総務政策常任委員会(立民・松崎委員)2019.12.13(金)

(松崎委員)

次に財政運営について、伺ってまいります。

これまで私は財政問題を継続的に取り上げて、当局と繰り返し議論を行ってまいりました。10月の本委員会においても申し上げましたけれど、災害への対応は、多くの県の役割の中でも極めて優先度が高いわけです。被災された方々への対応、また事業所への対応、さらには二次被害の防止など素早く機動的な対応が必要であることは言うまでもありません。

前回の本委員会で取り上げたのは、台風15号への対応でしたけれど、この後も(台風)19号が襲来し、そして近年こうした形での自然災害は頻発をしているわけであります。これに対しては、災害を防止するための必要な手立てを講じていかなければならないことはもちろんですけれど、例えば老朽化した県有施設をどうするのか、またそれに加えて、公共の災害防止施設、これらについてもアップグレードしなければいけないのではないか、河川堤防のことも取り上げておられましたけれども、それ以外にも多数ございます。そうした点について、やはりスピード感を持って取り組んでいく必要があるわけであります。災害が来て初めて気が付くということも、あってはいけないけれども、現実には多々あるわけでありますから、思わぬところで実はほころびが出た、あるいは思わぬところから大きな災害に至ったということがありますし、今までは点検していなくて災害には結びついていかなかったけれども、これからはそうなるかもしれないものも、多数、県管理のものでもあるわけですから、いわばアップグレードというものは、色々な方面から検討する必要があるかと思います。

当然必要な財源をどうするのか、ということになるわけですけれど、キャッシュで入ってくる歳入では賄いきれない、あるいはその場面ではとても帳尻が合わないということが多々これから考えられますから、どうしても県債を発行して、そして手を打たなければならない事態ということもこれは十分想定されるわけであります。

昨今、この自然の猛威を考えますと、私としてはもはや県債を活用した施設整備まで、これは考えに入れていかなければいけない、そういうステージに入ってきたという風に受け止めざるを得ないと思っております。

一方で、これを安易にまた県債発行に頼れば、かつて本県が経験したような、財政の急激な硬直化ということも、これは懸念されるわけでありますから、公債費として県財政を圧迫するということを避けつつ、県民サービス、安全・安心の提供ということを、両方バランスとっていかなければならないわけで、発行額をコントロールするということが大変重要になってくるわけでございます。そこで、前置きが長くなりましたけれど、何点か伺っていきます。

すでにこの議会で一部議決しておりますが、今回の補正予算の財源について、確認させてください。

(山﨑財政課副課長)

お答えいたします。

今回の11月補正予算案は、一般会計の総額で、その1、その2を合わせて177億円計上しています。

その財源の内訳は、まず特定財源として、国庫支出金が99億円、県債が54億円、次に一般財源として、繰越金が15億円、地方交付税が8億円などとなっています。以上でございます。

(松崎委員)

一般財源として、地方交付税も充てておると思うのですが、それはどうしてなのでしょう。

(山﨑財政課副課長)

平成30年度の決算黒字に伴う繰越金は、9月補正予算、そして10月補正予算の財源として活用し、11月補正予算ではその残りの15億円を充てています。そうした上でも財源が足りないことから、今年度の地方交付税として当初予算額を上回る金額を交付決定された一部を補正予算の財源として活用することとしました。以上でございます。

(松崎委員)

それはいいのですけれど、そういう風にして地方交付税が来たからいいですが、いつもあてにできるというものではないですよね。

(山﨑財政課副課長)

委員、お話のとおりでございます。

(松崎委員)

そうだと思います。それは、ここにご出席の各議員もそう思っておられると思うのです。ただ、県民の方には、そのことはきちんと、こうしたやり取りのところで確認していかないと、そういう余裕はいつもあるんだ、思ったよりもたくさん来るかもしれないものなんだという、いつもそうなっていると受け止められると、財政の議論がおかしくなっていくので、ここは大事な議論だと思っています。

それからもう1点ですが、ここもよくちょっと確認したいんですけれど、災害対応への財源措置ということでいうと、特別交付税制度というものもあるんですが、どういった対応になるんですか。

(山﨑財政課副課長)

お答えいたします。

委員ご指摘のとおり、地方交付税法において、災害などの特別な財政需要がある場合には、特別交付税が措置されることとなっています。こうしたことから、国に対して本県の状況をしっかりと伝えるとともに、特別交付税が措置されるよう、強く要望してまいりたいと思っています。以上でございます。

(松崎委員)

これ、しっかりと要望と今おっしゃったけれども、しっかりと要望すれば、きちんと必ず国はつけてくれるのですか。

(山﨑財政課副課長)

こちらの方について、先日、国で閣議決定した際にも、地方負担に対して特別交付税を措置する予定という風に言われておりますので、本県の財政状況を伝えた上で、予算確保に向けて要望してまいりたいと思っております。

(松崎委員)

今言いましたのは、例えば(台風)19号の被害でも千曲川がすごい決壊をして氾濫した、また(台風)15号で言えば千葉県ですごい停電が起きた、それでものすごく報道される。一方で、私の地元の金沢産業団地は、最初、被害があったのかどうかすら誰も知らない状況でした。このように、マスコミによって大きく報道されたところと、そうでないところでは、注目度が全然違って、結果、閣議決定やその後の重要な予算の振り分けの場面でも重みが違うという形になってくる。そうした時に必ず国からお金が来ると財政当局は考えているのか、それとも、よほど声をかけて運動していかなければきちんと答えがこないと思っているのか、その考えはどちらでしょうか。

(山﨑財政課副課長)

お答えいたします。

国の状況にもよりますが、強く働きかけていかなければ、本県の状況は伝わらないと思っておりますし、お金の方も措置されないと思っております。

(松崎委員)

このことに限らず、公共施設の整備とかたくさんお金がかかるところや長期にわたって債務負担行為をかけておかなければ架けられない大きな橋梁や鉄道路線、本県でも例えば箱根登山鉄道をどうするかという大きな課題があるわけです。鉄道ですよ、そんなに簡単に進むとは誰も思えないが、そこを切り開いていかなければいけないのが、本県の使命であります。なぜかというと、それは県民の生活とかあるいは安心とか暮らしとか、そういうものが全部かかってるからです。そのための財政なんです。そのための財政の議論を今やってるんです。国に対してきちんとものを言って、繰り返し言って、粘り強く打ち込んで、それで何とか突破口が見えてきたら、初めてそこで予算というものをたてられるという実はそういう状況であるということです。

その中で今回、県債が54億円、これ増額されているわけですけれども、どうして県債を活用することとしたのですか。

(三澤資金・公営事業組合担当課長)

お答えいたします。

今回の補正予算ですが、台風19号による被害への対応など早急に対処する必要があるものについて措置をしています。

その中で県債につきましては、建設事業の財源のほか、災害復旧事業の財源としても発行が認められることから、今回、補正予算の貴重な財源として活用することとしたものです。以上です。

(松崎委員)

県債発行については、すぐ県債発行してくださいという議論はもう誰もしていないと思います。まずとにかく、財政が極力均衡になるように考えていただいた上で、それでもどうしても足りない、お金を調達しなければそれに見合った対策を打てないという中で、しっかりと詰めていただいた上で、それでも最小限度の額を何とか見積もっていただくということが基本だと思うのですが、今回もそういう発想できちんと見積もったのですか。

(三澤資金・公営事業組合担当課長)

お答えいたします。

県ではこれまでも事業の優先度を見極め、県民生活に不可欠な社会施設の整備につきましては、財政状況が厳しい中であっても必要な事業にしっかりと予算措置をし、その財源として県債を充当してきました。特に災害復旧をはじめとした非常事態への対応につきましては、県民の生命や財産に直結するものであり、予算措置の必要性は極めて高いものと認識しています。財源に限りがある中、このような非常事態に対応する事業を行うには財源として県債を積極的に活用することも必要であると考えています。

今回はそのような考えのもとに措置しています。

(松崎委員)

今回はそういう考えだった。次回はどうなんだ、ということに当然なるわけで、次回ということは誰も想像なんかしたくないわけです。そこで疑問が湧いてくるんですけど、県債をどう活用するのか、そしてどこまでの上限と考えているのか、あるいはまた上限は特にないということになるのか、あるいは足りないところについては手当をするという一般原則でいくんだという考えなのか、財政部長どうですか。

(落合財政部長)

まず、建設的な県債につきましては、後年度の県民の方々も使うということで、これは適債事業として認められております。そうした中で、規則の中で例えば道路については何割といった上限が示されております。そうした中で、私どもとしては県債を活用しているというのが現状です。

ただ、その事業選定にあたっては本当に優先すべき事業なのか、そういった視点から選定をかけておりますし、他に活用できる財源の有無というのが一つ議論になってくると思います。

そうした中で、例えば今回の災害対応については、後年度にも当然資する事業であることと、他の財源についても中々厳しいという中で、目一杯発行させていただいているという状況です。

今後につきましても当然、事業をやるべきかどうかという視点がまずあって、その中で他の財源を活用できるのか、あるいは県債を全て充てるべきなのかという議論を経た上で計上したいと考えております。以上です。

(松崎委員)                         

一定の理解はいたしました。した上で、次の質問です。

先日我が会派の松本議員の代表質問行わせていただきました。知事から非常に真摯な答弁があったんです。これ何かと言いますと、「今後も、今回のような台風が、本県に甚大な被害をもたらしても不思議ではない非常事態に直面している」と知事はおっしゃっておられます。まず、この認識について、知事がおっしゃっておられますので確認する必要はないかもしれませんが、当局としても同じ認識ですか。

(小板橋総務局長)

今回の知事の答弁の背景には、地球温暖化ということがある中にあって、今回台風も太平洋上の温度上昇によるものが台風の威力を強めたということがあります。そうしたことを含めて、温暖化の現象は世界中の問題ですので、その認識のもとで今後も続いていくという危機感を知事が表明されたものだと理解しております。

(松崎委員)

総務局長から同じ思いだという答弁でありました。

我々はこの答弁を受けた側でありますけれども、答弁を受けて、やはり同じ思いをしております。またそういう思いから質問もしておるわけであります。つまり、何かと言いますと、(台風)15号、19号という大変な酷い目に遭ったと我々思っておるんだけれども、これで終わりではなくて、来年もまた台風シーズンが来た時、何があるか分からないなと、そしてそれに対して備えをどうすべきなのかなということを考えておかなければいけないということでございます。

県債の発行抑制ということでこれまではやってきたんですけど、非常事態の局面、これからもあり得るとの認識で、知事そして執行部、またいわゆる我々の側はそういう認識を持っているわけですが、そうすると財源という点がやっぱり課題になってくる。国がすべて交付してくれるならともかく、どのように大きく取り上げられ、そして甚大な被害であったとしても必ず、その地元の自治体における負担というものは生じてくるわけでありまして、その時にどうするかという問題です。色々なやり方があると、先ほど財政部長がおっしゃっていました。でもその中では足りないということになってきた場合、県債を活用するということが入ってくると思うのです。ここをどう考えますか。

(落合財政部長)

まず、災害復旧をはじめとした非常事態への対応というものは、当然県民の生命・財産、これの危機に直面、直結するような事業でありますので、先ほど担当課長が申し上げましたように、予算措置の必要性は極めて高いと考えております。そうした中で、やはり財源というものには、委員ご指摘のように、限りがあります。なんでもかんでも一般財源でできるというものではないと考えています。なおかつこうした建設的な事業につきましては、後年度の方々にも恩恵があるため、当然ご負担いただくべきものと考えておりますので、県債活用ということも当然視野に入れて考えなければならないと考えております。以上です。

(松崎委員)

県債活用を視野に入れてということでございました。

それは、そこまでの議論を是とした場合においては、では今まで本県が目標に掲げて取り組んできた、中期財政見通しを策定して財政運営するということが一つ、もう一つが県債管理目標を立てて、その達成をしっかりと図っていくことにより、財政の健全性というものを確保していこうという、この二つ、二つの大きな柱がございます。そのうちの一つ、県債管理目標の達成、これが揺らいでしまうということになると、これはこれでまた後の世代に対して大変な負担を残すということになります。そして、国はそこについては手当をしてくれません。もちろん、臨財債のことは別です。「県債管理目標の達成」というその部分に関して言うと、国の手助けというものはないんですよ。そうした場合において、災害の都度、県債を活用すると、仮にこうしていった場合において、県債管理目標の達成、これが揺らぐことはないんでしょうか。そこどうですか。

(落合財政部長)

県債につきましては、その過度な発行が将来の公債費の増額につながる、そしてひいては財政の硬直化を招くということから、県では県債管理目標を設定して、これまで発行抑制に努めてきております。

今回の補正予算のように、災害対応など県債を増額した場合は、当然のごとく県債残高は増加しますので、県債管理目標の達成に向けてはより一層の努力が必要になってくると考えてございます。

ただ、県としては必要な県民サービスを提供するために、やはり財源というものは必要ですから、これに向けまして適切に県債を活用しつつ、将来の公債費負担を軽減するために、例えば台風の場合ですと、激甚災害に指定されれば国庫支出金のかさ上げというものも期待できます。そうした国庫支出金や年度内に生じる執行残も毎年ある程度出ておりますので、そうした財源も活用いたしまして、何とか目標の達成に向けて努めていきたいと考えてございます。以上です。

(松崎委員)

地球温暖化のことを先ほど、小板橋総務局長がおっしゃっており、私も痛感したわけであります。地球温暖化は新たなフェーズに入っておる今の本県の状況からすると、やはりそれに適応していかなければならない中の一つに、財政も置かれている。財政は関係なしというわけにはいかない、そうだと思います。ならば財政としての、本当の適応とは何なのか、ということを考えていかなければならないと思うんです。だから、県債を発行する、そして財政はきちんと歳入があって歳出がきちんと賄われる状況を確保することも適応なんだけれども、同時にそのことによって後の世代に負担を過度にかけないということ、これも適応なんです。だからそういった両方を考えていかなければならないと思っております。

要望申し上げます。

今、予算編成作業中だということは、私どもも承知しております。そして、私どもの会派といたしましては何度も申し上げてまいりましたけれど、厳しい財政状況の中でも必要な財政需要や行政課題に対し的確に対応し、県民の暮らしを支えていっていただきたい、またそうしていきたい、と我々も決意をしております。今、そしてこれから、国土強靭化、また施設の老朽化対策等すでに目の前にある課題がある。それに加えまして、国の補正予算にこれから対応していかなければならない場面もあろうかと思います。つまり県債発行額は膨らむ可能性が高いわけでありまして、近未来における負担を取り除くためにも、収支のバランスを見極めて、持続可能な財政運営をどうしてもやっていく必要がございます。 大変難しい舵取りだと思いますし、我々も一定の決意を込めてこのことについて取り上げさせていただいたわけでありますから、議論してきた内容を踏まえまして県民のために、神奈川県の持続的な発展のため、また県民の幸せな暮らしを実現させるために、当局のご尽力を要望しつつ、我々も一緒になって汗をかかせていただくということを表明させていただいて、次の質問に移ります。