麻酔科で医師の確保が課題と聞くが、昨年度、県立病院で採用した精神科、麻酔科の医師のそれぞれの人数と退職した医師の人数は。

県側:   昨年度採用した医師は精神科が8名、麻酔科も8名であり、退職した医師は精神科麻酔科共に7名だ。

松崎 精神科や麻酔科の医師は他の診療科と比べて人材確保が難しいと聞くが、その理由は。

県側:   精神科医は、精神保健指定医の資格を取得していると、民間病院では給与面で付加される手当があり、人事面では上位ポストに配属されるなど待遇が良いことを理由に、公立病院への勤務を希望する医師が少ない。また、公立病院では自傷他害の恐れのある患者への救急対応など、民間の精神科医に比べてハードな業務が多いこと原因だ。さらには、個人開業する場合設備投資に費用が大してかからないので、近頃積極的に開業に進む傾向がある。こうしたことから県立病院の精神科医は十分な数が確保しきれていない。

また、麻酔科医については、麻酔科医については、麻酔科医を希望する学生自体が近年減少している。昼夜を問わず緊急手術に呼び出される勤務条件の厳しさや、専門性を活かせる場が限られていて将来開業しづらいという面がある。まして大学が派遣先病院から医師を引き上げ始めており、その結果全国的な麻酔科医不足が起きている。

松崎:   精神科医も麻酔科医も県立病院では本来必要な医師の人数を確保できていないのか。

県側:   その通りで、とりわけ精神科医が不足している。芹香病院で2名、せりがや病院で1名それぞれ足りない。

松崎:   合計3名の医師が足りないということは非常に重大なことではないか。

県側:   病院でも院長以下、多方面にわたって採用の働きをしているが、確保できないままだ。院内の医師の協力で何とかしのいでいるのが実態だ。

松崎:   早急に必要な医師を確保すべきだ。どのような対策を講じるのか。

県側:   大学医学部の医局人事の結果待ち、というこれまでの仕組みから脱却しないと、県立病院に必要な良質な医師を安定的に得ていくことはできないだろう。現在も各病院の所長、院長が医学部に出向いて医師の派遣を随時要請したりしているが、今後は、広い範囲から優秀な医師を確保していきたいので、一つの大学の医局に頼るのを止め、他の大学からの推薦や、学会・関係団体からの推薦、さらに医師同士のネットワークからと、チャンネルを拡大して人材を確保する。

松崎:   手立ては全て尽くして、必要な医師を早急に確保してもらいたい。