平成26年9月30日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 県外上流域対策について

松崎      

 県外の上流域対策について伺います。

 水源環境保全・再生の取組みにつきましては、現在、第2期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画の3年目でありまして、森林整備などの事業が進められているものと承知をしております。その中で、相模川の県外上流域である山梨県の桂川流域におきまして推進している森林整備や生活排水対策は、本県の主要な水道水源である相模湖・津久井湖の上流域にあることから、県民のいのちの源である良質な水を育むという大切な役割を果たしているものと認識しています。

 そこで、現在の第2期実行5か年計画で取り組んでいる相模川の県外上流域対策に関して何点か伺います。

 はじめに相模川の県外上流域の桂川流域において、山梨県との共同事業として県域を越えた上流域対策に取り組むこととなった経緯を簡潔に確認したいと思います。

桑野 水源環境保全課長      平成19年度から23年度までの第1期の実行計画におきまして、水源税を導入した事業の初めの5年間は、まずは相模川の県外上流域、すなわち桂川流域の調査を山梨県と共同して実施しようということになりました。

 この5年間の調査の結果、山梨県側の人工林の約6割が荒廃しているとか、あるいは河川の水質の負荷については、山梨県側から発生する要因が非常に大きいということが明らかになりました。したがいまして、これを受けまして平成24年3月に両県で協定書を締結いたしまして、平成24年度からスタートしております第2期計画において相模川水系上流域対策を山梨と神奈川が共同で実施するということで、現在進めているところでございます。

松崎        次に、第2期実行計画期間内における、期間中というのは平成24年度から28年度ですが、森林整備の内容と事業規模について伺います。

桑野 水源環境保全課長      森林整備につきましては、山梨県と共同して、桂川流域の荒廃した森林の間伐、あるいは間伐と一体となって森林の作業道の開設、こういったことを実施しております。

 事業の規模といたしましては、24年度から5年間、第2期計画の5年間で実施する予定の計画面積が1,280ヘクタール、事業費といたしましては、5年間で2億円を見込んでおります。以上でございます。

松崎        単年度それを換算いたしますと、256ヘクタール整備するということになるのですが、今年2月は大雪も降ったので、平成25年度までの森林整備の進捗というのはどういう状況でしょうか。

桑野 水源環境保全課長      これまでの進捗状況でございますが、まず、最初の平成24年度は、森林整備をはじめて山梨県で始めるということで準備に若干時間を要しました。それから、25年度につきましては、ただいま委員からもお話がございましたように、2月に山梨県で特に記録的な大雪がございまして、かなりの事業が繰越しをせざるを得なかったという、こういった影響がございます。したがいまして、計画目標面積、先ほどご答弁申し上げました1,280ヘクタールに対しまして、24、25の2年間の実績は345ヘクタールとなる見込みでございまして、進捗率は27パーセントでございます。なお、26年度の当初ベースの計画分を加えますと、3年間で637ヘクタール、進捗率はちょうど50パーセントになる見込みでございます。

松崎        どうするのですか。

桑野 水源環境保全課長      引き続き、山梨県に対しましては、事業の進捗が進むように協議を行ってまいりたいと考えております。常々、山梨県とは両県で協議を行っておりますが、今回の山梨の大雪はさすがに向こうも職員そのものが山に入れないということもそうなのですけれども、他の対応にかなり手を取られたという状況があったようでございますので、今年度に入って、その対応は一段落したというふうに聞いてございますので、引き続き協議をしながら進捗が進むように働きかけてまいりたいというふうに思ってございます。

松崎        県外上流域の対策でもうひとつ大きなテーマとなっているのは生活排水対策であります。そこで生活排水対策の内容と事業規模について伺います。

桑野 水源環境保全課長      山梨県と共同で行う生活排水対策でございますが、山梨県大月市にございます下水処理施設で桂川清流センターというのがございます。こちらで相模湖、津久井湖のアオコの発生原因といわれておりますリンを除去することを行っております。

具体的には、その桂川清流センターにおきまして、リンを削減する効果のあります凝集剤、これを設備に設置をいたしまして、通称PAC処理と呼ばれております排水の処理を山梨県と共同で実施をしております。 

 これまで、本県がリンの除去装置の建設費を負担し、また、山梨県が施設の維持管理を行うということで、いままで施設の設置を進めてまいりましたが、平成26年4月から運営をスタートしております。以上でございます。

松崎        その生活排水対策ですけれど、リンの濃度というところについて、具体的にどういう状況になっているのか説明願います。

桑野 水源環境保全課長      お答えいたします。この事業の当初の目標でございますが、このリンの除去装置を設置する前の平成22年度時点の数値ですが、この下水処理施設から放流されるリンの濃度は1リットル当たり1.25ミリグラムでございました。それに対しまして、これを半分に削減しようということで目標値を0.60ミリグラム/リットルに設定をしたところでございます。先ほどお話しましたように4月から稼動しておりまして、現在のところ、例えば、平成26年7月の平均の放流水の濃度でございますが、0.18ミリグラム/リットルということでございまして、目標の0.6に対しましてかなりの効果が出ているというふうに受け止めてございます。以上でございます。

松崎        この処理対策によるリンの濃度について、いま説明がございましたけれども、それにより年間でどの程度、桂川のリンの負荷量は改善されるのでしょうか。

桑野 水源環境保全課長      ただいま申し上げました濃度を年間に換算いたしますと、仮に目標値であります0.6ミリグラムでずっと推移したといたしまして換算いたしますと、1年間で2トン削減される計算になります。この2トンという量は桂川全体で見ますと、年間のリンの流入量、相模湖に入ってくる流入量は大体98トン位あるというふうに言われておりますので、全体から見ると2パーセント程度という削減量にとどまります。

 しかしながら、ただいま申し上げました98トンの濃度というのは、様々な要因、自然系とか、いろいろな要因がございまして、生活排水から来ていると思われるのは98トンのうちの30トン、約3分の1程度と言われておりますので、それから見ますと30トンのうち2トンが削減されるといったような状況でございます。以上でございます。

松崎        実際には、7月のデータでは0.18ということですから、更に削減量が上積みされているのかなというふうに思います。動き出したところだということですから、まだ、そこは慎重なお答えなのかなと思いますけれども、もうひとつ伺います。

 桂川・相模川のように重要な河川の流域で対策を進めるに当たりましては、上流域の皆さん、他県の方々ですけれども、山梨県のような方々にも意識を持っていただくということが、上流域における下水道とか、合併浄化槽等の整備など、生活排水対策の推進につながっていくというふうに考えております。今後、神奈川、山梨両県の上下流域の連携推進に当たって、どのように取り組んでいくのか伺います。

桑野 水源環境保全課長      確かに山梨の皆さんに森林の整備あるいは生活排水対策の認識を持っていただくということは大変重要でございます。このため私どもとしては、山梨、神奈川の県域を越えて流域保全活動に市民団体とともに取り組んでおります桂川・相模川流域協議会という組織がございます。この中に県も参画いたしまして、合同で山梨県側、神奈川県側、交互に県民フォーラムを開催したり、様々な普及啓発活動に取り組んでおります。特に本年度は、私どもの方から山梨の河口湖町のショッピングセンターに出向きまして、山梨県の職員とも共同して県外上流域のただいまご説明したような事業の内容とか、あるいはそのための意識を持っていただくためのお願いを山梨県においてPR活動を、リーフレットを配布しながら行ったところでございます。こういった取組みを引き続き山梨県と神奈川県、あるいは様々な両県の市民団体とも連携しながら、水源環境に対する理解を深めていただくように努力してまいりたいと思っております。

松崎        是非、全力を傾けて取り組んでいただきたいと思っております。ここで要望をいたします。

 相模川は、県内の水道水源の6割をまかなう、県民にとってかけがえのない重要な河川である。その相模川は山梨県から流れてきており、上流の山梨県から流れてくる水質を改善する取組は、相模川の水に直結する重要な取組みであります。

 山梨県と神奈川県で、水に対する県民感情が異なるということがあってはならないと思います。本県は山梨県との連携なくして、県民の水がめを守ることはできないという実情がある訳ですから、山梨県民、神奈川県民が、ともに相模川の水の大切さについて考え、県境を越えて一体となって行動していけるように、山梨県側との連携をさらに強めて、県外上流域対策にしっかりと取り組まれるよう強く要望いたします。