平成19年11月1日神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ

○ テロ、大規模災害対策について

松崎        大きな2問目といたしまして、テロ対策、大規模災害対策についてお話をお聞きしたいと思います。

 先般と言いましても年度は少し前になりますけれども、私ども民主党・かながわクラブにおきましては、イギリスに県政調査団を派遣をし、私自身も事務局長として現地へ行ってまいりました。そこで新しくなったスコットランドヤードを中心にテロ対策についても色々とお話をお聞ききしたところであります。 本日出席している議員の中でも本村賢太郎議員も同行したメンバーの一人でありますが、実際に地下鉄に乗り、地下鉄のテロ対策というものを映像等を撮影しながら現地を訪ね歩いたわけですけれども、その後実際にロンドンの地下鉄は爆破をされ、そして多勢の方が傷つくというテロ事件が起きました。改めてテロ対策の重要性ということを感じさせられているところであります。

 我が国においてもこれは決して他人事とは言えないわけでありまして、やはりテロ事件を未然に防止するということが非常に重要だと思うわけでありますけども、先ほどは薬物について水際対策をお聞きしましたが、こちらもやはりテロリストを国内に入れないといういわゆる水際対策が同様に、或いはそれ以上に重要であると考えます。

 そこで県警察においてこの点についての水際対策をどのように取られているかお聞かせください。

公安第一課 木下課長:    来年のサミットを控えて港があるということで、県警としてもテロということについては大きく捉えております。

国際テロ対策の柱ということで県警では「テロリストを国内に入れない」「テロリストに拠点を作らせない」「テロリストに犯罪を起こさせない」この3つの柱で対策を進めております。

 委員ご質問の水際対策についてはこの中の「テロリストを国内に入れない」という活動の柱として県警としても、対策を推進しているところでございます。これは各機関との連携ということがキーワードだと思います。

 これを横浜港に例えまして対策の現状をお話したいと思うんですけれども横浜港の水際対策なんですが県警察、海上保安庁、入国 管理局、税関等横浜港の危機管理を担当するメンバーで定期的に会合を開きまして、テロの現状、こういう話し合い、情報交換を行っています。その他テロリストが船で横浜港に入港するという情報があったと、これをどう発見してどういう流れの中で連携して制圧するかという想定に基づいた訓練等もやっております。

 このことについては、横浜港だけではなくて川崎、横須賀等で、それぞれ、それぞれの機関と情報交換、訓練をやっている。これが現状でございます。

松崎:    テロというと誰しも思い出す1つの事件がございます。それは2001年9月11日にアメリカのワールドトレードセンタービルが崩壊し、そして343名の消防士の皆さんを含めまして3,000名に昇る犠牲者が出たという事件であります。日本人もその際に24名の方が犠牲になっていらっしゃるわけであります。

 実はこの後、ちょうど明くる年2002年9月11日を含めてこの期間に国務省から私、議員になる前ですが招待を受けて現地に赴きまして、実際にこのグラウンドゼロを尋ねて献花をさせていただいたことも記憶しているわけですがその際にこの事件で消防士の方々がなぜ亡くなったのかということにつきまして、ニューヨーク州の安全保障局長から実際にお話を聞くことが出来ました。

 ごくかいつまんで言いますれば、警察と消防のやはり幹部同士の情報交換が非常に不十分であったために、今まさに崩壊せんとするビルの下に消防士がいる事がわかっていながら、周波数が違う、連絡方法が違うために警察は消防士にその危険を知らせることが出来なかった。そのことが後々アメリカ全土にわたる改革に繋がっているということでした。

 どういう改革といいますと、警察と情報の通信司令室を共有し、そして大きな災害や或いはテロ事件等が起きた場合には、いち早く情報を共有するという体制が作られているわけです。これはですね、何もアメリカ特有の取組みとする必要は無いわけでありまして、本会議等におきましてもこれまでも18年度もそうですが取り上げさせていただき、そして情報共有を進めていこうということについては、歴代本部長からも御答弁をいただいているところであります。

 そこでお聞きしたいのは、この点、特にテロや災害等の現場における重要な通信手段である無線のシステムでありますが、現状なお自治体と警察と消防がそれぞれの活動目的に沿って異なるシステムを運用していて互換性が無いという問題点であります。災害現場における通信システムもまだ十分に整備されているとは言いがたい状況であると私は考えます。こういう現状を踏まえまして県警察としては消防、自衛隊等との連携強化を図るためにどのような対策を実施しているのかお聞かせください。

公安第一課 木下課長:    委員ご指摘の通り警察、消防、自衛隊などの無線については今のところ互換性はありません。従いましてそれぞれの機関が固有の指揮系統で救助活動を現場でやっているのが現状であります。これについては、情報の保秘だとか人権を守るだとかそれぞれの機関で難しい問題がありまして、同じ周波数を使うということはなかなか難しい部分がございます。

 そこで、こういう現状を受けまして、例えば八都県市の合同防災訓練が毎年行われておりますけれども、こういう訓練の機会に警察、消防、自衛隊の現場の指揮官が同じ指揮所でお互いの無線を傍受しながら情報を共有して、現場活動を自分たちの部隊は、あなたの部隊はという形で相談、連携をしながら協議・調整する訓練を行っております。

 また各警察署ごとに色々な訓練が年間を通して有りますが、各種訓練にも地元の消防の方にも参加していただいて訓練を共にすることもございます。

 その他、無線だけの話をしましたけれども、発災時等における連携の強化、情報の共有化を図るために、県内自治体等に整備されています衛星携帯電話を県警も整備して参りたいと考えています。

松崎:    それでは18年度決算の具体的な数値でお聞きしたいと思いますけれども、今答弁の最後にあった衛星携帯電話ですけれども、これの自治体等における整備状況はいかがになっていますか。

公安第一課 木下課長:    衛星携帯電話の自治体への関係ですけれども、調べましたところ県内19の市町村に合計で約150くらいの衛星携帯電話が整備されているというふうに伺いました。

そのうち、神奈川県に限りますと30数台神奈川県にございまして、この30数台を災害消防課や出先機関等に配備しているというふうに受けたまわりました。この30数台の中から、有事の際の通信手段ということで、陸上自衛隊と県警察これもお借りしております。

 県警察における衛星携帯電話の配備状況ということですけれども、今申しました県から1台お借りしています。プラス国費で9台購入いたしまして合計10台県警は保有しています。この10台については警察本部、機動隊、ヘリコプター等の航空隊にこの10台を配置して備えてあるという状況です。なお警察署等への配備は今のところございません。

松崎:    今、県警察に限って言えば10台だと言うお話でした。それで本当に大丈夫なんですか。

公安第一課 木下課長:  神奈川の特徴を申しますと、山があり谷があり、そして街中に来ると大きなビルが有りますので、無線という部分では不感地帯が相当あります。従いまして、是非、いきなりはいかないでしょうが、県警にも必要だという理解を得ながら獲得に向け頑張っていきたいと、担当者としてそう思っております。

松崎:    きわめて率直な内心の思いを御答弁されたというふうに受け止めますけども、もう1つそれでは無線の不感地帯のお話は今伺いました。もちろん18年度決算に則してですけども、無線の不感地帯においてそういった衛星携帯電話が機能を発揮するし、また現状は10台であるがもっと必要なのではないかという所感を承ったわけでありますが、もう1つ、広域緊急援助隊が機動隊を中心に本県警察にも組織されているわけであります。

 かねてより、無い方がいいわけですけれども被災地に実際に派遣されていて救出や救助活動にあたられていらっしゃる。

 それではですね、また総合防災センター厚木にございますけれども、広域防災活動拠点等にもですね、応援部隊の活動をサポートするために自衛隊、消防、警察等のために必要な装備資機材が備蓄されている言うことも伺っているところであります。

 では、広域緊急援助隊或いは自衛隊、消防の広域応援部隊が現地に到着するまでの間というのを逆に考えてみたいと思います。

 発災直後その時点において現場で救出救助活動にあたるのは 誰なんでしょうか。それはおそらく24時間体制で勤務しているやはり発生地を管轄するところの所轄警察署、或いはもっというと交番の勤務員の方であろうかと思います。 それでは今、衛星携帯電話の配備警察署には無いということでしたけども、これはやはり警察署、或いは交番、まずは警察署にですね配備を進めていく必要があると思うんですが、同時にそうした通信機器と同様ですね救出救助にあたるための災害装備品をということを考えてみたいと思うんですが、警察署とか交番には配備されているべきだと思うんですがこの点配備状況はどうなっているのでしょうか。

公安第一課 木下課長:    まさしく委員ご指摘のとおり、大規模地震が発生した場合、被災現場に大量の救援部隊が到着するには、相当の時間がかかるのが現状であります。

ちなみに今年の7月に新潟県中越沖地震が発生しましたけれども、柏崎市内に、神奈川県警の広域緊急援助隊が出発して到着したのは、発災から11時間後というのが現状でございました。

 このことから、大量の救助部隊が到着するまでの、いわゆる初期の救助活動は地元に密着し、24時間体制で当直体制で勤務している警察署、交番、駐在所の勤務員が最初を担う可能性は高いと考えます。なお夜間に発生した場合にはさらにその可能性は高まるんだろうと思っております。

 県警察ではどういう資機材が必要かということですけど、阪神大震災や、新潟県中越地震で、初期の救助活動で現地で欲しかった、または役立ったという部分でチェーンソー、エンジンカッター、これはいわゆる生き埋めになった人を助ける部分ですけども、それから、ちょっとした救助用ハンマー、物を叩き壊す、それから埋まった人を見つけるためのファイバースコープ、それと重いものを持ち上げる油圧式ジャッキ。こういう目の前に人が埋まっているときに何とかしたいと思う気持ちを実現できるような資機材が必要だし欲しかったということでしたので、こういう今言ったようなものを警察署に備え付けるという形で努力をしております。

 これらの救助用資機材の県内54警察署への配備情況についてですが、チェーンソー、エンジンカッター、救助用ハンマーについては、全ての警察署に配備されています。1つの警察署で平均3~5台あります。ファイバースコープについては、54警察署中、4警察署で4台、油圧式ジャッキにつきましては、54警察署中 、4警察署で11台、これが現状であります。また交番については機器的なものではなくて、ツルハシとかスコップとかバール、こういうものは全交番に配置されております。

松崎:    今、説明の中でありましたけども警察署においてチェーンソーが3~5台、或いはハンマーについて4警察署に4台というようなお話があったんですけれども、今テーマとしているのは大規模災害、或いは未曾有のテロと言うことなんですけれど大規模災害という場面、局面を見た場合にそういった台数というのが本当に対処し得るオーダーでしょうか。数の位としてどうでしょうか。

公安第一課 木下課長:    個人的な意見になりますけども、万が一災害が発生した場合、24時間そこで勤務している警察官が下手をすると制服を着て、目の前で建物に埋ずもれて救助を求める人を目にするということが考えられます。

従ってそこでいくら腕力が強くても持ち上げられないのは当然ですから、何らかの機器を身辺に置いていざという時に備える、これは普通に勤務させたいという私の気持ちからすると全警察署に配備したい、じっくりでもいい、配備をお願いしたい、こういうふうに思っております。

松崎:    これは確認ですけど、18年度の装備品の整備の状況をトータルで、それから配備計画も、もしお聞かせいただけるならばその点についても触れていただきたいと思います。

公安第一課 木下課長:    平成18年度は、先ほど私、個人的な話で徐々にでもいい、細かくてもいいという話をしましたけども、毎年そういう形で理解を得て少しずつですけれども整備されているという背景の元でそう発言をしました。平成18年度については細かく言いますとチェーンソーが1台、エンジンカッターが11台、救助用ハンマーが17本、ファイバースコープが1個、油圧式のジャッキが11個という形で毎年お願いをしておりますので、届きましたら災害、地震の可能性のあるところまたはポイントとなるような警察署、こういう所から重点的に配備していきたいというふうに考えています。

松崎:    今、答弁をいただきました大規模災害や或いはテロ対策ということは、やはり県民の生命身体の安全という、まさに政治についてもこれは第一義だと私は思うんですけれども、その点についてやはり守っていかなければいけない為には、情報機器、それから今のお話の機器についても整備を図っていただきたいというふうに思っています。

 なにしろ交番についても警察署についても、第一線でまさに県民の守りという点で立ち上がりの第一段階だと思いますので、資機材が無いため目の前にいる被災者を救助できないということがあってはならないと思っていますから、今後財政当局などですね、各方面の関係する部局とも十分な協議検討を行って、一日も早く必要な資機材を整備されることを強く要望いたしまして質問を終わります。