総務政策常任委員会(立民・松崎委員)2020.03.03(火)

松崎委員

県内米軍基地をめぐる状況について報告があったが、その中で、米軍及び米軍人による事件・事故について何点かお尋ねしたい。併せて、県内基地の最新の動向についても伺う。

まず、米軍及び米軍人等による事件・事故の状況について報告があったが、米軍人による犯罪は、近年どのような傾向があるのか。

基地対策課長

報告資料の米軍人の犯罪検挙件数は、県警の調べに基づき記載している。お示しした資料は、直近5か年の犯罪検挙件数を記載している。近年の傾向としては、平成20年以降の検挙件数を分析すると、最も多い年が28件、最も少ない年が11件となっており、10件台から20件台の範囲で推移しているというのが一つの傾向と考えている。

また、平成18年と20年には、横須賀市内で米軍人による殺人事件が発生したが、それ以降は、殺人事件のような重大な犯罪は発生していないことも最近の一つの傾向と考えている。

しかし、米軍人による犯罪は、本来一件たりともあってはならないものであり、引き続き、米軍人等による犯罪防止に向け、取組を進めていく。

松崎委員

事件・事故防止に関する県の取組について報告があったが、もう少し具体的に取組の内容を教えていただきたい。

基地対策課長

在日米軍は我が国の安全保障のために駐留しており、そうした米軍人が犯罪といった事件や、事故を起こすことは、本来は、あってはならないものである。

そのため、これまでも、県と基地関係市で構成する「神奈川県基地関係県市連絡協議会」において、米軍人等による犯罪や迷惑行為などに対し、教育・研修に努めることなど、真に実効性のある対策を講じ、再発防止に努めるとともに、その具体的な対策等について、情報提供することを求めてきた。

また、米軍人による犯罪だけでなく、米軍の活動に起因する事故の防止に関しても、航空機の安全対策、パイロットの教育・訓練の徹底や、艦船の安全航行の徹底など、万全の措置を講じるよう求めてきた。

併せて、事件・事故等が発生した場合には、速やかに情報を関係自治体に提供すること、さらに、実際に米軍人による犯罪や、米軍の事故が発生した際には、規律の厳正な保持や、教育訓練の徹底など、再発防止について米軍に働きかけるよう、国に強く求めてきたところである。

今後もこうした取組みを通じて、米軍人による事件・事故防止に向け、しっかりと取り組んでいく。

松崎委員

例えば、米軍の航空機事故の場合など、再発防止の取組は、米軍自らが行う部分が大きいと思うが、県の要請内容は米軍に正しく伝わっているのか。

基地対策課長

米軍機による事故は、ひとたび発生すると、大惨事につながる恐れもあり、過去には県民が犠牲となる、大変痛ましい事故も発生している。

こうしたことから、これまでも、航空機に関する事故が発生した際には、県や、神奈川県基地関係県市連絡協議会として、国に対し、原因究明や、教育・訓練の徹底など再発防止に万全の措置を講じるよう求めてきた。

国としても、こうした地元の声を受け、米軍に申し入れを行っており、県などの要請は、米軍側にも伝わっているものと承知している。

松崎委員

日本側からの要請を受けて、米軍は再発防止に取り組んでいるのか。

基地対策課長

まず、航空機事故についてであるが、重大な事故について、日本側が報告を求めた場合には、米側は、事故原因や米側の再発防止策を日米合同委員会に報告するという取り決めがある。

それ以外にも、県の求めに応じて、米側が自主的に情報提供を行った場合もある。例えば、一昨年、厚木基地内で発生した、米軍ヘリコプターからの窓落下事故については、国を通じて、再発防止として米軍が新たな検査手順を設けたことなどについて情報提供があった。

   また、米軍人による犯罪・事件への対応として、新たに日本に赴任する米軍人等への研修の実施のほか、実際に事件が発生した際には、基地の外への外出禁止や、アルコールの摂取の禁止といった、制限を加えた事例もある。

松崎委員

先ほどの答弁では、再発防止と併せて、情報提供を求めているとのことだが、この点も重要であると思う。そこで何点か確認するが、事件・事故が起きた際の国からの情報提供は、基本的にどのような仕組みになっているのか。

基地対策課長

神奈川県下における、米軍または自衛隊による航空事故や、その他不測の事故が発生した場合に備え、防衛省南関東防衛局が所管する「航空事故等連絡協議会」が組織されている。

この協議会は、米海軍、海上自衛隊、海上保安庁、県警察、厚木基地周辺市町の行政機関と消防機関、そして、本県により構成されており、この協議会において、事故発生時における構成機関への緊急連絡経路や、被災者への応急・救護活動のための業務分担も定めている。

事故が発生した時には、この緊急連絡経路に基づき、南関東防衛局から、県や関係自治体へ事故情報の連絡が入ることとなっている。

また、米軍人による犯罪や事件については、平成9年3月の日米合同委員会合意に基づき、南関東防衛局から、県や関係自治体に情報提供がされることとなっている。

松崎委員

 事件・事故の第1報は、必ず国から入るのか。

基地対策課長

先程も答弁したとおり、米軍に起因する事件・事故発生の第一報は、航空事故等連絡協議会や日米合同委員会合意に基づき、原則として国から関係自治体に連絡が入ることとなっている。

これまで、ほとんどの事件・事故について、南関東防衛局から第一報が入ってきている。

ただ、これまでに、目撃者からの通報を受けたケースや、市町村の消防機関を経由して、県への第一報として、連絡が入ったケースもあった。

 また、報道機関から、事故発生について情報が寄せられたケースもある。

こうして寄せられた情報については、速やかに、南関東防衛局に照会し、事実関係の収集に努めるよう求めるとともに、得られた情報については、県や関係自治体に提供するよう働きかけてきた。

松崎委員

様々な状況があると思う。正確な情報収集にこれからも努めていただきたいと思っているわけだが、過去の事例において、国からの情報提供について課題があった事例はあるか。

基地対策課長

平成27年8月24日の深夜に、米陸軍相模総合補給廠内の倉庫で、爆発を伴う火災が発生した。

 事故の発生自体は先程説明した、通報ルート等により、県に情報提供があったが、火災現場では、出動した相模原市の消防に、火災が発生した倉庫内の保管物の正確な情報が伝えられなかったため、放水開始までに時間を要した。

こうした、被害の拡大防止のための情報提供のあり方や、特に、基地内の保管物・貯蔵物について、日米の関係機関での情報共有が行われてこなかった点について、課題が残ったと認識している。

このため、基地内における貯蔵物等の管理について、周辺住民の安全に多大な影響を与える恐れがあることから、安全管理に万全を期すことと、安全確保のため、基地内の貯蔵物等について、日米の関係機関で情報共有を図ることも求めたところである。

松崎委員

あの時は相模総合補給廠を巡って多くの県民が大変不安な思いをした。今、ご紹介いただいた相模総合補給廠の件について、どのような改善が図られているのか。

基地対策課長

相模総合補給廠で火災が発生した倉庫は、医療用の酸素ボンベが格納されていたものであった。

火災後、新たに建設された保管倉庫へ、米軍が酸素ボンベの保管を開始した際には、県や相模原市に対し、管理状況についての現場説明が行われた。

その際、ボンベの管理状況として、従前より保管量を減らしたり、ボンベ1本ごとに管理番号を付けて、適正管理を行っていくことなどの説明があり、安全面に配慮した改善が図られたところである。

一方で、基地内の貯蔵物に関する情報共有については、実現していないことから、引き続き、その実現に向け国に対して求めていく。

松崎委員

情報提供を求めることは非常に大事だと思うので、引き続き取り組んでいかなければならないと考えている。米軍に起因する事件・事故に対し、今後どのように取り組んでいくのか。

基地対策課長

基地に起因する事件・事故の防止は、県はこれまでも、基地問題の重要課題として、再発防止に取り組んできた。

事件・事故の直接的な要因は、人為的なミスや装備等の不具合、教育訓練が不十分であったことなど様々である。

一方で、米軍の事件・事故の大きな背景としては、米軍の活動に、原則として日本法令が適用されず、事件・事故の防止や、発生した場合の原因究明に、日本側が関与できないといった、日米地位協定の課題もあると考えている。

そのため、県ではこれまでも、知事が会長を務める渉外知事会を通じて、日米地位協定の改定を強く求めてきた。

しかし依然として、日米地位協定の改定には至っていなことから、昨年度に、米軍基地や基地の外での米軍の活動に国内法が適用されるよう特別要望を実施した。

今年度はさらに、特別要望を踏まえ、地位協定改定を求める重点要望の内容を従来の15項目から19項目に拡充し、要望を行ったところである。

今後も、米軍による事件・事故の防止のため、日米地位協定の改定に向けた取組に力を注いでいくとともに、あらゆる機会を通じて、未然防止のため実効性のある対策を講じるよう、引き続き求めていく。

松崎委員

具体の事項を経て改善がなされるというのは、本来逆であり、まずそういう事

が起きないよう鉄壁の防止策を講じ、それでも起きた場合は原因を追究し改善を図る。本来起きてはいけない米軍の事件・事故を起こさせないこと、発生した場合は国からも自治体に対して適宜適切な情報の提供がなされること。米軍においては有効な防止策が取られること、それを確認すること、そして取られていないならば継続して要望して、必ず再発防止策がとられるように仕向けること、このことをしっかりとやっていかないとならないと思う。事故の防止、事故が起きたときの対応をこれからもしっかりやっていただきたい。

根岸住宅地区の返還と跡地利用に向けた取組について

松崎委員

次に県内基地の最近の状況について伺う。根岸住宅地区の跡地利用について、横浜市立大学の2つの附属病院の再整備先として、根岸住宅地区の返還地が、候補地の一つとして挙げられているとの報道があった。それに関連して何点か確認をしたい。

 まず、横浜市の計画について、県が把握している状況について伺う。

基地対策課長

根岸住宅地区の跡地利用については、同施設の民間土地所有者により組織する、米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会と横浜市が、返還・跡地利用に向けての課題を共有し、まちづくりの検討を進めてきた。

そうした検討とは別に、市では昨年度から、横浜市大附属2病院の再整備について、有識者を交えて方向性の検討を重ね、先月17日に、横浜市議会において、再整備構想の方向性を示した。

それによると、横浜市大附属2病院については1病院に集約すること、再整備は、現行の敷地では困難なことから、アクセス等を考慮し市中心部に条件を満たす土地を検討することなどの方針が示されている。

その再整備を行う場所として、米軍根岸住宅地区の返還後の跡地が条件を概ね満たしていることから、候補地の一つとして検討していくことが示されている。

松崎委員

先ほどの質問で米軍の事件・事故について確認し、その中で情報提供が大変重要であると指摘したが、この根岸住宅地区への横浜市大附属2病院を再整備するということについて、いつ横浜市から情報提供を受けたのか。

基地対策課長

 1月24日金曜日に、横浜市からは、翌25日土曜日に、米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会を開催するとの情報提供があった。

 その際、協議会での説明内容等については、翌週に、県に対し説明を行うとのことだった。

 ところが、26日日曜日に、市大病院の集約と、根岸住宅地区の跡地を巡り、横浜市が市大病院を再編整備する方向で検討しているとの新聞報道があった。

 このため、1月27日月曜日に、横浜市に対し、報道内容について説明を求めた結果、根岸住宅地区返還後の跡地を、市大附属の2病院の再整備の候補地の一つとして、今後検討していくことや、その概要を、25日のまちづくり協議会の出席者に報告したとの、説明を受けた。

松崎委員

 地権者への説明等について、どのような情報を得ているのか。

基地対策課長

 1月25日に開催された米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会では、市から、根岸住宅地区の跡地を、市大附属病院の再整備の候補地の一つとして今後検討していく旨、説明が行われたとのことである。

 一方で、その協議会には、会員が全員参加していたわけではないため、横浜市では、引き続き、根岸住宅地区の地権者の方々に、再整備構想について、説明をしていくとのことである。

松崎委員

 大変重大なことを答弁しているという認識はあるのか。関係機関、この場合、具体的には県と市だが、県は長年関わり、返還されるよう頑張ってきたわけだが、共に頑張ってきた相手に対して横浜市からは全然情報共有がなく、しかも地権者への説明が十分行われる前に、マスコミから先に情報が出てしまうというのは、問題があるように思うが、当局は問題がないと思っているのか。

基地対策課長

 協議会を開催するという情報が横浜市から寄せられた際に、もう少し詳しく聞けるものがあれば、聞けたら良かったと思っているが、うまく情報がいただけなかった。今後は、横浜市とより連携をしながら、密にやっていきたい。

松崎委員

 基地の返還は県だけ、横浜市だけが言うということではなく、やはり一緒になって頑張っていかないといけないし、本県が会長県である渉外知事会はそういった趣旨目的で結成されている。そうした意味では、情報共有は第一であり、知らない間に新聞に出ていたといって驚いて後から横浜市に問い合わせるという状況は非常に厳しいと受け止めている。連携をしっかり取り、お互いが向き合って、情報共有に努めるよう、強く希望する。

 横浜市の病院再編計画が明らかになったことで、当面の基地対策においても新たな課題が突き付けられているのではないかと思うが、跡地利用に向けての課題をどのように認識しているか。

基地対策課長

 基地対策の取組といたしましては、県と地元市が緊密に連携し、返還後の跡地利用に関する市の考え方を、あらかじめ、できるだけ具体的に国に示し、早期の返還を求めることを基本としている。

 これまで、根岸住宅地区については、市の基地対策部門が作成した跡地利用に関する「基本的な考え方」に基づき、「良好な居住環境の形成を図りながら、文教地区としての土地利用や、公共・公益施設の誘致検討のほか、アクセス性の向上や、根岸森林公園との一体利用による公園の魅力向上、広域避難場所の機能継続」を示した。

 今回、新たに横浜市から、根岸住宅地区を市大附属病院の再整備の候補地の一つにしていくとの考え方が示された。一方で、市が「候補地の一つ」としているように、市大附属病院の再整備に向けては、様々なプロセスがあるものと受け止めている。

 そうした中で、県として根岸住宅地区の跡地利用に向けた考え方をどのように国に示し、早期返還を求めていくのか、改めて市と協議し、返還要望の再検討を行う必要があるものと認識している。

松崎委員

 基本構想では文教地区と言っているが、実際に明らかになったのは病院ということで、かなり違いがあると思う。この違いについてもきっちりと考えておかないといけない。大勢の方々がご利用になる施設、県民の方々にとって必要な施設がここに移転をする、そして移転をしたら当然様々な問題が出てくる。その点についても横浜市だけに負わせるのではなく、最後まで県は何らかの形で関わっていく必要が出てくると思う。そうした意味では、やはり課題の整理という意味においても、横浜市との連携、協議、情報共有をしっかり押さえていただきたいと思う。

根岸住宅地区の早期返還は地元の長年の悲願である。返還実現に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。

基地対策部長

 根岸住宅地区は、平成16年10月の日米合同委員会合意により、全面返還の方針が示された基地のうち、最後のものであり、かつ、返還に向けた作業のための共同使用について日米合意が行われるなど、今、まさに返還に向けたプロセスが進みつつある。

 根岸住宅地区の早期返還は、まさに地元の方々にとって長年の悲願であり、その円滑な実現、及び返還実現までの基地の安全管理等について、国に働きかけてきた。

 そうした中、最新の動向として、市大附属病院の再編整備の候補地の一つとして検討するとの横浜市の考え方が示された。

 ただいまも課長から答弁したとおり、病院の再整備に向けては、今後も様々なプロセスがあると想定される。同時に、基地対策の立場からは、基地返還に向け、跡地利用の考え方をどのように国や米側に示していくのか、また、市の役割となるが、地権者や地元の方々の希望をどのように集約していくのか、という課題もあると認識している。

 こうした課題も踏まえつつ、横浜市とは、委員からご指摘をいただきました情報の共有など、これまで以上に緊密に連携させていただきつつ、国に対し、最終的に、地元の意向に沿った返還が実現できるよう、働きかけていく。

松崎委員

 長年の悲願であった根岸住宅地区の返還ということにおいては、横浜市が市大附属病院の移転先の候補地の一つとして検討するという方針を示したことは大変重要な事柄であり、大きな節目を迎えたと受け止めている。

私の地元金沢区では、現在附属病院があり、この病院施設の将来に不安を抱いている県民もいる。今後基地対策の取組を進めるにあたっては、横浜市と情報共有を図るとともに、県庁内はじめ関係部局とも連携しながら取り組んでいただくということをスタートとして、しっかりと県民の御要望にお応えできる結果を出すということを達成目標に取組を続けていただきたい。

オスプレイに関する報道について

松崎委員

 新聞報道によれば、機体にトラブルを抱えた可能性のあるオスプレイが、2月に厚木基地に飛来したということであり、これを取り上げる。それによると、北海道での日米共同訓練に参加する予定だったオスプレイ2機が、行きと帰りに厚木基地に飛来をした。そして、うち1機は仙台空港に緊急着陸したということである。また記事によれば、県とか地元市に適時に情報提供がなされなかったということでもある。

 そこで、まず伺うが、事実関係についてである。記事の内容について、国とはどのようなやり取りがあったのか。

基地対策課長

今回の一連のオスプレイの飛来については、同型機が厚木基地を離発着したのではないかとの地元市からの情報を受け、南関東防衛局に照会していた。

 そうしたところ、まず2月10日になるが、南関東防衛局から、1月31日と2月3日に、オスプレイが厚木基地に飛来したとの情報提供があった。

 その情報のなかには、機数などの詳細な情報が不明であったので、さらに情報提供を求めていたところ、2月26日になるが、1月31日と2月3日に飛来があったオスプレイについては、各日とも1機ずつであったということ、さらに2月7日、そして11日にもオスプレイ1機が飛来したとの情報提供があった。

 なお、飛来の目的や、報道にあるような仙台空港に着陸した機体と同じかどうかについては、不明ということで、情報がなかった。

松崎委員

 今、県答弁を聞いていると、国からの情報提供が遅れたように感じる。オスプレイの飛来情報について、通常はどのような情報提供がなされてきたのか。

基地対策課長

平成26年7月にオスプレイが厚木基地に初飛来して以降になるが、県は、飛来がある都度、南関東防衛局から、離発着の時刻や機数について、情報提供を受けてきた。

これは、南関東防衛局の職員が、実際に厚木基地に赴き、飛来を目視で確認し、県に情報提供してきたとのことある。このため通常は、飛来した直後に電話などで、情報提供がある。

また、全てではないが、訓練への参加など、国において飛来の目的が分かっている場合には、併せて情報提供を受けてきた。

松崎委員

では、今回の件を受けて、今後県はどのように対応するのか。

基地対策課長

県はこれまでも、オスプレイについて、安全対策や、安全性に関する情報提供を国に求めてきた。

 国からは、これまで飛来情報を受けてきたが、この扱いが今後、変ってしまうのかどうか、疑問を生じるケースだと認識している。そのため、今後の扱いについて、国に確認を求めているところである。

 今後も、県民の皆様の不安を払拭できるよう、適時・適切な情報提供を働きかけていく。

松崎委員

 県自体が情報提供について、これまでと大きく異なっているから今後について不安を感じるということである。そこのところは非常に重大なことではないかと、私は今の答弁を聞いて思う。全然違う訳ではないか。そこでお聞きするが、情報提供、例えば艦船が入港する、飛行機が飛来する、あるいは大きなところで言えば司令部が移駐してくる等々、様々ある。あるいはその逆もある。硫黄島をどのように使用する、あるいはNLPについてどうなるというような話もある。あるいは本県ではなく例えば三沢基地であれば艦載機の問題とか、様々ある。あるいは部隊、嘉手納で言えば航空機部隊はどうなるとか、様々ある。その単年ごとには。そこはしっかりと情報提供が大事だということを縷々今まで申し上げてきたが、今回の件は、実はオスプレイにとどまらない問題を孕んでいると私には見える。つまり、国の情報提供の根幹に関わる問題ではないのかと受け止めている。今後、どのように対応していくのか、基地対策部長はどう考えているか。

基地対策部長

今回、報道された案件だが、これは国がこれまで行ってきた情報提供が予告なしに遅延してしまったと、こういった問題である。しかし、その背景を考えると、委員指摘のように、情報提供、これはまさに基地対策の背骨にあたる部分ではないかと考える。その根底に関わる問題であると私どもは受け止めている。

 オスプレイについては、県はこれまでも、先ほど課長からも答弁をしたが、安全性に関する情報提供を国に求めてきた。これに対して、国からは、離発着に関する情報提供を受けてきた。これは実際、防衛省の職員が、現場、実際の基地に張り付いて、離発着を目視で確認し、自治体に連絡をするというもので、正確性、それから効果、さらに施策の持続性に一定の制約があったということは否めないと思う。

実際に、今、横田基地などでは、国からのオスプレイに関する情報提供が打ち切りになってしまったと聞いている。このため、厚木基地周辺でも、情報提供が後退してしまうのではないかと、こうした懸念が今生じていると考えている。

このため、県としては、今後オスプレイの情報提供がどうなるのか、国に確認を急いでいるが、今後の情報提供のあり方が示されない中で一方的にその情報提供が打ち切られることがないよう、強く働きかけていく。

もう一点、これは中長期的な課題になるが、厚木基地については、空母艦載機部隊が移駐し、騒音は確かに減少したが、オスプレイなど、いわゆる外来機の飛来が、基地の運用にどのような影響を与えるのか、これは重要な問題となっていくと予想している。

今回の件を契機に、基地の運用について、地元の安全、安心を確保するという視点から、どのような情報の共有が可能なのか国としっかりと協議していきたいと考えている。そうしたなかで、情報提供の重要性について、改めてしっかりと訴えていく。

松崎委員

是非、よろしくお願いしたい。情報提供について大きな曲がり角が来ているような気がしてならない。オスプレイについては特に、事故が相次いだこともあって、県民の不安というのは依然として払しょくされたわけではない。そうした機体についても、なし崩し的に、情報が来なくなってしまうようだと、情報提供の姿勢として問題があると言わざるを得ない。今日は国からの情報提供のあり方について、多くの時間を割いて質問してきたが、大変重要なテーマであるので、適時適切に、引き続き今までどおり情報提供がなされるように、県として国にしっかりと働きかけていただきたいと考えている。どうぞよろしくお願いしたい。

池子住宅地区飛び地での避難訓練実施について

松崎委員

先月2月28日に、金沢区で米軍施設・区域返還跡地利用対策協議会が開催され、池子住宅地区の飛び地で、近く予定されている避難訓練の実施について、米軍の理解が得られた旨の報告がなされたとのことである。県は、横浜市から情報提供を受けているか。

基地対策課長

協議会の開催については、市のホームページにより承知していたが、避難訓練の情報については、承知していなかった。

委員からの問合せを受け、横浜市に確認したところ、地元からの要望に基づき、町内会主催の防災訓練を、米軍、国及び横浜市が支援する形で、3月に実施できるよう調整が済んでいたが、コロナウイルスの影響により、延期になったとのことである。

松崎委員

延期となったが、実施するということで間違いないか。

基地対策課長

延期となったということを聞いている。

松崎委員

情報共有について、やっぱり問題があるかなと思うので、県と市の情報共有の体制として、市に働きかけ、しっかり情報共有していただきたい。

住民が参加する避難訓練を米軍基地内で行うのは、初めてなのか。

基地対策課長

県内では、昨年3月、米陸軍キャンプ座間において、米軍、市、地域住民が参加した避難訓練が行われている。ただ、地元住民が主体となった避難訓練は、初めてだと思う。

県外では、平成28年3月に、沖縄県のキャンプ・ハンセンで、地元自治体の消防や住民が参加する、津波を想定した避難訓練が行われたと承知している。

松崎委員

本県としては初だということである。大変重要なことだと思う。

訓練実施の意義について、県としてどのように評価するか。

基地対策課長

池子住宅地区の飛び地については、かねてより地元市が、防災拠点としての活用のため、早期の返還を求めているところである。

また、池子住宅地区の横浜市域の、飛び地ではない本体部分については、横浜市が緊急避難場所として指定している。

飛び地において避難訓練を実施し、米軍基地内への避難の手順を確認することは、災害時の円滑な利用に資するために重要だと考えている。

松崎委員

災害時の円滑な利用に資するという言い方もあると思うが、なにより災害時に県民の安全を確保することに役立つということで評価をしている。

 池子住宅地区の横浜市域の返還にどのように取り組むのか。

基地対策部長

横浜市域の池子住宅地区については、平成30年11月の日米合意により、家族住宅の建設が取り止めとなったにも関わらず、既に返還方針が合意されている飛び地を含め、横浜市域の返還については、その日米合意では言及されなかった。

地元市からは、家族住宅の返還が取り止めとなった以上、飛び地の早期返還、及び横浜市域全体の返還について、要望が出されている。

これに対し、国は、飛び地部分について、早期返還を米側に働きかけるとしているものの、協議の状況については明らかにできないと現時点では回答している。

こうした中で、地元では住民が主体となって基地内で行うかたちで防災訓練の実施について、米側の理解が得られたということで、この状況がさらに進んで地元の状況について、米軍側のいっそうの理解が得られるきっかけになることを願っている。

県としては、基地返還や返還までの避難所としての活用について、地元の要望が出されていることを重く受け止め、市と連携し、返還等に向けて取り組んでいく。また、本日、委員から指摘を受けた横浜市、国との情報共有の課題については、横浜市と緊密に連携し、また国にも働きかけ、情報の共有に努める。

松崎委員

是非情報共有を含め、基地返還の取組をしっかりと力強く進めていただきたいということが根底にある。そして、その上で、訓練の実施ということについて、アメリカ側が具体的に理解を示して、実現の運びになったということは、明るいニュースだと受け止めている。こうした一歩一歩の積み重ねにより、最終的な問題解決へという県の立場については、理解するところである。新型コロナの状況もあり、実際の実施期日は未定とのことであるが、県としても、地元の状況について、情報の把握に努めていただき、基地問題の解決に向け、いっそうのご尽力をいただきたいということを要望する。

基地対策課長(答弁修正)

先ほど、松崎委員の質問の中で池子住宅地区の飛び地での避難訓練について、

住民参加の避難訓練が米軍基地内で行われるのは初めてかという質問があった際に、私のほうから、地元住民が主体となった避難訓練は初めてだと申し上げたが、それについて再度調べてみたところ、平成14年3月と平成15年3月に飛び地において、地域住民主体の訓練が行われていた実績があったので、お詫びして答弁を修正させていただきたい。

松崎委員

いずれにしても、飛び地における避難訓練は非常に重要なことであり、これが

続けられてきたということは重要なファクターであるので、住民の安全に資するかたちでの訓練の継続をこれからも求めていきたいと思う。