2009年2月定例会での本会議代表質問

議長のお許しをいただきましたので、私は、民主党・かながわクラブ県議団を代表して、通告にしたがい、提言を交えながら、順次質問させていただきます。

今定例会における代表質問も私で最後でございます。すでに、多くの様々な課題が取り上げられ議論されました。

急激な景気の悪化により、社会の活力が低下し、県民生活が危機に直面している中で、いかに県民に安心を提供していくのか。

また、いかに未来の社会に活力を与えていくのか。

知事は、「神奈川力の結集」をもって、この難局を乗り越えようとされています。

私も、また、神奈川力の一員であるとの自負を持って、質問に臨みたいと思います。

知事並びに教育長におかれましては、前向きな、元気が出るようなご答弁をよろしくお願いします。

先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。

<質疑と答弁のまとめ>

新型インフルエンザ対策について

●松崎  質問の第1は「福祉・医療への取組みについて」です。

(1)はじめに、新型インフルエンザ対策のための医療体制について伺います。

 国が策定した「新型インフルエンザ対策行動計画」では、全人口の25%が新型インフルエンザに罹患(りかん)すると想定し、医療機関を受診する患者数は最大で2,500万人、さらに、新型インフルエンザが、過去に流行したスペイン/インフルエンザと同等の病原性となった場合には、最大で64万人もの死亡者数になると推計しています。そして、従業員本人や、その家族の罹患(りかん)等により、最大で40%程度の人が欠勤すると想定されており、事業の休止、物流の停滞などから、経済活動が大幅に縮小する可能性があり、また、社会活動の縮小や生活関連物資の不足など、あらゆる場面で影響が出ることが懸念されています。

 本県では昨年12月に「新型インフルエンザ対策行動計画」を改訂し、事前の取組みなどの充実強化を図ることとしておりますが、計画に示された対策の具体化に当たっては、解決すべき課題は多いと考えます。

 例えば、新型インフルエンザの発生時に、発熱などの症状が出た場合の県民の行動を考えてみてください。

一般的には、かかりつけの医者を受診するか、薬局に薬を買いに行くのではないでしょうか。もし、その人が新型インフルエンザに感染していた場合、医療従事者や他の患者に感染させてしまう可能性があります。また、新型インフルエンザの発症や重症化を予防するための事前のワクチン接種についても、その優先順位や接種体制が、未だに国において検討中であると聞いています。こうした状況の下では、入院患者を受け入れる医療機関や搬送体制などを確保していくことも大きな課題です。これらの課題については、県だけでなく、各医療機関や市町村とも協力し、神奈川県全体の力を結集させて取り組んでいかなければなりません。

●そこで、知事に伺います。

県は、改訂行動計画を踏まえた、新型インフルエンザに対応するための医療体制の整備について、どのように取り組んで行くのか、知事のご所見をお伺いします。。

○答弁    松崎議員のご質問に順次、お答えをいたします。

はじめに、福祉・医療への取組みについてであります。まず、新型インフルエンザの改訂行動計画を踏まえた、医療体制の整備についてのお尋ねがありました。

昨年12月に改訂いたしました「神奈川県新型インフルエンザ対策行動計画」では、県内で約118万人の方が医療機関を受診し、約2万9千人の患者が入院するものと試算しております。

こうした状況に対応するため、保健福祉事務所や保健所に、事前に電話相談を受ける「発熱相談センター」を設置するとともに、新型インフルエンザとそれ以外の患者を振り分け、診療・治療を行う「発熱外来」を設置し、効果的・効率的な医療を実施することとしております。

 また、入院病床や搬送体制などの確保につきましては、これまでも県及び各保健所設置市が、管内の医療機関や医師会等の関係団体、市町村消防本部などと協議を進め、現在までに、発熱外来は48箇所、入院病床は61箇所の医療機関から受入が可能との回答をいただいております。

こうした取組みの中で、医療機関側からは、医療従事者に健康被害が生じた場合の補償や、感染による人員不足、新型インフルエンザ患者の受入に伴う他の患者の移転先の確保などの課題があげられており、さらに、患者数の試算に対応した入院病床等の確保に向けても、取組みを強化していく必要があります。     県といたしましては、今後も、感染防止のための個人防護具の備蓄を行うとともに、医療従事者に対する補償制度の創設を国へ要望してまいります。

また、輪番制による診療など、地域の医師会の協力による人員確保や、病院間の連携による入院患者の受入先の確保を進めるなど、医療機関、関係団体と連携・協力して、新型インフルエンザの医療体制の整備にしっかりと取り組んでまいります。

●松崎    (2)次に、市町村の計画策定への支援について伺います。

本県のように人口密度が高く、鉄道や道路網が整備されている地域では、県内や近隣都県で新型インフルエンザ患者が発生した場合、感染予防対策を含めた適切な対応をいちはやくとらなければ、県内全域に瞬時に感染拡大することが想定されます。

昨年12月に改訂された県の行動計画では、国内で感染が確認された時点で、段階的に、県民に対し不要不急の外出自粛や不特定多数が集まる大規模集会の開催自粛を勧告することとしていますが、新型インフルエンザ対策を着実に進めていくためには、まず、市町村が新型インフルエンザ対策の計画を策定し、しっかりとした体制を構築しながら、県とともに住民へ適切に対処することが大前提です。

しかし、昨年12月に発表された、厚生労働省の全国の市町村を対象とした調査では、新型インフルエンザの発生に備え、行動計画の策定や対応訓練を実施しているのはそれぞれ6%にとどまり、市町村では対策が進んでいない実態が判明しています。

既に、県では保健所設置市と連携して新型インフルエンザ対策を推し進めていることは承知していますが、更に保健所設置市以外の市町村と新型インフルエンザ対策の計画策定などの取組みについて、一刻も早く共同で推進し、神奈川県全体で対策を進めていく必要があります。

●そこで、知事に伺います。

県は、保健所設置市以外の市町村に対して、計画の策定など新型インフルエンザ対策を推進していくため、どのような対応を実施しようとしているのか、知事のご所見をお伺いします。

○答弁  

 次に、保健所設置市以外の市町村に対して、新型インフルエンザ対策を推進してもらうための対応についてのお尋ねがございました。

 新型インフルエンザが発生した際に、住民の健康被害や社会活動の低下を防ぐため、日頃の情報提供や、高齢者など社会的弱者に配慮したきめ細かな対応が必要であり、住民に最も身近な市町村の役割が大変重要であります。

 県はこれまでも、市町村担当者会議を開催し、新型インフルエンザに関する情報提供や住民からの生活相談の対応など、市町村が中心となって行う対応について連携を図ってまいりました。

 こうした取組みの一環として、昨年、新型インフルエンザの県内発生を想定した広域的な訓練を県内で初めて足柄上地域で実施し、市、町の対応を検証したほか、先進的な計画策定事例を紹介することにより、市町村の取組みや計画策定が進むよう働きかけを行ってきたところであります。

 その結果、現在までの県内市町村の計画策定状況は、既に9市が計画を策定し、10市町村が策定を予定していますが、残る14市町は計画策定が未定となっております。

 そこで、市町村の取組みを一層支援するため、昨年12月に改訂した県の「新型インフルエンザ対策行動計画」では、新たに行動計画の策定や対応マニュアルの作成に取り組む市町村に対し、地域の実情に応じた、詳細かつ具体的な情報提供を行うことを計画に位置づけたところであります。

 今後、県では市町村と連携した訓練が新型インフルエンザ対策に有効であることから、平塚市を中心とした湘南地域で訓練を実施し、医療対応や社会的対応の課題を明確にするとともに、関係機関とのネットワークの場づくりを通じて、計画策定など市町村の新型インフルエンザ対策を支援してまいります。

 また、社会的弱者に対する生活支援など市町村が行う取組みに対し、県としても個別の相談や情報提供を行うなど、きめ細かな対応を実施してまいります。

●松崎   (要望)

 新型インフルエンザ、今回代表質問で各会派でとりあげられて来ましたけれども私どもの会派といたしましても、このインフルエンザは大変重要な問題であるとの思いから、取り上げさせていただいた点があります。特に行動計画ですけれども、先ほど知事からお話がありましたように策定がまだだというところが市町村、県内14あるというお話でしたけれども、そのうち9は策定時期が未定、そしてまた残りの5つについては、策定予定がないということであります。予定がない理由を調べさせていただいたところ、どのように策定したらよいかがわからないということでありまして、実は行動計画が何か、という中身をよく見ていきますと、非常にまだ県の支援、最初に知事がきめ細かく、とおっしゃったまさにそこが重要なんだと思っています。タミフルの備蓄ということが言われて、県議会でも議決をしましたけれど、耐性タミフルということが言われるようになり、今度はリレンザだというわけであります。お金はどんどんかかります。けれど備蓄の問題以上に、行動計画そのものがないと、いざ発生した時にどうやって対処していくのかが根本が定まらない、そしてまた職員の方の登庁体制というものも県庁についての議論があったように、市町村や保健所等々への登庁体制というものも非常に不安な点があるわけでございます。阪神大震災の大規模災害の時の、保健所の職員が登庁した率というのは40%をきっていたということでございます。私も芦屋市に伺ったことがあり、そういった話がありましたけれど、そうしますと、この新型インフルエンザに罹患した方が出たということが出てきますと、今度は家族の方々の介護等も介護されている方もあるでしょう。そうしますと登庁率低くなるのではないかという心配が市町村にもあるわけでありまして、そこの点からも、やはり行動計画を定めていただけなければいけない、それに求めたい具体的な支援という内容も、今後定める予定のあるところも含めましてこの新型インフルエンザ対策に関する市町村の役割、これが18の自治体がございます。それから同じく対策行動計画の策定方法、これについて支援を求めたいというのが、15の自治体がございます。その他にも配付先をどうしたらいいんだろうか、とか或いは具体的な役割、連携はどうなっているんだろうかとか、策定にあたってのツールはないんだろうか、とか雛形とかガイドラインはどうだろうか、発熱外来はどうか等、様々な実は求めたい具体的な内容がすでに各市町村にあるようでございます。県とご当局でも把握されているようでありますので、ぜひともここのところの取り組みは早急に急いでいただかないと、あと3年かけて薬の備蓄を十分にしていくんだとか、薬の期限が3年から5年に伸びたと、同じ薬なのになぜ5年に伸びたんだろうとわからないんですけれど、そういったこともありますので、ぜひともここのところは、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。