平成21年11月9日 神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ

○ ムダ全廃の観点からの県の取り組み、全国規模の公益法人に支払っている県の会費や負担金の見直しについて

松崎        では、次に視点を変えまして、事業の無駄の排除、それから不要不急の事業の見直しという視点で何点か伺ってまいります。

鳩山政権におきましては、国民的な観点から、国の予算、制度、その他、国の行政全般のあり方を刷新するとともに、国、地方公共団体、そして民間の役割のあり方の見直しを行うことを閣議決定をして、行政刷新会議を設置いたしまして、国の事業全般にわたって、公開の事業仕分けを行うこととしております。

この事業仕分けなんですけれども、もともと民間シンクタンクが中心となりまして、2002年2月に岐阜県からスタートいたしまして、これまでに40団体以上が実施をしております。うち、府県は11団体、県内市町村におきましても、横浜市を初め7市町で実施をしております。第三者が県の事業を公開の場で仕分けをするという取組みは、大変重要であると考えておりますが、本県は実施をしておりません。県は事業仕分けの実施について、これまで検討したことがあるのでしょうか。また、あるならば、何故、実施をしないこととしたのか、お聞かせください。

行政システム改革推進課長                本県において事業仕分けを導入していないことについてのお尋ねがございました。今、委員がおっしゃいましたように、確かに、構想日本が行っております事業仕分けそのものは、本県は実施しておりません。ただ、事業仕分けの定義である、例えば、外部の目で仕分けるとか、公開の場で議論する、あるいは事業の必要性や実施主体について、そもそも論から、根っこから考えていく、あるいは、事業の名称ではなくて、具体的な事業内容で判断していく、こういったことは非常に重要であると、我々は考えております。本県におきましては、平成18年度から、例えば、公募委員やNPOを加えました外部点検チームによる評価を導入するなど、ただいま申し上げました、事業仕分け的な手法、これも参考にしながら、事業のあり方を見直し、その結果を活かして事業の見直し等につなげる事務事業評価を実施しているところであります。

松崎        今、事務事業評価を実施してというお話しがありました。そのこと自体は承知をしておるわけです。20年度、県が事務事業評価を行った結果が、ホームページに掲載されておりますけれども、20年度の結果は、54事業中、廃止が2事業、国、市町村、民間との役割を検討するものが2事業、そして事業内容の見直しが20事業、継続が30事業、ということでございます。調べてみたんですが、藤沢市は民間シンクタンクによって実施した事業仕分けの結果として、26事業中、不要が5事業、民間に委ねるのも3事業、そして改善の必要があるというものが16事業、そのまま継続というものが、わずか2事業でございました。

もちろん、単純に比較はできないということは承知しているんですけれど、結果に大きな差があるということは明らかなんですね。それから、外務省のODAの関連事業、こちらを見ますと37事業中、不要が12事業、改善の必要があるものが21事業、継続はわずか2事業、ということになっております。その他、寒川町等々を見ましても、大体、同様の傾向にあって、非常に厳しく見直しているわけであります。

県の事業評価そのものが、だから甘すぎるというのは言い過ぎかもしれないんだけど、私にはそう思えるわけです。危機的な財政状況にあるわけで、抜本的に施策・事業を見直すという方針もあるわけですから、今一度、事業評価のあり方を見直して、施策事業の必要性を厳しく精査をし、県民の皆さんにオープンにしていくという必要があると思うのですが、見解をお聞かせください。

行政システム改革推進課長                委員がおっしゃるように、また他の者も答弁しましたように、大変危機的な県の財政状況でございますので、この事務事業評価制度を18年度から20年度までの3年間でしっかりと行ってきたということは確かにあるわけですけれども、さらに踏み込んでやるべきだということは、全くごもっともだと思っております。

これまでの取組みを通じまして、例えば、対象事業や評価を行う時間が限定されている、あるいは外部点検チームに参加できる県民の数が限られると、こういった課題も明らかになってきているところですので、例えば、今年度から自主評価の結果を一定の基準に照らして、いくつかの事業を絞って、県民の方々の目に触れるように、県のホームページに公開をして、県民からより広い意見をいただけるような仕組みを取り入れるなど、改善に向けて取り組んでいるところです。

今後、より効果的な事務事業評価の実施に向けて、制度の運用及び改善を図ってまいりたいと考えております。

松崎        その点については、また後ほど伺うことにさせていただきます。

次に、具体的な事業について伺っていきたいと思うわけですが、先ほど述べた新政権の動向でありますが、税金の無駄遣いを無くすということで、天下りのあっせんというものを廃止する、また、特別会計、独立行政法人、そして公益法人の仕事を徹底的に見直すということにしております。これらの公益法人に対しまして、毎年度の会費支出などという形で、本県をはじめ地方自治体からも資金が流れております。従いまして、こうした法人の見直しについて、地方自治体も少なくない経費を負担している立場として、積極的に関わるべきと考えます。今日の審査にあたりまして、予め県が会費などを負担している団体について資料の提出を求めまして、団体のホームページも調べてまいりました。一言感想を言いますと、実に分かりにくいものとなっております。分かりにくさ自体が情報開示という点で問題だと思いますが、まず全国レベルの公益法人に対する県の会費について、全庁的な見直しを行っているのか確認させてください。

行政システム改革推進課長                国が所管しております公益法人への県費支出につきましては、例えば税に関するものでありますように、全国一律のシステム運用などの業務委託の対価であります委託費でありますとか、あるいは県と関わりのある業務への補助金など、性格、金額ともに様々あると認識しております。例えば補助金につきましては、県の施策を推進する上での必要性を、そのひとつひとつについて判断をし、支出しておりまして、それ自体は適切に支出し、妥当なものと考えてございます。ただ、20年度につきましては、そういうふうに認識しておりますが、厳しい財政状況を踏まえて、団体への補助など財政的支出につきましても、改めて見直しを行っていくべきものだというふうに考えております。

松崎        今のお答えで、そういうお考えなんだというお示しをいただいたというふうに受けとめますけれど、既に20年度の前の年度から、全国知事会はこうした会費等について高すぎるんだということをそれぞれの団体に対して強く要望を出して削減をしているという例も見られるわけですから、本県としてはその認識と一にしているということだったと思うのですが、その点どうなのですか。

財政課長                お答えいたします。まさに、私どもとしても全国的な規模の団体に対しての負担金とか会費、これは必要なものかどうか毎年精査をして、必要でないものについては当然節減なり抑制を図っていくべきだ、その見直しをしていくべきだということを基本として、ずっと方針を立ててやっております。これは、各部局に対しても、様々なところで要請をしておりますけれども、今回特に、これは21年度になりますけれども、20年度かなり全国団体について問題が出てまいりましたものですから、今年の4月に、緊急財政対策プロジェクトチーム、この会議の中で、もう一度全ての全国団体に対して経費の見直しを要請してもらいたいと、そのような形での要請を全庁に対してやらせていただいておりまして、結果として来年度に向けてはかなり改善を図るという、そういう方向も見えておりますので、引き続きこういう取組みは進めてまいりたいと考えております。

松崎        そういう方向が財政課では見えているのでしょうけど、県民にも見えるようにしていただきたいと、これはお願いをしておきます。

具体的に伺いますけれど、まず県民部関係です。

 具体的に伺いたい。まず県民部関係だが、財団法人地域創造について、この財団の目的は、地方公共団体と緊密に連携し、地域の創造的文化的環境づくりと、地方公共団体が行うこれらの活動を支援するとされている。

具体的な事業としては地方団体職員の人材育成、また芸術文化事業への財政的支援など、様々な事業を実施するとあるが、本県の文化芸術に対する人材育成、また財政支援について、この団体、20年度はどういう実績があがっているのか。

文化課長                地域創造の神奈川県に対する人材育成、県への財政的な支援についてだが、委員のおっしゃるとおり様々な情報提供を実際に行うことにより、私どもその情報などによる文化に関する調査研究の結果を早く入手できる。それから地域別担当者会議や研修会などに出かけていって全国の自治体・芸術文化財団とのネットワークに触れるということでメリットを受けている。

この中で、本県への直接的な収入に限るとすると、歴史博物館事業に対する助成を一件受けている。

松崎        具体的に、県立歴史博物館に対する助成はいくらなのか。

文化課長                特別展覧会「五姓田のすべて、近代絵画への架け橋」という展覧会に対して、1,918千円の援助を得ている。

松崎        20年度のこの財団の収支決算書では、収入として、基本財産運用収入が340,000千円、民間からの助成金が1,342,000千円、そして負担金収入が630,000千円となっている。この負担金収入のうち、11,000千円が神奈川県からの負担分となっている。

 しかも基本財産についても設立以来、宝くじから拠出したもので、宝くじ収入を財源として芸術文化活動を支援するならば、直接、都道府県や市町村で活用することもできる。現にサマージャンボ宝くじ、オータムジャンボ宝くじは全額、市町村の振興に使われていると承知している。

地域の創造的文化的環境づくりを行うために全国的な団体を組織しなければできない必然的な理由があるのかどうか、はなはだ疑問であるが、この点についてどういう見解を持っているか。

文化課長                この活動の原資は、全国の都道府県及び政令指定都市が、芸術文化くじの売上げを財源として、分担金を拠出しているが、これに民間助成金収入や基本財産運用収入を加えた総額の中から、各地の文化事業を助成しているので、そういう意味では有効な仕組みという認識を持っている。

この中で県内では、県以外にも、神奈川芸術文化財団や各市の芸術文化財団などの事業を助成しており、本県文化の大きな支援団体となっていると言えるととらえている。

松崎        先程、報告のあった金額に比して負担金が11,000千円ということを受け止めて聞いているが、いずれにしても県財政、今、危機的な状況にあり、あらゆる施策・事業の見直し、また給与のカット、職員数の削減を徹底している状況にある。

したがって必要のない団体には、会費を払う必要はないと思うし、仮に必要だとしても県が財政支出をしている以上、当然、徹底した効率化を迫ることが必要かと思う。

県として負担の軽減や地方への財政支援の拡大を求めていくべきと考えるが、具体的に行動していくのか聞きたい。

文化課長                財団法人地域創造の分担金については、全国知事会からの要請で平成18年度と比較して、平成19年度以降の全国の負担金の総額は、700,000千円から630,000千円へと、10%削減しており、本県ではその際、12,264千円から11,170千円に減額している。

今後、本県としても、地域創造に対して、経費削減努力の中で、分担金の総額削減と、更なる有効活用を進めていくように働きかけていきたいと考えている。

松崎        財団の寄付行為を読むと、役員として理事と監事を置くことが定められているが、ホームページによれば、今年9月1日現在、理事と監事は合計14名、うち常勤は2名であり、いずれも国家公務員のOBとなっている。20年度の収支計算書によれば、役員報酬と賞与の決算額が40,000千円となっていて、かなりの高額と思うが、役員報酬と賞与を個々の役員、といっても2名だが、いくら支給しているのかご存じか。

文化課長                承知していない。

松崎        先程のチェックを厳しくという中に含まれるかと思うが、具体的に行動してもらいたい。

 もうひとつ環境農政部関係、財団法人日本農林漁業振興会について伺います。この財団の目的なんですが、農林水産祭の実施等により、農林水産業に対する認識を深め、農林水産業者の技術経営への振興、生産性の向上と所得の拡大を通じて国民経済の発展に寄与するというかなり壮大なものと思っております。その事業はすぐれた技術経営村作りの審査の業績発表、普及啓発表彰などがあげられているところであります。本県も20年度に84万円を農林水産祭の負担金として支出をしております。その団体の20年度の収支計算書では事業活動収入1億円のうち補助金が3800万円、分担金が3300万円、寄付金が2000万円、などとなっております。繰越金が2900万円もございます。役員の中で唯一の常勤である常務理事さんは、農林水産省のOBでございます。しかし、収支計算書を見ましても、役員報酬の額は判明をいたしません。これ自体、不十分な情報開示だと思います。そして事業内容を見て少し驚いたんですが、事業内容が農林水産省官房長が会長を勤める実行委員会が中心となり、年に一度開催する農林水産祭に向けまして表彰の審査を行い、祭りを運営するのがほとんどでございます。あと、伊勢神宮で豊饒祈願祭、というものを行っているわけでございます。本県が支払った負担金は、これはいったいどこに使われているんでしょうか。これは豊饒祈願祭ということであれば伊勢神宮ですので参拝したと明記されてますから、ここにあたるとはまずないと思うんですけどその点、もしわかれば教えてください。

樋口課長:            お答えいたします。ただいま委員からご質問がございました農林水産祭参加負担金ということでございますけれど、この負担金は、農林水産祭というイベント開催事業に係る事業の負担金でございまして、具体的には天皇杯など三賞の選定を行う顕彰普及事業や、実りのフェスティバル等の啓発事業を実施するための経費として支出しております。県といたしましては、農林水産省と財団法人日本農林漁業振興会が共催する農林水産祭の経費として負担金を支出しており、財団法人日本農林漁業振興会が独自に実施しております豊饒祈願祭の経費には都道府県からの負担金は使用されておりません。以上でございます。

松崎        この団体の活動は本県に対してどういう効果があるんでしょうか。

樋口課長:            お答えいたします。全国の農林水産物が出展され、消費者の注目が集まるイベントにおいて、県内農林水産物を紹介できる貴重な機会でございまして、県内の農林水産物の普及PR、ひいては、本県農林水産業の振興に役立っていると考えております。また、他県のすぐれた産品や取組の紹介もございますので、他県の動向を把握し、本県の取組に活かすことができるというメリットもございます。以上でございます。

松崎        すでに聖域を設けずに見直しをかけていくんだという方針は、松沢知事お一人ではなくて、執行部の考えとして共有されているというふうに思います。20年度決算においては84万円ということでしたが、これについてもすでに全国知事会から指摘があり、そして額が引き下げられていくんだと承知をしているんです。そうしますとやはり、この団体に対しての負担金につきましても、これをどのようにさらに見直していくのか、さらに目的や効果についても十分検証していくべきだと思うんですが、そうしたお考えはないんでしょうか。

樋口課長:            今、委員のお話がございましたように現在の負担金の額につきましては、平成18年12月に全国知事会の削減要請がございまして、19年度から10%減額をしたところでございます。あらためて見直しをする場につきましは、前回と同様に全国知事会を通じて削減の要請を行っていくことになります。これは負担金の算出そのものが、各都道府県の財政力指数、歳入総額、生産農業所得の三つの要素によってランクづけされ、算出されている関係からでございます。また、このイベントの負担額でございますが、まず他の都道府県のように東京都内にアンテナショップを構えますと、相当な経費がかかります。また、都内のイベントにおいて、臨時的に県産品の販売ブースを設置した場合にもかなりの額がかかりますが、今回、集客数が5万人程度と見込まれる大掛かりなイベントでございますので、この負担金については比較的低廉であり効果が期待できるものと考えております。以上でございます。 松崎        今うかがいをお示しいただきましたけれど、これについてはそれぞれその目的や効果について見直すという方針に基づいて、さらにどのような点が課題なのかということをご検討いただく余地があろうかと私は思っています。県財政、危機的な状況であるわけですから、このような二つの団体に関わらず、全国団体に対する支出というものを精査をしていただくことをお願いして終わります。