平成21年3月4日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<民間教育機関等委託訓練について>

松崎       ● 雇用情勢の厳しさが、当面続くことが予想される中、非正社員の解雇・雇い止めのみならず、最近では、大手企業による正社員の大幅な削減発表が相次ぎ、失業者は今後も増え続けるものと考えるところである。

 再就職を目指すにあたり、これまでと違った新たな職種に就きたい、手に技能を身につけて転職したいと考えている方にとって、職業訓練は雇用のセーフティネットとして重要である。県では、職業技術校を活用した訓練を充実するのと同時に、民間教育機関等を活用した委託訓練についても拡充を行うということである。

 そこで、委託訓練の取組について、数点お伺いしたい。

 委託訓練の実施にあたり、どのような訓練コースを設定し、その委託先の選定方法はどうしているのか。

答弁要旨               ○ 委託訓練につきましては、離転職者等を対象にしたコースのほか、対象を絞ったコースとして、35歳以下の若年者対象コース、45歳以上64歳以下の中高年者対象コースを設定しております。

 具体的には、離転職者を対象としたコースとしては、OAビジネス科、医療事務、介護事務や介護福祉サービス科などの知識等の習得を目指すもので、訓練期間は3ヶ月でございます。

 また、若年者を対象としたコースは、OA実務などの内容について3ヶ月の座学の後に1ヶ月の企業実習を行うデュアルシステムコースとなっております。

 さらに、中高年者を対象としたコースとしては、中高年者の就職が期待できるマンション管理やOA基礎、経理、税務などで、訓練期間は2ヶ月又は3ヶ月となっております。

 委託先の選定方法でございますが、県内の専修学校・各種学校、大学等の教育訓練機関やNPO法人等を対象に、提案をしていただくプロポーザル方式により受託機関の選定を行っております。

松崎       ● プロポーザル方式について、もう少し詳しく伺いたい。

答弁要旨               ○ 委託訓練実施機関の要件として、「受託希望機関は、提案書を提出しようとする訓練科に類似した認定学科、もしくは人材育成に関する研修・講座を実施しており、当該学科等について修了実績及び就職率を上げ、安定した事業運営が可能であるもの」としています。

 したがいまして、民間に様々なカリキュラムを提案していただき、委託訓練を実施することで、民間の活力やノウハウを活用して、離職者等の就業ニーズや、企業の求人ニーズに応える多様な訓練コースを設定できるなどのメリットがあると考えております。

松崎       ● たくさん、様々なプロポーザルが、必ず出てくることが見込める根拠は何か。

答弁要旨               ○ 県内にはかなりの数の専修学校がございますので、その中の分野で多様な学科が用意されています。

 民間の経営感覚の中で、市場ニーズにあった提案をいただき、分野としましては、医療福祉系や商業実務といった、私ども施設内訓練にない、幅広い分野の提案を期待しています。

松崎       ● 民間教育機関では、それぞれ、歴史があり、横浜駅西口界隈にも様々な、いろいろな学校がある。その中に、親しい先生がいるが、そのマインドは、県立高校と比較できないくらい強烈な熱意を持っている。景気がきびしい時にプロポーザルで専修学校へ提案してもらうことは、良いことであるが、日頃から、商工労働部として、民との連携を進めていくべきだと考えるが、今まではどうだったのか。

答弁要旨               ○ 委託訓練は、これまでも取り組んでおりまして、そういった中で、その時々、提案をいただいています。

 職業能力開発全般では、専修学校とは常日頃、話合いの機会を持って、意見交換をさせていただき、そういったものを踏まえて職業能力開発計画などを策定しています。この様に、いろいろな場面で話合いの場を持っています。

松崎       ● 21年度は委託訓練を拡充するとのことだが、拡充する内容は何か。

答弁要旨               ○ 先ず、離転職者を対象としたコースは、20年度が13コース・定員390名でしたが、21年度は35コース、定員1,050名と、かなり、2.7倍というかたちになります。

 この他にも、先程申し上げました若年者や中高年者、緊急事業での介護人材緊急委託訓練を加えますと、昨年度の31コース・定員769名から、21年度は51コース・定員1,396名に拡充します。

松崎       ● 介護人材緊急委託訓練は、ホームヘルパー2級の養成ということだが、職業技術校における介護人材養成訓練や従来から実施している委託訓練のヘルパー養成科などがあり、非常に多くの介護人材の養成を行おうとしているが、求人はどれ位あるのか。

答弁要旨               ○ 全国のデータで申し上げますと、介護関連職種の常用雇用の有効求人倍率では、平成16年度の1.14倍から平成19年度は2.10倍となっています。また、厚生労働省の「介護職員の需要見通し」では、介護職員数は平成16年は100万人でしたが、平成26年には140万人から160万人に増えることが試算されております。

 本県においても、平成20年12月の介護関係職種の本県における有効求人倍率は3.43倍となっていることや、職業技術校から聞いている求人状況等からも、就職に結びつく求人ニーズはあると考えております。

松崎       ● 養成していこうとする方々のニーズ、人手不足に対して、働き手のマッチングという意味では、充分な人数といえるのか。

答弁要旨               ○ これは、物事の両面があると思いますが、介護人材養成を担う分野は、専修学校や福祉関連の人材養成もあります。職業訓練の観点の中の一つとして、就職先が期待できるものを設定していますが、私どもの職業訓練だけで、介護人材養成を全部担うことは、なかなか、まいりませんので、できる限りの財源と施設などの資源の中で取り組んでいきたいと思います。

松崎       ● 訓練を受けるプロセスの中で、こういったものがあったとか、触れ合う中で、気がつくことが多々あると考えられる。訓練の人数も大切であるが、より必要なのは内容であり、学びの場である。雇用対策ということではあるが、ひとりひとりの方々に対して、こうした学びの場の提供に取り組んでいただきたい。