平成26年11月5日決算特別委員会での質疑のまとめ

感染症とくにエボラ出欠熱対策について

松崎:     民主党・かながわクラブの松崎淳です。

日本では、平成24年から25年にかけて、風しんが大流行しました。本日は感染症対策につきまして伺ってまいります。そして、平成25年春先からは、中国で鳥インフルエンザの流行が拡大し、新型インフルエンザとなるのではないかと懸念が広がったところであります。

今年に入ってからは、8月下旬にデング熱の国内感染が約70年ぶりに確認され、現在は、西アフリカを中心に、致死率の高いエボラ出血熱の患者が急増しています。

このように感染症に対する不安が大きくなっているところであります。

そこで、県における感染症対策について伺います。

 まず、風しんについてですが、平成25年に風しんが大流行した際に、県では主要施策説明書8ページにあるとおり「風しん患者の急増に対応するため、ワクチンの接種費用を助成する市町村に対し、市町村自治基盤強化総合補助金の枠組みを活用して補助を行った」と承知しています。

県内の全ての市町村がワクチン接種費用を助成し、県は、計1億2,240万円を補助したと聞いていますが、この補助により何人の方がワクチン接種できたのでしょうか。

 また、この人数は、当初市町村が見込んだ人数に対してどれくらいの執行率だったのか伺います。

健康危機管理課長:             1億2,240万円という県の補助額は、補助対象となった人数に換算しますと、82,701人分相当となります。

  平成25年度6月補正予算額は、1億2,900万円でしたので、執行率は94.9%となります。

松崎:     風しんの流行を受け、本県がいち早く取り組んだことにより、全ての市町村が実施し、急遽、始めた事業にもかかわらず、それなりの執行率だったのではないかと評価はいたします。

しかし、依然として風しんの抗体を持っていない方が多くいる中にあっては、県では、今年度から展開している「風しん撲滅作戦」により、県が率先して風しん撲滅に向けた取組みを進めていただきたいと思います。

 また、最近では、エボラ出血熱に対する脅威が高まっています。

 エボラ出血熱は、西アフリカのギニア、リベリア及びシエラレオネを中心に流行しております。スペインやアメリカにおいても患者が確認されているところです。

  大変致死率が高く、有効な治療薬もなく、徐々に感染区域が拡大しているのではないか、日本にも感染が及ぶのではないかと、大変深刻に受け止めています。

 WHOの発表によれば、全世界で患者は1万3千人を超え、そのうち4,900名以上が亡くなっているとのことです。

 このような致死率の高い感染症については、あらかじめの備えが重要であります。平成25年度には、具体的にどのような備えをしていたのか伺います。

健康危機管理課長:             重篤度が高く、これまで日本国内で発生したことのない感染症が発生する懸念がある時には、県として体制を整えて臨んでおります。

 具体的には、事前にその感染症の症状や、患者に聞き取る事項を医療機関に周知徹底を図ります。

 その上で、医療機関において、患者と疑わしき人を診察した場合には、保健福祉事務所へ連絡をいただき、検体を採取し、患者であるか否かの検査を行います。

 一方、患者の方に対しては、感染症指定医療機関へ移送し、感染しないよう専用の病床へ入院してもらい、治療を開始するとともに、感染が広がらないよう、患者が他の人とどのように接触したか行動歴を調べるなど、必要な措置を図っていくことになります。

松崎:     平成25年度の対応については理解しました。しかし、現在のエボラ出血熱の広がりを考えれば、私としては、そのような対応だけでは心もとないと感じます。

県では、エボラ出血熱についての現在の状況を、どのように受け止めているのでしょうか、また、対応すべき課題は、どのような点であると認識しているのでしょうか併せて伺います。

健康危機管理課長:            現在は、国内にエボラ出血熱のウイルスが入る前の段階ですので、まずは国が、水際対策をしっかりと講じることが重要だと受け止めております。

 その国の対策ですが、検疫所の対策を強化しておりまして、ギニア、リベリア、シエラレオネの西アフリカ3ケ国の流行国からの帰国者や入国者は全て、健康を監視する対象とし、さらに発熱の症状がある場合は、全て疑似患者とみなし、特定又は第1種感染症指定医療機関へ移送の上、検査を徹底することとしています。

 こういった中で、県の対応といたしましては、こうした水際対策によっても、検疫所をすり抜け、県内に感染の可能性のある方が生じた場合を想定して、予め対応を徹底することだと考えております。

松崎:     重篤度の高い感染症に対する、これまでの対応は、基本的なフレームとしては理解できますが、エボラ出血熱ということを考えれば、対策を拡充すべきであると考えます。この点に関して県の考えを伺います。

健康危機管理課長:            エボラ出血熱は、致死率が高く、現在のところ有効なワクチンも実用化されておりませんので、患者の診察や移送の際に、二次感染を防止することが重要だと受け止めております。

 そこで、実際に患者を受け入れることになる、第一種感染症指定医療機関である、横浜市民病院と調整を行っておりまして、患者受け入れ際の手続きや、検体を採取し、国立感染症研究所へ検査を依頼するかたちとなるため、検体を搬送する際の段取りなどについて、予め定めておくなど、連携を強化しております。

松崎:  平成25年度からの対応を伺ってきましたが、答弁のあった県の対応は、非常に重要だと思います。しかし、エボラ出血熱が、今後、どのような状況に進んでいくのかは予断を許さないものと受け止めています。

 仮にどのような事態になったとしても、県民の命を守るため、県としては万全の体制を整えて臨んでほしいと思います。今後に向けた保健福祉局長の考えを伺います。

保健福祉局長:    エボラ出血熱の動向については、大変深刻なものとして懸念をしています。いま、課長から答弁いたしましたが、国内で発生したという事例はありませんので、国が水際対策を強化に合わせ、万が一、水際対策をすり抜けた場合にどのように迅速に対応すべきかがポイントになってくると考えております。厚生労働省としてもその点の徹底を繰り返し都道府県に対し指示をしております。

 県としましては、医師会や病院協会を通じまして、県内の医療機関に万が一疑い患者が発生した際の対応について徹底をお願いしているところです。

 そして、万が一の場合には、横浜市立市民病院で隔離をしていくわけですが、横浜市立市民病院との間では、具体的にどのような対応とするのか既に打ち合わせを行いました。

 また、その疑わしき患者の対応を行う保健所職員の対応については、万が一のことがあれば二次感染ということになりますので、具体的な対応の方法、そして、防護服の着脱の方法など実習を含めた研修を早々に行っていこうということで、今準備を進めているところです。その防護服についても急遽200着の発注をいたしました。

 さまざまなリスクがある中で、万が一のことがあれば、いかに迅速に的確に対応するか

が重要ですが、それは日頃の準備を万全にすることによって、出てくる成果だと思っております。そのため、徹底させていただいて、県民の方々の命を守るよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

松崎:     県が行ってきた、これまでの感染症対策については、本日は時間の関係上、風しん及びエボラ出血熱に特化して進めてきましたけども、一定の評価ができると受け止めつつも、引き続きの拡充をお願いしたいと思います。

 特に、エボラ出血熱の対策については、保健福祉局長から、県民の命を守るために取り組んでいくという気持ちを伺いました。

 エボラ出血熱のような致死率の高い感染症は、ひとたび、国内で感染が広がると、取り返しのつかない事態になる可能性があります。

 県としても、県内でも起こり得るという認識のもと、国や医療機関、隣接都県、市町村と十分連携し、具体的な対応を想定していただきたいと思います。

 また、防護具のさらなる備蓄も必要だと思います。

 さらに、本県にゆかりのある富士フイルムのグループ会社が開発した新薬(ファビピラビル)が、これまでにヨーロッパで、緊急措置として4人のエボラ出血熱患者に投与されています。フランスとスペインで患者の症状が改善したとの報道もありました。

 せっかく神奈川県にゆかりのある企業が開発した新薬ですので、万一、県内で発生した際に、この新薬が神奈川県で使えないということになれば、余りにも残念です。成果の見極めは必要だと思いますが、こうした事態にならぬよう、予め国への働きかけが必要であると考えます。

 いざと言う時に備えを万全の準備を整えておくということで、これまで以上に危機感をもって、県民の安全・安心のため、取り組むよう強く要望し、この質問を終わります。