平成17年1月決算特別委員会での質疑のまとめ

軽度発達障害の子どもに全国初、県独自の教育相談コーディネーターと支援体制を充実

松崎:   学習障害や注意欠陥・多動性障害など軽度発達障害の子どもについてどういう支援を行い、今後どう充実していくのか。

県側:   通常の学級にこうした子どもたちがいる。その教室で接する教員に聞くと対処の仕方が分からない、専門的な応援が欲しい、という声が多い。そこで教育委員会では、県立盲・聾・養護学校をそれぞれの地域の障害児教育支援センターと位置づけて、そこから各学校に声をかけ、ニーズがあれば教員を小中学校に派遣する体制をとっている。15年度には養護学校等地域支援機能整備費として305万1725円を支出し、小中学校や市町村にチラシを配布して、その体制の広報に務めた。

松崎:   その15年度の末に文部科学省は調査研究協力者会議の最終報告で今後の方向を打ち出し、全ての小中学校に特別支援教育コーディネーターを配置することを打ち出しているが、本県の準備状況は。

県側:   本県の場合は、通常の学級に軽度発達障害児だけでなく不登校などいろいろな課題を抱えた子どもたちがいるので、そうした子どもたちにも対応する必要がある。全く本県独自だが、特別支援教育コーディネーターではなく、もっと幅を広げた教育相談コーディネーターを配置した方がいいということで、16年度から研修を開始した。計画では年間9日間一人当たりの研修を行い、3年間で全ての学校に一人ずつ、それを9年間で一校当たり3名の教育相談コーディネーターを配置するべく計画的に研修を行っている。また文部科学省は特別支援教育コーディネーターを小中学校と盲・聾・養護学校に限定しているが、高校にもこうした生徒は少なからずいるから、これも本県独自に県立高校教員を対象に同様の教育相談コーディネーター研修を実施している。

松崎:   国の考え方より一歩進めて取り組んでいることは分かったが、市町村などの一定の範囲ごとに、各学校に配置する教育相談コーディネーターをさらに支援するシステムや人材も必要ではないか。

県側:   その通りだ。教育相談コーディネーターがこれから現場に立つとき、その方々を応援していく必要がある。ちなみに、アメリカでは大学院の修士課程を修了して1年間のインターンを経験したスクールサイコロジスト、学校心理士が各学校に配置されて専門的な教育相談やコーディネートを行っている。本県では全国で唯一、平成5年度からアメリカのアラモア州立大学大学院の指導プログラムを導入して、盲・聾・養護学校教員を対象に専門的な研修を進めてきた。15年度末で193人の養成を終え、各修了者が地域障害児教育支援センターの中心的役割を果たしている。そのうえで、独自に今年度から小中学校の教員についても、このスクールサイコロジスト養成研修に対象者として加わってもらい研修を開始した。平成18年度までには72人の小中学校教員をスクールサイコロジストとして養成し、早期に各市町村の規模に応じて配置し、教育相談コーディネーターを支援する人材として活用していく計画だ。

松崎:   待ったなしの課題に対し、せっかくの全国初、本県独自の取り組みだ。子どものニーズに即したきめ細かい対応をお願いする。