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2018年10月22日決算特別委員会での質疑のまとめ

MOU・県が締結した連携・協力の覚書について

(松崎委員)

次に、グローバル戦略について伺いたいと思います。黒岩知事は就任後、数多く外国にも行かれ、そして政府機関等と覚書、MOUを締結されてきました。ただ、それが結びっ放しで成果を上げていないということになれば、これは県民の批判も受けなければならないところでございますが、そうでないことを私は強く祈り、念じておるところでございます。そこで、何点かこのMOUにつきまして、その成果を伺いたいと思っています。スタンフォード大学医学部をはじめとします12のMOU、こちら29年度はどういう成果を上げたのか、伺いたいと思います。覚書に基づいて、特に相手方の負担でしていただいたことを、具体的に順次お示しをいただきたいと思います。

(山田ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室国際戦略担当課長)

 まず、全体で12ということでございますが、最初に米国のメリーランド州のMOUでございます。これは、ライフサイエンス分野のMOUでございまして、メリーランド州立大学と連携をいたしまして、同州のライフサイエンス産業の動向等に関するセミナー、これを開催するとともに、県内企業と同大学との個別相談会を実施するなど、県内企業のメリーランド州への展開に向けた支援を行っているところでございます。

 続きまして、同じく米国のマサチューセッツ州とのMOUでございます。これも同様に、ライフサイエンス分野の連携に関するMOUでございます。現地で開催されましたバイオ産業の展示会へ県が出展するなど、ヘルスケア・ニューフロンティアを広く国際的に発信するとともに、出展した企業の米国展開への支援を行っているところでございます。

 続きまして、同じく米国のジョンズホプキンス大学でございます。これは、バイオテクノロジー分野の連携に関するものです。同大学とは再生医療分野における連携に向けた協議などを実施してきてございます。

 続きまして、同じく米国のダナ・ファーバーがん研究所でございます。ダナ・ファーバーがん研究所については、バイオテクノロジー分野のMOUでございます。これについては、具体的な成果ということには至っておりませんが、がんの治療薬の開発に関して、同研究所と企業との共同臨床研究に向けた検討などが行われたところでございます。

 続きまして、同様に米国退役軍人省パロアルト・ヘルスケアシステムでございます。これについては、バイオテクノロジー分野の連携に関するMOUでございます。このパロアルト・ヘルスケアシステムは、スタンフォード大学と密接に連携をしておりまして、県が連携する企業、スタンフォード大学及びパロアルト・ヘルスケアシステム、この3者間の共同研究に向けて協議を進めた結果、企業とスタンフォード大学との共同研究が実現したところでございます。

 続きまして、同じく米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校、サンフォード再生医療コンソーシアムでございます。これもバイオテクノロジー分野の連携に関するMOUでございます。再生医療に関する企業との共同研究との連携を見据えておりましたが、現在、具体的な成果には至っていない状況でございます。

 続きまして、スタンフォード大学でございます。これは、ライフサイエンス、ヘルスケア、未病及び医療の分野の連携に関するMOUでございます。県とスタンフォード大学でライフサイエンスに関するシンポジウムを、この3年間連続で本県と米国で交互に開催をし、産官学の連携による革新的な医薬品や再生・細胞医療の実用化に向けた支援を行っております。

 続きまして、フランスのCVT-Sudというところでございます。これは、バイオテクノロジー分野のMOUでございます。CVT-Sudは、アフリカの技術振興を通じた発展に貢献することを目的とするフランスの政府機関でございます。県としては、県内企業のアフリカへの市場展開、これを見据えておりましたが、具体的な成果には至っていない状況でございます。

 続きまして、フィンランドのオウル市でございます。これは、ライフサイエンス分野のMOUでございます。県は、オウル市へ企業ミッションを派遣するとともに、県内においてはオウル市企業と県内企業との連携に向けた交流会を開催するなど、県内企業のオウル市への展開を支援してございます。

 続きまして、ドイツのバーデン=ビュルテンベルク州でございます。これについては、ヘルスケア、健康医療分野の連携に関するMOUでございます。ヘルスケア分野における共同研究の促進に向けて、同州と県機関などの研究者のワークショップを開催するとともに、企業ミッションを派遣することで、県内企業が同州に海外オフィスを設置するなどの事業展開が進んでいるところでございます。

 続きまして、英国のセルアンドジーンセラピー・カタパルトでございます。これは、再生・細胞医療分野のMOUでございます。ライフサイエンスに関するシンポジウムを開催することで、県内産業のグローバル展開を支援するとともに、英国のがん免疫療法分野のリーディング企業でありますTCバイオファームがライフイノベーションセンターへ進出をしたところでございます。

 最後に、シンガポール政府機関でございます。ライフサイエンス分野での連携に関するMOUでございます。まず、シンガポール、これは相手方が3者ございます。まず、シンガポール科学技術研究庁については、組織のトップである長官が本県を訪れ、県内企業と具体的なプロジェクトの実施に向けた協議を行いました。次に、シンガポール国立大学とは現地で医療分野に関するシンポジウムを開催し、県内企業の海外展開を支援したところです。また、シンガポール国立大学保健機構とは、ME-BYOサミット神奈川にパネリストとして幹部が参加するとともに、代表を務めるジョン・ウォン市が来県した際には、未病に関する技術や製品の紹介を行ったところでございます。こうした取組により、県内企業がシンガポール政府と連携し、現地での共同研究や医療機器の臨床試験等を実施してございます。

(松崎委員)

 それでは、今お答えがあった12のMOU、覚書でございます。県が締結した連携協力の覚書でございますが、これらのためにかけた延べ人員、そして費用はいくらでしょうか。

(山田ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室国際戦略担当課長)

 出張のための費用でございますが、事前調整のための出張も含め4,460万円となってございます。また、人員については、延べ55人といった状況でございます。

(松崎委員)

 確かに、答弁の中には成果の上がっている、あるいはその途中であると認められるものもありますが、一方では、なかなか成果に結び付いていないというものも散見されるところでございます。沢山の人が外国に行き、そしてまた同時にお金も一定かかっているということでありますから、今後、やはりそうした費用については、これはかかるもの、そして実際にどれぐらいかかるか行ってみないと分からない面もあろうかと思いますが、しかし、そこのところコスト意識もしっかりと持っていただきながら、引き続き成果についてきちっと出すように。

まだというところについて今ご報告がございましたが、やはり覚書に書かれているとおりのことがしっかりと実行されるよう、相手方にも何をしていただくのか、こちらとして何がこれからできるのかということを見極めながら、取組を続けていただくよう要望して、次の質問に移りたいと思います。