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予算委員会 総括質疑(3月8日) 松崎 淳 委員(立憲民主党・民権クラブ)

3.基地の整理・縮小・返還に向けた取組について

(松崎委員)

続きまして、基地の整理・縮小・返還に向けた取組について伺ってまいります。

本県は、都市部の人口密集地域に12もの米軍基地が所在し、まちづくりの障害となるなど県民生活に様々な影響を与えております。こうした中、昨年11月には、県内米軍基地の整理等に係る日米合意が行われ、池子住宅地区の横浜市域、つまり横浜市金沢区での住宅建設の取り止めや、根岸住宅地区の返還に向けた協議の開始などが確認されたところでございます。今回の日米合意は、本県の基地負担の更なる軽減に向けた突破口となるものでございまして、是非、今後の基地の整理・縮小・返還につなげていただきたいと考えているところでございます。

そこで、基地の整理・縮小・返還に向けた取組につきまして、何点か伺います。

まず、一点目ですけれども、予算に関する説明書では、基地返還等対策費としまして178万5千円が計上されておりますが、どのような事業に取り組むこととしているのでしょうか。

(基地対策課長)

基地返還等対策費ですが、これは、県と、県内の基地に関係する9市とで構成する「神奈川県基地関係県市連絡協議会」と、米軍基地が所在する主要な15都道府県とで構成する「渉外関係主要都道府県知事連絡協議会」の分担金及び、県の事務的な経費となっております。平成31年度においても、これらの協議会を通じまして、基地の整理・縮小・返還の促進をはじめ、基地負担の軽減に向けて、取組を進めてまいります。

(松崎委員)

予算に関するご説明がありました。取組を進めていくということですが、昨年11月の日米合意では、幅広い内容を含むと受け止めております。その中で池子住宅地区の扱いはどうなっているのか。そして特に、横浜横須賀道路で分断された約1haの飛び地の扱いも含めて伺います。

(基地対策課長)

池子住宅地区につきましては、平成16年10月の日米合同委員会合意において、横浜市域に住宅等の建設を行うこと、及び1haの飛び地については返還の方針が示されていました。昨年11月の新たな日米合同委員会合意では、平成16年の合意を見直し、池子住宅地区の横浜市域については、住宅建設の取り止めが決定されました。一方で、平成16年の合意で返還されることとなっていた飛び地については触れられていません。また、池子住宅地区の逗子市域においては、生活支援施設や消防署などを整備することが合意されています。

(松崎委員)

つまり、池子住宅地区の逗子市域、それから横浜市域、そして分断された飛び地、それぞれについて扱いが異なってきているということなのかなと。それから、見えていたはずのゴールが見えなくなったりもしている。そうしたことからすると、ここについて更に深く突っ込んで考えていかなければいけないということを強く思うわけでございます。

さて、横浜市は、災害時の広域避難場所として、池子住宅地区内の一部を指定しております。しかし、日ごろは米軍により施錠されておりまして、いざとなった時に、本当に広域避難場所として使用できるのか、県民の一人、金沢区民の一人として疑問を持っているところでございます。実際に避難場所として使用することはできるのでしょうか伺います。

(基地対策課長)

横浜市は、平成5年4月から、池子住宅地区の横浜市域内の一部につきまして災害時の広域避難場所として指定しております。ここは基地であることから、ゲートの鍵は米軍で管理しておりますが、災害時には、市の災害対策本部から、基地司令官宛に使用及び援助のための連絡を行い、米軍の指示のもと、広域避難場所として使用することとなる、と伺っております。

(松崎委員)

答弁では、災害時のフローというか、どういう手はずをとるのかということが、一定示されたわけでございます。ただ、実際に避難する人の一人となった場合に、横浜市から米軍に連絡がいき、その司令官から何某かの指示が出て、この厳重に、実際にはチェーンでグルグル巻きにされていて南京錠がガチッと嵌っている状態なのですが、この鍵が開けられるということですけれども、本当に開けられるのか、あるいは、実際にそういった描かれた図式のとおりに流れていくのかどうか、そのことについて、どこまで本当にそうなるのかなというのが率直な疑問なのです。この疑問を住民の誰もが抱き続けたまま、今日に至っているのが実情でございます。

そういった状況にあるということを踏まえて聞いていきます。今説明のあった池子住宅地区の状況につきましては理解するところでございますが、県内基地を広域避難場所として活用している自治体は他にあるのでしょうか。また、防災という観点から米軍基地を広域避難場所として活用することに対する考え方をお聞きしたいと思います。

(災害対策課長)

県内基地を広域避難場所として活用している自治体ですが、県内では、横浜市、相模原市、逗子市が米軍基地を広域避難場所に指定している状況にございます。

(基地対策課長)

これまでも、米軍基地の広域避難場所としての使用については、神奈川県基地関係県市連絡協議会において、基地周辺市が円滑に運営できるよう、国に働きかけております。広域避難場所としての米軍基地の使用につきましては、災害時における基地周辺市の住民の方々の安全確保に直結するものであると考えております。

(松崎委員)

安全に直結する。そのとおりだと思います。私もそういう観点から広域避難場所になっている米軍基地のことを取り上げたわけでございますけれども、やはり、実際に住民の方々の安全をどうやって確保していくのか、特に災害が起きた場合、広域避難場所を使用するということは、大きな規模の災害が起きたときということですから、やはり、その場合、地震ですとか、その他の災害の時に、どういうふうに実際に避難ができるのか、この厳重に閉じられた南京錠が本当に開けられるのかということを、実際に確認していかなければいけないと私は思っておりますし、もっと言うならば、本来、そうした場所に避難しなければならない今の神奈川県民の状況、横浜市だけではないというお答えがありました、そうした状況そのものを、どうやって主体的に変えていくのかということについて、正面から取り上げて取り組んでいく必要があるということを、私は改めて今日、強く認識したところでございますから、取り組んでいただきたいことでございます。

そこで、もう一つお聞きしますが、飛び地、先ほども申し上げましたが、横浜横須賀道路が開通をしたことによりまして、この池子住宅地区の中の横浜市域は分断をされている。そして分断された一番先の土地のところが、約1haあって、それを飛び地と称しておりますけれども、その飛び地を含めました、池子住宅地区、横浜市域の返還に向けて、平成31年度はどのように取り組んでいくのか伺います。

(基地対策課長)

基地返還の取組にあたりましては、遊休化した基地等について早期の返還を求めていますが、今回、住宅建設の取り止めが決定した、池子住宅地区の横浜市域の今後の使われ方や、返還の見通しは示されていません。そのため、まずは、横浜市域の今後の動向について、国に早期に情報提供を行うよう働きかけていきます。また、基地返還の取組においては、地元市の跡地利用の構想を踏まえつつ返還を求めていくことも重要です。今後は、こうした点も含め、飛び地も含めた横浜市域の全体について、返還の取組をどのように進めていくか、早急に地元の横浜市と協議を行い、今後の対応について検討していきます。

(松崎委員)

今の答弁の中では、情報をしっかりと求めていきたいということと同時に、今後、池子住宅地区の横浜市域について、早急に横浜市と協議をしていきたいということでした。大変、重要な考え方であると思います。そうであるならば、知事は今後、県内基地の整理・縮小・返還に向けて、池子住宅地区の横浜市域の返還ということについても踏まえまして、どのように取り組んでいかれるのか伺います。

(知事)

本県には、人口密集地域に、12か所もの米軍基地が所在し、周辺地域に様々な影響を与えていることから、これまでも基地の整理・縮小・返還に、重点的に取り組んでまいりました。その結果、最近では、深谷通信所や上瀬谷通信施設が全面返還され、相模総合補給廠やキャンプ座間の一部返還も実現しております。さらに、昨年11月には、根岸住宅地区の全面返還に向けた具体的な協議を開始することや、池子住宅地区の横浜市域での住宅建設の取り止めなどが日米間で合意されました。

そこで、今後の取組についてですが、日米間で返還に向けた協議が開始される根岸住宅地区につきましては、早期の返還が実現するよう国に求めてまいります。また、池子住宅地区の横浜市域につきましても、今後の基地の使用について、国に情報提供を求め、遊休化の見通しが明らかになれば、横浜市の意向を確認しつつ、早期の返還を働きかけていきます。

今後も、県民の基地負担を軽減するため、基地の整理・縮小・返還に向けて、粘り強く取り組んでまいります。

(松崎委員)

今知事から県内の整理・縮小・返還につきまして、12の米軍基地に関わる答弁、そしてまた、池子住宅地区の横浜市域につきまして新たな答弁があったと受け止めさせていただきました。今までの県の取組、それから、横浜市の姿勢と比べますと、今の知事の答弁は、方針転換というふうに受け止めさせていただいて、重い答弁であったのかなと思います。県民の希望や願いとか、そうしたものに寄り添って、しっかりと国に対してはものを言う、そしてまた、基地のことを実際に真正面から取り上げ続けてきた神奈川県ですから、県内基地の整理・縮小・返還につきましては、さらに取組を深化させていただきたいと思います。基地負担の更なる軽減を共に推進してきた私もそのような気持ちを持っておりますけれども、これからも神奈川県として、しっかりと取組を推進していただくよう強く要望いたしまして、私からの総括質疑を終わりとさせていただきます。