平成18年3月1日と3日の環境農政常任委員会での質疑のまとめ

1 木質バイオマスの普及について

(2)県産木材の活用について

松崎        続いて、県産木材の活用について、岩手県の大迫町では、町の庁舎を町内の森林から生産された材木、町産材で建設を進めている。この町の施設は、まさに町の拠ってたつところ、あるいはこれから進んでいく道筋というべき、木材の取組である。町のアイデンティティそのものを感じた。公共施設に県産材を使って建設を促進することについて、自然環境保全センター以外にも、これからやっていくつもりなのか。そのあたりどのように進めていくのか。

答弁

(森林課長)        県産木材の利用、特に県をはじめとする公共施設で利用していくことは、大変重要であるというふうに考えておりまして、平成17年4月に「公共施設の木造・木質化等に関する指針」というものを、県庁全体の指針として策定させていただきました。これに基づきまして、今後県の公共施設を建設する際には、木造・木質化について、それぞれの建設を行う部局において、十分検討していただくというルールにしてございます。

松崎        町産材の活用については、住田町だけではなく、岩手県葛巻町でも行っているが、ここでは、町産材を活用して住宅を新築すると、50万円の補助が出る。公共の建物を県産材でということも大切であるが、もっと具体的にこういった形での促進策があればよいと思うが、どのように考えているのか。

答弁

(森林課長)        住宅消費者に対する直接の補助制度は、私どもとしては、今ご用意してはございませんが、平成17年度から、県産材を使用して住宅を建てられる、いわゆる地域の工務店こうしたところを認証しまして、この工務店が行う県産木材住宅のPRに対して支援をする、こういう取組をさせていただいております。

個人住宅への支援については、やはり個人住宅が建設のできる方が限られていることなど、いろんなご意見もございまして、私どもとしては、当面の対策として、ただいま申し上げたような工務店を通じた普及ということを一層推進してまいりたいと考えております。

松崎        私は、最も身近なところとして、個人の方が住宅を建てれば補助してもらえるといったような、そうした促進策を別途考えていただきたい。

さて、県内の清川村にある三六木工を訪ねた。ここは、自然環境保全センターがバイオマスボイラーを導入する際にもチップの具体的な購入先となろうかと思われる場所だが、ここの社長さんにお尋ねしたところ、木質チップは県産材の中からでてくるわけですが、木質チップの生産に関して、公的な認証制度や登録制度がないことから、社会的信用という側面からのやりにくさがある、また、県の木質チップ生産の際の指定というものがそこからはあまり浮かばれないんだということを言われていた。木質チップの生産を本格化させていく、又は軌道に乗せていく点で考えると、こういう事業者を認証していくことも必要であると考えられるが、どのような考えなのか。

答弁

(森林課長)       県産材の利用につきましては、森林組合あるいは県の木材業協同組合こういった方々でつくっている「かながわ森林・林材業活性化協議会」というものがございまして、ここで、県産木材産地認証制度という取組を現在進めております。その中で、製材工場などについては認証生産者ということで、認証していく仕組みとなってございます。

お話のありましたチップ工場でございますけれど、私どもや活性化協議会に対して、この事業者の方からもご相談がございまして、現在、ただいま申しました活性化協議会の中で、この事業者について、認証生産者として認証する手続きを進めさせていただいているところでございます。いずれにいたしましても、私どもとしても木質チップについて、県産材として排除していく考えは毛頭ございませんので、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

松崎       是非ともよろしくお願いする。ただ認証すればそれで事足りるというわけではないので、供給体制や仕組みづくりという観点からも取組をお願いしたい。

松崎       さて、津久井森林組合の木質チッパーは、移動してチップ化できるという非常に画期的なものであり、その可動状況をビデオで見たが、県の補助を受けて5,500万円で購入したと聞いたがどうか。

答弁

(森林課長)       ご指摘のチッパ-につきましては、2,940万円、チップを選別する選別機が1,900万円、皮剥き機が700万円でございまして、合わせて5,540万円でH10に購入したものです。県として1,500万円程度の補助をしております。

松崎       あまり使われていないと聞いたが。

答弁

(森林課長)       利用状況については、H13までは積極的に使っており、H14には横浜のズーラシアで剪定枝の処理に使用していた実績もあります。その後、機械の調子が悪くなり生産が出来ない状況であり、昨年には修理に出しましたが、見積り段階で相当の修理費用がかかるということで、手当てが難しい状況と聞いております。

松崎        稼動が止まっているという状況のようだが、補助金を出した以上、可動状況を把握するなり、きちんと使うよう指導してもらいたい。

もう一つ、森林組合のチップの価格は、15,000円/m3と山六木工と比べて3倍の価格ということを聞いた。使われない原因はチップの価格が高いということも関係があるのではないのか。

答弁

(森林課長)       ご指摘のように森林組合のチップの値段については、山六木工と比べて2倍から3倍の間くらい高いと聞いております。

原因としては、津久井森林組合は、皮剥き機を使い、皮を剥いて樹皮が混入しない良質チップを生産しているのに対し、山六木工はバークも含んでおり、品質が違うことにあると思います。

もうひとつは、森林組合は森林整備の関係でチッパ-を導入しており、材料は間伐材を引き出しているため、搬出経費がかかっておりますが、山六木工の材料は街中での剪定枝であるとか不用木で取り組まれているということで、経費面で値段が違うと考えております。

松崎       木質チップを生産していく上で、供給を如何していくが重要だと思うが、チッパ-の利用状況を含め、支援やその必要性をどう考えているのか。

答弁

(森林課長)       チップの生産については、売り先の確保が課題と考えております。山六木工は、製紙会社と提携をし、原材料としてチップを生産しております。森林組合と言っても、ただ生産をすればいいということではなく、チップ生産の体制づくりと合わせて利用先を考えながらやっていかなければならないということだと思います。H18予算でも秦野くずは青少年野外センター整備の補助で予算をお願いしていますが、チップボイラーと合わせてチッパ-の整備をしていくというようにセットで考えていかなければならないと思っております。 

今後指導については、活用についてと値段についても経営努力をしてもらうよう指導をしていきたいと考えております。

松崎       自然環境保全センターの経緯のところで、木質バイオマス燃料のほうが、油を使うより1.5倍の価格という話があったが、岩手県では、木質ペレット1kgが25円に対して灯油は1リットル70円であり、熱量比較すると、ペレットの方が安上がりだということだったが、神奈川県の場合は、事情が逆転するのか。

答弁

(環境計画課長)               葛巻町にある葛巻林業では、工場渡し価格で1kgあたり 25円と聞いております。熱量比較で、灯油1リットルはおおむねペレット2kgに相当するので、灯油が1リットル70円であれば、ペレットの方が安上がりになります。

 ただし、これを神奈川県まで運んでくると運賃がかかりますので、藤野の「篠原の里」では、ペレットを20kg入りの袋で購入していますが、1kg当たり57円になり、逆ざやになっています。

なお、バイオマスがカーボンニュートラルで温暖化対策に効果があるわけですが、トラック輸送に伴う二酸化炭素の排出を考慮すると、どちらが優位ということは一概に言えなくなると思います。

松崎       神奈川県でペレットを生産し、質の高いものを製造する努力をすれば、1.5倍のイニシャルコストの問題は解決すると考えてよいか。

答弁

(環境計画課長)               計算上は、移動距離が少なくなればCO2も減り、輸送コストも減るので、価格は低くなる可能性がありますが、結局は需要と供給のバランスの問題になります。

なお、ペレットストーブを入れても神奈川県内でペレットを作っていないではないかというお話ですが、ペレットストーブを実際に見ていただいて、「これはいいものだからうちにも入れよう」と思う方を作らないことには需要は生まれません。そこで、ペレットストーブを導入したわけでございまして、需要が生まれなければ、供給サイドにも及ばないと考えております。

松崎       鶏が先か、卵が先かということで、問題が循環してしまうが、つぎに具体的な事業化について伺いたい。