平成25年10月28日決算特別委員会での質疑のまとめ
(1)県立高校について
松崎: 県立高校について伺います。
主要施策説明書によりますと、総合学科高校及び単位制普通科高校の教育改善について述べられています。県立高校につきましては、その時々に応じた改善がほどこされていったと思いますが、この夏には、神奈川の教育を考える調査会からも最終まとめが出されているところであります。これらを踏まえて何点か伺います。
まず、総合学科あるいは単位制普通科の高校とは、どのような学校なのか、これらの高校を設置した経緯も含めて確認したいと思います。
福田高校教育企画課長: 単位制普通科と総合学科はともに「単位制」でございまして、学年の区分がなく、3年以上在学し、必要な単位を修得することで卒業が認められる学校でございます。
単位制の高校は、全日制では平成5年度から制度化された新しい仕組みでございます。いわゆる学年制に比べて多くの選択科目の中から、生徒の興味・関心や進路希望に応じて主体的に選択し、学習できるようになっております。
単位制普通科につきましては、国語や数学などの普通教科に関する科目を中心に選択科目を設置しております。
一方、総合学科は、普通科目だけでなく、農業や商業などの専門科目を含む特色ある幅広い科目を選択できるようにすることや、体験学習などを通じて、生徒が自らの個性・適性を発見し、将来の進路や生き方について考えることができる学科となっております。
設置の経緯でございますけれども、この制度化された当時、不本意入学や中途退学などの課題が顕在化しておりました。個々の科目ごとに単位を修得でき、その単位を加算することによって、必要な単位数を累積し、卒業できる仕組み、このことによって、こうした課題への対応をはかるために設置された高校でございます。
松崎: それでは現在、県立高校全体の校数と、総合学科や単位制普通科、それぞれの配置されている状況は、それぞれどのようになっているのでしょうか。
福田高校教育企画課長: 現在、県立高校は143校ございます。うち、県立の全日制高校は141校設置されております。
この141校のうち、単位制普通科高校は平成7年度に開校しました神奈川総合高校をはじめとして11校、総合学科高校は平成8年度に学科改編しました大師高校を皮切りに同じく11校開校しております。
それぞれ、11校の配置状況でございますが、単位制普通科は横浜市に4校、川崎市に1校、その他県立高校の旧学区に各1校程度、また、総合学科高校は横浜市に4校、川崎市に2校、その他の地域は旧学区ごとに1校程度設置し、県内、どの地域からも生徒が通学できるように配置してございます。
松崎: 平成23年3月の「これからの県立高校のあり方」に基づきまして、総合学科高校や単位制普通科高校の教育課程改善に向けた指針を策定したということでございますが、指針の内容を簡潔に伺いたいと思います。
福田高校教育企画課長: 「これからの県立高校のあり方」では、それぞれの学科において生じている改善すべき課題を整理し、その改善に向けた具体的な取組みの方向性を示しております。
これを受けまして、総合学科や単位制普通科の高校の教育課程改善に向けた指針は、単位制という共通点を持つそれぞれの学科の違いがわかりにくいという指摘に対応するため、それぞれの学科の設置目的等を確認し、設置趣旨に基づいた教育を提供できるよう教育課程や教育展開における工夫を求めている、こういった内容でございます。
松崎: それでは伺いますが、今年8月の、神奈川の教育を考える調査会の最終まとめでは、単位制普通科高校や総合学科高校などに関して、「多くの選択肢が用意されたことで、それぞれの学科の違いがわかりにくくなり、進路選択がしづらいとの指摘もなされてきている。」と記載されています。教育委員会は、このことについてどのように受け止めているのでしょうか。
福田高校教育企画課長: 先ほどご説明申し上げましたように、両学科とも単位制であることから、生徒が科目選択する中で、豊富に用意されております普通科目と専門科目の選択肢から、専門科目を置いている一部の総合学科高校においては、普通科目を選択する傾向が強くなっている、このようなことがございます。そのため、結果的に「違いがわかりにくい」という指摘につながっていると受け止めております。
生徒が主体的に選択できるように、違いがわかりやすくしていくことは大切であると考えておりまして、今後もそれぞれの学科の設置趣旨を踏まえた教育活動を展開できるよう、支援してまいりたいと考えております。
なお、教育委員会といたしましては、そうした指摘を受け、本年の5月に実施いたしました県内のすべての公立中学校進路担当者を対象とした説明会において、総合学科と単位制普通科の違いを説明させていただくとともに、公立中学校の3年生全員に配付したリーフレットにおいても、その違いについて記載したところでございます。
松崎: 目的を持って設置したこれらの高校であるにも関わらず、また進路説明会等で、あえて特色を説明しているところは、私だけではないと思うのですが、なにか違和感を感じるわけですが、今、総合学科や単位制普通科に関する調査会からの意見について伺ったわけですけど、このほかに調査会から高校教育に関して、どのような意見があったのでしょうか。
福田高校教育企画課長: その他に調査会からは、県立高校全体の規模と配置について、
・今後の生徒数の減少傾向はもとより、各学校の取組成果と課題の検証を踏まえ、再編・統合を進めていく必要があること。
・各学校の規模について、学校の活力を高める観点から、学校や生徒の状況に応じて、学級数の拡大に向けて検討していく必要があること。
・全日制や定時制といった課程、学科の特性や生徒の実態等に応じて、教育課程の再編に取り組む必要があること。
・公立の役割を踏まえて、学習の遅れなどの課題のある生徒を受け止められるよう、既設校における支援体制の充実を図っていく必要があること。
などの意見をいただいているところでございます。
松崎: 今の確認させていただいた話にも出ていましたけども、高校教育に関しては、今後の生徒数の減少も見込まれていて、将来的な全体像を描いていかなければならない時期に来ていると認識しております。調査会からは、県立高校の教育改革については、改革を推進するために必要な組織を設置するよう求められているわけですけど、この点についてなにか考えはあるでしょうか。
大畑指導部長: 委員からご説明があったとおり、子どもの数の現象に応じた新たな教育環境づくり、こうしたものがこれから求められてきております。調査会の最終まとめの中では、県立高校の再編統合について、将来的な生徒数の減少や教育ニーズの動向などを踏まえた計画を策定すべきだという意見も寄せられているところでございます。こうしたことを受けまして、23年3月の「これからの県立高校のあり方」、つまり高校改革の検証でございますけど、そうしたことも踏まえまして、今後、局内に意見聴取組織をできるだけ速やかに組織します。とともに、併せて学識経験者などによる協議会を年度内に立ち上げまして、今後の再編統合の基本方針、続く27年度中の学校名を含めた実施計画案、このようなものの検討を進めていきたいと考えております。
松崎: 県立高校の改革を行う組織をできるだけ速やかに設置するとのことですが、具体的に伺いたいと思います。これだけ大きな課題を抱えていて、しかも生徒数の減少等を含めた状況の変化というものを暦年常任委員会等の各会で伺ってきた中で、課題だと言われ続けてきたわけです。前回設置をした調査会で同じ指摘をまた受けているわけです。そこのところで、どう取り組むのかお聞きしたいと思います。
安西教育局長: 生徒数は、平成18年3月の段階で約64,000人で、それから若干増えてまいりまして、平成26年3月に70,000人と再ピークを迎える状況です。平成40年には、62,000人になり、約8,000人減っていくという状況でございます。そういった生徒数の減少、それ以外に今回調査会では県立高校全体の成果と課題の検証や、生徒数の減少の傾向を踏まえ、計画的な再編・統合を進めて、その際、各学校の活用を高める観点から、各校の必要に応じて学級数を拡大するようご意見を調査会からご報告いただいている次第でございます。こういった中、私どもとしましては、一刻の猶予も許されないので、来月には教育委員会内部に検討委員会を作っていきたいと考えております。
松崎: 来月には検討会を立ち上げていきたいとの事でございますが、前回の高校改革がどうだったか調べたところ、県立高校将来構想検討協議会というものを設置していて、外部の有識者の意見を聞きながら改革計画を策定していくという重要な任務を背負っていたわけですが、今回も、内部に来月検討会を設置したとして、外部の組織の方々の意見も聞いていく組織も立ち上げていく必要があるであろうと考えております。実際にそういう考えもあるということで、年度内の設置ということは聞いておりますが、具体的に、いつ頃立ち上げていくのかお聞かせください。
安西教育局長: 本会議の答弁で教育長から年度内という話をしております。年度内と言っても、なるべく早くと考えておりまして、教育局内の組織を11月に作りますので、それからあまり時間を経ないよう、年度内ぎりぎりにならないように、作っていきたいと思います。年明けを目途に考えていきたいと思います。
松崎: それぞれ具体的な日程というものを含めてお答えいただきましたけれども、要望させていただきたいと思います。 高校教育を取り巻いている状況が日々変化をしていて、子供たちの高校に求めるものも多様化する中で、高校そのものも変化していく部分、そしてまた、守るべき基本とがあると感じております。平成25年度からは新しい学習指導要領が実施されておりまして、また、調査会からの最終まとめも出された中で、教育委員会としてこれからの高校教育の有り方をしっかりと捉えて、たゆまぬ改善をしていくことが大切だと考えてます。調査会のまとめを踏まえながら、子どもたちの将来に向けた歩みをしっかりと支援できるように、より良い県立高校作りに向けた真摯な取り組みを要望させていただきます。