平成21年7月7日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<中小企業対策について>

菅原委員               ● 今、企業がなかなか厳しい、お金がないですよ、という方のセーフティネットに当たるものというのは、企業融資が受けられなければないということでよろしいか。

金融課長               ○ 融資の関係で申し上げますと、最大限   セーフティネットを張って、今回の厳しい状況であれば、セーフティネットの融資の中で、現下の厳しい時期を耐えしのんでいただく、そういったギリギリの線でのセーフティネット融資であると思っています。

ただ、セーフティネットでも救えない方、例えば、かなり経営が厳しくて、融資でありますから当然返済をしていただく、とてもそういう状態にないということでありますと、融資というよりは別の道、経営方向を検討していただくということではないかと考えてございます。

それは例えばいろいろな方策もあると思います。M&Aであるとか、そういったところの検討もあるのかと考えてございます。

松崎       ● 今、菅原委員の方から中小企業の関係、それを含めた中小企業に対する県としての取組について、お伺いしている訳ですけれども、その中でよく8,000万円の融資ということで、昨年度から行われてきたわけですが、また、4月に8,000万円にプラスして2億円、最大2億8,000万円まで無担保でこの中小企業向けの緊急保証をするということは中小企業庁から発表されている訳でございます。そこで、企業家の方々からは、様々なご意見をお聞きしている中で、よくお尋ねはいただくのですが、結局、自分たちの企業は当てはまらないということを言われている。

お聞きしたいのですが、緊急保証の無担保保険の限度額を8,000万円から最大2億8,000万円まで拡大をした。そして、これは当然、県に下りてきていると思うのですが、保証協会が中小企業に融資を100%保証するというものでありますが、この制度の趣旨はどういったものでしょうか。

金融課長               ○ 緊急保証につきましては、従来、無担保保証ということで、信用保険制度の無担保保険の上限8,000万円これを上限として扱ってございました。この8,000万円を超える2億円でございますが、全体の保証枠の総額が2億8,000万円でございますので、残りの2億円につきましては、国の普通保険というところを利用しまして、有担保で保険がかけられるかたちになってございます。

 しかしながら、委員がおっしゃったとおり、昨今の厳しい経済状況の中で、無担保保険の枠を広げてほしいという要望が多々ございます。

そういう中で、国の信用保険制度の中で、8,000万円を超える保証につきましては、一律の担保徴求、必ず担保をとらなければならないということではなく、中小企業の個々の経済特性や実情を踏まえまして、比較的信用力が高くて実質的な保全が可能あれば、そういう風に保証協会が判断した場合は、8,000万円を超えましても普通保険で担保をとらないで無担保保証も対応可能という風な取り扱いを弾力的に可能にしているところでございます。

松崎       ● 今、金融課長のご説明だけを伺うと、極めて朗報でありまして、今この県下の厳しい状況の中で、苦しい思いをしている中小企業の中にも頑張ろうと意欲のある企業ならば、借りられるのかと思うのですが、実際のところ実績はどうなのですか。

金融課長               ○ 県の保証協会ベースで申し上げますと、平成21年度の4月に、この弾力化をさせていただいており、4月・5月の実績で申し上げますと、この2か月間では件数で9件、金額で2億2,000万円となっております。平均1件あたり2,200万円が有担保でなく無担保で行われております。

松崎       ● 件数で9件、金額で2,000万円というのは、課長のように金融のプロの目から見て、多いですか、少ないですか。

金融課長               ○ この件数が多いかどうかは、なかなか判断がつかないのですが、対象となる企業が従前であれば、有担保で信用を確保できる企業でございましたから、今回の9企業につきましても安定的な取引がある、あるいは、返済に必要な売上が中長期的にみて、安定的に見通しがある企業ということでございますので、このようなセーフティネットの中ではまれなのかなという気がしております。

松崎       ● 中小企業庁が発表していて、日経新聞などの資料を集めてみると、資金繰りの支援、あるいは、緊急保証ということで、バックグラウンドとして国が用意しているお金が30兆円でしたか、莫大な額の枠をとっている訳ですね、その主眼とされている制度趣旨と実際運用されている場面とが、相当な齟齬があるとまでは言いませんけど、食い違っているというように感じる訳です。

 つまり、県下の厳しい状況に直面している企業に対して、あえて、融資態度を勘案するんだというアナウンスのわりには、実際に9件、2,000万円ということで、ほとんど実際の場面に対して、手立てとしてあまり有効でないのではないかと思うのですが、如何ですか。

金融課長               ○ 先程の答弁で、9件、2億2,000万円で、1件あたり2,000万円でございます。それで、今回、国のほうで30兆円に枠を拡大したことにつきましては、8,000万円の無担保枠の中で、最大限セーフティネットを借りられる方を、幅広く拾っていくというかたちで、枠を拡大してございます。

  それに対しまして、先程の無担保枠の拡大

 につきましては、全体の取扱の中でさらに  セーフティネットの幅を広げるという意味での取扱でございます。セーフティネットを30兆円にしたことにつきましては、真に苦しんでいる方、一番苦しんでいる方に対しては、その枠の中でより保証を受けやすくするというかたちをとってございます。

  さらに、信用保証を受けやすいかたちでは、国の方で保証協会の財務基盤というところもしっかりしていく必要があるということで、例えば、今回の補正では700億円、全国ベースですけれども、そういうところに充実してございますので、今回、緊急保証で一番苦しんでいる小規模零細企業が対象とする支援ということでは保証を受けやすくする枠の拡大であるとか、あるいは、保証協会が審査の円滑化ができるような、財政的な支援ということも実施してございます。

  それに対しまして、今回の弾力的な取扱については、あらゆるいろいろな企業がある中で、比較的優良企業は、有担保の枠の中でも無担保で取り扱いができるといった幅を広げたということでございます。

松崎       ● 幅を広げた取扱はわかるのですが、実際のところ、それが県内企業にとって役に立っているのか、中長期的に見通しの経っている企業は、ここで恩恵を受けられる。だけど、そうでないところについては、対象として扱われていない、あるいは、実際の運用がなされていない、これは運用の問題なのか。

金融課長               ○ この取扱については、国の運用で、要するに信用保険制度の中で、その取扱を決めております。保証を付けるにあたりまして、信用保険制度で信用保証協会が保険をかけている訳でございまして、保険をかけるにあたりまして、当然、保険の条件がございます。そういう意味では無担保のところは8,000万円、それを超える部分については、担保をとったもので保険を受けてくださいという制度になってございます。今日、有担保枠でも、一部担保がなくても受け付けますということで、これは金融の円滑化の中では保険の枠をさらに広げるという意味では、多少レベルの高い経営の安定している企業向けということでございますが、そこの部分を広げている訳でございます。

  もちろん、厳しい方に対しましては、30兆円の枠の中で対応するというところでございます。

松崎       ● 対応しているといわれても、実情ですね、先程言われたような条件をクリアできる企業が融資に結びつく訳ですね。それからすれば、今の具体的な中小企業に対しての金融支援体制というのは、今のままでいって、本当に苦しいところを何とかしのいでいって、もう一度回復を目指そうという企業がきちんと手当てがなされている状況にあるのかを再度お伺いしたい。

 無担保枠が2.8億円になったんだというアナウンスと実際には窓口に行ってみたところ、おたくはとてもじゃないけど受け付けられません、といわれたとも聞いている。もう少し、国と中小企業あるいは間に立っている市町村ですね、ここはきめ細かく対応していく必要があるのではないかと思うが、併せてどうか。

金融課長               ○ 緊急保証につきまして、8,000万円の無担保でお救いできるところは、利率その他、融資期間、据置期間というところを対応してございます。そういう中で明らかに、例えば、21年の4月からの実績につきましては、4月が68億円、5月が85億円、この6月につきましても131億円というかたちで、6月1日から融資期間を最長で8年から10年に延長した効果がでているのではないか、既存の8,000万円の中で効果が出ていると考えてございます。

 また、我々も現場の中小企業者の状況は常に把握して、昨年10月の緊急経済対策本部を立ち上げる前ですが、ヒアリング調査をしておりますし、今年に入りましても、2月には金融機関の貸出態度に関する調査をしてございます。そういう意味では、現場の声を一定の時期に把握し、より良い制度融資に改善して、利用しやすいかたちにして取り組んでまいりたいと考えております。

松崎       ● 今おっしゃった調査ですけれども、その概要をお聞かせいただけますか。

金融課長               ○ 昨年の10月24日に、緊急経済対策本部が立ち上がる前に中小企業の需要等を調査しようとしたもので、その時点では対象が、「産業集積促進融資」の認定を受けた中小企業80社、従業員が20名以下の小規模の設備貸付、あるいは、設備貸与の資金を利用している小規模零細企業86社、合計166社に、また、制度融資の取扱金融機関40社に対しまして、事業資金調達状況、あるいは、金融機関の貸出態度をヒアリングしています。

 結果としましては、小規模零細企業の方が資金調達状況について、やや不十分、不満だというのが全体の24%、また、金融機関の融資姿勢につきましては、中小・小規模零細企業全体で12%が、その当時では消極的だというようなことでございました。

 また、金融機関で貸出全体に占める中小企業向けの事業資金の割合が縮小気味であるという答えでした。その結果に対しまして、資金繰りに対するセーフティネットの備えを今後充実していく必要があると判断しました。そういう意味では10月24日の対策本部以降10月31日には不況対象業種を一気に、185業種から545業種に引上げました。

併せて、売上減少を5%減少から3%減少へも取扱もしましたし、利益減少でも同様に対象とする対応をしております。

松崎       ● 関連ですから、際限なく広げて質問するというのは控えたいと思いますが、ただ、不況業種を逐次増やしていくことが、このままでよいのか、別途、検討してもらいたい。1年前から不況だといって、今頃何なのかという業種も多々ございます。

 中小企業に対しての融資を中心とする支援の部分は、今どういう状況にあって、どういうニーズがあるのかということを地域の皆様からご要望を直接受ける立場に県はある訳ですから、実際にこういったアナウンスがあっても、借りたいと思っても現実は窓口を閉じている、まさに壁にドアの絵が書いてあるだけではないのか。直面している訳ですから、どのようにニーズが動いているのか、現下の状況はむしろ借りに行くよりは、何とか自分のところで搾り出せないけれども搾り出そう、融資を受けるよりも自分ところで何とかしよう、そういったことから融資が減少しているという状況を踏まえていただきたい。

 今の状況がそういったものであり、景気回復の足音だというけれども、現状違うよというデータを把握して、ニーズを受け取っていくという意味で、どういったかたちでこれから対応をされていくのか。

金融課長               ○ この21年度はいろいろと改正した中で、第1四半期を進めてまいりました。この結果をトータルで検証しつつ、またこの7月8月くらいに我々も現場の中小企業の皆様に現状をもう一度調査、把握したうえで、また今回の緊急保証の対応をどのように改善していくか、そういう声を反映したかたちで、下半期へ向けて検討、対応してまいりたいと考えております。

松崎       ● 現場、また中小企業の声を調査されるということでございますので、議会へも報告があると思うのですけれども、もっと厳しくなっているという声もございますので、金融支援を中心とする中小企業の様々なニーズに耳を傾けていただいて、同時に国に対しても、今求めていくということでありましたので、このような緊急保証を含めた内容について改善すべき点があれば、どんどん改善して欲しいと要望していただくようにお願いしまして、私の関連の質疑を終わります。