平成21年9月30日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<国際観光について>

菅原委員               ● 続いて、観光対策についてなんですけれども観光振興条例、観光振興計画策定、観光振興条例の目的を端的にお伺いしたい。

観光室長               ○ 観光振興条例の目的についてですが、一つには観光立県の実現を目指す考え方、方向性を県全体で認識を合わせるということが、一番大きな目的です。

 具体的には、観光振興というのはいろいろな各種主体が携わる、それぞれの役割を果たしていくことが必要だと思いますので、自主的な取り組みを誘導する必要があります。また、県の役割としてプランナー推進役としてのリーダーシップを強化する、そういうものを明確に示すということが必要であります。

 また、さらには観光振興施策を条例に基づく施策として位置づけ中長期的の視点から取り組んでいくという必要がありますということで目的としております。

菅原委員               ● 端的にわからなかったんですけれども、私ちょっと読んで、端的に言えば、これ、計画、方向性を明らかにすることと経済的な目的ということでよろしいでしょうか。

観光室長               ○ 端的という関係から申しますと、今、おっしゃいました本県の経済の発展のためと県民生活の向上を目的としております。

菅原委員               ● ありがとうございます。目的がはっきりしたわけですけれども、その中で経済の発展の県民生活の向上を目的とするために観光政策に対して力を入れていく、そのために条例を作ると、そしてその条例を作ることによって計画を策定する。そしてその計画素案をいただいているわけですけれども、この計画を作るにあたって、これ市町村の意見を聞いて、作ったんですか。

観光室長               ○ 市町村の意見は、観光戦略本部の地域別連絡会を通じて確認しております。

菅原委員               ● どこまで深い話し合いだったのでしょう。

観光室長               ○ この地域別連絡会の以前に、昨年度「観光かながわグランドデザイン」を作成しました。そのグランドデザインを作成する段階から、各地域のヒアリングといいますか意見聴取を行っております。内容的には、各地域での現状と課題、それと今後の方向性について議論してきたところです。

菅原委員               ● ありがとうございます。私この計画を拝見させていただいて、率直感じたことを申し上げますと、網羅的ですね。総合的と言った方がいいんでしょうか。その一方で、感じたことは、具体的という言葉をすごく使われているんですが、その割には具体性はあまり感じられなくてですね、抽象的な印象を持ったわけです。

県が、特に何に力を入れてやっていきたいのか、網羅的、全てだと言われればそれまでの話なんですけれども、ここに書かれていること全てを県がやっていくことは、まずできないわけですね。役割のどこを分担していくこか、そういった具体的な部分をこの計画からは読み取ることができなかったんですね。

 3つの柱があったと思うんですけれども、この3つの柱の中で、特にどれを重視されているのでしょうか。

観光室長               ○ グランドデザインで描きました3つの将来像というのがございました。政策体系、資料で言いますと23ページに掲載してございます。この中で、大きな柱として5本、それにぶら下がる形での施策を掲載してございます。その中でも、重点プロジェクトというのを3つ考えておりまして、3つの重点プロジェクトに取り組んでいくということで考えております。

 その内容が、オンリーワンの観光地づくり、

観光で元気はつらつプロジェクト、外国人観光客200万人来訪プロジェクトというこの3つのテーマに取り組んでいくということで考えております。

松崎       ● 関連で、今3つの柱、3つの重点プロジェクトという話がありましたが、この3つ目が心配なものですから、関連でお聞きしたいと思います。

 当然、外国人観光客を誘致する時に、例えば私が住んでいる横浜市なんですが、横浜、川崎両市が、具体的に外国人の方に今より来ていただきたい、滞在しやすいという形でどう取り組んでいくかということを考えていかならければいけませんね。それから、3つ重点プロジェクトを考えていきたいんだ、じゃあ、横浜市さん、川崎市さん、それぞれどういう調整を持って行ったらよいでしょうか。あるいは、どういうお考えで、それぞれ両市政令市ですから、国との関係も含めて、施策を展開されていようとしているのかということをかなり掘り下げて、場合によったら、お互い考えがぶつかり合うということがあってもいいと考えていますが、その辺はどうなんでしょう。ぎりぎりとした詰めみたいな、お互い泊まり込むぐらいのもので、素案が出てきたのでしょうか。

観光室長               ○ 議論の経過と言いますか、中身については、今ご指摘があったほどの深刻なディベートをしたものではございません。通常の会議ベースでやっておりますが、今ご提示しておりますのは、あくまで素案の段階で、施策の大柱・中柱をご提示しているという状況でございます。今後、この内容に基づきまして観光審議会での審議をいただくなり、また地域との、先ほど申し上げました連絡会議を通じまして、より意見交換を行い、考え方を詰めていきたいと考えております。

松崎       ● 別に、アッと驚くようなものを素案の段階からどんどん出してこなければ施策に合わない、絵に描いた餅だと言うつもりはないんですが、心配なのは、ここに書かれている、記述されていることが、これまでほぼ言い尽くされていることが多くてですね、その深刻な討議を経て、新たにねりあげたものというよりは、どちらかというとパッチワーク的なものとしか受け止めにくいわけですね。つまり、横浜市民で、観光についていろんな議論の場があって、国際コンベンションはてんこ盛りでいつもあって、鎌倉もありますが、市民の感覚からすると、この議論だけだったら、これから先、パースフェクティブしてという感じを受けないものですから、その条例を制定する意義を聞いた以上は、計画でどのように打ち出されていくのか、方針があり魅力的な施策があると思うから、そこでお聞きしているわけです。12定までの間に出すとおっしゃるならば、意見として申し上げたいと思います。同時に、一つおききしますけど、外国の方々を呼び込んでいきたい、報告いただいているところでは、10年後には200万人の方が、神奈川を訪れるという風にあるんですけれども、その10年後に200万人突破という、これは常任委員会報告21ページにあります外国人200万人来訪プロジェクトというのがあるんですけど、これどういうスケジュールで進めていこうとしているのか、何故200万人なのか、その辺少し説明していただけないでしょうか。

商工労働総務課長               ○ まず、目標数値の200万人でございますが、今、国の方では、2010年までに外国人観光旅行者を1,000万人にする目標がございます。

昨年来の景気後退によって、数は相当厳しい状況で推移していますが、国の当面の目標として1,000万人があります。もう一つは、神奈川の外国人の来訪者率、これが過去数年 

、昨年は16%、それ以前も15~16%で推移している状況であります。国の目標1,000万人に対して、神奈川への来訪率を20%に引き上げようということから200万人というのを算出したところでございます。

200万人に向けた取組みにつきましては、今お話ございましたように、3つの重点プロジェクトの一つとして位置づけております。

県と致しましては、これまで東アジア、つまり韓国、台湾、中国、香港をターゲットとした国際観光展への出展とか、旅行者、メディアの招聘など、そういう取組みをしてきましたので、これについては、引き続きやっていきたいと思っております。

もう一つとして、外国人観光客の促進ということで、国の方では、青少年交流を積極的に推進しております。特に、訪日教育旅行、いわゆる海外からの修学旅行ですが、これに力をいれているところです。そういうこともありますので、本県としましても、今後、訪日教育旅行の受け入れを推進して、将来のリピーターの育成に努めていきたいと思っています。

さらには、来年度、羽田の国際化が行われますので、他の自治体と連携しました観光案内所の充実を図っていきたい、そういう取組みを進めていきたいと思っています。

松崎       ● 聞きますけども、200万人のうちリピーターはどれくらい見込んでいるんですか。

観光室長               ○ 神奈川県を訪れる海外からの観光客のリピーター率がございます。香港からは79%、台湾70%、韓国50%、アメリカ30%、中国は13%と、これは実績の数字ですので、200万人が達成されたときも、とりあえずは同じような数字で考えています。

松崎       ● リピート率をそれぐらいに設定して、取組みを進めるということは、当然のことながらリピートすればする程、求めるものも多様化するし、より深まりを求めると思います。同じような旅行をする人もいるでしょうけど、そうしますと、韓国語、或いは中国語、その他アジア一般に、なるべく多くの人が使う言語に対応する案内所はもちろんなのですが、外国語のガイドの方、また、宿泊施設においても、ピュアジャパンを味わいに来られる方が来る訳ですから、当然のことながら、箱根の旅館や富士屋ホテルなどにいらっしゃると思うのですが、そうした方々が中国、韓国など外国語を一定程度習得される必要がでてくるなど、様々やらなくてはいけないし、当然、インフラ的には道路の案内板、サインですね、そうしたものについても必要ですよね。まあ、リスのマークがついていれば、リスに強いというのは分かりますけど、方向、行き先等もございますよね。それから、様々、県庁そのものの対応も当然変わってくるだろう、その辺どういうふうに、10年後、国が1,000万だから、うちは16%でなく20%をめざして200万人という目標の置き方の是非はともかく、そういうふうに置いた以上、どういうふうに、10年はあっという間ですよ。900万人の県民の県に200万人の外国人がきている状況ですからすさまじい状況なのですね、そこのところをどういうふうに対応して行くべきなのかということは、これは観光の枠を超えていると思うんですね。社会的な対応という意味でも、どういうふうに考えますか。

観光室長               ○ 外国人観光客200万人を受け入れる目標をたてていますけども、課題としては、ご指摘のあった事を含めてクリアしなければいけない課題というのは、多々あると思います。例えば案内所の問題、通訳の問題、標識の問題、多言語ということですね、さらには、ホスピタリティといいますか、受け入れ体制の問題があります。県としては、宿泊業者等、団体の協力を得て外国人旅行者受け入れに関する事業者ニーズの把握だとか、観光客の実態の把握、これらの調査を行った中で、具体の対応策を考えていきたいと思っています。受け入れ先にも、宿泊に関する100箇所のヒアリングだとか、アンケートを今年6月に実施致しました。その中でも、宿泊事業者としては、今後、外国人旅行者を増やすことの重要性については、70%くらいの施設は必要であるという認識を持っているという結果がでております。それから外国人旅行客、実際にみえている外国人旅行客に対する実態調査も8月に行いました。これはまだ最終的な集計がでておりませんが、その中でも、外国人が滞在中不満を感じた点ということでいきますと、案内標識、ガイドというのが一番大きな項目となっていますので、そういった実態もある程度明らかになってきますので、そういうことを中心に取り組んでまいりたいと思っています。以上です。

松崎       ● 湯河原の奥の方なんですけども、石葉という旅館がありまして、そこなんかはディスカバリーチャンネルの有名なアンソニーボーディンというイタリア人の有名なシェフの方が、日本の代表的旅館ということで訪ねてきています。そういうところでは、ピュアジャパンを味わって、浴衣を着て全て日本語でというのが、逆に日本の売りだということもあるんですが、一般的に考えるとそうではないですよね。そういったことを考えますと、この中に、欠けてはいないのですが、ものすごく薄い、軽い扱いになっているのですが、NPOとかですね、広汎な市民の方々の参画、シティガイドもそうですけど、現実に一番働いていただく方がこういった方々で、大変なパワーだと思うんですね。そういった方々の参画をもう少し高い位置づけで捉えていただかないと、市町村と事業者と大学あと県みたいな事だと、すっぽり抜けてしまうので、そこの位置づけをもう少し検討し直していただけないでしょうか。

観光室長               ○ 特に外国人に向けたホスピタリティ向上といった観点から申し上げますと、今お話がありましたボランティアのガイドさんとかの組織がございます。神奈川SGGクラブそれから小田原箱根SGGクラブとかいう組織がございまして、こちらの方々は、ボランティアで外国人の案内をしていただくということでございます。やはり、こういった方々と連携するなり必要な支援をしながら外国人の受け入れを進めていきたいと考えています。

松崎       ● 質問は、位置づけを検討し直してもらいたいということですが。

観光室長               ○ 施策体系上で申しますと、5つの柱の中の2つ目に「神奈川の魅力を伝える広報宣伝の充実」という項目がございますし、また、4つ目の柱としまして、観光旅行者を迎える体制の整備というような中で、ホスピタリティの向上だとか、ユニバーサルツーリズム促進のための環境整備というような項目をあげていますので、これは外国人の観光旅行者にもあてはまる内容だと考えています。

藤井副部長           ○ 今観光室長が申し上げましたとおり、いくつかの点で、盛り込ませていただいているのですが、より明確にするということで考えさせていただきたいと思います。

松崎       ● 別に室長を責めているわけではないんですが、要は実際問題、実施面で考えたらNPOだとか市民の方々の参画を仰がないかぎり、こんなの進むわけない。そこのところを県としてきちんと位置づけているよということを正面から認めていかないと進まなくなりますよということを申し上げているだけですから、副部長のお答えいただいたので、質問委員にお返しします。

藤井副部長           ○ 先ほど、松崎委員からの雇用の関係に質問で、私労働相談の件数を平成19年度以前は、約1万5千件、20年度は1万9千件代と申し上げましたが、これは労働相談の項目数でありました。労働相談の件数でありますが、平成19年度につきましては、1万809件、20年につきましては、1万2,952件ということになりますので、お詫びして訂正いたします。