平成22年3月3日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

雇用対策:<若年者対策について>

松崎       ● 先日、商工労働部長からの報告にもあったが、雇用情勢は相変わらず、厳しい状況が続いており、その中でも、若年者については、特に大変厳しい雇用状況になっているようである。確認のために、まず今の、若い方の就職状況についてご報告願いたい。

雇用労政課長       ○ 厳しい雇用情勢の中で、特に若年者の完全失業率は高い数値を示しております。21年の全国の全世代の平均の完全失業率が5.9%となっている中で、15~24歳は9.1%、25~34歳は6.4%と高い数値になっております。

また、新卒者の就職内定状況をみましても、12月1日現在の大学の卒業予定者の就職内定率は73.1%と前年同期を7.4ポイント下回っております。また、12月末の全国の高等学校の卒業予定者の就職内定率は74.8%と前年同期を7.5ポイント下回っています。

 本県のデータを申し上げますと、3月1日に神奈川労働局から高校の卒業予定者の就職内定率の数字が発表になっておりまして、1月末現在で73.5%、前年同期比で9.7ポイントの減という状況になっております。

松崎       ● 大変厳しい状況はわかったが、このような状況を踏まえて、どのような対策を行っているのか。

雇用労政課長       ○ 特に、ただいま申し上げましたとおり、高卒あるいは大卒予定者の内定率が大変厳しい状況を踏まえまして、若年者の就職支援を目的といたしました「緊急若年者就職支援対策」を2月26日に発表させていただいたところでございます。

内容的には関連部局を含めました各種施策をいわばパッケージ的にとりまとめさせていただいたものでございます。

 その中で、特に知事からのアピールということで、高等学校卒業予定者の就職に向けた緊急アピールを行い、2,600社を超える県内企業あるいは学校を通じて、生徒さん、保護者の方にアピール文を送付させていただきました。事業的には、直近で予定しているものといたしましては、3月に県主催で若年者を対象といたしました合同就職面接会を横浜と川崎でそれぞれ開催いたします。事前のセミナーも開催し、当日を迎えていただくということでそれぞれ横浜と川崎で実施いたします。この他、新卒者等を雇用した中小企業を対象といたしました特別融資あるいは未就職の高校卒業予定者を対象といたしました緊急特別短期訓練の実施、あるいは緊急雇用事業の中で、未就職の高校卒業予定者を雇用するといった事業につきまして発表させていただいたところでございます。

松崎       ● ご説明いただいた、さまざまな施策については理解しているが、若い方の就職が厳しくなったというのは、はじめてではなくて、最近ですと平成12年前後の就職氷河期で、その後、若い方はロストジェネレーションと呼ばれ、社会全体がこれを課題だという認識にいたっていくという状況がある。そういうことを考えると、過去の経験、県の労働施策でうまくいったこと、いかなかったことがあったかと思うが、これらを十分検証して有効な施策を打つというしっかりとした施策の組み立てが必要だと思うが、当局としては、過去の経験を活かすということについてどう考えるか。

雇用労政課長       ○ 過去の経験ということですが、県では「かながわ若者就職支援センター」を設置し、平成16年度より就職氷河期等の時期に卒業されて、その後、正規の雇用に結びついてこなかった層をターゲットにいたしまして、若者就職支援と言う形で、カウンセリングあるいは就職活動支援セミナー等を実施しております。そうした中で、ハローワークのいわゆる職業紹介の成案率よりも高い、若者就職支援センター自体は、カウンセリング、適性診断等で就職を支援する施設でありますが、そうした施設を通じて就職にチャレンジした方の進路報告・決定というのが、年間ほぼ3割を超える高い形で報告をいただいているところであります。

 そうした施策がひとつの有効な施策と認識しておりまして、こういった事業は引き続き展開をしていきたいと思っておりますが、また今回は特に景気の悪化の長期化という中で、加えて施策が必要であるのではないかということで、先ほど申し上げたような形で、加えての施策を取り組まさせていただいているところでございます。

松崎       ● もうひとつ、現在の状況の中で現れているのがミスマッチですが、大手企業が採用を絞り込んでくる一方で採用予定があるにもかかわらずその人数を確保できていない、よく言われるのが介護、農業などだが、もう一つの側面として、中小企業が採用予定があるが人数を確保できていない例が多数ある。

 中小企業の採用、就職を商工労働部全体として、雇用部門と産業部門とで連携してもう一段踏み込んで取り組まれてはいかがと考えるがどうか。

雇用労政課長       ○ 商工関係施策と労働関係施策が連携しながら、さらに踏み込んだ対応をというご質問でございますが、昨年12月から、中小企業活性化推進員を緊急雇用基金を使いまして、財団法人神奈川産業振興センターに配置し、商工系の企業向けの各種支援施策を説明しながら、企業の求人を掘り起こすといった事業を行っております。来年度もこうした事業を予定しておりますが、これもひとつの商工系、労働系の連携のひとつと考えております。

 特に、こうした景気が厳しい中でも、まだまだ中小企業の方からは、求人を出しているが、なかなか若い方が来ないといったお話も私どもの方にも聞こえてきております。

 若い方が大企業をえり好みしたり、就業経験がない中でブランドで企業や就職を選んでしまうといった傾向もあろうかと思う部分もありますので、商工関係の団体とおつきあいがございますし、各種イベント事業などもござますので、そういった場面を通じて中小企業の方と若年者の方の出会いの場をできるだけ増やすような取組を行いまして、できるだけそれぞれの状況なり、様子を早い時期から求職される方、求人している企業さんとの話し合いの場を増やしていきたいと考えております。

松崎       ● 今、雇用される側がえり好みする傾向もあるというお話があったが、インターネットでも、新聞やテレビでもそういった事が伝えられている。確かにそういう傾向がある方もおられる。しかし、一方では自分を活かせる場を求めるという若い方も多数いらっしゃるわけであり、そういう場所が中小企業さんにあるんだということを知らない、あるいは知る機会がないという方々が多数いらっしゃるのではないかと思う。新しい施策を予算をつけてやってくださいということも要望したいが、若い方にそういった職場があるということを知っていただくことと、もう一つは求めている企業の相談にどれだけ同じ目線で親身に相談に乗れるかということもあろうかと思う。そういう意味での商工部門と労働部門だと思っているので、そこの連携を部内の中でしっかりととっていただきたいと思うがいかがか。

商工労働部副部長               ○ 私どもは商工部門、労働部門をあわせて所管しておりますが、例えばということで申し上げますと、神奈川力まるごと活用事業というのがございますが、その中で学校に中小企業さんの状況などを表したパネルを出してご理解をいただこうといった企画も行っております。

 高校生の方々は、中小企業に対して、待遇が良くないのではないか、3Kのように厳しいのではないかと思われている方もいるかと思います。こういった活動を通して中小企業にはこんないいところもあるということを知っていただく、そうすれば次のステップに行くだろうと思いますので、こういったことを工夫してまいりたいと考えております。

松崎       ● ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思います。