平成30年3月16日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ SDGsの環境面での取組について

松崎      

 SDGsの環境面での取組について何点か伺います。まず、SDGs、他会派から質問があったところでございます。本会議でも取り上げられていたし、我々としても関心を深めているところでありますが、県としてはどのように取組を進めていこうと考えているのか、まず大きなくくりでお答えください。

環境計画課長      

 答弁の中で知事は、いのち輝く神奈川の実現に向けて様々な施策を展開し、総合的に取り組むことがSDGsの考え方と軌を一とするものであること、グランドデザインの点検や今後の政策づくりを進めるにあたって、県の政策とSDGsとの関係を整理すること、3点目といたしまして、SDGsを念頭においた政策の方向性を検討し、持続可能な神奈川づくりを進めていきたい、最後になりますけれど、市町村と一体となってSDGsの推進に取り組むことといった考えを示したと認識しています。

松崎         本県として17のSDGsの目標のうち、環境に関わりの深い目標はどれとどれなのですか。

環境計画課長         環境分野に関わりが深い目標や内容としては、目標7の持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する、目標12の持続可能な生産消費形態を確保する、もう一点、目標13の気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる、などがあると考えています。

  また、目標14の海洋資源を保全し、持続的に利用する、目標15の陸域生態系の保護・回復・利用の推進、森林の管理、砂漠化への対処なども環境に関わるものと考えています。

松崎         私ども会派の当環境農政チームでですね、気候変動をテーマに県内の実地調査を手掛けまして、国の研究所等も適応策等について伺ったりしているところでございますが、9月の常任委員会において、この適応策について地球温暖化対策計画に位置付け、取組を行っているとのことでありました。本県にはどのような影響が出ているのか、また、どのように取り組んでいるのでしょうか。

環境計画課長        本県への「気候変動」、いわゆる地球温暖化による影響ですが、横浜地方気象台の観測データによりますと、この100年の間に平均気温が約1.8度上昇しておりまして、稲の品質低下や、イチゴの収穫時期の遅れ、柑橘類において皮と果肉が分離する浮皮(うきかわ)などの農業への影響や、これまで比較的暖かい海にいた魚の増加による沿岸漁業への影響、熱中症患者数の増加などの影響が出ています。 取組内容でございますけれども、例えばイチゴの収穫時期の遅れや柑橘類の浮皮(うきかわ)等に対しまして、農業技術センターにおいて技術試験を実施し、適応技術の構築等を行っております。また、高水温によって海藻を食物とする暖かい海に生息する魚類等が磯場の海藻がなくなる、磯焼けといわれる現象が起こっておりまして、この原因と考えられている魚、アイゴの食用への活用を水産技術センターにおいて研究しています。

松崎        当局、環境農政局以外の分野では例えば土砂災害に対して、このエリアについていえば非常に危険だとか、かなり危険だというように実際に調査をして地域を指定しているということが相当程度進んでいっている訳ですけれども、これなどは適応という意味ではかなり深刻なんじゃないかなと思いますが、気候変動の目標を達成するためにはどのようなことが必要かと考えているのでしょうか。

環境計画課長         気候変動の目標の中にあるターゲットには、自然災害に対する強靭性の強化や、気候変動対策を国家の政策や計画に盛り込むこと、さらに教育や啓発についても記載されております。こうした各分野の政策に総合的に取り組んでいくことが重要と考えております。本県も、地球温暖化対策の適応策につきましては、庁内横断的な組織を立ち上げまして、情報共有を行ってきたところでございまして、改めて今後SDGsとの関係を整理した後も、相互に政策連携を図りながら取組を進め、目標の達成に努めてまいりたいと考えております。

松崎         大変深刻な課題でありまして、是非とも推進をしていただきたいと思っていますが、我が会派として、先日も石川委員の方から地球環境戦略研究機関、いわゆるIGESについて取り上げたところでございます。IGESについて、その質問を受けて更にお聞きしますが、SDGsに関しては、どういう連携あるいは研究を行っていますか。

環境計画課長        IGESでは、SDGsが国連で採択される以前から、環境問題を単体で捉えるのではなくて、経済や社会と関連づけた研究や提言を行ってまいりました。こうした背景もありまして、国連がSDGsの採択と同時に発表した「SDGsの企業行動指針」の日本語訳をいち早く公表するなど、国内におけるSDGs推進に大きな役割を担っております。また、SDGsに関する研究については、環境省との協働で企業等のステークホルダーとの会合を開いたり、企業におけるSDGsの実態調査などを行いまして、これらの研究や活動を通じた知見を「動き出したSDGsとビジネス」というレポートにまとめまして、普及に活用するなど、主にSDGsと企業の関係に焦点を当てた研究と啓発を行っております。

松崎         本県と連携というと、IGESの側は、どうぞ、どんどんやりましょうと仰っていると伺っていますので、この点、重いと思うのです。県も積極的に連携を取っていくべきと思うのですが、IGESとSDGsに関しては、どういうふうにこれから連携していきますか。

環境計画課長        SDGsにつきましては、これまでもIGESを講師として迎えて、セミナーなどを行ってきたところでございますけれど、今後も引き続きIGESの知見を活かしながらSDGsの普及啓発に努めていきたいと考えております。

松崎      

  より一層、力を入れるということは言えませんか。

環境計画課長        SDGsにつきましては、「かながわ地球環境保全推進会議」という持続可能な社会の実現に向けて色々取組をし、推進を図ってまいりますので、引き続きSDGsについて、県民の皆様に普及啓発を強化してまいりたいと考えております。

松崎         IGESとの連携について聞いているのですけれど、力を入れていくということは、答えられないのですか。

環境計画課長        普及啓発に関しましては、IGESとの連携も含めて、強化を図っていきたいと考えております。

松崎         間違いないですね。  今回、水質の類型見直しを行う6河川がございますが、この内の2河川が、たまたま私の地元、金沢区に流れている川でございまして、例えば侍従川という川は「ふるさと侍従川に親しむ会」という団体が、長年、子どもたちが昔のようにもう一度遊べる自然豊かな川として守り育てていくことを目的として活発に活動しておりますし、また、同じく金沢区の宮川という河川でございますが、こちらの河川では地元の小学校などで、この河川の源流までさかのぼって生物の観察などを行う環境学習事業をやっております。このように、具体例、実際の現場の場面におきまして地域において活躍しておられる方々、団体、ボランティアの方々が大勢いらっしゃるのですけれど、こういった方々について、SDGsを推進するために、もっと掘り起こしも含めて県として取り組んでいくべきだと、私は日ごろから強く思っているのですが、この点についての考えを是非お聞かせいただきたい。

環境計画課長       県内の環境人材でございますけれど、知事が任命する「地球温暖化防止活動推進員」、それから団体で申し上げますと「かながわ環境カウンセラー協議会」、「かながわ環境学習リーダー会」こういったところが中心となって、県内各地で活動いただいていると承知しております。ただ、こういった環境団体等につきましては、まだ、どうしても環境人材が不足しているとの意見もございますので、人材育成に力を入れていきたいと考えております。それには、まずは将来を担う若い世代の発掘、それから育成が非常に重要と考えておりまして、そのための施策としては、現在も環境・エネルギー等に関して豊富な知識や経験を有するNPOなどの団体や企業の方を講師としまして、小・中学校、それから高校等に派遣し体験型の授業を実施していただく「環境・エネルギー学校派遣事業」を行っています。また、環境問題に取り組んでいる企業において、県内の大学生にその取組を体験していただく「環境インターンシップ」、こういったことも実施をしております。今後は、例えば県内の大学と連携しまして、学生にSDGsの理解を深めてもらうための方策、こういったことも検討しながら、人材の掘り起こしに努めてまいりたいと考えております。

松崎        (要望)  従来の取組に加えて、大学生にも色々とアプローチを掛けていこうということでございましたが、その意欲は買いますが、実際にその現状でやっていると届かないという実感があるという答弁でもあるので、なぜ届いていないのかということを、もう少し客観的に考察をいただいて、見直すべきところはサッと見直してもらって、現場で活躍している人と一緒にやるというところまで、あまり上から目線ではなくて、一緒にやると言うところが大事なので、現場までちゃんと目が届くような形でやってください。

松崎         マイクロプラスチックついての問題は、私自身も漁港を抱えるまちに住んでおりますので、関心を持ってきたところですが、昨年9月の当委員会でも我が会派の日下委員が取り上げております。捨てられたレジ袋やペットボトルなどのプラスチックが海で分解されて細かくなったり、あるいは洗顔料・歯磨き粉等の製品に含まれる微小なプラスチックが流出したりすることによって、5ミリメートル以下になった微小なプラスチックを魚が取り込み、そして海鳥へと食物連鎖の中で、生態系に影響が及んでいくということが懸念されているというよりも、実際に影響が及んでいるということで非常に問題だと思っています。 県におきましては、環境科学センターがマイクロプラスチックに関する調査を行っていると承知しているが、県としてこの問題について、どのように取り組んでいるんでしょうか。

大気水質課長         本県では、昨年度から相模湾の海浜におけるマイクロプラスチックの漂着状況やマイクロプラスチックに吸着する化学物質の実態を把握するための調査を行っています。 これまでの調査の結果、相模湾の海浜4ヶ所、また比較のため東京湾の海浜1ヶ所においてマイクロプラスチックの漂着状況を調査比較したところ、海岸によって漂着量に大きな違いがあり、地域特性が見られることが分かりました。 また、漂着したマイクロプラスチックの形態は、元々は大きかったプラスチック製品が砕かれて細かくなった破片が主体であることが分かっております。

  今後の計画ですが、マイクロプラスチックに吸着された化学物質の把握や、海岸に漂着しているマイクロプラスチックの由来について調査を進めていく予定です。

松崎       大変深刻な状況だなと改めて受け止めました。  局長に伺いますが、マイクロプラスチックの問題は海洋汚染の問題にとどまらず、廃棄物問題でもあり、食物連鎖の問題でもあります。

  こういう問題を解決していくためには、一つの側面からだけでなく複合的に起きてしまった課題に対応していくしかないと思います。

  SDGsの目標には気候変動と海洋とか生態系、森林などそういったものがそれぞれありますが、それぞれのターゲットというのは、このマイクロプラスチックの問題にも絡まっていくものと考えています。 そうすると環境農政局としては絡んだ糸をどのようにほぐしていくのか、そしてより暮らしやすい明日を子供たちにどう保証していくのか、ということについてストレートにお聞きします。

環境農政局長         このSDGsについて、今、議員からお話のあったように、様々な事象について改めて見直していきますと正に色々な課題が絡み合って、それを解きほぐしていかなければならないとういことが、ある意味ではわかりやすく布石が打てるようになったと考えています。 そうした中で環境農政局が関わる部分は多いと思いますので、私共としても他の部局に積極的に働きかけを行いながら、様々な場面から統合的に且つ連携しながら、やっていかなければいけないと考えています。

  そうした中で私が最近思っているのは、今までも各部局縦割り行政の弊害ですとか、クロスファンクションですとか実際に連携が必要だとずっと言われてきたが、中々進まないというふうに私も思っています。

  そうした中で評価についても今までの施策の評価というのは一つの施策を一つの指標で見ていくという考え方でした。ただ、今のようなこれから進めていこうとする問いに対しては、そうではなくて、その一つの施策が他の色々な施策にも影響していくんだということをきちんと評価の面でも表していくという中で、それぞれが自分達の守備範囲だけでなく多角的な視野を持っていく、そうした視点も大事ではないかと思いますので、そういった部分も含めまして、是非、我々も主体的にSDGsの目標達成に向けての庁内での議論、市町村、県民を巻き込んでの議論を行いながら取組を進めていきたいと考えております。

松崎        (要望)  SDGsは世界共通の目標でございます。本県としても「いのち輝くかながわ」の実現のため、SDGsの推進に力を入れていくと表明をしています。17の目標は相互に関係しておりまして、推進にあたっては、県として部局横断的な取組が不可欠であります。さらに、SDGsの推進にあたっては、行政のみならず、民間企業や大学、研究機関、NPO等の団体、県民すべての主体が、それぞれが出来ることを確実に取り組むことが大切でありまして、相互に連携して取り組むことで効果的に推進することが可能と考えます。そしてこうした連携のための一つの手段として、地域社会のネットワークを生かしてSDGsを地域に広め、活動の輪を広げていくことが重要です。全庁横断で行うことがSDGsの推進につながると考えますし、民間企業や研究機関、NPO等との連携もしっかりと取っていただき、SDGsの推進にあたり、関係予算の効率的な活用を図りながら、成果があげていただくよう求めまして私の質問を終わります。