2021年7月1日

総務政策常任委員会 立民 松崎委員

(松崎委員)

米軍基地問題について何点かお聞きします。

横浜市内では、平成16年に6つの基地の返還が基本合意され、その後、現在までに4つの基地が返還されております。返還方針が基本合意されたうち、残るものとしては、根岸住宅地区の全面返還、そして池子住宅地区の一部の返還となっております。

返還された基地のうち小柴貯油施設でございますが、平成17年12月に返還され、横浜市が「小柴自然公園」の整備を進めております。全体で約55.6ヘクタールの公園整備を予定しておりますけれど、この7月末に、北側の約1.5ヘクタール部分が開園する予定となっております。地元金沢区では、市民の願いでありました基地返還と跡地の市民利用がようやく実感できるのではないか、そうした喜びや期待の声で溢れております。一方で、公園の全面開園には、まだおよそ11年かかるとのことであり、基地の返還と跡地利用というのは、一大事業であるということを、改めて感じております。

そこで、基地の返還及び跡地利用につきまして、県としてどのように地元市を支援していくのか、また昨年からお尋ねしております米軍のコロナ対策について、何点かお尋ねしてまいります。

まず、基地の返還ですが、基本的な方針が示された後、長い時間がかかる場合があります。返還までの期間について県としてはどのように認識しているんでしょうか。

(基地対策課長)

返還の方針が合意された後、返還までの期間は様々でして、長い期間がかかるものも、確かにございます。

 横浜市内の6施設で申し上げますと、平成16年の基本合意の後、小柴貯油施設は平成17年に返還されましたが、根岸住宅地区はいまだに返還されておりません。

 過去の事例で申し上げますと、横須賀市にあった海軍兵員クラブは、昭和52年12月に合意され、昭和58年10月に返還。横浜市神奈川区にあった神奈川ミルクプラントは、平成6年12月に返還が合意された後、平成12年3月に返還されるなど、時間がかかっております。

(松崎委員)

基地によって今お話しがあったとおり、様々なケースがあると思うが、何故、そのような時間がかかってしまうのでしょうか。

(基地対策課長)

返還の方針が決まった段階では、米軍は基地を使用しており、他の基地への機能の移転等が必要となり、実際の返還までには時間がかかる場合があります。

横須賀市の海軍兵員クラブの場合、他の海軍住宅の機能と合わせて横須賀海軍基地に移設統合することが合意され、合意から約7年後の昭和58年に返還されたと承知しております。

神奈川ミルクプラントでは、横浜ノースドック内に移設することが条件として合意されましたが、その後、神奈川ミルクプラントの閉鎖が決定されたため、返還条件が変更され、横浜ノースドック内に乳製品用の冷蔵倉庫を移設次第返還されることとなり、当初の合意から6年後の平成12年3月に返還されました。

(松崎委員)

それぞれの経緯を今お聞きしました。では伺いますが、根岸住宅地区については、返還に向けて米軍と日本政府が共同使用を行い、日本政府が住宅などの除却を行う計画となっていますが、今年度は、どのような計画になっているのでしょうか。

(基地対策課長)

 予定としましては、具体的な作業工程としては、昨年度から引き続き実施されるPCB調査・処理作業、土壌汚染等調査・除去作業、また、今年度から新たに行われる工程としては、地中の廃棄物調査と、確認された場合は廃棄物の掘削除去、既設建物、工作物の解体撤去工事の調査、設計及び工事が計画されています。

(松崎委員)

 今おっしゃったPCBですとか、地中の埋設物、廃棄物等々、そういったものについて、何か今の段階で難しい点、あるいは困ったことというのは想定されているのでしょうか。

(基地対策課長)

 計画の中で、今年、PCBや廃棄物の調査を行いながら、丁寧に作業を進めるという地元説明が行われておりまして、想定以上の困ったことがあるという情報は現在のところございません。

(松崎委員)

 建物のことですから、アスベスト等、まだまだ今の段階では外側から確認できないこともあろうかと思います。ですので、そういった点も含めまして、やはり慎重に計画が策定されるべきと考えていますが、いかがですか。

(基地対策課長)

 今おっしゃったように、アスベストについても、飛散のしやすさによるレベルが想定されておりまして、建物の除去につきましては、丁寧に、飛散のしやすさによって工事を進めるという説明がされております。

(松崎委員)

 作業の難易度に応じて、そこはしっかりと対応していくということでありますので、その点はしっかりとフォローアップしていく必要があるというふうに思っています。それと、計画の遅れという点も気がかりなのですが、新型コロナ感染症の影響はないのですか。

(基地対策課長)

 現時点では、新型コロナ感染症による工程の遅れ等の影響はないとの説明を受けております。

(松崎委員)

 現時点では遅れはないとのことですが、そうしますと、予定どおり3年で除却が行われたとして、その後の見通しについては何か情報はございますか。つまり、横浜市が速やかに利用できるようになるのかどうかなのですが。

(基地対策課長)

跡地利用に向けては、いくつかの課題があると考えられます。

 根岸住宅地区は、主に国有地と民有地から成っており、昭和22年に米軍に接収されたため、国土調査法に基づく地籍調査が未実施であり、土地の境界が不明確な状態であるとのことです。土地の境界の確定などを、返還までに行う必要があります。

また、返還は、国有地については日本政府に、民有地は地権者に返されます。国有地部分を横浜市が使用する場合は、国から土地を取得又は貸付を受ける必要があります。取得等の条件は、跡地利用の形態によって変わってくるため、跡地利用に向けては、跡地利用計画を策定し、国と条件を協議する必要があります。 こうした協議等に、一定の期間を要する可能性があると思います。

(松崎委員)

 今、地籍調査ですとか境界画定というお話しもありましたが、この件はこれまでも当委員会で私が取り上げてきましたけれども、やはりそういったところには地元で詳しい方々が一定数いらっしゃると思うんですね。ですので、民間の力も活用しながら、状況に応じて柔軟にそうした調査が進むよう、県としても努めていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

(基地対策課長)

 国の方も、地元への説明と、行程の策定等、鋭意進めていると聞きますけれども、県としましても、地元の詳しい方のお力をいただきながら、丁寧にかつ迅速に計画が進められるように後押ししてまいりたいと思います。

(松崎委員)

 今の部分は重要な答弁で、国の方は大きな方針を出すけれども、我々地方自治体の方は、地域に根差した様々な人・物・情報、そういった資源を活用する、そして人については特に、人材という点から、地域でなければわからない様々な方々の知恵というものを活かしていく、集めていく、ということをぜひともお願いしておきます。

 同時に様々な問題があるわけですけども、単に早ければいいというものではないと思っております。そういった課題を解決しながら、同時に跡地利用の実現を目指すことが望ましいと考えていますので、引き続き県としても、必要な支援をお願いします。

 本日のやり取りも踏まえて、地元市の跡地利用、また基地返還について基地対策部長の見解を伺います。

(基地対策部長)

本県には、人口密集地域に多くの基地が所在しており、基地の整理・縮小・返還は、基地対策の最も重要な課題であると認識しております。

また、本日、委員からご指摘をいただきましたが、基地の置かれている状況により、返還の基本方針が日米間で合意された後、返還まで時間がかかる場合もございます。さらに、基地返還後の跡地利用に向けて、調整が必要な様々な課題、場合によっては地域の様々の声を聞きながら対処していく課題もございます。

 そうした課題に合わせて、丁寧な対応が必要だと考えております。そのため、返還を働きかける段階から、地元の跡地利用の考え方を国に伝え、円滑な跡地利用の実現につながるよう働きかけてまいります。

 また返還後は、地元市が跡地利用の主体となりますが、県としての支援が必要になる場合も想定されます。市と連携し、必要に応じ、返還前から県の関係機関と情報を共有するなど連携を密にして対応してまいります。

 基地負担軽減のためには、返還された後、地元の意向に沿った跡地利用が実現することが大変重要であると考えておりますので、引き続き、関係市、関係機関と連携して取り組んでまいります。

(松崎委員)

 この問題についてはまだ続いていきますので、私は折に触れて引き続き取り上げていくつもりでありますし、根岸住宅地区について、大変大きな課題であると認識しておりますので、引き続き、いっそう力を入れて取り組むようお願いしておきます。

次にもう一つお尋ねします。米軍の新型コロナ感染症対策についてですが、今回の報告事項にあった停留措置に関して、新型コロナ感染症対策という観点から停留措置を当局としてどのように受け止めているか、お聞きします。

(基地対策課長)

在日米軍は、日本に入国する米軍関係者に、14日間の移動制限を課し、また、14日間の期間中にPCR検査を実施することを義務付けています。報告事項に記載の、相模総合補給廠における停留措置についても、この新型コロナ感染症対策を厳密に履行するため、このような運用が行われているものと捉えています。

また、今回の国からの情報提供によると、停留措置を行う軍人は、全員がワクチンを接種済みとのことです。今回の様々な措置は、新型コロナ感染症対策という観点からは、かなり厳しい措置が取られていると受け止めています。

(松崎委員)

 今のお答えの中にありました、米軍人が全員ワクチン接種済というところは、角度を変えると一つ大きな課題があるようにも思われるので、後ほどその点については取り上げます。

 今お聞きしたいことは、米軍のコロナ感染者数について、大幅に減っていると聞いていますが、在日米軍の現在の感染状況について伺います。

(基地対策課長)

在日米軍の、新型コロナウイルス陽性者は、6月24日時点の発表では全体で13人となっています。うち、神奈川県内の基地では、キャンプ座間で2人、横須賀基地で1人となっています。

今年1月には、横須賀基地で165人、厚木基地で26人、陸軍関係で14人の陽性者数であったことと比較して、大幅に減っていることは確かです。

(松崎委員)

 では、米軍におけるワクチンの接種状況についてお聞きしますが、どのように把握しているのでしょうか。

(基地対策課長)

米軍におけるワクチン接種は、日本と同様、強制ではなく任意の接種であり、統計はとっていないとのことですが、希望する方については、家族も含めて希望する全ての米軍関係者がワクチンを打てる状況となっています。 

接種状況につきましては、米軍のホームページ等によりますと、海軍のケースですが、4月には第7艦隊の艦船乗組員の接種がほぼ終了し、また5月には、家族のうち12歳から17歳の方への接種も始まったとのことです。

 また、6月中旬からは、米軍基地内において、日米間の合意に基づき、日本人従業員で希望する方への接種も始まっているとのことです。

(松崎委員)

先ほど、後で触れると申し上げた点についてですが、ワクチンに関して、心配していることがあります。現在、日本側ではワクチンの接種が米国に比べると進んでいない現実があります。そういう状況で、米軍の中でワクチン接種が行き届き、もうマスク等、規制は緩めても良いのではないかということになり、基地周辺の日本社会と軋轢が生じることにならないか、と心配しております。この問題について、県はどのように考えるのか、基地対策部長の見解を伺います。

(基地対策部長)

ただ今課長から答弁したとおり、ワクチンの接種に関しては、我が国と比べまして、全般的な状況と比べて、基地の方が進んでいる状況にございます。

 こうした状況を背景に、米軍の最新の行動規制に関する指針の最新のものを見ますと、基地の中において、ワクチンを接種済みの軍人同士が会議を行う場合などは、マスクを必ずしも付けなくてよいと、一部の行動制限が緩和されているという状況がございます。

一方で、基地の外においては、ワクチンを接種している者であっても、日本側のマスク着用の規制に従うこと、あるいは基地の中であっても、ワクチン未接種者、あるいは日本人従業員と接する場合には、マスクを着用すること、といった運用がされております。それは、基地の外の状況、我々日本社会の状況へ一定程度配慮していただいていると考えております。

委員ご指摘のような、日本社会との軋轢が仮に生じるとすると、大変重要な問題ですけれども、おそらく、日本側でワクチン接種が進み、かつマスク着用をどうしていくかなど、ルールが明確化されるまでの期間、おそらくこれからの期間が大変重用になると思っております。

 そうした中で、引き続き基地において、日本社会の置かれている状況に理解や配慮がいただけるよう、在日米陸海軍と引き続き丁寧な情報や意見交換に努めていきます。

(松崎委員)

 情報交換も、中身をよく精査しながら行っていただきたいです。つまり、神奈川県内における接種状況というものは、日々更新されていくわけですけども、一時、ワクチンが大量に供給されているという状況がありましたけども、今はワクチン不足だということが言われて、職域接種に至っては全く再開の見込みが立たない状況になっております。従って、ある時は上り調子だが、今のように停滞気味になってきたということがあるので、その時の状況、またデルタ株の拡大も踏まえた最新の状況を、米軍の方でも、今、日本社会の状況はどうなっているかということについて関心を払っていただいて、かつ、我々の方からも積極的に、今の状況がどうなっているかということについてアップデートしていただいて、情報連携を取っていただきたいと考えます。そのことによって、非常に情報に対して敏感な方々ですので、そこのところは向こうでも情報がアップデートされると思うので、よろしくお願いします。

 最後にもう一つお聞きしますが、新型コロナ感染症対策について、これまでも何度かお尋ねしてきましたが、本日のやり取りも踏まえて、米軍の新型コロナ対策に関連して、県としてどのような働きかけをしていくのか、改めて、基地対策部長の見解を伺います。

(基地対策部長)

 在日米軍の新型コロナ感染症対策については、これまでも基地の感染防止に万全を期すことや、水際対策など日本側の対策の状況にも配慮して、最善の対策を取ること等を求めてまいりました。

 今回の相模総合補給廠への人員の停留につきましても、新型コロナ対策の一環として行われたものでございますが、具体的な措置として、ワクチン接種は最終的には自己判断とされている中で、今回は全員がワクチンを接種したうえで、来日するなど、非常に厳しい措置をとっていただいています。

 また、在日米軍基地においては、ワクチンの接種が進む一方、米軍の行動指針においては、基地の外では、ワクチン接種者であっても引き続きマスク着用を求めるなど、日本側に配慮した内容となっております。新型コロナ感染症の状況は、ワクチン接種が進む一方で、変異株のまん延が心配されるなど、日々、状況が変わってきております。そうした最新の状況を踏まえ、日米が連携して常に最善の措置が取れるよう、引き続き、新型コロナ感染症対策における基地との連携に努めてまいります。

(松崎委員)

 本日は、私の地元金沢区を含め、基地の跡地利用に向けて進展があったので、少し紹介させていただきました。また、基地の返還、及び跡地利用について、県の考えを改めて伺ったところです。基地の返還は、返還自体も重要であるが、長年にわたり基地の負担を担ってきた周辺住民の方々の利益になるような跡地利用がされることが大切だと考えています。跡地利用については、地元市の事業になりますけども、地元の意向に沿った跡地利用が実現するよう、県としての最大限の支援をお願いいたします。

 また、米軍基地の新型コロナ感染症対策については、引き続き、日米両国が連携して、常に最善の対策が取られるよう、県として、適時適切な働きかけを要望して、私からの質問を終わります。