平成18年9月県議会定例会・厚生常任委員会質疑のまとめ

<助産師の確保と専門性の発揮について>

松崎       ● 横浜市内の産科医院で助産師の資格のない看護師等が助産行為を行っていた事件が全国ニュースで取り上げられた。少子化対策の中核であるお産のあり方が問われている。そこで助産師の確保と専門性の発揮の観点から質問する。

 平成17年度に県では、平成18年から5年間の看護職員の需給見通しを策定したが、助産師の需給見通しはどうなっているか。

県側       ○ 助産師の需給見通しは、平成18年の需要数が1,679人、供給数が1,530人、充足率は91.1%となっている。平成19年以降もほぼ同程度に推移すると見込んでいるが、平成22年は、需要数が1,899人、供給数が1,771人、充足率が93.3%となる見通しである。

松崎       ● 今後も助産師の不足が続くことが見込まれるが、お産に対する不安を解消することは難しい。県では、これまで助産師確保のためにどのような取組みをしてきたか。

県側       ○ 県立衛生看護専門学校での養成や、新たに設立した保健福祉大学に養成課程を設けるなど、助産師の養成に努めてきたほか、看護職員の職業紹介を行う「ナースセンター」において、潜在助産師の就業促進にも取り組んできた。

松崎       ● これまでの取組みで、助産師の確保対策が十分達成できるのか。

県側       ○ 供給数を確保するためには、衛生看護専門学校での養成数の確保や実習指導者の確保も大事である。そのほか、今後の増要素として保健福祉大学では来年から助産師課程の卒業生が見込まれるほか、昭和大学でも4年後から卒業生が見込まれる。また、潜在助産師の就業促進を行っていく必要があると考えている。

松崎       ● 潜在助産師の活用は有効であると思うが、県内には何人程度いるか。

県側       ○ 現在働いている者は、届出があるが、潜在助産師は、届出がないので何人いるかの把握はむずかしい。国でも予測しているが、現実的なところ分からない状況にある。

松崎       ● 国と相談することも必要、ハードルを越えていかないといけない。現状を把握しながら、確保対策をしないといけない。何か改善できることはないか。

県側       ○ 今後は、ナースセンターの運営を強化していくほか、助産師は病院に偏在する傾向があるので、改善するためには勤務環境を整えることが必要である。このためには、魅力ある環境づくりが必要であるので、助産師の定着に向けて関係機関にも働きかけを行いたい。

松崎       ● 助産師不足は、全国的な問題なので、国と連携できないか。

県側       ○ 2002年と2004年に国から助産師の業務について通知が出た。それ以前は、特にふれていない。また、国の検討会でも助産師の業務について議論したが、まとまっていない。今回の事件をうけて国でも調査を行うと聞いているが、その動向を見ながら、できることから行いたい。

松崎       ● 助産師の不足には、潜在助産師の就業を促進することや養成数を増やすことが必要である。様々な連携をとりながらできることはすべて取り組んでもらいたい。少子化対策が叫ばれる中でのお産のあり方だけではなく、人の命の誕生に係る中核的な問題である。様々方向性を進めてもらいたい。

  次に、この委員会で何度か主に医療課長がお答えになっている、医療対策部会の中間報告に関してお聞きしたい。助産師の方の専門性の発揮に関して触れられているが、昨日の山田委員の答弁にも若干あったが、ここで改めて、助産師に関して、医療対策部会ではどのような意見が出され、中間報告の中にどのような形で掲げられたのかを伺いたい。

県側       ○ 医療対策部会での意見と中間報告についてのお尋ねだが、部会において出された意見としては、助産師のお産等に関する能力や専門性に着目し、医師と助産師との連携などを進める必要がある、また、そうした連携方策を各地域でそれぞれの地域にあった方策により行う必要がある、などである。また産科医師を急激に増やすことが難しい状況の中で、助産師の専門性を活かし、医師との役割分担と連携を図ることにより、産科医師の負担を軽減しつつ、医療提供体制を確保するということで、中間報告では、いわゆる院内助産所などの助産師の専門性を活かした医療提供体制の確保ということの方策が示されたところである。

松崎       ● 正常分娩が8割位と多いわけだが、通常の分娩においては助産師が扱える、ということがあるので、この部分については助産師でやっていただき、そして、難しいあるいは医療行為を伴う助産についてはお医者さんの方でやっていただく、という形で分けていく流れのことかと思うのだが、そのような理解か。

県側       ○ 院内助産所については、委員のご説明のとおりだと思う。正常が多く異常が少ないのではないかと思われる分娩について助産師が主に取り扱い、やはりリスクがあって手をかける必要があるものについては医師が取り扱うということで、その場合には患者さんの意向を十分配慮して行うというように理解している。

松崎       ● 中間報告の段階なので即断はなかなかできないだろうが、県としては今後その院内助産所などを軸にしながら取り組んでいくのか。

県側       ○ 中間報告において「考えられる対応方策の例」として、今お話しした院内助産所等の整備への支援が掲げられており、さらには助産師業務に係る広報啓発ということも考えている。整備の支援については、既に院内に助産所を導入している医療機関があるので、その方々からどういった支援をしたらいいのかということについて話を伺いながら、検討していきたいと思う。さらに広報啓発については、医療機関に対する「院内助産所の導入例」の情報提供、どこにあるのかといった情報提供も必要であるし、また県民に対して「正常なお産は必ずしも医師が取り扱うということではなくて助産師も介助可能である」ということも周知する必要があると考えている。

したがって、県としては今後、中間報告を踏まえ、地域関係者のご理解とご協力を得ながら、各地域の実状に応じた具体的な医療提供体制の確保に係る取組みを進めたいと考えている。

松崎       ● (要望)

 地域保健福祉課長及び医療課長からご説明をいただいたところであるが、いずれにせよ、我が県としてできることはもちろん全てやっていき、その中でも効果があがるものから先に取り組んでいく、ということである。そこで是非とも、少子化が叫ばれている中での問題でもあるし、また少子化であろうとなかろうと人の命の誕生場面のいわば中核の事柄であるのだから、安心してお産ができるような取組みを、今様々なお話を頂いたが、その取組みの方向性を軸に進めていっていただくよう要望して私の質問を終わる。