神奈川県議会平成18年2月定例会

3月10日(金)予算委員会での質疑のまとめ

1 障害のある人への支援について

松崎       まず、障害のある子どもたちへの支援という観点から聞きます。18年度から建築工事が開始される予定の横浜南部方面養護学校について、横浜南部方面養護学校の開校年次ならびにその開校時の規模等はどのようなものでしょうか。

県教委   横浜南部方面養護学校につきましては、平成20年の開校を目指し、平成18年度より建築工事を開始いたします。

元の東金沢高校敷地のグラウンド側半分の約16,000㎡を使用いたしまして、鉄筋コンクリートの2階建て、延床面積約9,600㎡の校舎を建設いたします。

 児童生徒数の数は、約135名程度、53学級の規模で設計をしております。

 肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を併置し、それぞれ、小学部、中学部及び高等部を設置いたします。

松崎       横浜南部方面養護学校の学区となる地域には、現在、横浜市立中村養護学校に通学している大変重い障害のある児童生徒が数多くお住まいですが、横浜南部方面養護学校はこうした重い障害のある子供たちを受け入れる施設設備を整えていくのでしょうか。また、医療ケアもきちんと行うのでしょうか。

県教委   建物は、段差の無いバリアフリー設計で、2階建てとしておりますので、エレべーターも2基設置する予定でございます。

空調は全館冷暖房とし、普通教室やプレイルーム、自立活動室や音楽室などの特別教室を備え、さらには肢体不自由児童生徒の利用する部屋には、床暖房を整備する予定でございます。高機能トイレを設置し、車椅子で利用する場合にも不自由のない広さを確保しております。

ケアルームと保健室を隣り合わせとし、経管栄養や痰の吸引など医療ケアが必要な児童生徒に対応するため、看護師の配置も予定しております。

松崎       予算説明では、18年度には、横浜南部方面養護学校に近接する横浜市立並木第三小学校の教室に、鎌倉養護学校の知的障害高等部の分教室を開級するということですが、この分教室の開級の目的や対象児はどのような子どもたちなのでしょうか。

県教委    18年度に養護学校高等部への入学を希望する生徒が、特に横浜南部地域で増加している傾向にあり、既存の養護学校での受け入れが難しい状況が生じました。

 そこで、横浜市金沢区における市立小学校の再編統合により、平成18年度より非活用施設となる小学校の教室を借用し、横浜南部方面養護学校が開校するまでの2年間に限定して、新たに知的障害養護学校高等部の分教室を設置することといたしました。

対象となる生徒につきましては、知的障害があり、「金沢区、磯子区にお住まいの方」を中心に、定員を20名といたしました。

松崎       私自身も多くの子どもさん達と直に接してきた中で、実感しているのは、鎌倉養護学校等への通学が非常に遠距離で、負担が大きいということです。だからこそ、分教室を設置という結論が出たことと思いますが、分教室を開級する場所があるのであれば、スタッフの問題等々あるにせよ、一日でも早く横浜南部方面養護学校を設置する必要があると思います。学校教育担当部長の考えを伺いたいのですが。

学校教育担当部長               この地域には、遠距離の通学をお願いしている、大変重い障害をお持ちのお子さん達が数多くいらっしゃいますので、子ども達や保護者の方々のご苦労を考え、近いところの学校にという思いは持っております。そうした中で、分教室につきましても、横浜市の市立並木第三小学校をお借りをするわけですので、なるべく早く開校したいという思いは持ちながら、横浜市教育委員会や、あるいは地域のコミュニティーハウスとしての役割も持っていることから、地域の方々ともご相談をさせていただきたいと考えております。

松崎       横浜南部方面養護学校については、1年前倒しで開校していくということも考えていると解してよいのでしょうか。

学校教育担当部長                県教育委員会としては、一日でも早く保護者の方々のご苦労を軽減できればと思っております。そうした思いをもちながら、横浜市教育委員会を窓口にしながら、横浜市や地域の方々と十分協議してまいりたいと考えております。

松崎        この点については最後にもう一度お聞きします。

 県教育委員会としては、前倒しの開校という方向性を持ちつつ、横浜市の教育委員会と協議していくと理解してよいのでしょうか。

学校教育担当部長                県教育委員会としては、この地域は、今までずっと遠距離通学を強いてきた地域でございますので、子ども達や保護者の方々に一日でも早く近い学校にという思いを持ちながら、横浜市等と協議をさせていただくということでございます。

松崎        では取組をよろしくお願いいたします。

松崎       県内の養護学校、とりわけ知的障害養護学校高等部卒業生の就労率が、あまりよくないと聞いていますが、就労率の状況、また対策はどのようになっているのでしょうか。

県教委    知的障害養護学校高等部卒業生の就労率は、平成15年度が16.7%、平成16年度が16.8%でございました。平成17年度今年度につきましては2月末現在の速報値で18.6%に上昇する見込でございます。しかしこの率は、全国平均の23.2%と比較しても、まだ低い水準が続いております。

 そこで、まず、生徒に対しては、気持ちよくあいさつができるとか、あるいは自力で通勤できるといった、企業から求められている基本的な生活習慣の確立に力を入れるよう学校を指導してきております。

 また、就労率の向上のためには、生徒の現場実習等を通じて、企業に障害者雇用についてのご理解をいただくことが大変重要でございますので、実習協力企業の拡大についても努力をしているところでございます。

 さらに、教員が障害者を積極的に雇用している企業で体験研修をすることを通して進路指導に関する教員の意識改革を図り、保護者の企業見学会を実施して、就労に向けた意識を高め、学校と家庭の連携をすすめるなど、地道な取組みを強化していくことが重要であると考えております。

松崎       ただいま養護学校の高等部卒業生の就労率について伺ったところでございますが、では、神奈川県全体の障害者の雇用率、この点についてはどうなっているのでしょうか、また、障害者の就労についてどのような対応をされているのですか。

商工労働部           昨年12月に神奈川労働局が発表した本県の平成17年6月の雇用率は、1.37%でございまして、前年よりも0.01ポイント上昇しているものの、法定雇用率に達しておらず、全国的にも最下位と低迷しております。

法定雇用率の達成指導は、神奈川労働局が各ハローワークを通じて行っております。

県では、障害者雇用の厳しい現状から、17年度から、新たにいくつか事業を立ち上げております。

具体的には、地域において障害者の就労支援を行う「しごとサポート事業」や、障害者の雇用の場の創出につながる「特例子会社の設立促進」、コミュニティビジネスにおける障害者の雇用促進など、きめ細かな事業を展開してきているところでございます。

松崎       障害者自立支援法の制定と連動するというかたちで、先ほど冒頭に申しましたが障害者雇用促進法も改正をされたわけでございます。

障害のある方々への就労支援という点ではプラス面があると伺っていますが、どのようなことでしょうか。確認のため伺います。

商工労働部           昨年6月に障害者雇用促進法が改正され、この4月から施行になりますが、主な改正点は、まず、精神障害者の方の雇用率の算定ということが一つ。

もう一点は、在宅就業障害者に仕事を発注する企業に対しまして特例調整金を支給するというものでございます。

これらの改正に係る利点でございますが、精神障害者に対する雇用対策の強化と、在宅就業障害者に対する支援を行うことにより、障害者の就業機会が拡大することにあると考えております。

松崎       色々伺ってまいりますと、本県の障害者雇用という点では取組をしてはいるが、課題がたくさん有るということは否めない事実です。

確かにわが県の場合は隣が東京都ということもございまして、本社のある都道府県の雇用率にカウントされるという面では、神奈川の場合には若干その点を差し引かなければ、さきほどの率や数字を見ることが出来ないとは思います。

しかし、そうは言いましてもやはり神奈川の障害者雇用の取組をいっそう本格化、あるいは抜本的に強化していかなければならないと思います。

そこで、商工労働部長に伺いたいのですが、抜本的な改革が必要と思うが、どのように考えていますか。どう取り組んでいきますか。

商工労働部長       本県の障害者雇用率につきましては、大変に厳しい現状であると認識いたしております。

そういったなかで、新たな取組ということでございますが、障害者の雇用率の改善指導につきましては、労働局の仕事になっているところでございますが、そうは言いましても、この現状を打開していかなければいけないということで、神奈川労働局と、この2月から、企業等に障害者雇用の認識を深めてもらうということで、啓発普及をしているところでございます。これは新聞をお借りしまして毎週1回啓発の記事を掲載しているところでございます。

また、これは行政だけの取組でなく、やはり使用者、あるいは労働団体、こういった方々が一体となって取り組むことが必要でありますので、現在、仮称ではございますが、「神奈川県障害者雇用推進連絡会」を立ち上げていこうということで準備を進めているところでございまして、準備会は既に立ち上げて検討に入ったところでございますが、趣旨といたしましては、県内の労・使・行政のトップで障害者雇用の共通認識を持っていただこう、といったなかで、連絡会からさまざまな取組について提言を頂いて、実施していこうと考えております。

メンバーとしましては、労働団体から、連合、使用者団体から、経営者協会、商工会議所連合会等、行政からは、神奈川労働局長、県からは、副知事、教育長等、関係部局長で構成していきたいと考えておりまして、これらの新たな取組を通じまして、障害者の雇用率の向上に努めてまいりたいと考えております。

松崎       「神奈川県障害者雇用推進連絡会」において、現時点における障害者雇用の課題をどのように捉えているのですか、また、具体的にどのような方向で進めていこうと考えていますか。

商工労働部長       いま課題を詰めているところでございますが、県内の法定雇用率を達していない企業がございますので、この企業の方々がどう雇用を推進して頂けるのか。これは労働局の取組になるわけではございますが、こういったところを中心に、行政、労働団体、企業が何を出来るか具体的な話し合いを進めていきたいと考えております。

松崎       障害のある方々につきましては、障害の程度、種類によっては、必ずしも就労が適切というわけではないことも私は十分承知をしております。ただ、就職できる方までもが、施設への通所、あるいは在宅、ということはあってはならないと思っています。

商工労働部や教育委員会だけでなく、関係部局が一体となって対応されるよう強く要望します。

松崎        障害者の雇用に関して、知事部局それ自体の取組状況についてお尋ねしたいと思います。地方公共団体に対しましても法定雇用率が適用されております。知事部局における雇用率はどうなっているでしょうか。

総務部    本県における障害者の法定雇用率は2.1%と、国と同様ということで定められております。本県では、昭和54年12月に神奈川県独自の採用方針を定めまして、その中で、独自に目標雇用率を3%といたしました。目標雇用率3%は平成元年度に達成することができました。その後、算定方法等の改正等により、目標値を若干割り込んだ時期もございましたけれども、今年度は知事部局における雇用率は3.10%となってございまして、法定雇用率はもとより、本県が単独で設定した目標率も達成している状況となってございます。

松崎        法定雇用率を達成しているということはわかりました。その内容をお聞きしたいんですが、冒頭から一貫してお聞きしてまいりました知的障害者の就労、知事部局では今どういう状況でしょうか。

総務部    知事部局におきましては、主な障害別の雇用状況でございますが、視覚障害が60名、肢体不自由136名、内部障害18名、内部障害といいますのは内臓機能の障害といったものでございます。知的障害4名、その他12名で都合230名となってございます。知的障害者の4名につきましては、いずれも非常勤職員として、知事部局の出先機関で雇用してございます。

松崎        他の障害の方々と比べますと、知的障害者の方の就労が、知事部局全体で、非常勤職員4名というのは少ないという状況、客観的に今お話をいただいたと思うのですが、そこで、雇用ということになるわけですけれども、雇用といいましても、直接雇用と間接雇用の二つの面がございます。まず、直接雇用するという点について今後どのように取り組んでいくのか、お聞きしたいと思います。

 ちなみに、国は、昨年の12月ですけれども、厚生労働省の方から、この民間企業の障害者の実雇用率について発表があった際、国自体の取組みとしてどうしていくかということを発表しておりまして、今年の1月から、厚生労働省の本省内での雇用、また昨年の11月下旬から総務省の人事恩給局でそれぞれ、知的障害者の職場体験実習を取り組んでいくということを発表しております。また、ハローワークにおきましては、今年の1月から事務の補助として対応を始めるということでございます。

 本県における取組み、特に知事部局としてどうしていくのかということを、まず直接雇用の面からお聞きしたいと思います。

総務部    知事部局では現在4名の方々が雇用されているといくことで、お答えさせていただきました。勤務振りにつきましても、その都度、真面目であるとか、好感が持てるとか、一生懸命やっているとかのお話を伺っている一方、例えば、ある方につきましては、指導員をつけなければ作業がいかないとか、訓練とか、こういった状況が見られるということで、今そうしたところの状況を、4名の方を通じまして、我々も把握しているところでございます。そうしたうえで、こうした知的障害者の方たちがどういった業務ができるのか、今後検討していきたいと考えてございます。

松崎        この点は、もう少しあとでもう一度お伺いしたいと思いますが、次に間接雇用の面からお聞きしたいと思います。

 先ほど答弁がありました教育委員会の方ではですね、雇用率の上昇にはつながらないけれど、実際の雇用というものを優先させようということだと伺っておりますが、知的障害者の雇用を進めるNPO法人に業務の委託を行っております。先日、私も現場に実際お伺いをして、障害者の皆さんが働いておられる状況を直に、ただ見るだけでなく、いろいろお話も指導員の方からお聞きをしたところでございます。そういう意味では、実習の場であり、また同時に就労の場であるということで、教育委員会にお聞きしますと非常に効果がある、効果的であるということで、非常にある意味、感銘を受けたわけでございますが、知事部局の行っている業務の中でも、こういう、まず外部の方々、もちろんいろいろな審査をした上でと思うんですけれども、NPO法人等に委託をするということで間接雇用につなげる、そういう取組みも実際行われているのかと。何か取り組んでいないのかなという思いを抱くわけですが、その点について人事課長いかがですか。

総務部    今お話にございました、NPO法人への業務委託を通じて知的障害者を雇用していくという取組みでございます。こうした取組みにつきましては、非常に知的障害者の雇用の拡大につながる事業として、我々としても認識してございます。

 知事部局における導入の可能性とか、具体的にできないのかとのお話でございます。現在、教育委員会の方が先行して、こうした新しい取組みをしてございますので、まず実際に事業に取り組まれました教育委員会の方からですね、事業をやってみてどうだったのか。それから、いろいろ配慮しなければいけない項目とか、例えば時間をせかされると本人たちにとってもどうかとか、いろいろ我々としても配慮しなければいけないところがあると思いますので、NPO法人の業務委託という取組みについても、教育委員会からお話をうかがいまして、我々としても認識を深め、その上でどのような事業がこうした委託業務の形にふさわしいのかといったようなことを今後検証してまいりたいというふうに考えてございます。

松崎       今お答えのあった最後の部分、検証というところですが、それは、具体的に何を意味するのか。例えば業務の洗い出しをするのか、そうすると知事部局いろいろな部局がございますけれども、それぞれ全部局に渡ってその洗い出しを行うのかどうか。

またもう一点は、それをいつまでに行うのか、もし見通し等あればお答えください。

総務部    検証という中身でございますけれども、例えば教育委員会の場合、私も実際、教育委員会、住宅供給公社のほうに行って見てまいりました。同じ文書関係の業務であっても、全体として業務を出す場合と、その仕事を切り出して出す場合と、いろいろあると思います。そういったようなところで、教育委員会の方から話を伺いまして、我々もイメージをつかんだ上で、それぞれの県の中で行っている業務、そうしたもののどういったところが切り出せるのかというような形の中で、そうしたことも検証して行きたいというように考えてございます。

松崎        いつまでにという点についてはお答えをいただけなかったのですけれども。何か、もしあれば。

総務部    まずは、その状況を把握して、我々もそのイメージを持って、そうした上で、今後どのようなことが考えられるのかということに取り組みたいということでございます。そういう意味では、スケジュール的なことは、いつまでにいうことはまだ、我々自身ももう少し理解を深めるということが先だというふうに考えてございます。

松崎        前向きに取り組んで行かれるということを全体のご答弁を通じて受けましたので、そういう印象を受けましたので、ぜひとも知事部局としても取り組んでいっていただきたい。何しろ副知事がトップとなって、この連絡会ですか、立ち上げられるということで、聞き及ぶところではすでにもう今年度中に準備に入っているということでございますから。知事部局ご自身、知事、副知事ご自身、知事部局の全体、知事部局を統括しているわけでございますので、ぜひともそこのところで、障害者の雇用ということを取り組んでいっていただきたいといいうことをお願いしまして次の質問に移ります。