2006年1月30日 

神奈川県議会環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○高病原性鳥インフルエンザ対策について   

質問 (松崎委員)               最近、鳥インフルエンザに関する報道が連日されており、県民の関心や不安が強い。

  平成16年、京都府内でH5N1亜型の発生時に、農家の人への感染が確認されており、今回の茨城県での発生に際しても、77人の農場従事者や防疫従事者の感染が確認されている。鶏から人への感染が認められたということは、鶏での発生をいかに抑え込むかということが重要であるということを何よりも示している。茨城県内では、これまでに約260万羽の殺処分が終了しているが、さらに約77万羽の殺処分が行われる予定であり、約251万羽が県の監視下に置かれていると聞いている。

  まず、感染経路についてであるが、今回の発生では違法ワクチンの使用が感染原因になった可能性があると聞いている。なぜ、このようなことが言われているのか。

答弁 (畜産課長)               今回、茨城県では発生農場41戸で、そのうちの7戸からウイルスが分離されております。感染経路について、国は感染経路究明チームを設置し調査しており、京都での発生で分離されたウイルスは韓国で分離されたウイルスに似ていましたが、茨城のものは近隣諸国には似たものがなく、中南米のグアテマラの株に似ておりました。中南米から日本への渡り鳥はいないことから、可能性の一つとして違法なワクチン接種が挙げられております。

質問 (松崎委員)              茨城県や、国はこれについてどういう調査をしているのか。

答弁 (畜産課長)               国の感染経路究明チームは、昨年10月31日には調査結果について中間報告をしております。今も引き続き調査していると聞いております。

質問 (松崎委員)             本県での違法ワクチン使用について実態を把握しているのか。

答弁 (畜産課長)              ワクチンは、動物用医薬品として国が薬事法に基づき製造承認などを行い、検定に合格したものが流通されることになっており、違法ワクチンが流通することはあってはならないことであります。今回の発生を受け、国は現在1,000羽以上の養鶏農家全てに対し、抗体検査を求めており、万一違法なワクチンが使用された場合は、抗体を保有していることにより摘発されることになります。

質問 (松崎委員)              県としては、違法ワクチンが出回っていないことを視野に入れて調査しているのか。

答弁 (畜産課長)               県内の農場については、昨年11月から抗体検査を実施し、全て陰性を確認しております。違法ワクチンが使用されていることはないと思われます。

質問 (松崎委員)              日本養鶏協会など養鶏関係団体は、感染地域に限ってワクチンの接種を認めるべきとしているが、県としてどのように考えているのか。

答弁 (畜産課長)              現在、海外ではウイルスを死滅させて作った不活化ワクチンが流通しております。この不活化ワクチンは、計画的に使用されれば感染地域における沈静化や防圧には有効な手段であります。日本でも、国が万一に備えて360万羽分を備蓄しております。このワクチンは、国の動物衛生研究所が行った試験でも、発症抑制効果はあるものの、完全に抑え込めない、あるいは、阻止期間が短いため、使用の際にウイルスが残り発生が繰り返され感染が拡大する恐れがあることから、清浄国においては、早期発見と感染家きんの迅速な殺処分がまん延防止に最も効果的な対策とされており、現状のような殺処分方式が望ましいと考えております。

質問 (松崎委員)              今後、ワクチン使用を国が認めることもあり得るが、消費者に近い県としてのスタンスはどのようなものか。

答弁 (畜産課長)              本県で本病が多く発生した場合、国と協議して備蓄ワクチンを使用することになります。その前に病気にかからないよう基本的な感染防止対策に努めたいと考えております。