2009年2月定例会での本会議代表質問

<質疑と答弁のまとめ>

神奈川版グリーン・ニュー・ディール政策への取組みについて

●松崎  

(1)はじめに、中小企業への技術支援について伺います。

県内製造業のうち、事業所数の大部分を占める中小企業は、東南アジアや中国の追い上げ等により国際的な競争が激しくなる中、低コスト、信頼性、高品質が求められている上に、相次いで大企業の生産調整を受け、大変厳しい状況に置かれています。

だからこそ、今こそ、新たな技術革新の契機と捉え、多くの中小企業が新たな研究や商品開発に取り組むべきだとは思いますが、そのためには、産業分野ごとに技術ニーズを的確に捉え、低コスト、信頼性、高品質を実現する、ものづくりの高度化を着実に技術面から県が支援していくことが重要であり、県の果たす役割が大変大きいと考えます。

一方、アメリカのオバマ大統領が緊急経済対策として、環境・新エネルギーへの重点投資を景気と雇用の柱と位置付けた、いわゆる「グリーン・ニュー・ディール」を掲げているように、自然エネルギーなど環境分野への投資を拡大し、こうした分野での技術革新を図るとともに、中小企業による省エネ商品、環境技術の研究開発を進めることも重要です。

本県では、既に、地球温暖化問題に対するクールネッサンス宣言のリーディングプロジェクトにおいて、2014年までに県内3,000台のEVの普及をめざす「電気自動車(EV)普及推進プロジェクト」や「太陽光発電普及拡大プロジェクト」、インベスト神奈川第2ステージの「新エネルギー・EV関連産業集積プロジェクト」などの先進的な施策に取り組んでいることを承知しています。

しかし、今日の神奈川県経済の緊急事態においては、地球温暖化対策に留まらず、産業政策までをしっかりと見通した、「神奈川版グリーン・ニュー・ディール政策」が必要と考えます。

このような政策の実現に向けて、技術支援が重要なキーワードであり、例えば、新エネルギー・電気自動車関連技術は、今は、市場が成長していく双葉の段階ですが、将来、幹となり、森となって県経済を牽引していく産業の一つとなるよう、ものづくりにおける神奈川力を結集しながら、新たな研究開発等を支える技術支援を行っていく必要があると思います。

●そこで、知事に伺います。

ものづくりの高度化に対する着実な技術支援とともに、電気自動車を始めとする環境技術など、将来を見据え、研究開発等を支える技術支援を進めるべきと考えますが、県として、これまでどのように取り組んできたのか、そして今後どのように取り組もうとしているのか、知事のご所見をお伺いします。

○答弁    次に、神奈川版グリーン・ニュー・ディール政策に関連した取組について、お尋ねがございました。

まず、はじめに、中小企業への技術支援についてであります。

 世界的な不況の中、環境・エネルギー分野に集中的な投資を行うことにより、景気回復や雇用創出を図ろうとする、いわゆる「グリーン・ニュー・ディール政策」が世界の潮流となっております。

本県においては、既に昨年4月に「EVイニシアティブかながわ」を発表し、全国最先端の取組を始めており、こうした取組はまさに、「グリーン・ニュー・ディール政策」と方向性を同じくするものであります。

 さらに、今年はいよいよEVが本格的に市販化されることになりますので、来年度予算案においては、電気自動車の普及に向けた助成制度等の創設や、これに加え、家庭用太陽光発電設備の設置補助を打ち出すなど、取組のさらなる加速化を図ってまいります。

 議員ご指摘の環境技術への支援につきましては、地球温暖化対策推進条例案の中でも、新エネルギー等環境配慮技術の研究開発や、利用促進を位置づけておりますし、今後は、将来を見据えた研究開発を支える技術支援に、一層、力点を置くことが重要と認識しております。

 そこで県では、平成18年度に「EV用リチウムイオン電池研究会」を立ち上げるとともに、産業技術センターでは、中小企業の技術開発パートナーとして、企業の新製品開発やコスト低減など、ものづくり高度化への支援に努めております。

 さらに本年度からは、電気自動車の本格的普及につながるよう、次世代の「リチウムイオン電池」や、電気自動車等の電力を効率良く制御する「パワーエレクトロニクス」の技術開発に取り組み、中小企業の事業化につなげてまいります。

 今後、産業技術センターでは、ものづくり支援に係る活動計画を策定し、さらなる支援の充実・強化を図るとともに、中小企業支援機関の連携を強化し、環境技術を始めとする新たな研究開発等を支援してまいります。

 こうした、中小企業に対する技術支援の取組を進めるなど、環境保全と産業振興の両立を図るなかで、新たな雇用を創出する「神奈川版グリーン・ニュー・ディール政策」のさらなる充実に努めてまいります。

●松崎   (要望)

 最後に、「神奈川版グリーン・ニュー・ディール政策」でありますが、「「神奈川版グリーン・ニュー・ディール政策」をきちんと展開していきます」というご答弁をいただきましたので、我が会派といたしましても、予算委員会含めまして、常任委員会含めまして、質疑等を通じながらさらにお伺いし、そして、実りある政策展開をお願いしたいと思います。