神奈川県議会 平成19年9月定例会本会議での一般質問と答弁

1             地震防災対策について

●           (1) 県では、平成15年5月に策定した「災害時における要援護者支援マニュアル作成指針」を改訂し、市町村の要援護者対策について必要な情報提供を行うとともに課題解決に向けた方向性を示してきた。しかし、一部の市町村では要援護者への安否確認、救助について地域防災計画などに規定していない、あるいは計画には規定しているが具体的な対応がされていないところがある。残念ながら、県が指針を提示すれば、市町村において要援護者の所在情報の把握や安否確認の具体的な方法が決まるという状況にはなっていない。

 そこで、私は先月末、柏崎市を訪れ、倒壊した住宅や福祉避難所など、被災現場を目の当たりにして事前の要援護者対策の重要性を改めて痛感したところであり、それなのに今後も引き続き、市町村が要援護者対策に躊躇することは生命、財産を守る自治体として許されない事態である。

県では、市町村が実効性のある要援護者対策をとるために、何を課題とし、どう具体的な取り組みを進めようとしているのか、伺いたい。

○          

知事答弁

 松崎議員のご質問に順次お答えいたします。まず、地震防災対策に関して、災害時の要援護者対策に係る課題と具体的な取組みについてのお尋ねであります。

平成16年の新潟県中越地震や今回の新潟県中越沖地震を見ましても、市町村が災害時の要援護者対策を推進していただくことは、大変重要であると考えます。

今までも、県では、要援護者支援の基本的な取組みの方向性を整理した「災害時における要援護者支援マニュアル作成指針」を各市町村に示して、安否確認や避難誘導などについて、地域の実情に応じた対応が図られるよう、支援をしてきたところであります。こうした中で、年度当初において、市町村の要援護者支援マニュアル作成の進捗状況等を調査したところ、多くの市町村では、災害部局と福祉部局間の連携のあり方、自主防災組織を含めた関係機関における要援護者情報の共有化、そして災害時を想定した要援護者の受け入れに関する検討の場の確保などのいくつかの課題がございました。

これらの課題の解決に向けて、県では、新たに、地域ごとに保健福祉事務所単位で、市町村、消防、福祉関係者等による要援護者対策検討会を立ち上げ、情報の伝達や共有、活用の方法をはじめ、福祉施設や民生委員等関係機関との連携策などの検討を開始いたしました。

議員のお話にありました新潟県中越沖地震の教訓を踏まえますと、特に、要援護者1人ひとりの特性に応じた避難支援プランの作成など、きめ細かな対応が必要でございますので、この検討会の中で、先進的な事例を収集し、市町村に紹介するなどの取組みにも力を入れてまいります。県といたしましては、こうした取組みにより、今後とも、市町村が実効性のある要援護者対策を実施できるよう支援してまいります。

●           (2) 今年3月に策定された「神奈川県耐震改修促進計画」の目標を達成したとしても、耐震性のない住宅が10%残ることになる。本県の防災力を向上させるためには、今までにない新たな施策の打ち出しによるこれらの住宅についての対策も考える必要がある。

今までのような個々の建物をそれぞれの建物の所有者の意志に基づき耐震改修していく従来のやり方に加え、一定の区域をソフト・ハード両面で創意工夫をこらし、ある程度行政も関与しながら、地域ぐるみで耐震化に取り組むというような方針に切り替えていく時期にきているのではないかと考えている。

そこで、大規模な地震に対する県の防災力を高め、被害を最小限にとどめるためには、建築物の耐震化、とりわけ木造住宅の耐震化が最も重要な要素と考えるが、県として、木造住宅の耐震化をどのように促進していくのか、伺いたい。

○           知事答弁

  次に、木造住宅の耐震化促進についてのお尋ねをいただきました。

過去の大規模な地震では、古い木造住宅の倒壊により多くの方が亡くなっており、県民の安全安心を確保する上で、木造住宅の耐震化は重要な課題であります。

そこで、木造住宅をはじめとする既存建築物の耐震化を計画的に促進するため、県では市町村にもご協力をいただき、本年3月に「神奈川県耐震改修促進計画」を策定いたしました。

この計画では、まず、建物の所有者の方に耐震化の重要性を十分に理解していただき、自発的に耐震化を行っていただくことを基本的な考え方としております。

このため、県といたしましては、木造住宅の耐震化についてのパンフレットを配布したり、「木造住宅耐震講習会」を開催することなどにより、普及啓発を進めるとともに、県民の皆様からの相談に応じてアドバイスを行っております。

また、木造住宅の耐震診断や耐震改修に対して、市町村が補助を行う場合には、県といたしましても「市町村地震防災対策緊急支援事業」によりまして市町村への財政支援を行っているところであります。

さらに、地震に対する防災力を高めるためには、家屋の倒壊により被害が拡大する恐れの大きい、住宅が密集している地域においては、地域ぐるみで耐震性を高めていこうという意識を共有することも重要であると認識しております。 したがいまして、今後は、重点的にこのような地域において耐震改修が促進されるよう、県と市町村で「神奈川県建築物耐震化促進協議会」を設置して、普及啓発に取り組んでまいります。