2007年11月20日 

文教常任委員会での質疑のまとめ

松崎:   民主党・かながわクラブの松崎です。

 きょうは時間が余りありませんから、新たな学校の仕組みづくりに絞りまして、何点か質問させていただきます。

 まず、この県立高校改革の後期計画の中で、新たな学校の仕組みづくりというものを位置づけているわけですが、その中に地域運営学校についても取り組んでいくというような位置づけがなされていまして、実際これは職員提案ということですけれども、県立釜利谷高校が地域運営学校の実践研究について提案をしたと、そして教育委員会がそれを認定したということでございますが、これが新たな仕組みづくりとはどういう関係に立つのでしょうか 。

山本高校教育課高校教育企画室長:               新たな学校の仕組みづくりと、釜利谷高校が提案されたコミュニティスクール、そういったものとの関連ということでございますけれども、これにつきましては、やはり私ども、高校改革の新たな課題の中で、新たな仕組みの学校をつくる際に、前回、例えば6月の常任委員会で御報告させていただきました、そういった基本計画案の中で、基本的コンセプトを実現する新たな仕組みというのがございます。その中で我々の教育課程の新たな仕組み、あるいは学校運営の新たな仕組み、入学者選抜などの仕組み、それから学びを支える職員体制の新たな仕組み、こういった幾つかの基本的な方向となっておりました。その中の大きな柱の一つとして、学校運営の新たな仕組みという中で、学校運営協議会、今、委員がおっしゃいましたコミュニティスクールというような仕組みを活用してまいりたいというようなことが、基本計画案の中ではありまして、また、今回釜利谷高校からもそういった御提案が出たということでございます。

松崎:   釜利谷高校の提案というこの文章、補助資料ということで委員会に対して出されているわけですが、これを1ページずつ見ていきますと、4ページのところですが、期待される効果というのが2点あります。これは教育委員会認定のもととなった学校からの提案ですので、これがいわば基本形なんだなと思っておりますけれども、期待される効果の第1番目が、運動部の部活の加入率となっておりまして、現在は20%を切っているが、5年後には60%に達するというふうになっています。それから、もう一つは、期待される効果その2ということで、運動部活の加入率が上がれば、リーダーとなる生徒の増加、それから規範意識が向上し、行事が盛り上がって学校生活が安定し、中退者が減少し、地域からの信頼度がアップするという一連の流れがフローチャートとして描かれています。そこでお聞きしたいんですけれども、県教育委員会としては、地域運営学校について、こういう効果をもたらすものとして位置づけているんでしょうか、確認したいんですが。

山本高校教育課高校教育企画室長:               今回の地域運営学校の仕組みにつきましては、いわゆる新たな仕組みの学校の一つのシステムとして入れたいと。それは、やはり地域の資源を十分活用して学校運営をいわゆる地域と一体となって展開していきたいと、そういったものを基本的な力の源泉として学校運営につなげていきたいというような趣旨でございます。そういった意味では、私ども、地域運営学校の意味というのは非常にあると思っておりますし、また、地域運営学校そのものは、今後これからいろいろ実践研究していく中で明らかになっていくと思いますけれども、やはり地方分権の視点からも、地域の開かれた学校づくりに資するものであるというふうに認識しております。そういった意味で、非常にいい取り組みというふうに考えております。

松崎:   なかなかわかりにくい説明をいただいているわけですが、もう少し実情を切り込んで、この資料に基づいて言いますと、釜利谷高校は男子バレーボール部が強いというイメージであるが、現実には部員がゼロである。それから、スポーツが盛んな学校というイメージがあるけれども、実際には運動部加入率は20%を下回っている。そうしたところについて、スポーツサポートシステムというものつくり上げたい。それは、まさに地域運営学校というのが土台になるんだという説明なわけです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、運動部加入率が非常に低い、あるいはこうした外からのイメージと実態がかけ離れているという点なんですけれども。たしか文教常任委員会で県内調査に伺った厚木清南高校なんですが、校長先生と午後の放課後の部活についてお話をしておりました際に、部活加入者が非常に減っていると。それはなぜなんですかと直接お聞きしましたところ、部活がいやだからとか、規律が厳しいからとかいう理由ではなくて、家計の問題なんだと。やはり御両親あるいはひとり親の御家庭もあるそうなんですけれども、生活をしていかなければいけない、そして高校を中退しないで卒業したいとみんな思っているから、そのためには放課後働かなければいけない。したがって、部活をやりたくてもやれないという現実がある。また、部活をやれば、教育費用という意味では教育費用ですけれども、予想外の費用が予想外にかかる。遠征などがあっても、やっぱり自己負担の部分がある。試合、練習、その他装具等々を考えるともっとあるといった点があって、部活になかなか参加したくてもできない子が多いということを、率直におしゃって、お認めになっておられたんです。

 こうした点を考えますと、釜利谷高校に、バレーボール部強いと言われているけれども部員がゼロだというところと、地域運営学校にしようというところは、必ずしも結びついていかず、むしろ子供たちが今学ぶ状況の中で、部活までどうやって入っていけるのかといった点をもうちょっと掘り下げた方がいいのではないかと私は思うんですけれども、その点はいかがですか 。

山本高校教育課高校教育企画室長:               今、委員おっしゃった、確かに部活動の面でいわゆる経済的な問題があって、なかなか部活動に率先していけないということももちろん事実だと思います。そういったことももちろんある中で、やはり部活動の持つ意味というのは非常に大きな意味があると思っております。そういったものに興味、関心がある生徒さんが、できるだけそういった学校で過ごす時間を多く持って、高校生活を有意義なものにしていくということは、これはまた必要なことだというふうに思っていまして、そういった中で、部活動を一つの核として学校のいわゆる活性化を図っていくという意味で、部活動を核として展開していくということは、やはり大きな一つの意味があるというふうに私は思っておりますし、現実に部活動を中心としてうまく回転し始めた学校というのもあるように私は思っております。

 そんな意味で、釜利谷高校が学校運営協議会の中でスポーツサポートシステムといいましょうか、そういった部活動を使って、てこの一つとして学校活性化に向けて努力されるということは、非常に認めていってあげたいというふうに思っていますし、また、さっき委員がおっしゃった、部活動に専念できない生徒さんに対して何かできるかというお話があれば、これは相談体制の充実というようなこともまたあわせてしっかりやっていくと、そんな中で授業料減免であるとか、あるいは奨学金であるとか、さまざまな手だてを講じながら、生徒さんを別の意味からサポートしていく必要もあるというふうに思っております 。

松崎:   そうやってトータルで考えていただけるというのは、もっともなことであろうというふうに思っています。

 一つお聞きしたいんですけれども、こういういわば部活に来るのはどういう子で、あるいは部活に来ないのはどういう理由でというようなところを、もう少し分析してみるという、地域運営学校にいきなり踏み出すというほかに、やっぱりその前段でまずとるべき現状の踏まえ方というものがあると思うんですけれども、その点については何かお考えはありませんか 。

山本高校教育課高校教育企画室長:               今回の釜利谷高校のコミュニティスクールというような実践研究に当たりましてもいろんな視点がございまして、その中には生徒の実態を把握した生徒指導と生徒支援の研究というようなものも含まれております。そういった中で、生徒の実態ということをきちんと、その学校運営協議会というものを今後考えていくに当たっても、研究の段階のレベルで、今、委員がおっしゃったような内容をきちんと精査していくということは当然必要というふうに思っておりますし、釜利谷高校もそういったことについては考えていくというふうに言っております。

松崎:   それと、もう一つこれは大事な問題だなと思うのは、地域運営学校というものを、やっぱり神奈川県教育委員会としてどのように位置づけていくのかという問題であります。というのは、これ自体は国会において長い間議論もありましたし、文部科学省もじっくり時間をかけて研究をしてきて、制度として導入をされているわけでありまして、これを、職員提案があったからではやってみようかという位置づけでこれからもいくのか、あるいは、地域運営学校というのは、今までの学校評議委員会と違って、学校の運営そのものをどうするか、あるいは校長先生を公募するのかとか、学校で予算を使えるように変えていこうとか、さまざまな新しい要素が入っているものだと私は思いますので、その点、位置づけ、どういうふうにお考えなのか、もしあればお聞かせください。

山本高校教育課高校教育企画室長:               今回のこのコミュニティスクールそのものの制度というものは、今、委員おっしゃったように、実際には最終的に導入することになれば、教育委員会が学校を指定して、それから委員会規則できちんと定めていくというような制度でございますので、やはり非常に慎重にこれは実践研究していく必要があるというふうに思っています。ですので、画期的な制度であればあるほど、慎重にしっかりと我々も実践研究の中でできるだけの協力をしていく中で、研究成果を十分に検討し、またその上でいろいろな面で、取り入れていきます。

松崎:   地域運営学校については、きょうここにいる大井委員と私と、それから平本議員、もとむら議員、4人で、過去、イギリスへ参りまして、実際に3カ所学校をめぐって、そのモデルとなりました学校理事会制度を持っているイギリスの公立学校を1校ずつ訪ねて、半日以上かけてそれぞれインタビューをさせていただいて、報告書も出させていただいているところであります。やっぱりそこをどう運営するか、一番肝心な部分は学校理事会、ここで言いますと学校運営協議会のメンバー、人選であります。かねてからこの点については議論のあったところであります。まさに地域の代表とはいったいだれなのかという問題であります。この点についてどういうふうにしていくのか、これも、今、基本、骨格を十分検討していくんだとおっしゃっていたわけですから、御検討されているんですけれども、どういうお考えなのか、現時点での検討内容をお聞かせください。

山本高校教育課高校教育企画室長:               委員の選定でございますけれども、学校運営協議会制度におきましては、地域の代表、これはもう入れるということになりますし、それから保護者の代表もその制度の中には入れるということになります。そのほかにどういった方々を選ぶかということになりますが、これについては、例えば学校がどういう学校運営をしていきたいかというような内容を十分聞いた上で、単に地域におさまらず、やはり県立高校にあっては、そういった学校の活性化のてことしてこういったものを使っていくということであれば、そういった目的に見合った幅広い層からそれなりの識見を持った方を委員として、学校と相談しながら任命していくということになるということが基本だろうと、そういうふうに思っております。

松崎: 時間もありませんからこれで最後といたします。要望といたしますが、やはり神奈川県で恐らくこれ初めてだと思うんですね。初めての地域運営学校だと思うわけです。それだけに、これがどのような経過をたどってスタートをし、そしてどういう形で運営されていくのかということは、今後の恐らく神奈川県の教育改革の私は大きな先行例になると思います。うまくいったか、いかなかったかということではなくて、これはきちんとやっていかないといけない、旗を上げた以上はやっていかなければいけないと思います。その際に、この協議会のメンバーになる、まさに学校運営をしていく予算、人事、場合によっては恐らく校長を選んだりもすると思うんですけれども、そうした大事な方々をどういう形で選ぶのか、そしてどういう運営をするのか、透明性をどうやって確保するのかといった点について、よく御検討いただきたい。それからもう一つは、子供たちを取り巻く経済格差というこの状況が、学力の格差や体力の格差にまで至っているという全国的な状況が本県にも及んできています。そうした背景を踏まえながら、やっぱりスポーツ、部活の振興等についても検討をいただきたいということを要望して、私の質問を終わります。