2013年3月4日 
文教常任委員会質疑応答要旨

○学校運営も人事も行う政令市の教職員の給与負担は県費で行っていることについて

松崎:    長らく本県と政令指定都市の間で大変大きな課題とされてきた政令指定都市の教職員の給与負担について、今月の中頃に閣議決定される義務付け・枠付けの第4次見直しに盛り込まれると聞いている。この点について、何点か伺う。

 まず、政令指定都市の教職員の給与負担の問題については、「ねじれ」と言われており、神奈川の教育を考える調査会の大きな課題の一つとなっているが、これについて教育委員会はどのように捉えているのか。

人事企画課長:    政令指定都市の「ねじれ」だが、政令指定都市の人事権は政令指定都市が持っているが、給与負担は県が行っている。県はこれまで国に対して、制度見直しにかかるスケジュールの早期提示、あるいは政令指定都市への財源移譲に係る問題の解消について、再三、要望してきた。また、全国知事会あるいは全国都道府県教育委員会連合会においても、併せて要望してきている。

松崎:    本日の報告にあった神奈川の教育を考える調査会の中間まとめの中でも「ねじれ」問題について、課題や今後どのように考えていくのかについての記述があるが、議論がどのような内容だったかというのが分かりにくい。概要でよいので、神奈川の教育を考える調査会では、どのような受け止め方がなされ、このような中間まとめになったのか、伺いたい。

総務課長:            従来からの課題であるという説明をしたところ、委員の皆さんにもご了解というか賛同を得られたところである。

松崎:    本日の委員会の説明で、来年度の教育関係の予算は、概算で5,100億円、そのうち、小学校の先生方の人件費が2,100億円余り、中学校の人件費が1,100億円程度と聞いた。

そこで、そのうち、政令指定都市の教職員の給与負担については、おおよそどのくらいなのか、伺いたい。

人事企画課長:    小・中学校の人件費のトータルは3,288億円であり、そのうち、政令指定都市分は約2,030億円である。

松崎:    政府の義務付け・枠付けの第4次見直しは、3月中旬に閣議決定と報道されているが、義務付け・枠付けの第4次見直しが実行された場合、政令指定都市分については、総額そのまま政令指定都市に移行していくのか、それとも、ある種の負担が絡んで県に一部残るのか。

人事企画課長:    基本的に政令指定都市が給与を負担すべきというように決まれば、全て政令指定都市が負担することになる。

松崎:    義務付け・枠付けの第4次見直しで挙がっている議論というのは、教育委員会が言っているとおり、長い間、議論されてきたある種の積年の課題であったと思う。また、今回の改革については、政令指定都市側から強い要望もされていたということでもあるので、より身近なところで教育を含む行政が見える形で行われるという方向に進んだと思う。

 義務付け・枠付けの第4次見直しでは、政令指定都市を含む市町村の教職員の給与負担、さらには中核市についても見直す方向と報じられている。政令指定都市については神奈川の教育を考える調査会でも「ねじれ」の解消を目指しているが、中核市についての所感というか考え方はどうか。

人事企画課長:    本県では中核市に該当するのは横須賀市である。全国の中核市としては、人事権あるいは給与負担を含めて移譲すべきという意見書を過去に出している。ただ、その当時、横須賀市に確認しているが、人事権が移譲された場合、一番の課題は採用事務を横須賀市単独で行うことになるということである。そのことについて、横須賀市としては、優秀な人材が集まるかということに若干の懸念を持っているということである。

松崎:    今のような課題もあるようだが、この問題について今後どのようなスタンスで取り組んでいくのか教育長の考えを伺いたい。

藤井教育長:        「ねじれ」問題については、基本的には、身近なところで採用、給与負担というのが最終的な姿であると考えている。政令指定都市が課題となっているが、これは規模及びスケールがあるということである。教育の水準を等しく保証するためには、教員の給与の問題、採用、こういったことがしっかりできていかなければならないと考えている。では、いつになったらその他の市町村へ広げていくのかというのは、まだ見えない状況である。今回、閣議決定するということであるが、閣議決定は平成15年のいわゆる「骨太の方針第3弾」以来の話である。まだいろいろなハードルがあり、財源など調整する課題があることを踏まえ、採用等の話もあったが、一つ一つそのことが進んでいくのが望ましい。「ねじれ」については、政令指定都市をなんとか進めていきたい。

松崎:    いま藤井教育長からも話があったが、財源のところをすっきりと筋が通るようにするということと、もう一つは、人口等の規模が違う市町村の間で学ぶ側の子どもたちにとって実質的な差がつかないようにすることが必要である。  ある意味義務教育では神経質なくらいに心を砕いていかなくてはならない場面が出てこようかと思われるので、そういった点を含めて、格段のご配慮をいただきながら、よい方向で進めていただきたい。