平成20年8月20日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<原油・原材料高騰対策について>

松崎       ●  これまで、4次にわたる様々な対策を打ち出していることについては、一定の評価をしているところであるが、我が党の要望の中で、「県民生活の安定対策として、トータルパッケージとして周知する」ということ要望したところであるが、この点についてどのような取組を行ったのか伺いたい。

答弁要旨               ○ 原油・原材料等高騰対策については、これまでも県のホームページにより、広く県民の方々に周知を図っているところだが、さらに多くの方々にこれらの対策を知っていただき活用していただきたいという趣旨から、経営相談や下請取引相談、融資制度等、現在取り組んでいる対策をわかりやすく紹介したリーフレットを作成した。このリーフレットは地域県政総合センターや労働センターなどの県の機関のほか、財団法人神奈川産業振興センターや県内金融機関、さらには商工会議所連合会、商工会連合会など幅広い団体を通じて県民や中小企業の方々のお手元に直接届くような形で、現在周知を行っているところである。

松崎       ● 次に、要望の中で、「応急生活対策資金の

取組について、「県の周知が不十分と判断される。」と述べたが、実際の利用実績を見ましても、例年ゼロが続いている。申すまでもなく、雇用をめぐる状況は極めて厳しいものとなっており、今回の緊急対策として、どのように周知をしたのか伺いたい 。

答弁要旨               ○ 「応急生活対策資金」に特化した今回の対策として、全戸配付されています「県のたより」の7月号、私どもが発行している「労働かながわ」7・8月号、それから神奈川新聞の「県民の窓」の欄に7月15日に掲載をしたところである。

また、常時リニューアルしている私どものホームページに中央労働金庫のフリーダイヤルを改めて掲載した。

また、この制度に特化した新たなチラシを2,500部ほど作成し、失業中あるいは賃金遅欠配等の状況にある労働者の方が相談に見えるハローワーク、労働基準監督署、労働センターの窓口へ配付して、相談体制の協力を依頼したところである。

松崎       ●フリーダイヤルへの集中的な相談体制をとったとのことであるが、どれくらいの相談件数があったのか。また、融資に至った件数はどのくらいあったのか。

答弁要旨               ○ 県のたより等を御覧いただき、6、7月までの状況としては、フリーダイヤルに21件、労政福祉課に14件、合計して35件の申込み、問い合わせの電話があった。

  その中で融資実行に向けた相談をしているものが数件あるが、まだ、7月末段階で、融資に至った実績は出ていない 。

松崎       ● この資金の問題を取り上げた際に提案したことは、取扱金融機関である中央労働金庫だけで周知をするのではなく、他の金融機関においても、「取扱い」ではないにしても、周知を図っていく協力体制が図れないものか、ということだったが、検討されたのか。

答弁要旨               ○ 6月定例会で、地銀等への取次ぎ等ができないのか、という御提案をいただいたので、横浜市内の24の都銀と地銀で結成される社団法人横浜銀行協会の専務理事及び事務局長、それから県内の全ての信用金庫様が加盟されている信用金庫協会の事務局長にお会いして、「県は、現在こういう取組しており、ぜひ制度の周知と窓口での案内をしていただけないか」とお願いにあがった。

 両協会からの回答は、特に横浜銀行協会からは、行政の取組に対する協力には肯定的なお話をいただいた。

しかし、いずれの協会からも、「この制度自体、ローンという性格で言えば消費者ローン的なものであり、地銀、都銀あるいは信用金庫の窓口にはそのようなお客様はあまりお見えにならないので、周知をしても効果が上がりにくい。」という話をいただた。

それから、もう一点、「今後、都銀、地銀あるいは信用金庫で小口の消費者ローンの取扱いについて、どのような検討をされているか」という点についてもお伺いしたところ、「一部の銀行ではそういったことも視野にいれているが、全体としては、今後の取組みについてかなり慎重である。」というお話も伺った。

したがって、この制度を窓口において紹介していただくというのは効果が薄い、というお話をいただいたので、私どもも、中央労働金庫に対し、「もう少しこの制度の周知徹底を図っていただきたい。」と要請し、直近の支店長会議で周知を図っていただくお願いをしてきたところである。

 やはり、この状況におかれている方々の一番最初の相談窓口は、ハローワークや労働基準監督署、労働センターになるので、制度の周知と相談の対応について8月6日に、再度要請を行ったところである 。

松崎       ●このことは、中央労働金庫がこの制度の取扱金融機関になった、というきっかけとも重なってくるお話かと思う。

それゆえ、なお一層、中央労働金庫あるいは県で、資金の周知、それから実際に困っている方に利用される様々な手立てを実行していただきたいと思う 。

松崎       ●  次に、要望の2点目の「原油・原材料等の高騰が中小企業及び農林水産業等に与えている影響の調査」である。商工労働部では中小企業への調査を実施したことは承知しているが、その調査の中で、中小企業から具体的にどのような声が上がっているのか、改めて伺いたい。

答弁要旨               ○ 原油・原材料等の高騰が中小企業に与える影響については、4月から5月にかけて2,000社を対象にアンケート調査を実施した。

 中小企業の方の声という意味で、自由意見欄に記載された意見を紹介すると、

 ・価格転嫁はかなり困難である。どのようにしたらよいか、対処の方法がない。

 ・材料の値上がり分を発注価格に反映してもらいたい。

 ・価格転嫁すると売上げが落ち、そのままだと利益が落ちて困っている。

 ・業務の効率化等すでに終了しており、できることは価格転嫁のみ。

 ・価格転嫁できないので困窮している。

  など、価格転嫁に関する厳しい現状についてのご意見があった。

 この価格転嫁については、調査項目の1つとしても尋ねており、価格転嫁が「困難である」と「やや困難である」を合わせますと61.3%となっており、6割を超える中小企業が価格転嫁が難しいと答えている。

 また、「収益への影響」についても、9割近くの企業で収益が圧迫されていると答えているなど、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しいという結果であった。

松崎       ● 金融支援について、我会派としては、6月定例会においても金融支援について、具体的詳細に取り上げさせていただいた。

今、お答えのあった中小企業の生の声にもあったが、支援という点では、金融支援が必要だと思う。この要望に沿って中小企業に対してどのような支援を考えているか伺いたい 。

答弁要旨               ○ 昨年の12月の対応、また、今年の8月からの新しいメニューを始めている。

 それから、現在の対策も9月30日という期限もあるので、それを延長するというようなことも考えなければいけないし、単にそれだけでなく、新たな対応として、短期資金といった具体のお話もさせていただいたが、短期資金に対するニーズがあるのではないかと考えており、それへの対応も検討していきたい。

 また、それ以外にも6月の定例会でも提案をいただいたので、そういう内容を含め、どのようなことができるのかということを金融機関等からの声や要望などを踏まえて、幅広く、できることからやっていきたいと考えている 。

松崎       ● 今の答弁では、我会派として提案させていただいた点、また、現実に中小企業、事業主の方々が困っている点に沿って、機敏に対応していくということだと思う。

 今後も、まだまだ、製造業やサービス業の企業活動にとっても、農林水産業の営農活動にとっても、さらには県民生活にとっても、厳しい状況が続くことが十分想定される。県としても、対策を講じていく必要があると思うが、今後、原油・原材料等高騰対策本部の事務局としてどのように取り組んでいこうと考えているのか伺いたい。

答弁要旨               ○ 原油価格については、7月3日に145ドル29セントという最高値を付けて以降、現在は今年の5月くらいの価格になっているが、昨年に比べれば、まだまだ高値の状況で推移している。また、小麦などの原材料価格の上昇に伴い、さまざまな製品、食品価格も値上がりしているところである。

県としては、原油・原材料等の価格の動向や国の動向にも注視しながら、更なる対策も含め、時機を失することなく対策を講ずるため、対策本部の事務局という立場からも、関係部局との連携をさらに密にしていきたいと考えている 。

松崎       (要望)

● 時機を失することなく対策を講じていくとのことだが、新たな対策を講じることも十分念頭に置き、県民生活、企業活動、また、第1次産業などはじめとする様々な現場の影響に対して、機敏に対処していって欲しいということを要望する。