神奈川県議会平成18年6月定例会

厚生常任委員会質疑のまとめ

1 福祉の街づくりと福祉有償運送について

松崎       ● 県では、道路や、駅舎などの公共交通機関のバリアフリー化にあたり目標値を設定して取り組んでいると思うが、その状況はどうなっているか。

地域保健福祉課長               ○ 障害者、高齢者など全ての人が安心して生活し、自らの意思で自由に移動し、積極的に社会参加できるまちづくりのため、神奈川力構想・プロジェクト51の戦略プロジェクトに「福祉のまちづくりの推進」を位置づけ、取組みを進めている。

○ 道路のバリアフリー化としては、県管理道路の段差の解消や勾配の解消、有効幅員2m以上の幅広歩道の整備に取組み、平成17年度末のバリアフリー化の状況は、横断歩道部に接続する歩道部のバリアフリー化率は54%、バス停のバリアフリー化率は57%、幅広歩道の整備率は45%であり、それぞれ年度別の目標を達成している。

○ また、公共交通機関については、民間鉄道駅舎のエレベーター整備事業に対する支援に取り組んだ結果、平成17年度までにバリアフリー化に対応した駅は208駅で、17年度における目標を達成している。

松崎       ● 鉄道駅舎のエレベーター設置は全国に先駆けて取り組んできたと聞いているが、やはり、基幹的なところから順次となっており、たまたま、乗降客が少ないと言うことで、整備を待ちこがれている実態にある。金沢区では、金沢八景や金沢文庫は整備されたが、能見台や富岡などにも期待する声が大きいが、取組みの状況と今後の整備について伺いたい。

地域保健福祉課長               ○ 県は交通バリアフリー法の整備目標を踏まえ、戦略プロジェクトにもバリアフリー化駅舎整備数の目標値を設定し、平成16年度、17年度とも計画通り目標を達成している。

 平成18年3月末現在で、県内には367の鉄道駅舎があるが、このうち、交通バリアフリー法に基づく基本方針に基づき、平成22年までに段差を解消し終えるよう目標設定の対象となる駅が243である。目標設定の対象となっている243の駅のうち、これは、対象は1日当たりの利用者が5千人以上で、かつ、高低差が5メートル以上ある駅だが、その駅のうち、整備を終えたのが208駅で、進捗率は85.6%となっている。

 今後の課題としては、駅の立地条件や駅の構造により、大規模な工事を必要とし、多大な工事費がかかる駅舎や、ホームの幅が狭く、エレベーターの設置場所を確保できないなど、物理的な条件等により、整備に困難が伴うことである。

 今後は、出口と入り口が別の対面式のエレベーターを導入するなどして、段差解消に努めていく。

 駅に段差があると、障害のあるなしに関わらず、バリアとなってしまう。そのため、優先整備駅以外の駅についても、財政事情の許す限り、できるだけ段差解消をしていく必要があると考えている。

松崎       ● 前向きのご答弁と受け止めた。是非よろしくお願いしたい。買い物で小さい赤ちゃんを連れた方から、降りるのに不便でも、声も出しにくいとのお手紙をいただいた。財政事情もあると思うが、一層取り組んでほしい。

● 高齢者や障害者、それ以外の方についても移動手段をどうするかは重要である。先頃、道路運送法が改正された際、参議院で附帯決議が附されている。福祉有償運送については、ボランティアが日常生活の中で行っている運送が盛んになっているが、皮肉にも法の枠外であり、白タク行為と目されている。附帯決議では、このボランティアによる運送にも十分配慮することが盛り込まれたもので、これは時代を画するような大きな決議であると思う。このような受け止め方を県の方でもしているのか。あるいは別の受け止めなのか

地域保健福祉課長               ○ 道路運送法の許可を取得できるのは法人格を有するものだけで、県内の市町村や関係機関からなる運営協議会で了承され、国の道路運送法の許可を得ることになる。現在147法人が許可を受けており約1,300台ほどが稼働している。

 私どもも、障害者地域作業所やリハビリテーション、地域のサロン活動などの送迎が任意のボランティア団体により行われていることは承知している。

 そのような団体はガソリン代程度の任意の謝礼しかもらっていないし、お願いする方の気持ちに立てば、謝礼を支払うのは理解できる。こういった点を受け止める必要があると考えている。

 私どもとしても国に働きかけるなど、国にも受け止めてほしいとお願いしてきたところであり、附帯決議についても同様に受け止めている。

松崎       ● そのような動きは側聞していた。県が枚方市や世田谷区などと共に地方公共団体の代表として、国の委員会の委員になり要望していたことは聞いているが、附帯決議がされた後、国、地方公共団体はどういう動きになっていくのか。政令省令でボランティア活動はどのように位置づけられていくと思うか。

地域保健福祉課長             ○ まだ状況はわからないが、ある程度前向きな方に検討いただいているのではないかと側聞している。結果はわからないがそのような状況である。

松崎       (要望)

● 法人格を有するかどうかは許可にあたり重要な分かれ目だと思うが、近所の方が助け合いの中でやっていることに対して、法外だ、白タクだ、といってきたことについて、新たに附帯決議に盛り込まれたことは大変重いので、県としてもこの趣旨を踏まえて施策の展開をしてほしい。