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2018年10月22日決算特別委員会での質疑のまとめ

県庁舎の地震・津波対策と安全性の確保について

(松崎委員)

 立憲民主党・民権クラブの松崎淳です。私からは、まず県庁舎の地震・津波対策と安全性の確保について、何点か伺ってまいります。本県では、県庁舎の地震・津波対策を推進しておりまして、先ほどの先行会派の質疑にもございましたが、決算特別委員会におきましても当該事業について報告をされているところでございます。

先日、報道がありました部品メーカーのKYBとその子会社による免震・制振装置のデータ改ざん、この問題が発覚をいたしまして、本県の新庁舎棟に設置された装置も基準を満たしていないと見られているという報道がございます。このような状況下、県民の不安は尽きないところでございまして、詳細について現在調査中のこともあろうかと思いますが、取り急ぎ、何点か確認をしたいと思います。

まずお聞きしますが、我が県のこの庁舎について、地震・津波対策を行う際の最大震度の想定というものを確認したいと思います。

(村島施設整備課長)

 この庁舎につきましては、現在、建築基準法等で求めております震度6強から震度7、この地震に耐え得るような設計を行っておりまして、それに対する安全性を確保していきたいということでございます。

(松崎委員)

 今、6強から7という想定が答弁としてございました。では、聞きますが、その震度では、正常に作動した場合にはこの免震・制振装置の関係はどんな働きをするのか、把握していますか。

(村島施設整備課長)

 新庁舎に設置されておりますオイルダンパーは、金属の筒状のものでございまして、中にオイルが入ってございます。このオイルの粘り気を利用しまして、建物の揺れ幅を抑え、揺れを早く抑える、こういった役目でございます。また、柱の中間に取りつけた免震ゴムとともに、併せまして建物の揺れを抑える働きをする、こういったものでございます。

(松崎委員)

 それでは、お聞きしますが、では、今おっしゃったような形で、正常に作動するかどうか、これは納品の際に検査、あるいは県として立会いをしているのでしょうか。

(村島施設整備課長)

 オイルダンパーの作動検査は、検査機器が大変大がかりなものになるということでございまして、この新庁舎の現場で納品時にその性能を確認するということはなかなか難しいということでございます。工場から出荷する前に、メーカーが全数検査をし、その検査結果の提出を求めまして、性能の確認を行っているところでございます。また、そうはいっても、全く見ないのかということでございますので、工場で行う検査については、全てということではございませんけれども、施工会社、設計者と共に、私どもの県の監督員も実際の工場に行って検査に立ち会い確認をした、というところでございます。

(松崎委員)

 全てではないけれども、しかし、立会い、その現場において確認をしたということでございます。抜かりなく検査をされている点について評価したいと思いますが、一方で、KYB側の検査体制、これについては確認をしておられますか。

(村島施設整備課長)

 工場検査につきましては、工場で製造しました、いわゆるその責任者、それから担当者、検査をするということでデータを計測する人、そういった方々と共に我々がその波形といいますか、振動に対してどれくらいの減衰をしていくとか、あとは外観上どうなるかと、そういうことでしておりますので、その場においてはその工場の方々に立ち会っていただいているところでございます。

(松崎委員)

 では、これまでの答弁を伺った上でお聞きしますけれども、本県のこの庁舎については、もともと東日本の大きな地震があった際に、大変な揺れを実感したことから、やっぱり県民にとって公共的なサービスをいろいろ提供していく中心たるこの県庁がしっかりとしたものでなければならないという、そういう強い実感から生まれた施工工事であると私は理解をしておるのであります。

そうしますと、当然ですね一般的な建築や、あるいは補修だとかではなくて、あくまで地震対策とか津波対策をどうするかということを念頭に置いた工事であると言えるわけです。そうすると、耐震性の確保ということ、これが中心的な課題であると思うわけですが、このことについてどのように当局は考えているのでしょうか。

(村島施設整備課長)

 もともと新庁舎は、昭和41年に完成しております。その後、縷々の大きな地震等、歴史的な地震等を経まして、建築基準法等も改正されてきております。そういった中では、現状、工事をする前においては、耐震性が現状の基準に劣っているというような状態もございました。また、委員が今言われましたように、東日本大震災でこの新庁舎も揺れ、外壁の一部にクラックが出て、対応したということから、本庁庁舎の耐震対策基本構想を定めまして、これに基づいて、地震と津波の両方の対策をしようということ、併せまして、防火、避難、これについても併せて一緒に工事を行いまして、今後発生するであろう大地震でも耐えるように設計して、ようやく昨年10月、ちょうど1年前ですけれども、工事を終えたところでございます。

そういった中で、このような不適合がある、データが改ざんされているということにつきましては、担当しました私どもといたしましても、大変遺憾に思っているということでございます。

(松崎委員)

 今、答弁の中に、やはり耐震あるいは地震・津波対策というお言葉がございました。そこで、少し振り返ってみたいのですが、2015年、今から3年前の3月に、東洋ゴム工業の免震ゴムについての偽装問題が発覚をしたところでございます。このときは、性能評価基準を満たしていない、また、データ改ざん、これが行われたということで大変、大きな問題となったわけでありますが、この免震偽装について交換作業はどんなものだったのだろうか、あるいは、完了までの手間というのは大変だったのかなということを誰しもが思うわけであります。

そこで、お聞きしますが、東洋ゴム工業の偽装問題に関して、交換工事というのは既に行われているのでしょうか。我が県の場合ですと、神奈川芸術劇場・KAATが非常に大きな問題となったと記憶しておるのですが、あれから3年以上経っておるわけですが、今、どんな状況ですか。

(村島施設整備課長)

 神奈川芸術劇場につきましては、所管外ということでございますので、詳しいことは私どもとしても把握しておりませんが、平成29年10月、ちょうど昨年ですが、神奈川芸術劇場と東洋ゴムとで交換に向けた基本合意書の締結があったということにつきましては、ホームページに載っているところでございます。この情報によりますと、予定では今年、今月ですね、10月から平成32年の4月まで工期がかかって、それで交換を全て行っていくということを伺っているところでございます。

(松崎委員)

 一部お聞きしたところでは、まだ着手されていないような話も聞くのですが、どうですか。

(村島施設整備課長)

 免震ゴムを交換するにあたりまして、すぐ免震ゴムを取り替えて、すぐ入れ替えということではなくて、もう一度躯体、コンクリートのところを補強、それから取りつけるための作業、いわゆる準備工事を行うということでございまして、これについては今年のはじめからかかっているということでございまして、ただ、ゴムの交換そのものは多分これからではないかということを伺っているところでございます。

(松崎委員)

 今、伺ったように、10月からと言いながら、実はまだ着工、着手がなされていないということでございます。非常に時間のかかる、やはり一旦こうした偽装等が起きると、その影響は甚大なのかなと。時間的にも大変なロスが生じるというふうに受け止めるわけでございます。

もう一つお聞きしますが、先ほど新庁舎の関係でいうと、昨年の10月に引渡しが行われておるということでございますが、今回の免震・制振装置のデータ改ざん、この問題が起きたことにより更なる交換が生じた場合は、製品の製造等々、いろんな今のテンポからいうと、2020年9月まで交換が完了しないのではないかと言われているのですが、その辺についてどうなのでしょうか。

(村島施設整備課長)

 現在のところ、現時点におきまして、私どもで設置しております新庁舎、16本の免震オイルダンパーがございますが、その全てが不適合なのか、データが改善されているのか、その辺もまだ説明がございません。ということで、今の段階で具体的にどれくらいかかるということを申し上げる状況ではございませんけれども、私どもとしては、そういった不適合があった場合におきましては、一日も早く、とにかく一日も早く工事に着手して、施工者、設計者、庁舎管理者など関係者と協議をして、工事による支障が及ぶ範囲を極力少なくしながら、効率的な確実な工事を実施したいと、今の段階では思っているところでございます。

(松崎委員)

 県としての思いは分かりました。私から最後にお聞きしたいのは、この問題では、やっぱり県の施設での耐震性への信頼が揺らぐということが非常に問題だと思います。そして、さっき少し取り上げましたが、東洋ゴムの偽装問題に続いて、これが二度目ということであります。このことを踏まえまして、どのように県として考えているのかお伺いします。

(村島施設整備課長)

 免震用のオイルダンパーでは、日本で一番多いシェアを占めていたこの製造業者、このような事態を起こしたということに対しましては、繰返しになりますが誠に遺憾に思っております。これまでもあらかじめ施工計画書などに基づき、検査データ等を確認した上で工事を進めてまいりましたが、そもそもそのデータが誤りだったということになれば、何を信用していいのかということも分からなくなってしまうところでございます。

まずは、県として普段の工事管理の中でしっかりと確認、検査を実施し、必要に応じて製造過程での性能検査も行うなど、安全・安心の確保に努めてまいりたいと思っております。併せまして、大臣認定を受けた製品ということでございました。製造業者に対する製造段階での検査、現場での取りつけ段階での立入検査、こういったものについても、二度とこのような問題が起きないように、今以上に厳格な検査、指導のほうを国のほうにも求めてまいりたいと思っているところでございます。

(松崎委員)

 今、答弁の中にもありましたが、やはり私どもこの問題を取り上げるべきは、その点もあるというふうに思っております。やはり、発注者側なのだから、万全なものが、もう間違いなく納品されるのだ、この前提に立っているというのではなく、日々技術革新もございますので、より良いものが納品されるようにという観点も含めながら、やっぱりどんなものが、どういう形で納品されるのか、それは正常に作動するのかということを納品前から、なるべくならばフォアキャストしながら見ていくと。そして、実際より良いものを求めていくと、この姿勢で臨んでいただくよう強く要望して、次の質問に移ります。