10月6日「市町村の広域連携に対する県の姿勢について」

民主 近藤委員   そもそも権限移譲には市町村の主体的な取り組みが重要だと考えております。色々な状況があるのは分かっておりますが、課長の答弁ですと、いわゆる広域連携の準備のためにも支援を行うというようなお話がありました。

結局はメニューに基づいたことしかできないのかなと思っていますが、そもそも市町村の主体性を重んじるのであれば、メニュー事業補助金というと国のひも付き補助金のようなイメージがあるので、もう少し柔軟に制度設計しなければならないと思いますが、この点についてはどのようになっているのでしょうか。

市町村財政課長   やはり何でもかんでも補助をするということではなく、県として市町村に対して何ができるのかということになりますと、個別の市町村補助から広域連携の支援に軸足を移していく中での広域連携に関する財政的支援についても、一定の事業の範囲を決めながらやっていくのが良いのではと考えております。

松崎       関連でいいか。少し考え方のスケールが小さいと思う。結局、財政問題についても近藤議員の方からも質疑をしてきたわけですけれども、一方では県側からするとこのままでは立ちゆかないという危機感・切迫感があると思う。

受ける市町村の側からすると、市町村には財政力も人的余裕もあって、柔軟に対応できる環境があるということであれば、どのようなメニューを選ぶかはそれぞれの自治体で決めてくださいという投げかけだけで良いかと思うが、実際にはそうではない。

メニューについては、地域の特殊要素もあるだろうから、首長同士あるいは自治体間で協議をした上で選んでもらうというような形になるのでしょうが、やはり骨組みをしっかり決めて、広域化・広域連携を進めることについて、メニューとしてはこれがありますからこの中からある程度選んでくださいということを、市町村とある程度協議をした上で進めていかないといけない。

このメニューの話は広域連携ではなく、広域連携事業の話であり、だから担当する部署があり、今の答弁があると思うが、到達度目標も議会においても示されていない中で、この事業で広域連携そのものが進むかどうかがわからない。

だから、そこのところは、近藤議員が質問している部分を、もう少し趣旨を汲んでいただきたいと思います。

市町村財政課長 そういった側面もあるかもしれないが、まずは広域連携の取組みが進めやすくなるようにしていきたいと思っております。

総務局企画調整部長           今の松崎議員のお話ですけれども、私どもも市町村の色々なご意見を伺いながら、私どもが用意しようとしている仕組みを市町村が十分活用して広域連携を進めていただくということで、この制度を構築していきたいと考えております。

これまでも色々と説明をしてきた中で、市町村の側からは広域連携の形について県がこういった形というのを明示して、それに沿ったものだけが広域連携の対象にされてしまうというのは、市町村も市町村ごとに色々なかたちで広域連携の取り組みを現にやっているし、これからもやっていきたいので、できるだけ色々な形のものを反映していけるようなものにしてほしいという話も伺っております。

私どもは広域連携のいくつかのパターンは提示して、そういったものを積極的に取り組んでいただきたいというようなことも考えておりますが、同時に、市町村の側からこういった取り組みをやっていきたいが、県としてしっかり支援をして欲しいというようなお話に対しても、できるだけ積極的に対応していくような制度にしていきたいと考えております。

先程、近藤議員からお話のありました制度の柔軟性という面では、一点、所長特認というようなものございますけれども、そういったものも含め市町村側の色々な意向も踏まえて、県として広域連携を進めていきたいという部分との整合性を図りながら、要望に応えられるような形でやっていきたいと思っております。

現在、こういった県の考え方について、個別の市町村あるいは市町村長の皆さんとの会合等々で、機会があるごとにお話しをしてご意見を伺ってきております。

今後は11月には知事と首長との自治基本条例に基づく協議の場等も計画しておりますけれども、さらに市町村のご意見も伺って、お互いに双方納得して、広域連携の躍進に繋がるような仕組みとして、今後構築していきたいと考えております。

松崎       すでに、パイロットの候補生を入校させ、養成をしているということもお聞きしておりますし、必要な人員の増員についても様々な形でご苦労されていると聞き及んでおります。そうしたところを総合しますと、20年の早ければ秋頃、この24時間体制に移行していくのかなと思いますが、そうした考えでよろしいか。

地域総務課長       実施の具体的な時期についてのご質問ですが、県警察といたしま しては、平成19年度中に、現在行っている試行の検証をしっかりと行っていきたいと考えております。

松崎        あと一点だけお聞きするが、広域連携あるいは広域化についての当局の説明で最初に出てきたのが、先程、消防救急という話が出てきましたが、消防の広域化については決して見通しは明るくない。

例えば、県西ブロックは小田原などですけれども、三浦半島については25年度からの広域化は困難ですし、県央等は海老名・大和・座間・綾瀬ですけれども、この枠組みでの広域化は困難です。

県央西部については、消防のデジタル化等ある程度進んでいますが、湘南は25年度からの広域化は困難ということで、相模川を境に東西に分けるため、ブロックが違う方向に進みそうだという話を聞いております。

そうするとやはり広域連携や広域化は、各自治体のそれぞれの状況ですとか、あるいは、どういうふうに進めたいかとか、各首長の意向を十分踏まえないと、こうするからこちらの方向へ進んでくれるだろうという見込とか予断というものは成り立たないと思う。

だから、合意形成のあり方とか、あるいは、基礎自治体とは何かとか、そのあたりをよく踏まえていただきたいということを要望しておきます。

民主 近藤委員  

あと、もう1点ですが、情報システムの関係で、これは代表質問でもあったのですけれども、いわゆる14町村の情報システムの共同化、クラウド・コンピューティングという話がありました。

今までの議論で県政総合センターを中心に広域連携事業を進めるということだったのですが、他方、14町村のように他の枠組みの中でも色々と広域連携が進んでいます。これらに対する支援というのは、どのように考えられているのでしょうか。

市町村行政課長   町村の情報システム開発につきましては、ご案内のとおり14町村、地理的に離れた県内全町村の取組みということで、極めて特徴的な取組みと理解しております。

これにつきましては、権限移譲を伴う広域連携ではなく、市町村の固有事務の連携ということでございます。

そういった意味では、私どもは、権限移譲を伴う広域連携だけを支援するという考え方ではございませんで、消防等を始めとする市町村の固有事務の連携に対しても支援をさせていただく、ただし、権限移譲よりは若干、条件としては低いというようなイメージで今後設計をさせていただきたいと考えております。

そういう意味では、地理的に離れた広域連携というのが可能な分野というのも十分に考えられますので、広域連携につきましては、例えば県政総合センターの枠組みでなければだめだとか、そういうことではなく、分野分野で最も住民に適したサービスが提供できるような広域連携だということで市町村が望むのであれば、それに対して支援していく、それが市町村の行財政基盤の強化にもつながるということであれば、県として支援していく理由はあると思います。

松崎       関連で少しお聞きしたいと思います。今、大変興味深い答弁がありましたので。

さきほど、関連質問の中で、消防の広域化について少しふれさせていただいたのですけれども、町村の情報システム共同化というのは、極めて全国トップを切る取組みだと承知しています。

クラウド・コンピューティング、何がネックになってきたかといいますと、情報システムその中でのデータの互換性だったわけです。そこの負担を、データの互換性を持たせることによって、なるべく軽減していきたいというのが各町村の思惑です。

そうすると、地域的につながりのあるブロック毎に、本来目指している広域化とか、広域連携の部分でいうと、県内の14町村は、当然のごとくそれぞれ、一般市あるいは中核市、政令市等と接しているわけです。その接しているいくつかの固まりでやってくださいという広域化や広域連携の際、隣り合う市、政令市、中核市、一般市との間でのデータの互換性というのは、どうやって確保していくのでしょうか。

広域化、広域連携の本来目指している部分の各種許認可を含めたサービスの広域化をするときに情報システムを使います。クラウド・コンピューティングで進んでいく14町村と、横須賀市を筆頭として非常に先進的に自分の自治体の中で情報システムを整備してきたところと、残念なことに、今は、データの互換性がないです。それがないと、広域化も広域連携、各種サービスがなかなか進まないと思うのですけど、どうするつもりでしょうか。

市町村行政課長   まず、14町村が情報システムの共同化を進める経過は、14町村が、町村長でやっていこうというトップダウンの決断をして進めたということです。議論の過程の中では、一部の首長からは、地理的に離れた町村よりも、地続きの市も交えたらどうか、という議論もあったと聞いておりますけども、結果的にそういうトップダウンの判断の中で、今、共同化が進んでいるという状況でございます。

また、広域連携といった場合に、分野が様々ございますので、必ずしもデータの互換性が万全に整備されていなければできない広域連携に限られるというわけでもございません。

そういう意味では、議員ご指摘のとおり、分野によって広域化しやすいもの、しにくいものというのは現実的にあろうかと思います。

本来であれば、私どもが以前まで市町村に推進してきました市町村合併という手段もあるわけですけども、市町村合併に対する国の支援も過ぎた中で、県としては中核市以上の権限をできるだけ市町村に持っていただきたいという、今後の期待される市町村像のあるべき姿を見据えた中で、広域連携、それもできるところから広域連携を進めていきたい。

そうすることによって、地域全体の権能が上がっていくということでございますので、14町村の取組みは取組みで尊重することといたしまして、分野分野で許認可であっても、例えば人を共同設置するとか、そういった形で対応できる分野もあろうかと思いますので、それは市町村の判断にある程度委ねるのかなと考えております。

松崎       今、お聞きしているのは、データの互換性についてです。情報システムというのは、いわば人をバックアップするためにあるもの、あるいは、それがしっかりと活用されることによって、最終は住民サービス、住民の皆さまにとってより質が高くて、より低コストというサービスの実現ということにあると思うのですが、それを実現させるための広域連携であり、広域化であるとすると、県の目指す最終目標、到達目標に至るためには、情報システムの、それもその中のソフトの部分のデータの互換性を持たせるように抜本的に改革をしていくという必要があると思うのです。

14町村は、決して、一般市や中核市や政令市が、ドアを開けないから自分達だけで飛び立っていったわけではなくて、やはり、そこには県のリーダーシップなり、差し示す到達目標というのが、あまり明らかではなかったからだと思います。

そうすると、広域化や広域連携を目指すならば、到達目標に沿うように、情報系のことについてもしっかりと基本方針を示すべきだと思うのです。これがないと語っている意味がほとんどないと思うのですが、いかがですか。

市町村行政課長   データという意味でございますけれども、消防・救急のように一定のデータが必要となるものもございます。ごみ処理等、行政には様々な分野がございまして、許認可関係で、データがびっしり揃っていないと共同処理できないかというと、必ずしもそうではない部分もあろうかと思います。

そうした中では、14町村が情報システムの共同化を進めているという中で、それが他の分野での広域連携の阻害になってしまうということも望ましい姿ではありませんけれども、私どもとしては、そういった状況、町村の共同システムの状況も踏まえながら、できるところから広域連携を進めていただきたい。そうした中で、ただいま具体的な分野につきましてはなかなか申し上げられないのですが、事務の態様に応じて、できるところから広域連携を進めていただきたいということでございます。必ずしも全ての事務を処理するうえで、市町村がデータをきちっと整備していなければ広域連携ができない、それが全ての行政分野にまたがっているかと言われれば、そうではないのではないかと考えているところでございます。

松崎       関連ですから、これで終わりにしますが、必ずしもそうではない、と言われるがほとんどそうです。少なくとも例示としてお示しになっている説明資料に出ているものには、必ず情報システムなり、データなりがついてくるものです。

だから、やはりそこのところ、説明がただ十分ではないのではなくて、やっぱり考え方をしっかりと持つべきだということを最後申し上げて質疑者に戻します。