2012年6月19日(火) 本会議代表質問

(質問要旨)

2. いのち輝く神奈川の実現について

(2) 地域の実態に応じた医療提供のあり方について

現行の医療法では、病床数が過剰な医療圏内は病院の新規参入や増床が原則として不可能で、基準病床数の算定も全国一律の算定式が定められており、是正が必要な状況に至っても医療圏全体の病床数の過剰を理由に新たな医療体制の整備ができないのが実情である。

また、救急医療・周産期救急・小児救急などの政策医療に必要な病床数が不足する場合には厚生労働大臣と協議し、特例として同意を得られれば増床が可能となるが、理由や算定根拠等の詳細な説明資料を求められるといった手続が必要で、同意を得るまでに長い期間を要する場合が多く、地域の実情に応じた柔軟な対応は事実上不可能である。

「神奈川県医療のグランドデザイン」では、地域の実情に応じた医療提供体制の構築、地域偏在の是正に取り組む際、全国一律の病床規制が支障となるときは、県が独自性を発揮して規制の柔軟な運用を図ることとしている。

そこで、病床規制の緩和に向けて、県はどのように取り組んでいこうとしているのか、所見を伺いたい。

(知事答弁)           

○ 次に、地域の実態に応じた医療提供のあり方についてであります。

○ 県は、二次保健医療圏ごとに救命救急センターや、がん診療連携拠点病院、災害医療拠点病院などを整備し、総合的な保健医療体制づくりに取り組んでおります。

○ しかし、現実には人口あたりの医師の数や病院の機能には地域的な偏りがあり、例えば、県央医療圏では二次救急の拠点施設や救命救急センターの設置、横須賀・三浦医療圏では産科の強化が必要であるなどの課題があります。         

○ これを解決するためには、不足している機能の病床を整備する必要がありますが、病床過剰な医療圏においては、医療法の規定により増床は極めて困難な状況であります。                

○ このため、県は、地域主権の観点から病床過剰な医療圏であっても、地域間に病床数の不均衡がある場合や救急医療など不可欠な医療のための病床が不足している場合には、地元市町村の要望や関係団体の同意があれば、増床が可能になるよう国に要望したところであります。            

○ また、「神奈川県医療のグランドデザイン」では、今後の取組みとして、長期的な視野を持ちながら二次保健医療圏のあり方や配置について検討するとともに、病床規制への対応について県の独自性を発揮し、柔軟に運用を図ることといたしました。

○ 具体的には、県全域の総病床数は国の一律の算定式により定められていますが、各二次保健医療圏の病床数については、今年度5年ぶりに改定することになっている「保健医療計画」の中で、患者の流入や流出の状況など、地域の実情を考慮した上で算定したいと考えております。         

○ また、二次保健医療圏について、医療資源の偏在や人口規模、交通の利便性など様々な項目を再点検し、必要があれば圏域についても見直しを検討してまいります。

(要望) 二次医療圏の見直しについては、地域の実態に応じた医療提供体制のあり方について取り上げたところあり、知事からも答弁がありました。

 しかし、二次医療圏の見直しといいましても、医療機関や医療スタッフだけの問題ではありませんで、医療サービスを受ける県民にとって大変重要な問題であります。

 医療機関の偏在を是正していくということは、救急医療など、県民がより安心して医療サービスを受けられるような体制を整備することであります。

 それを具体化させていくためには、限られた関係者だけではなく、医療サービスの根本である県民に対して丁寧な説明を行い、ご理解を深めていただくことが大切でありますので、その点についてご配慮をお願いしたいと思います