平成22年第3回(9月)県議会 防災警察常任委員会の質疑のまとめ

航空機による安全、安心の確保について

松崎: 県民の安全、安心確保のため、県が取り組む対策、特に航空機による安全、安心確保について、お伺いをしてまいります。県政機「さがみ」の後継機は更新しないという報道記事を見ました。これまで本会議ですとか常任委員会で、ヘリコプターの運用に関する質問を多くやってきておりますので、大変気になっているところでございます。そこで、何点かお伺いしますが、まず、「さがみ」は、山あるいは海の救助活動に大きく貢献してきた機体だと思うんですけれども、消防関係を所管する安全防災局として、この機体が無くなることについて、どう思っているんでしょうか。

県安全防災局災害対策課長:           お答えいたします。県政機「さがみ」の廃止に関してでございますけれども、この廃止にあたりまして、総務局が事務局となりまして、検討会議が設置されております。そして、その検討会議には、私ども安全防災局と警察本部が入りまして検討を行いました。それから、総務局の方では、全庁に照会をかけて、またヒアリング等も行ったというふうに承知しております。安全防災局の関係ですけれども、災害発生時の対策業務に支障がないかどうかという観点で検討いたしましたが、県政機「さがみ」が廃止された場合には、人員や物資の輸送、あるいは上空からの被災地の確認、被害状況の把握に支障が生じることが懸念されますけれども、廃止が決定された場合には、警察、消防、それから自衛隊等の広域応援部隊との連携、協力、それから警察本部との連携の下での搬送、救助、情報収集等を実施するという結論に至りまして、その考えを検討会議で報告したところです。

松崎:   安全防災局に引き続きお伺いします。県政機「さがみ」に関する、今話にあった検討会議、この議事録によりますと、中型機が3機から2機に減ると、それから、他の県警ヘリのうち「はまかぜ」と「かもめ」、これは、現地で人をつり上げることが困難である。残る県警中型ヘリは、「おおやま」が50時間に1回、「たんざわ」が25時間に1回の点検が必要である。救難、救助に使える待機ヘリが存在しない、空白の時間が生じる。特に、山岳救難、救助に関しては、高高度での活動でありまして、小型機では対応ができない。この問題は、残されたままでございます。それでは、安全防災局にお伺いいたしますけれども、この視点を変えまして、県内市町村でヘリコプターを所有しているところは、これは横浜と川崎で2機ずつということでございますが、両市のへりは県内の他の市町村と活動に関してどのような協定を結んでいるのでしょうか。

県安全防災局災害対策課長:           お答えいたします。横浜、川崎以外で県内の市町村が消防活動等でヘリコプターが必要になった場合の対応でございますけれども、県内の市町や消防組合等で消防相互応援協定というのを結んでおります。また、航空機特別応援実施要領というものを定めておりまして、この要領に基づきまして、横浜、川崎以外の市町村が横浜、川崎の消防ヘリの出動を要請する場合の要請手続き等を定めておりますけれども、この要領に基づいて、横浜市消防、川崎市消防に要請してヘリの出動をしていただくということになっております。ちなみに、21年度の応援要請に基づく出動実績でございますけれども、横浜市消防が9回、川崎市消防が1回となっております。なお、消防組織法に基づきまして、全国的に緊急消防援助隊という制度が整備されておりまして、大規模な災害時などにつきましては、他の都県から消防士はもとより、必要に応じて応援ヘリコプターが出動することになっております。

松崎:   今、応援の実績をご報告いただきましたけれども、横浜、川崎による救助の実績について、教えてください。

県安全防災局災害対策課長:           お答えいたします。横浜市消防、川崎市消防の救助の実績でございますけれども、平成21年1月1日から平成21年12月31日までの状況でございますけれども、横浜市消防と川崎市消防では、他の自治体に応援出動した回数が、横浜市消防では10回、川崎市消防が1回の応援出動をしております。また、搬送された人員といたしましては、横浜市消防では3名、それから川崎市消防では1名と承知をしております。

松崎:   災害出動の方でいくと、横浜市につきましては、救助出動が3回、川崎市につきましては13回ということで、計16回ということでございます。これは、こちらで調べたことでございますけれども、警察本部の方にお伺いしますが、ヘリコプターの活動は救助以外にもパトロールなどいろいろな活動をしていると承知しております。そこで、昨年1年間のヘリコプターの活動状況と県政機「さがみ」の活動状況について、伺います。

県警本部地域総務課長:   お答えいたします。平成21年中の航空隊の活動状況につきましては、ヘリコプター5機で1,636回、約1,387時間の活動をしているところでございます。その概要でございますが、パトロールや救急配備などで784回、ひき逃げ事件に関する広報や地上からでは困難な捜索場所の内偵捜査などで168回、先程も同様のお答えをいたしましたが、天皇、皇后両陛下警衛などの警護活動に124回、水難や山岳救難などの救護活動に122回、訓練等に349回、行政活動に63回ということでございます。また、県政機の「さがみ」の活動の状況につきましては、これらのうちから、救助活動に37回、訓練などに28回、行政活動に61回の合計126回、約130時間の活動を行っております。この「さがみ」の活動につきまして、飛行回数にして全体の約7.7%、時間については約9.3%を占めております。

松崎:   先程の国松委員の回答は、今年に入ってからということでございましたが、今お答えいただきました21年中ということで、まる1年間ということですね。先程、横浜、川崎についても、まる1年間、同じ時期のお答えがありましたけれども、今、それぞれ報告をお伺いいたしますと、県警はかなり頑張っているというふうに受け止めました。そこで、安全防災局にお伺いしたいんですけれども、どうして、横浜、川崎のヘリの方が、出動実績が低いのでしょうか。

県安全防災局災害対策課長:           私どもの把握しているデータといたしましては、災害関係では「さがみ」で出動したのが、昨年度年4回と承知しております。先程の横浜、川崎のヘリで出動した回数でございますけれども、火災出動、あるいは救助、救急出動ということでございまして、必ずしも、これは災害活動だけではないというふうに考えておりますので、その辺の違いが出ているのではないかと考えております。

松崎:   県からは、横浜、川崎の両市のヘリに対して、せっかく協定を結んでいることですから、もっと活動してくださいというふうには言えないんですか。

県安全防災局災害対策課長:           お答えいたします。先程申しましたように、県内で消防相互応援協定がございまして、これに基づいて航空機特別応援実施要領というのを定めております。先日の9月8日の豪雨の際にも、山北町での被災者、それから小田原市の酒匂川の中州に取り残された方、この方たちの救助のために、県警、横浜市消防、川崎市消防、自衛隊に、私どもの方から連絡を取りまして、ヘリコプターの出動の要請をいたしました。残念ながら、山北町の被災者の救出につきましては、天候が悪くてヘリコプターが飛べる状況にないということで、出動ができないという回答がございましたが、小田原市の酒匂川の中州の関係につきましては、私どもから横浜市消防に連絡をいたしまして、出動するという回答をいただきまして、一旦は出動いたしましたが、日没になりまして引き返さざるを得なかったという状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、必要に応じて消防関係ですとか、その他の機関にヘリコプターの出動が必要であれば要請をしていくというスタンスでございます。

松崎:   先程データの関係で、安全防災局、課長さんからお話があったんですけれども、私の方から申し上げた横浜、川崎の救助の出動件数、16件というのは、これは総務省消防庁の調査でございまして、その中で、はっきり救助出動というくくりの中で整理されているということを付言しておきます。

警察本部にお伺いしますけど、県警のヘリというのは救助だけが任務ではございません。犯人の追跡、あるいはパトロール、多岐にわたる任務がございます。その間に、点検、整備もあるわけでございます。そこで、「さがみ」が退役をいたしまして4機体制となった場合に、県警が行っている24時間体制、24時間運航は、継続できるんでしょうか。

県警本部地域総務課長:   お答えいたします。県政機の「さがみ」が廃止された場合、ヘリコプター4機の運用になりますが、水難や山岳遭難などの救助、さらには大規模災害発生時においては活動に影響があることは否めないところでございます。しかし、人員等は体制が変わらないので、今までどおり24時間運航を継続し、4機のヘリを効果的に運用いたしまして警察活動に支障が来さないよう、努力してまいる所存でございます。

松崎:   先程、安全防災局の方からお話のあった、私が取り上げました、総務局、安全防災局、県警本部の3者による検討会議というのは、3月に1度、6月に1度開かれて結論を出している訳であります。その中でも、中型機が3機から2機になるということについては、空白の時間が生じるということの懸念ということは、現実に報告をされている訳でございます。そのことを踏まえて、安全防災局にお聞きしますが、そもそも災害が発生して人命救助が必要な場合の県の役割について、教えていただきたいと思います。

県安全防災局災害対策課長:           災害が発生した場合の人命救助に関する県の役割ということでございますけれども、安全防災局といたしましては、災害が発生した場合には速やかに被害情報等の収集を行っております。また、地元市町村と情報、連絡を取りまして、被災地に自衛隊、あるいは警察、消防等の応援の要請を受け、応援をしていただく。そのための連絡、調整を行っているという役割を担っている、という認識でございます。

松崎:   先程から申しておりますけれども、人命救助に関する業務というのは、市町村や警察だけの仕事ではないと思います。この神奈川に近い近県では、実際に県が防災ヘリを運用し、市の救助隊員が搭乗しております。本県でも、そのような運用をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

県安全防災局災害対策課長:           確かに、他県で防災ヘリというものを県が持って市の消防の職員をヘリに乗せて救出、救助にあたっているという例があることにつきましては、委員、おっしゃるとおりでございます。防災ヘリを県が持つかどうかという点に関してでございますけれども、防災ヘリということになりますと、県政機としていろんな形で使うということでは無くて、防災用として新たにヘリを持つという場合ですけれども、そのための体制を組まなければいけないというふうに考えております。防災ヘリだけでそういう体制を組むと言うことになりますと、24時間体制ということであれば、2機以上のヘリの運航体制が必要であると思いますし、またそれにかかる運航要員の確保ですとか、定期点検等の維持運営費、そういったものを見なければならないというふうに考えております。私ども、そういった面の試算をいたしましたけれども、非常に多額の経費がかかる。例えば、ヘリコプター2機で24時間体制を取った場合の初年度、初年度にヘリを1機購入したとした場合ですけれども、その場合には、13億8,400万かかるだろう、導入後の年間の維持費は、5億3,400万ぐらいかかるだろう、そんな試算もしております。そういった状況から、現在の状況を考え合わせますと、新たに防災ヘリを整備して導入を図っていくことは、非常に難しいのではないかということで、また、「さがみ」につきましても、先程御答弁申し上げましたけれども、災害関連ということで昨年度ですけれども年4回の使用、その内訳も訓練で2回と調査関係で2回ということで、実際の災害時の出動はございませんでした。それにつきましては、18年度以降、そういう状況になっているということもございますので、私どもといたしましては、「さがみ」廃止後は、県警の4機、それから川崎、横浜の消防を含めた4機という体制の中で、まずは災害対応を考えていきたいと思っております。

松崎委員:           ご説明の中で「さがみ」出動回数について言及がありましたけれども、県警本部の方からは、21年中に救助活動で37回、訓練で28回、行政活動に61回、合計126回、130時間の活動となったというふうに報告もあったところでございます。それを踏まえて、もう一問、安全防災局にお聞きしますけれども、質問の中でもいっているので何回も繰り返したくないんですが、他県では、それぞれコストのかかる部分についても市町村と折半、あるいはですね、様々な形で共同運航等々の工夫をずっと重ねてきているところだと承知をしております。それでもなおということなら、お聞きしたいんですけれども、県のスタンスとしては、救助は基本的に基礎自治体である市町村が担い、県は警察がやればいいという考えに立っておられて、県には責務はないというというふうにお考えなんでしょうか。

県安全防災局災害対策課長:           お答えいたします。救助の関係につきましては、災害時は、県警、消防、あるいは自衛隊、必要に応じて海上保安庁とかもあると思いますが、そういうところと連携を取りながら、行っていきたいということで考えております。

松崎: 警察の側の体制としましては、警視庁、大阪府警、あるいは長野県警、兵庫県警等々、埼玉県警、千葉もそうなんですけれども、皆さんそれぞれ日夜汗を流して、様々な不具合、様々なつらいことがあっても、それをほとんど言葉にも文章にもすることもなく、ずっと運航なさってきていると私は承知をしているところなんです。そこで、県の体制、あるいはお考えをずっとお聞きしてきているわけですけれども、そのようなお答えがずっと続いていますので、最後にお聞きしますが、今後、救助活動にも大きな活躍をしてまいりました県政ヘリが退役してまいります中で、県の担うべき役割と具体的な事業方針を教えてください。

県安全防災局災害対策課長:           お答えいたします。また繰り返しになるかもしれませんけれども、県といたしましては、災害発生時には職員が被害情報の収集、あるいは市町村、関係機関との連絡、調整にあたっております。これは、日頃からちょっとした例えば警報が出ても、直ぐにそうした体制を組んで、また夜間、休日にも、そういう体制が組めるようにということで、行っているところでございます。私どもといたしましては、県政機「さがみ」が廃止された後でございますけれども、さらに関係機関と連絡体制、また訓練などを通じた連携を図ることによって、一層、連携を強化して、災害時の救出活動等に支障の無いようにしてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

松崎:   終わります。

(参考 民主党 意見発表)           県政機「さがみ」の後継機を更新しないという事案についてであります。

海上・山岳救助の活動で、大きな貢献をしてきた機体が退役することは、きわめて残念なことであります。それ以上に、今後の防災対策を含めて、県警の負担増についても懸念をするところです。今後は、安心性の確保のためにも、救助や防災に対する活動の県の担うべき役割、それの具体的な方針を明確に示させることを望みたいと思います。