平成20年8月20日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<障害者雇用関係>

松崎       ●  障害者の雇用については、なかなか厳しい状況にあり、国や県において様々な取組を進めているところであると認識している。その中で、障害者の就業支援における「ジョブコーチ」という役割を果たす人たちがおり、その働きに注目している。

 そこで、ジョブコーチに関して何点か伺いたい 。

 ジョブコーチには、いくつかタイプがあるようだが、どのような人を指すのか。

答弁要旨               ○ ジョブコーチは、障害者が円滑に職場に適応することができるように、障害者が働く事業所に出向き、あるいは職場内においてさまざまな支援を行うものである。

 具体的には、3つのタイプのジョブコーチがあるが、1つ目は独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の地方機関である地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ、専門的な用語になるが、配置型ジョブコーチと言う。

  それから、2つ目は、社会福祉法人等に所属するジョブコーチで、「第1号職場適応援助者」と言う。3つ目のタイプは、事業主が自ら雇用する障害者のために配置するジョブコーチで「第2号職場適応援助者」と言うものである。

  配置型ジョブコーチは、地域障害者職業センターに配置されているが、第1号、第2号ジョブコーチの資格を取得するためには、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が実施する職場適応援助者養成研修か厚生労働省が指定する機関が実施する養成セミナー等の修了が必要とされている。

  これ以外でも、職場適応援助者ではなくても、職場定着支援を行うケースでジョブコーチと言ったりするが、厳密な意味でジョブコーチ、職場適応援助者といった場合は、この3つのタイプを指すものである。

松崎       ● 県内には、現在どのくらいの人数のジョブコーチがいるのか。

答弁要旨               ○ まず、地域障害者職業センターは神奈川の場合、相模原市にある、こちらに配置されているジョブコーチは7名である。

 また、社会福祉法人等に所属しているジョブコーチは、12法人で17名である。

 さらに、事業主が自ら雇用する障害者のために配置するジョブコーチは、6社に7名となっている。

松崎       ●現在、県内にジョブコーチが必要な職場がどのくらいあるかはつかんでいるのか。

答弁要旨               ○ お尋ねのあったジョブコーチが必要な職場ですが、現実的には定着支援の役割を担っていただいている方々はもっといると考えている。私どもが補助をしている職場指導員などもそうであると思われる。

 また、まとまった数の障害者を雇用する場合は、そういった役割を担う方を設けることになっているので、就労支援機関のジョブコーチのほかに、企業内には障害者の方の上司の方々が指導を担っている場合もあるので、ジョブコーチがどこまで必要なのかということはなかなか難しい問題であると考えている。

 確かに、先ほど申し上げた数字はかなり小さいと思うので、もっともっと1号、2号ジョブコーチ、あるいは障害者職業センターにおけるジョブコーチがもっと多く配置されてもよいものと考える。今後、障害者の雇用が進んだ場合は、そのようなニーズもますます高まってくると思うが、企業で現実的なところで担っていただいていることもあるので、なかなかそのニーズを把握することは難しいと思うので、足りなくてどうにもならないということではなくて、現実的な対応の中で、各職場の中で担っていただいているということが現状であろうと思っている。

松崎       ● 県の施策の中で、ジョブコーチはどのような位置づけとしてとらえているのか。

答弁要旨               ○ 1号、2号ジョブコーチにつきましては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」におけるスキームの中で、平成17年10月から障害者雇用納付金に基づく助成制度が設けられているので、そういう意味ではもっともっとこの制度を活用していただくために、周知を図っていきたいと思う。

 「障害者の雇用の促進等に関する法律」におけるスキームの中で、労働局は指導監督権限をもっているとか、法定雇用率において事業者に一定の雇用を働きかけるなど、施策が行われており、県としては、法律全体のスキームの中で、地元の公共団体として、障害者雇用を促進していく役割がある。

 従って、こういった法律に基づいて、設けられているジョブコーチ制度についても、実際、独立行政法人で行っているし、研修も行っているので、それをもっと受けていただくなり、助成制度を活用していただく中で、ジョブコーチを増やしていただくように促進をしていく役割もわれわれは担っていくものと思うが、基本的な部分では、そういう状況なり、それに基づく助成制度が設けられているということなので、ご指摘のとおり、まだまだ少ないということであれば、私ども連携をしながら、制度の活用などについてできることもあろうかと考えている。

松崎       ●平成18年に設置した「神奈川県障害者雇用推進連絡会」では、ジョブコーチの活用はどのようにしていこうとしているのか。

答弁要旨               ○ 障害者雇用全体のスキームについては、18年から全国的にもユニークな取組だと思うが、「神奈川県障害者雇用推進連絡会」ということで取り組んでいるが、その位置づけの中でも、職場定着支援については、連携を取りながら進めていきたいと思っている。

 この連絡会だけではなく、県の施策として取り組んでいるもの、例えば障害者しごとサポート事業などの中でも、他の機関とのネットワークの中で、取り組んでいきたいと考えている。

松崎       ● 障害者雇用については、目標を定めて取り組んでいただいているが、2010年度に1.92%という高い目標を掲げているが、目標の達成にどのような見通しをもっているのか。

答弁要旨               ○ (障害者雇用率には)事業所所在地別集計、本社所在地別集計の2つあるが、分母、分子の数字もあるが、常用労働者数が最近かなり増えてきている。そうすると、分母が拡大すると、分子の数字も障害者雇用が進まないと上回るということが難しいことになる。景気の動向などもあるが、分母の常用労働者数が伸びているので、たとえば同じであれば500人とか600人を年々増加すればいいのだが、これが伸びると800人とか1,000人とかの形で増やさないとなかなか達成しないということになるので、全体的な雇用情勢というものも大きく左右されるが、今後、順調に(分母の)常用雇用労働者が伸びていった場合は、かなり高いハードルとなるので、県だけではなく、県内企業にご理解いただくなど、使用者団体や労働団体などいろいろな形で取り組んで、ようやく達成できる値だと思っている。

 目標を設定した以上は、それに向かって取り組んでいきたいと思うし、容易な目標設定ではないが、それを担うということが地方公共団体の役割であると思っているので、そういう意味では精一杯取り組んでいきたいと考えている 。

松崎     ● ジョブコーチによる支援は重要と考えるが、今後、障害者の職場定着支援に対して、県はどのように取り組んでいくのか。

答弁要旨               ○ 県としてできることの中では、本年度から全県域で活動していただいている「障害者しごとサポーター」の役割の中に、就職に結びつけていただくだけではなく、その後フォローしていくことも行っている。

  ジョブコーチはまさに職場に就職した後に、数ヶ月職場に対するフォローを行い、その後はだんだんとその頻度を緩めていって、職場定着が図れるような役割を担っていただいているが、障害者しごとサポーターも関係機関との連携の下であるが、就職した後のフォローについても役割を担っていただいている 。

 このように私どもが力を入れている取組もあるし、先ほど申し上げた3つのタイプのジョブコーチの方々にももう少し連携を取るような形、あるいは活用を促すことなども取り組んでまいりたいと思う。

 私どもは、実はずっと企業訪問をしており、定着の頻度なども企業の状況をお聞きしているが、実際に離職される時には場合にはかなり短いことが多い。1週間や10日で離職されることがかなり多いと伺っている。その中で、マッチングの時点でミスマッチがある、自分の仕事がイメージしていたものとぜんぜん違うことなどもあり、単に定着というだけではなくて、職場をよく理解して就職していただくことも定着に関しては大切なことだと思う。そのような中では、就職までの流れの中で、ハローワークとも良く連携しながら支援してまいりたいと考えている。その中で、ジョブコーチとの連携も図りながら進めてまいりたいと考えている。

松崎       (要望)● 障害者の就業支援については、引き続き重点的に取り組んでいただきたいと考える。特に、障害のある方の職場定着を含めたさまざまな支援の中で、ジョブコーチの果たす役割は大変重要であると考える。現状、31名ということであるが、ジョブコーチ的役割を担う人材は現在多数おられるわけだが、そういった方々との連携をしつつ、一方では、こういったジョブコーチについてその位置づけが明確になるような形で、ジョブコーチの政策的な重みをはっきりさせて、取組の強化をお願いしたい。