平成26年6月27日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 小網代の森について

松崎      

 私の質問としては、3つ目だが、小網代の森について伺いたい。

 他の委員の方と同様、私のところへも環境農政常任委員であると言うことで「小網代の森の施設がいよいよ完成をします。つきましては、祝賀会にご出席ください」とご案内いただいております。ありがとうございます。

 前回の環境農政常任委員会に所属していたときにも、現地を視察しておりますので、地元である木村先生もここにいらっしゃいますけれど、私の方で確認だけさせていただきたい。

先ず、簡潔で結構なので、小網代の森の経緯を、確認の意味で伺いたい。

答弁

(自然環境保全課長)        お答えいたします。小網代の森のこれまでの保全の経緯でございますが、小網代の森は、昭和45年の当初線引きにより市街化区域に編入され、昭和50年に京浜急行電鉄(株)がゴルフ場の建設を計画したことによって、開発の危機にさらされることになりました。

 これに対し、小網代の森の希少性を知る研究者、自然保護団体、そう言った方々が、反対運動を展開し、県もゴルフ場の建設を凍結する方針としました。

 平成2年に環境調査をしましたが、貴重な自然が残されていることから、平成7年には、小網代の森の保全の方針を三浦市と事業者に示し、保全が図られたと言うことです。

松崎        ゴルフ場と言うことはございましたが、神奈川県としては、相当前から、この小網代の森については、主体的に関わってきたことと思います。

 また歴代の知事も、小網代の森については大変関心を寄せられ、岡崎知事、松沢知事が、それぞれ色々なアプローチをなさったと記憶しています。

 当環境農政常任委員会歴代の記録を紐解いても、小網代の森については、党派を超えて、色々な委員が言及をされて今日に至っていると思います。

 そう言ったことで、この施設が完成したと言うことは、一つの大きな時代の

区切りだと思います。

 そこでお伺いします。神奈川県が、随分長いこと関わってきて、40年以上でし

ょうか。そんな中で、どんな特徴があるのか、簡潔にお答えいただきたい。

答弁

(自然環境保全課長)        お答えいたします。小網代の森は、三浦市小網代の小網代湾を望む谷戸に残る緑地で、首都圏で唯一と言われる海、干潟、湿地、河川、その集水域、森林全体が自然のままに連続して残されている緑地でございます。

 生態系が良好な状態で保全されている。その中には、希少な動植物、植物と昆虫が多いのですが、そういったものが残されている、そういった特徴がございます。

松崎         今、言及がありませでしたが、例えばアカテガニとか、様々な希少な動植物がいると。亜熱帯のマングローブの森とは行きませんが、それに近く、水が引いたときと、満ちているときと、かなり様子が変わり、生態の形も変わると言うことだと思いますが、どんな風な創意工夫をされたのか、お聞かせ願いたい。

答弁

(自然環境保全課長)        創意工夫という視点で、何点か視点があるかと思いますが、その保全は、県と民間企業である京浜急行電鉄をはじめ、そう言った方々と協力していると言う点がございます。ここの自然を生かすと言うことで、環境学習の場として、活用していこうと。    

 これまで県としては、緑地と言うのは塊で残す。だから中々手入れが出来ていないと言うのがございましたが、県民の方に利活用していただく、これがまた一つ大きな視点なのかなと思います。

 そのために、オーバーユースになってはいけない。自然を破壊してはいけないと言うことで、木道の設置や階段の設置をきちっとして、そこを歩いてもらう。このような工夫をしています 。

松崎        湿地と言えば箱根の湿生花園や、もっと規模の大きなところだと尾瀬とか。国レベル、ナショナルトラストに係る湿地は、わりと多いのかなと思います。それだけ、デリケートな問題がいくつもあって、大気、水、そしてまたそこに係る様々な動植物の保全、外来生物のことがあるかもしれません。

 そういった意味では、非常にデリケートなことだと思う。私共の地元金沢区でも自然公園があり、やはりそこも湿地である。水辺に咲く様々な花々が四季折々に皆の目を楽しませてくれるので、多くの人が来ます。その分、守らなければいけないものがある。オーバーユースになってはいけないと言うのは一言で言うとそうであるが、中々難しいのかなと。

 最後に局長に伺いたい。神奈川県が40年近い歳月をかけて様々な関わり方をし、しかも反対運動と京浜急行、激突しそうだった両者の間に立って、自然保護を実現させつつ県民利用も図る。非常にベストミックスみたいなことを実現した。そして、それがまもなく19日にスタートするということで、記念すべき時だと思う。今後色々な課題があるかと思うが、その辺も含めて、今、どう言うお考えなのかご決意をお聞かせ願いたい。

答弁

(局長)                小網代の森につきまして、私ごとになりますが、昭和60年頃に土地利用の総合調整の仕事をしておりまして、その時に、自然をぜひ守りたいと言う開発反対運動の方々が大勢、アカテガニの旗を立てて、職場の方にお出でになったことをよく覚えております。

 本当に長い間、調整に力を尽くして参りました結果、このような形で小網代の森がずっと残ることになったのは、本当に感慨深く感じております。

 ゴルフ場になる寸前だったと思うのですね。それを市街化調整区域、逆に線引きをし、色々な保全の網を掛けて、これは将来未来永劫に残す地域になったという 本当に大勢の方々の力を得て、それが結集して、このような形になったと受け止めております。

 現在の小網代の森をご覧いただきますとマングローブとは申しませんけれど、本当に色々な植物、動物、アカテガニも走っています。そういった環境が守られています。

 自然環境とゴルフ場のような経済活動をどのように調和して、調整して将来に残していくか、非常に難しい問題で、経済活動も重要ですし、自然環境も一度壊してしまいますとまず二度と元には戻らない。

 その辺りを委員がおっしゃいましたようにベストミックスというところを何とか皆で見つけていこう。それが環境学習の場となりまして、ただ保全するだけではないです。

 これが非常に大きな意味があると思います。経済活動と自然環境保全のバランスをどこでとっていくかは、究極的に申し上げると人の意識の問題に直結していくかと思います、どちらが大切か、今の利益をとるのか、将来に残すものをとるのか、それは人の心の中に答えがあるのではないかと思います。

 環境学習の場と言うことで、主に子供達が小網代の森に来て、こんなに素晴らしいものが守られたんだという、例えば経緯などのことも昔話のように聞いてもらって、やはり今のことだけ考えていてはいけないと、将来、10年後、50年後、100年後のことまで考えながら日々の行動をしていかなければいけないと、もし子供達が小網代の森で学んでくれることができるのであれば、あの場所が守れたことだけでなく、広く色々な場所で、自然環境の保全と経済活動のバランスをどこでとっていくのかを、一人一人の方が判断する基本になっていくのかと思います。

 これからも多くの方に環境学習の場として、お出でいただいて、貴重な自然を実感していただくということをなるべく広めていきたいと思っております。

松崎        要望を何か言おうと思ったが、言うことはない。今の局長の答弁が全てだと思います。おっしゃっていることは、そのとおりだと思いますし、実際、私どもも議会も、この小網代の森については、本会議を含め委員会でも記録を紐解けば大勢の先輩方が関わって今日に来ていると言うことを私自身も若輩者として学ばせていただいてきたわけでして、神奈川県の自然保護、また経済活動のベストミックスと言うところを図って行こうと言う非常に明るい前向きな気持ちが最後はここに至ったと思いますから、この気持ちを忘れずに私も議員として神奈川県庁の皆様と一緒に頑張っていけたらと思いますので、よろしくお願い致します。