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2018年11月1日決算特別委員会での質疑のまとめ

県立病院での厚生福利振興会による売店運営について

(松崎委員)

神奈川県立病院機構に関して伺いたいと思います。まず、29年度に県は病院機構に対して、負担金を107億円も支出をしているところでありますが、この具体的な使途について、県として内容を把握しているのでしょうか。または、機構に任せきりという状況でしょうか。

(小泉県立病院課長)

 県から病院機構に対する負担金は、病院機構の運営や施設整備に対するものでございます。その使途については、負担金の積算にあたり、病院機構から詳細な資料提出やヒアリングを実施して確認しているほか、負担金を充当した事業が適切に行われているか、各年度の業務実績評価の中でしっかりチェックしております。

(松崎委員)

 続けて伺いますが、27年度からスタートした病院機構の第二期中期計画は、2年続けて22億円の経常損ということであります。この原因は分かったのですが、責任についてはどう考えていますか。

(小泉県立病院課長)

 病院機構は県から独立した法人でございまして、独立採算を基本とするということですので、病院機構が自主的に対処すべきと一義的には考えております。ただ、その一方で、病院機構の業務は公共性が高く、将来にわたり安定的かつ適切に実施される必要があることから、県と病院機構は一体となって経営基盤の強化に取り組んでいかなければならないと考えております。

(松崎委員)

 いま、2点お伺いしましたが、基本的な事柄かと思います。その確認の上に立って、この後も伺ってまいりたいと思います。病院機構の各病院のうち、神奈川県厚生福利振興会が収益事業としまして、県立病院機構の足柄上病院、こども医療センター、そして、循環器呼吸器病センターの売店事業を行っております。29年度は合計3億2,880万円の売り上げがあったということでございます。神奈川県厚生福利振興会の目的では、県民や県職員の福利厚生を行うとされていますが、県民向けと県職員向け、この事業比率はどうなっているでしょうか。

(福田職員厚生課長)

 病院の売店事業は、通院、入院される患者の皆様や、お見舞いで来院される方々、そして病院に勤務される職員、こちらは厚生福利振興会の会員となりますけれども、これを対象に実施しておりますため、県民向けと会員向けに分けて事業比率を算出することは困難でございます。ただし、一義的、一般的には、通院、入院される患者の皆様など、一般県民向けの売り上げが大半を占めており、職員など会員向けよりも事業比率は高いと考えております。

(松崎委員)

 今のご答弁ですと、まず算出することは難しい。そして、県民向けか県職員向けかといえば、県民の方々のほうが圧倒的多数なので、そちらのほうが大半であろうというお答えでございました。それでは伺いますが、振興会の収益事業の中に病院等運営事業がございますが、これは、厚生福利振興会の目的や役割との関係で、何のために行っていると整理しておられますか。

(福田職員厚生課長)

 厚生福利振興会は県民の生涯にわたる厚生福利の充実や自発的な余暇活動の支援と、県職員等の福利厚生活動の充実をもって、神奈川県民の厚生福利の新たな発展に寄与することを目的として設立された団体でございます。売店等運営事業は、会員であります県職員や病院に勤務する職員の福利厚生の向上に寄与するとともに、県立病院に通院、また入院されている患者の皆様など県民の皆様の利便性の向上にも寄与することができることから、売店等運営事業を実施していると伺っております。

(松崎委員)

 お答えの中では、会員である職員の方々の福利厚生というお言葉もありました。調べてみますと、県立病院機構においては、他の県機関と異なって会員の方々、つまり職員の方々の中に占める会員の割合は、加入率53%ということでありまして、辛うじて過半数ではあるけれども他の機関のように、例えば知事部局などのように90%を超えているという状況ではないわけであります。そうしますと、職員ではあるが会員ではない方々というのは県民という形の整理に入るのかなと、今の答弁を聞いていると思うのです。逆にそうすると、こういう考え方に立てば職員の中に厚生福祉振興会の会員がゼロ、加入率がゼロという場合であっても、県民向けが目的であるから、この事業をずっと続けていけるというふうにも解釈ができるわけであります。

次の質問をさせていただきますが、この厚生福利振興会が県立病院機構の各病院で行っている売店事業のうち、がんセンターと精神医療センターを除く3病院に限って行っているのは、どうしてなのですか。

(福田職員厚生課長)

 こちらの3病院につきましては、病院が独立行政法人化された後も、病院から依頼がございまして振興会が運営しているものでございます。なお、独立行政法人化前も振興会が運営しておりました。

(松崎委員)

 独法化を契機としてやってくれと言われたのではなく、独法化の前から行っているということでありました。つまり、引き続きやってくれと機構から依頼を受けたのかなと理解をするわけでございます。そこで、お聞きしたいのですが、健康医療局に伺いますが、がんセンターと精神医療センターにつきましては、厚生福利振興会が売店事業を行っていないわけでありますが、一体どこが運営しているのでしょうか。

(小泉県立病院課長)

 がんセンターと精神医療センターの売店は、厚生福利振興会ではない民間事業者が営業しております。がんセンターはPFIの手法で新病院を整備した際、売店などの利便施設もPFI事業の一環として整備・運営することといたしました。また、精神医療センターは平成26年度の新病院開院にあたりまして、売店や食堂などの利便施設を一括して効率的に運営することとし、プロポーザル方式の公募により事業者を選定いたしました。

(松崎委員)

 今、お答えにありましたが、がんセンターについてはPFI事業者、そして精神医療センターの売店は公募型プロポーザル。インターネットに掲載されていますが、平成26年に公募型プロポーザルを行われているということでございます。

では、逆に伺いますが、総務局からも答弁があって、3病院、つまり、こども医療センター、足柄上病院、循環器呼吸器病センター、これはいずれも独法化前からということでしたが、調べてみますと、循環器呼吸器病センターについては昭和40年から直営ということです。それから、こども医療センターについては45年から、また、足柄上病院につきましても41年からということでございまして、最長53年、だいたい50年ぐらいずっとこの振興会が行っているということでございまして、先程の精神医療センターのような取り扱いもあるわけですが、病院によって差を設けているのは、これはどうしてなのですか。

(小泉県立病院課長)

 病院によって差を設けているのは何故かというところですが、病院の売店は患者や病院の職員にとって必要不可欠なため、継続して安定的に運営する必要がありますが、療養に必要な商品の取扱いや、外来診療のない土日も営業するなどの制約があるため、これに対応できる厚生福利振興会に出店を依頼して、以来、病院の施設を貸し付ける形で運営がなされてきました。一方、がんセンターと精神医療センターは新病院の整備をきっかけに、運営の効率化に向けて売店などの利便施設を一括して運営する形にするといった工夫によりまして、PFI事業やプロポーザル方式の公募を行うことができたというものでございます。

(松崎委員)

 今の答弁を聞いていますと、かたや継続して安定的に、土日もやってもらいたいから振興会だとうこと。そして、かたや新病院ができたから、これについては民間の事業者を公募型プロポーザル等で入れていったということでございまして、病院というものに対して求められる機能と、売店が果たすべき役割ということの整理については、あまり差を設けていない考えだなと受け止められるのですが、その理由だけが異なっているという率直な感想を持つわけです。

それでは引き続き伺いますが、各病院のホームページを見させていただいたところ、足柄上病院とこども医療センターについては、民間大手のコンビニエンスストアが営業していると案内されています。そこで疑問が沸いてくるのですが、どうして厚生福利振興会の収益事業とされているのでしょうか。

(福田職員厚生課長)

 コンビニエンスストアは基本的には、フランチャイズ契約に基づくオーナー制度をとっております。厚生福利振興会も各病院からのコンビニエンスストア化の要望を受けまして、店舗のオーナーとして当該大手コンビニエンスストアとフランチャイズ契約を締結し、売店を運営しているものでございます。

(松崎委員)

 フランチャイズ契約を結んでオーナーとなっている、ということであります。それでも、単純に直営というふうに表現されているわけですが、果たして直営と言い切れるのか。フランチャイズ契約を結んでいるのであれば、その旨を明確にすべきではないのかというのが、私の受け止めです。

そこで、更に伺います、厚生福利振興会の正味財産計算書、こちらでは売店収益が3億300万円、そして、売店仕入費が1億9,600万円となっておりまして、差し引き1億円以上の利益があると読めるわけですが、実際の県立3病院での売店事業の収支はどうなのでしょうか、総務局に伺いたいと思います。

(福田職員厚生課長)

 正味財産増減計算書での売店収益は、委員お話のとおり3億300余万円でございますが、その中には、病院以外の本庁舎売店の売り上げも含まれてございます。実際の3店舗の状況としましては、売店収益が3店舗合計で3億200余万円、売店が取り扱いますその他の収益を含めた3店舗合計で3億900余万円となっております。

それに対し経常費用としましては、売店仕入費以外に売店職員の人件費、また、コンビニエンスストア運営会社に支払いますロイヤリティ、税金、それに本部の物件費など合わせますと、3億1,500余万円となりまして、収支はマイナス500余万円となります。しかしながら、病院に設置させていただいております自動販売機の手数料等の収支を合わせまして、最終的には1,000余万円の黒字となっております。

(松崎委員)

 売店事業そのものでいくと、結局、赤字なのだけども、自動販売機等を加えて辛うじて黒字というご説明でございました。29年度事業報告書、こちら総務政策常任委員会にも報告がなされていますが、これを読む限りでは黒字としか読めないわけでありまして、この黒字の額についても1億円以上かと読めるわけです。なかなか、聞いてみないと分からないというところがあるかなと思います。そしてまた、経営状況もかなり厳しいのかなと推測するわけですが、この状況、この年度までの間、売店事業はどんな推移をたどってきたのか、分かれば教えてください。

(福田職員厚生課長)

 現行の会計基準に移行いたしました、平成25年度以降の状況でお答えさせていただきます。売店等運営事業のうち、売店関連の収益には、売店収益のほか、切手、はがき等の収益や手数料等も含まれ、それに対します費用は、先程も申しました売店仕入費以外に人件費やロイヤリティ、本部の経費が含まれ、売店関連の収支では赤字が予想されたことから、自動販売機の設置も併せて行わせていただいている状況でございます。その結果、自動販売機も含めまして、3店舗の合計の収支では、毎年300余万円から1,200余万円の黒字を確保することができ、県民向けの事業の財源としているところでございます。

(松崎委員)

 赤字が予想されることから、自販機を導入してなんとか収支を合わせているということでございます。それでは、更にお聞きしますが、こども医療センターには大手のコーヒーショップが入っております。こちらは厚生福利振興会とは関係ないのでしょうか。

(小泉県立病院課長)

 こども医療センターのコーヒーショップは、厚生福利振興会ではない民間事業者が出店し運営しております。以前から病院内では、付き添いのご家族などの方が安らげる場所が必要との声が出ていたところ、全国の多くの病院に出店している事業者から提案がありまして、車椅子でも利用しやすい店舗設計など、病院内での運営ノウハウが豊富であることから導入を決めたものでございます。

(松崎委員)

 直接交渉に当たったということでございます。では更にお聞きしますけれど、厚生福祉振興会が一方では大手コンビニエンスストアのオーナーになって売店事業を運営していると。また、コーヒーショップについては病院機構が民間企業に運営を任せている。病院によって売店運営の仕方も異なる。今、伺っていくと、今の状況というのは、厚生福祉振興会の収益をなんとかバランスさせるということをやっているけれども、本体のところでは赤字になっているということでございます。特別扱いをしているというよりも、むしろ、なかなかに厳しい状況が続いているのかなと思います。

本来であれば、精神医療センターで行ったように、県立病院での売店運営、こちらは公募型のプロポーザルでより良いサービスの提供と、病院機構への収益確保にもつなげていくほうが、公平性、透明性という点で良いと思います。全国の他の公立病院の例なども見てみましても、やはり公募型のプロポーザルというものが大きなトレンド、流れであります。見直しすべき点は見直しすべきではないかと思うのですが、この点、健康医療局はどう考えていますか。

(小泉県立病院課長)

 委員のおっしゃる通り、他の病院の売店についても求められる機能を維持しながら、患者や職員へのより良いサービスの提供や収益の確保という面から、運営方法の見直しや工夫をしていくことは大変重要であると考えます。病院機構では現在、内部統制システムの整備に向けて、入札・契約のあり方についても検討を進めておりますので、県からも病院や職員の利便性の向上や収益確保、運営の透明性という観点から、さらに努力や工夫を行うよう伝えてまいります。

(松崎委員)

 ぜひ、見直すべき点は見直す、今、そういうご答弁だったと思いますので実行していただきたいと思います。私から申し上げたいのは、最初のほうの答弁で、会員である職員の方々がいらっしゃるから、その方の利便性、あるいは福利厚生のためということをおっしゃったけれども、実際には県立病院機構の振興会への加入率は53%に留まっているということでありますので、会員がいる、いないということで振興会がやるという理屈はそもそも薄かったのかなと思います。

また、がんセンターはPFI事業者、精神医療センターは公募プロポーザルということでございますから、まあ、答弁の中には土日の営業などというお考えも示されましたけれど、特別なものの販売が多いということもあったりして民間の事業者が引き受けない、そのような事情があるならばまだ説得力があると思うのですが、あえてここまで50年以上、この振興会がこれを一手に引き受けていくという、こらからも続けるという説得性はなかなか薄いのかなと思います。また、今の状況をすべて良いとは思ってはおられないようなので、ここは見直すべき点はしっかりと見直していただきたいと思います。

確かに、今回指摘したことは、病院機構全体としては色んな課題があるなかで、その中の一つ新たな課題かなと思います。2年連続で大幅な赤字ということでございますから、事業内容のチェックをもう一回全てやっていただいて、県民サービスの向上と経営改善に結び付ける努力をさらに払っていただいて、4月から体制も一新したことですから、県民の信頼回復と経営改善に取り組んでいただきたい。そして、県としても成果が着実に上がりますように、当事者意識をもって必要な指導などを行っていただくことを、答弁にもありましたけれども、さらに求めましてこの質問については終わります。