平成27年3月3日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 廃棄物の不法投棄対策について

松崎      

 何年か前に環境農政常任委員会に所属した時にも、当時の部長に色々とお伺いしたことがあります。県民の方の中には、廃棄物に関しまして必ずしもルールを守ってくださらない方もいらっしゃいます、県は代執行を行ったり、あるいはごみ屋敷の問題に直面したり、さまざまな形で最後は県民の負担となって跳ね返ってくる問題ですので、敢えてまた取り上げさせていただきます。

廃棄物の不法投棄や不適正処理は大きな社会問題であり、県民の生活環境に大きな影響を及ぼすものです。県民の生活環境を良好なものとして保全するためには、不法投棄や不適正処理に対して的確な対策を執ることが重要だと考えます。この度、行政手続法の改正を踏まえ、条例を改正するということなので、あらためて本県の不法投棄対策について、何点か伺ってまいります。

まず、神奈川県における廃棄物の不法投棄や不適正処理の状況は、どのようになっているのでしょうか。

廃棄物指導課長  

 本県の不法投棄についてですが、平成25年度の不法投棄の件数及び投棄量は、横浜市、川崎市など政令市を含めた県全体で1,460件、417トンとなっており、数字の増減はあるものの、ここ数年は件数、量ともに横ばいの傾向にあります。

内容につきましては、一般廃棄物系が多く、内訳として、多い順に廃プラスチック類、家具類、厨芥・雑芥、家庭電化製品、自転車などになっております。

なお、建設廃材のような産業廃棄物の大規模な不法投棄や不適正処理は減少していますが、いわゆる引越しごみのような一般廃棄物系の小規模な不法投棄が後を絶たない状況にあります。

松崎       私の地元の金沢区に関してですと、例えばですが、平潟湾でダイバーの方が潜ると、熱帯魚と自転車が見られます。熱帯魚はブラジルなどで見られるもので、自転車はまだ乗れるだろうと思われるものがそのままの形で沈んでいます。ダイバーの方がその映像を撮っていて見せてもらいました。熱帯魚も実は投棄されたものでしょう。人は何故に自らの環境を自らの手で汚してしまうのか。行政としてもそれを放っておけない問題だと思います。

また平潟湾に注ぐ侍従川という河川では、子供から小学校の先生がみんなで侍従川をきれいにしようというクリーンナップ作戦をやっていますが、なぜクリーンナップ作戦が必要かと申しますと、投棄されたごみがあるからです。そこでお伺いしますけれども、不法投棄や不適正処理に対して、まずどういう対策をとっているのでしょうか。

廃棄物指導課長    対策としましては、未然防止が何よりも大切なことから、監視活動としまして、職員によるパトロールの他、市町村との合同パトロール、民間の事業者による委託パトロールを行っている他、監視カメラも設置して、不法投棄の抑止を図っています。

また、普及啓発も大事だということで、不法投棄撲滅キャンペーンや、各市町村が実施する環境美化キャンペーンなどに参加し、不法投棄をしない・させない・許さない地域づくりの普及に取り組んでおります。

松崎         不法投棄や不適正処理に対する取組方は難しいとか、知恵が要ると、住民の方は感じていらっしゃると思っております。なぜかというと、20軒建って1つ区画の中のどなたかがそれをなさったかもしれないし、比較的遠いけれど歩いていける距離の方の誰かが繰り返し捨てているかもしれない。その人とは近隣でお付き合いしていたり、町内会で顔を合わせている可能性がなくはない。あるいは、地域との連携がなく一人暮らしをなさっている方なのかもしれない。いずれにしても遠いところにいる人が捨てにくることももちろんあると思いますが、一方では自分たちの町の中の人にひょっとしたら捨てている人がいるかもしれない。そうすると、監視活動とか、取締り的なことというのは、それを住民の自治的な組織に求めても、なかなかそれを徹底するのは難しいものがあると思います。よく捨てられる場所に監視カメラを置いていこうというのはあると思いますけれども、一般的に住民同士がお互い監視しましょうみたいな事を行政として推奨できるでしょうか。あるいは、そうではなくて別の取組を考えているのであれば、お答えいただきたい。

廃棄物指導課長    先ほど説明しました監視カメラは、いわゆる道路とか農用地など人がいないところ、捨てやすいところ、トラックなどで運んできて捨ててしまうような不法投棄に対しての対策で、その他に監視活動、パトロールに取り組んでおります。

 今、委員がお話されたような、いわゆる住宅地など人が住んでいるところについては監視活動を行っておりません。当然、一般廃棄物が中心となってきますので、市町村の方でポイ捨て等に対する啓発活動を一生懸命行っていただいておりますが、自治体としてはなかなかなくならないと承知しております。これについては、啓発とか意識ということを変えていかなければならないと考えております。

松崎        買い物をしようと車でコンビニに行き、ごみ箱に直面するような場所に車を止めていると、スタスタと歩いてこられて、恐らくご自身のごみを捨てて、何気なく帰って行く人がおられたりします。そうしたことも含めて、モラルとか、人の道とか、世の中で当然行っていいところと悪いところをわきまえるということは、広い意味では環境問題なのかもしれませんが、やはり教育ですとか、家庭ですとか、あるいは、世の中のお互い様の中で自然とものを言わなくてもルールで強制しなくてもお互いがわかっているよねというような、倫理、常識の問題だと思います。そうしたことについて取っ掛かりだけでも、県や市町村などの行政が、最初だけは火起こしをして、後は住民の方々自身が家庭教育を含めてきちんとやっていくというように、啓発活動をやっていかければいけないのかなと思います。

課長の所管を超えているかもしれませんが、何かお考えがあったらお聞かせ願えないでしょうか。

廃棄物指導課長    こういう問題はいつも悩ましく、ポイ捨て等を含めてなくならないことだと思います。先ほどお話があったように、コンビニの前とかは、まさにごみ箱を置けば、皆さんが捨てに来てしまう。ごみ箱を置かないコンビニの前は非常に綺麗で、そのような取組もなされています。ごみ箱を置く方がよいのか、置かない方がよいのか、という議論もあるのですが、やはり、ある程度回収もしなければならないので、県も市町村も、廃棄物を扱う事業者さんも非常に懸念されています。やはり、意識の改革が一番だと考えます。美化キャンペーンとか、小さいお子さんや小学生に色々な標語を書いていただいたり、ポスターを書いていただいて、こういう問題に意識を持っていただいているのですけれども、やはり大きくなると捨ててしまう方も出てきてしまう。我々としてはそういう問題に対して地道に啓発に取り組んで、あきらめないで続けていくしかないと思っております。

松崎        あきらめないで、ということは、私も大切だと思っています。やはりそれでも最後は、県自身が関わることもありますし、市町村が関わることもあります。原状回復措置を取る場合、費用については、税金から一旦負担をしたとしても、原因者に負担を求めるということになろうかと思います。最後は法的な強制力の発動ということになると思いますが、年間どれくらい法的強制力を発動しているのか、また、どれくらい原因者からお金を回収出来ているのか、データがあればお答えください。

廃棄物指導課長    原状回復ということですが、行政代執行による原状回復は、平成17年度に代執行をした件以来、神奈川県ではございません。原因者が特定できて、なおかつ生活環境保全上の支障があり、放っておくと周辺に影響があるものについて代執行を行ったわけですけれども、それ以外で、例えば不適正保管などで周辺環境に影響がある、崩れて周りに影響があるような事案は、今現在のところはありませんので、代執行となるような案件はございません。ただ、県としては原状回復のため若干予算を取っておりまして、行為者が特定できない場合、放っておかれると更に捨てられてしまうとか、なかなか撤去できないような困難なところを選んで、大規模化を招く恐れのあるところについては、県独自の事業として不法投棄撤去事業を実施しております。平成26年度は、5箇所、60?の撤去を実施したところです。

松崎         どのくらいのコストが掛かったかわかりますか。

廃棄物指導課長    5箇所で120万円程かかっております。

松崎         それは原因者に請求して返してもらったのですか。

廃棄物指導課長    残念ながら、原因者が特定できない場所なので回収出来ておりません。

松崎      

 やはり由々しき問題だと思います。その120万円があれば、本県はあれだけの緊急財政対策で削りに削ったわけですから、削らなくて済んだ事業がいくつもあったと思います。小額のものから削ったはずです。年間非常にわずかな金額だけれども事業としてはずっと続いていたものもいくつもあったはずです。120万円あれば、恐らく幾つかはそのまま続けられたと思います。我々県会議員はそういう時に必ず何故なんだと矢面に立って説明をしてきたわけです。これは残念だと思います。

 それでは、これからどのように取り組んでいくつもりなのか、重ねてお聞きします。

廃棄物指導課長    不法投棄等は生活環境に大きな影響を及ぼします。行為者が特定できない場合は、土地の所有者に自ら撤去していただかなければならないなど、大きな経済的損失にも繋がるので、何より未然防止対策が重要と考えます。

これまで監視パトロールの実施や、監視カメラの設置など、市町村と連携して監視活動にあたってきました。

また、条例制定後は、不法投棄を許さない地域環境づくりを推進するため、県民の皆様から情報提供を求めるとともに、様々な機会を通して、普及啓発活動に努めてきました。

今後とも、パトロールやキャンペーンなどの取組みを継続していくことはもちろん、市町村、警察、県民の皆様と協力を十分に図り、連携を強化してまいりたいと考えております。

松崎        答弁にありましたとおり、平成17年度の代執行の時、まさに私は環境農政常任委員会の委員でありまして、色々な議論をしたことを昨日の事のように思い出します。

不法投棄は、県民の生活環境を脅かす行為でありますし、また同時に、県民に新たな負担を生じさせるものでもあるわけです。税金を使って原状回復を行った結果、原因者に請求できないままになっているということからすると、まさに、県、県民にとって損失となっています。不法投棄対策は、県民、事業者、市町村あるいは警察とも連携を一層強めていただいて、対策に万全を期すように強く求めたいと思います。