平成19年11月1日神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ

○ 外国人犯罪対策について(薬物事犯の水際対策について)

松崎        大きな項目として外国人犯罪及び薬物対策ということで後半は薬物事犯、そしてその後に大規模災害及びテロ対策についてお聞きすることといたします。

そこでまず薬物事犯の関係でお聞きしたいんですけれども、私自身も記憶しておりますけれども、この中区においてですね外国人が主に利用するディスコで薬物の密売が行われていてそれが昨年度本県は県警においてですね摘発をされたということを記憶しております。また国内で密売されている薬物のほとんどは海外からの密輸であるということを聞き及んでいます。もっとも最近は薬物事犯の中に含まれるかどうかは別といたしまして、リタリンのような物についての闇ルートにおける販売であるとか暴力団の介在であるとかさらには依存症の深刻さといったことも大変大きな問題となっているところであります。

 そこでまず特に本県の特殊性、地域性ということで薬物事犯の水際対策に ついて現状をお聞きしたと思います。

薬物銃器対策課 小笠原課長:        薬物事犯の水際対策の現状についてでありますが、国内で乱用されている薬物、覚せい剤、大麻、コカイン、ヘロイン、MDMAなどこれらほとんどが海外から密輸入されているといってよろしいかと思います。

 特に本県、神奈川はですね国内有数の貿易港である横浜港を持っておりまして、多くの外国船舶が入港していることから、不正薬物が密輸入される危険性が当然高いので、我々としまして、水際における取締りと監視活動を強力に推進しているところであります 。

松崎:    捜査原則、まずは密航ということが言われているわけですけど、特にこの薬物関係の捜査というのは、密航性という言葉が正しいかわかりませんが非常に苦労があると聞いているところであります。

 ご説明にもありましたけども横浜港も擁しておりますし、また川崎そして東京が非常に目の前にあるということからも、数多くの外国船舶が常時入港している点からすれば警察の捜査というのも非常に厳しいものが、限界があるというふうに率直に言えるのではないかと思うんですけれども、そう致しますと他の機関との連携ということがこれは絶対に欠かせないと思うわけですね。そこでその点についてお伺いします 。

薬物銃器対策課 小笠原課長:        薬物事犯の水際対策における他機関との連携についてでありますけれども関係取締機関であります横浜税関や第3管区海上保安本部とは、常に情報交換に努めているところであります。捜査にあたりましては相互に端緒情報を入手しますと、その段階から検討をしまして合同捜査を積極的に推進しておりまして、連携強化に努めております。

 また、港湾関係企業139社になりますが、この間で設立しました「神奈川県銃器・薬物水際排除対策推進協議会」これを通じましても、情報交換ですとか監視活動を強化するなどして、官民一体となった活動を推進しているところでございます。

松崎:    今、説明のあった中に港湾関係企業ということで協議会を設立し情報交換監視活動の強化を行っているということでありました。

 それではお聞きしますけれど、具体的に18年度中に私が強調しております他の機関との連携により、薬物事犯を実際に水際で検挙した事例をお伺いしたいと思います。

薬物銃器対策課 小笠原課長:        平成18年中における薬物事犯の水際での検挙事例ですけれども、個人単位の小さな密輸事犯は多々ありますけれど、大きな事件といたしましては、昨年の12月ですが、県警と横浜税関等と合同捜査を実施しまして、中国の大連ルートによる大量覚せい剤密輸の情報を我が方で掴みまして、税関に厳重チェックをしていただきまして、山菜のワラビなんですが塩漬けしたワラビのボトルの中に覚せい剤14キロ、末端価格にしますと8億4千万円を押収しまして、関係被疑者3名を逮捕しております。

松崎:    今塩漬けのワラビの瓶というお話だったんですけれども、そういった手口というのは、目を付けていかなければいけない際に、水際で塩漬けのワラビの瓶だと、そこに何か入っているかも知れない、入っていないかも知れないといったあたりというのは全てを開封して見ていくんでしょうか、それともそういったことが出来ないとするとどの辺に苦労というか工夫している点があるのでしょうか。

薬物銃器対策課 小笠原課長:        この辺につきましては、警察としては輸入された貨物なりを直接我々がチェックすることが出来ません。これはそのために横浜税関があります。船に乗っていれば海上保安庁とこういう形になろうかと思いますけれども、我々としては水の上は苦手なもんですから、あくまでも陸(おか)で、それで色々情報を取りまして、おそらくこの企業は、この会社は何らかの密輸をやっていると、ある程度情報なり目を付けてそれと横浜税関などと連携して、来た荷物、そこの会社が輸入した荷物を厳重チェックしてくれという場合と直接横浜税関がですね、横浜税関も今すばらしいレントゲンの装置を持っていますので、それでその貨物なりをX線を掛けまして、陰影がおかしな影が写っている。ということで、それで発覚して我々と一緒に捜査を始める。こういう例もあります。

 それといろいろ隠匿方法が非常に巧妙になっていて、先般ずいぶん新聞に大きく出ました。これは大阪税関だと思いますが、カナダからの木材の中に覚せい剤155キロ、MDMAこれは合成麻薬ですが60何万錠とかですね、そういう木をくり抜いてですね中に入れたり、あとこれは神奈川でやったもので平成15年ですが、置物の台座の中に全部で260キロの覚せい剤があったんですが、あとコンテナをちょっと改造して入れてみたりですね、いろんな方法で薬を入れてきております。

松崎:    実態を聞けば聞くほどそれが結局上陸していたら、末端使用されるパケと言われる非常に小さな袋に小分けをして売買されていって、一袋当たり2,000円とか3,000円とか聞きますけど、そういうふうにして市民生活の中に見えない形で浸透しているということを考えますと、非常にそういう意味では水際対策をまずやり、そして同時に県内の中で具体的にどのようにこの薬物乱用を防止するというか完全に排除していくためにどうするかというところが重要だということを改めて思うわけであります。

 そこでお聞きしますが、保健福祉部の中にも薬務課というセクションがあります。それから先程の質疑の中にもくらし安全指導員の方々の活動についてお話が出ていたように思いますけれども、このくらし安全指導員の方々の中にも防犯マップ作りだけではなくて、こうした薬物に関していわゆる薬物Gメンのご出身の方もいらっしゃることを、私、過去にお話を直接伺ったことがありまして、こういった方々の活動も非常に大事だというふうに思います。

 具体的に申しますと例えば高校生、或いはもう少し幅を広げて青少年の段階からこの薬物に対する知識を教育していく、そして薬物汚染というものと青少年というものをきっちりと切り離す、或いは家庭と薬物との間にきっちりと断層というか断絶を図っていくということが必要なんだと思うんです。

 よくこの点については薬務課或いはくらし安全指導員の方々について委員会等でこれまでも記録より質疑が行われている、私自身も質疑をしておりますけれども、逆に県警察としてはこういう薬物乱用防止についてどういうふうにこの水際後ですね取組んでいこうとしているのかその点をお聞かせください。

薬物銃器対策課 小笠原課長:        県警察におきましては、薬物乱用防止のため、県の薬物乱用対策推進本部、知事が本部長で医師会、薬剤師会、教育委員会、市町村会などや取締関係機関、これで構成された組織がありますが、この関係機関・団体と連携しました街頭キャンペーンやポスター、チラシを配布、広報啓発活動を行なっており、薬物乱用を拒絶する社会環境づくりを推進しいるところであります。

特に少年につきましては、薬物の危険性・有害性を早いうちから正しく認識させることが重要でありますので、警察官等を小・中・高校に派遣しまして薬物乱用防止教室を開催いたしております。

 あと、これは今年の9月にですね全高校247校に「罠」という薬物の恐ろしさをテーマにしたDVDを全校に配布させてもらいました。

 このほか、薬物乱用防止につきましては、県警ホームページへ掲載したり薬物乱用防止広報車、これは1台なんですが持っておりましてこれを活用して家庭・地域に対する広報を実施するなどしまして、各種広報啓発活動を推進しているところでございます。

松崎:    かつて合法ドラッグと呼ばれていた、それが脱法ドラッグと呼ばれるようになって今は違法ドラッグと呼んでいるわけです。中身の成分はくるくると変わっていますが、化学式そのものの骨格はあまり変わっていないように聞いています。そうしたものについて長く服用といいますか使用しておれば、その人の人体の後年にわたって、長い間にわたって蝕みつづけていくと。

 たとえばDNAが傷がつくとその影響は子や孫の代にもずっと引継がれていくという恐ろしさがあるわけです。ところがそうした点についての正しい知識というものが、果たして今の高校生やましてや中学生にきちんと浸透しているかどうかは、私は疑問無しとしないところです。

 もちろん、くらし安全指導員についてのお話をさせていただいたわけですけれども、県警察としても特に青少年、或いは家庭の中へこうした水際対策と、それから今説明のあった広報啓発活動を推進していただいて、ぜひとも薬物を神奈川から一掃すると取組みを強化していただきたいと言うことをお願いしたいと思います。