平成18年3月1日と3日の環境農政常任委員会での質疑のまとめ

4 廃棄物の適正処理等に関する条例(仮称)について

松崎         9月定例会の常任委員会において、廃棄物の適正処理、不法投棄の防止について条例の制定を含めて、進めていくのだということを伺ったところであります。新年度の予算案においても条例制定費が盛り込まれています。この条例の検討に当たっては、有識者会議が設置されているとのことだが、その後の検討状況について簡潔に伺いたい。

まず、有識者会議の議論においては、現在どのような事項が論点になっているのか伺いたい。

答弁

(廃棄物対策課長)            有識者会議の論点でございますが、本県における廃棄物の不適正な処理の実情に照らし、現在の廃棄物処理法で対応できないところを補完するという観点から検討をお願いしているところでございます。

 今、主な論点といたしましては、条例の中に盛り込むべき事項として、廃棄物の不法投棄の防止にその協力が欠かせない土地所有者等の責務に関する事項や、不適正な処理の事例が多くなっている自らの産業廃棄物の保管への対応に関する事項などが主な論点になっております。

松崎        まさに今、我が県だけではなく他県、東京都などでよく問題になると思うが、率直にこの二つの論点について、県としてどのように考えているのか。

答弁

(廃棄物対策課長)            いずれも本県における不適正処理の未然防止に重要なものでございまして、その内容について仔細に検討を行っているところでございます。

 土地所有者等の責務につきましては、土地の適正な管理や、不法投棄等が行われた場合の行政への通報の責務を設けることなどを検討しているところでございます。

 もう一つの自らの産業廃棄物の保管につきましては、廃棄物処理法上は届出等の規制がないことから、行政が把握した際には、既にもう遅いことが多いから、保管場所について届出制度を設けることを検討しているところでございます。

松崎         その二つの論点の課題になる点について、ペナルティを課すとか、義務の発動として何か強制措置というものを考えているのか。

答弁

(廃棄物対策課長)           土地の所有者については、私権の制限ということもあり、それに対して罰則を課すのは難しいのではないかというのが有識者会議の議論でございます。自らの産業廃棄物の保管につきましては、他県の状況を見ていると、それを担保するために罰則を設けているところもございますので、それらも参考にしながら、有識者会議の中で意見をいただきたいと思っております。

松崎        また、この条例の検討において、特に留意すべき点はあるのか。

答弁

(廃棄物対策課長)            不法投棄された場合、その物が、一般廃棄物か産業廃棄物か分からないのが通例であります。一般廃棄物については市町村が所管し、産業廃棄物については県と政令4市が所管するということになっておりますので、そういう意味からも市町村との連絡調整が非常に求められている課題であります。

 一般市町村とともに、政令市である横浜市、川崎市、横須賀市、相模原市との調整が重要になると考えております。

 もう一つは、関係機関につきましても、警察や検察、国も含めまして、調整を図っていきたいと考えており、さらに、関係団体、解体業や産業廃棄物の協会、建設業の協会とも調整してまいりたいと考えております。

松崎       調整において、例えば業界団体が規制されたら困るよ、という意見が出たら県としてどういうスタンスで臨むのか。

答弁

(廃棄物対策課長)           この条例は廃棄物の不適正処理を防ぐというものでございまして、県民や議会の要望も強く、そういう点を踏まえながら、有識者会議の意見も聴きつつ、本県の実態と合わせながら関係団体に協力を求めてまいりたいと考えております。

松崎        もう一度確認するが、平成18年度予算に計上しているということは、条例を、平成18年度内に制定するということに変わりはないのか。

答弁

(廃棄物対策課長)           今現在では、年度前半に骨子的なものをお示しし、18年度内には制定と考えているところでございます。

松崎       最後の質問だが、予算案を見ると、不法対策事業として不法投棄物の収集・リサイクル事業が、新規事業として計上されているが、これはどのような事業か伺いたい。

答弁

(廃棄物対策課長)            不法投棄廃棄物の収集・リサイクル事業についてでございますが、これは経過がございまして、平成16年度、17年度に、NPOの相模川倶楽部というところが県と協力しまして、河川敷にある不法投棄されたタイヤをボランティアの参加を得ながら、収集して更にリサイクルするという事業を「かながわボランタリー活動推進基金」を活用して実施してきたところでございます。

 この取組みにつきましては、NPOと企業と行政が連携・協力してやるということ、更に不法投棄を許さない地域づくりに効果的であると評価できますので、不法投棄原状回復対策のモデルケースとなるだろうということで、18年度に新規事業として県の不法投棄対策事業の中に位置付けて取り組んでいこうというものでございます。具体的にはNPO相模川倶楽部と県とが連携・協力して実施する回収・リサイクル事業の事業費の一部、3分の1を補助していこうというものでございます。

松崎         事業費の一部ということは、非常に良いと思うのは、NPOの自発性とか、自主性とか、独立性とか、そういうところを損なってはいかんという面もどこかにあるのかと思って、そういう発想でよろしいのか伺いたい。

答弁

(廃棄物対策課長)          そのとおりでございまして、来年度からこの倶楽部の自主費用で、やりながら、県の協力を得たいという形になっていますので、県は側面から支援していくものでございます。

松崎       これは要望でもあるし質問でもありますけれども、こういう新規事業を打っていくにしても、条例という重い、しかも、有効なバックボーンがあれば、なおさら一層効果が高まるだろうと思うのですけど、その辺は、どうなのか伺いたい。

答弁

(廃棄物対策課長)            委員御指摘のとおり、不法投棄の対策事業と条例等の仕組みづくりの両輪を併せながら、不法投棄の撲滅を進めていこうということです。

松崎        森田部長、うなずいておられますが、何かありませんか。

答弁

(廃棄物総合対策担当部長)            9月議会の際にも御質問いただいて、不法投棄について全体的にお答えいたしました。今、課長から答弁しましたが、基本的には仕組みとして廃棄物について対応できるもの、経済的手法もしかり、法的手法もしかり、予算的手法もしかり、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。

松崎        これで終わりますけれども、やはり、森田担当部長から答弁がありましたけれども、不法投棄対策、このことは捨てる者、捨てさせる者、基本的にそういうところにありますが、是非とも総合的な対策、条例制定をともども併せることによりまして、効果がある施策、対策を一層推進していただきたいことを要望しまして質問を終わります。