決算特別委員会(立憲民主党・民権クラブ 松崎委員)2021.11.17(水)

(松崎委員)

 まず、中小企業等へのビジネスモデル転換への補助について伺います。

2年度と3年度とも予算額を大幅に上回る申請状況だったと承知しています。主にどういった事業に補助しているのか、また、補助した結果、事業継続や売上高の増につながっているか、そういった補助の状況について伺います。

(中小企業支援課長)

まず、主にどのような事業に補助しているのか、という点ですが、補助先として一番多いのが製造業で、自社の持つ技術や得意分野を生かして、他の事業や分野に参入するというものです。

一例として、照明関係の部品製造業者が、自社の持つ高度な加工技術を生かして半導体分野に参入するための加工機械を導入するもの、また、自動車や家具などの部品メーカーが自社の物づくりの企画力や生産力を生かして医療機器分野に参入するため必要な設備を整備するものといったものが挙げられます。いずれも、コロナの影響による経済社会の変化に対応するための新規事業への進出や業態等の転換に取り組むための補助となっています。

 次に、補助が事業継続や売上高の増につながったかということについてですが、補助金を交付した事業者には、売上高の報告を求めており、今年度は令和2年度の交付事業者が報告対象となりますが、全ての事業者から売上高の報告がありましたので、事業の継続はしっかりとなされているものと認識しています。

  一方、売上高につきましては、ビジネスモデル転換を行ってまだ1年目でございますので、その効果が十分に及んでいないことから、適切な分析が難しい状況ですが、売上高の報告は、補助事業終了後5年間求めることとしておりますので、今後、状況を注視してまいりたいと考えております。

(松崎委員)

少し聞き方を変えますが、中小企業等の皆様が置かれている状況については、当局としてどのように捉えているのでしょうか。

(中小企業支援課長)

国の中小企業白書によると、令和2年は7割を超える企業がコロナ前の前年と比べると売上高減少となっています。また、民間の調査会社による調査では、県内で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって倒産した企業は、昨年3月から今年10月までの累計で136件にのぼり、うち、約6割が小規模企業であるということです。このように、コロナの影響により、中小企業を取り巻く環境は大きく変化し、企業経営にも甚大な影響が生じており、現在も感染症の影響による厳しい経営状況は続いていると認識しています。

(松崎委員)

 県と同様の補助制度は国にもあります。私の地元金沢区の皆様から国の補助は使い勝手が悪いので何とかならないかとのご意見もいただき、そのことを当局にお伝えしたこともありまして、本補助制度が見直されたものと受け止めております。そもそも、国の補助制度の使い勝手を良くしてもらうことが県の財政負担を軽減する意味でも重要だと思いますが、国への要望も含め、どのように考えているか伺います。

(中小企業支援課長)

国による、中小企業等の業態転換等に対する補助制度では、「事業により製造する製品又は提供する商品等が新規性を有するもの」との厳しい補助要件を設けております。国に対しましては、こうした新規性要件等の補助対象要件の緩和につきまして、全国知事会を通じて既に要望してきたところですが、中小企業等の皆様がより使いやすい補助金となるように、今後も、機会をとらえて国への働きかけ等を行っていきたいと考えております。

(松崎委員)

 次に、非正規で働く方々への対応について、伺ってまいります。コロナの影響もありまして、有効求人倍率、県内は昨年5月から17カ月連続で1倍を割っております。依然として厳しいと受け止めるわけですが、一方で、緊急事態宣言の解除を受けて、パートの方、アルバイトの方を採用したい飲食業界がコンビニエンスストアなどの小売業界との人材の取り合いが起きているといった報道にも接しております。こういう状況の中で、当局としては、非正規で働く方々の雇用はどのような状況と受け止めているのか伺います。

(雇用労政課長)

まず、全国の状況ですが、総務省の労働力調査によれば、全国の非正規雇用労働者数は、令和2年が2,090万人でした。前年比75万人のマイナスとなっております。また、直近の令和3年9月の状況をみますと、2,059万人で前年同月比マイナス20万人と2カ月連続で前年同月比がマイナスとなっている状況です。

次に、県内の状況を見ますと、神奈川県労働力調査結果報告の2020年平均によれば、県内の非正規雇用労働者数は、令和2年が163万6,000人であり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である令和元年の170万2,000人に比べてマイナス6万6,000人となっており、全国的にも本県におきましても新型コロナウイルス感染症の影響が非正規雇用労働者の雇用にも及んでいると考えられます。

また、特に影響を受けているといわれる女性の非正規雇用労働者の状況を見ますと、全国では、令和2年の非正規雇用労働者数は、対前年比50万人のマイナス、県内では、対前年比6万6,000人のマイナスとなっており、女性の非正規雇用労働者への影響が大きいと考えられるところでございます。

(松崎委員)

その失業された非正規で働いていた方々に対して、県としてはどういった対応をとっているのか、また、支援を充実させていく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

(雇用労政課長)

県では、新型コロナウイルス感染症の影響で増加する失業者に備えるため、昨年度から、50社程度の求人企業が参加する合同就職面接会及び数社程度の求人企業が参加するミニ企業相談会等を実施しています。これらは、基本的に正規雇用を対象に求人の開拓を行っておりますが、厳しい雇用情勢においては、正規・非正規にかかわらず働くことを優先する求職者のニーズもあることから、パート・アルバイト等非正規雇用の求人にも幅広く対応しているところです。

今後は、さらに新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたといわれる女性の活躍を応援する企業などに焦点を当てたミニ企業相談会・面接会を設定するなど、苦しい状況に置かれている求職者への支援の拡充についても検討してまいりたいと考えているところです。

(松崎委員)

ぜひ、きめ細やかに、実態に即して、しかもスピーディーな対応をお願いしたいと思います。

次に、子ども子育ての支援に関して一点、私立専門学校修学支援負担金について伺います。この制度、経済的に厳しい状況にある学生が進学を断念することがないように支援を行うというものです。コロナ禍だからこそ、苦しい状況に置かれている、これからの神奈川県を担う学生の皆さんにとって重要な制度だと思っております。しかし、昨年度は制度初年度で、皆さんに十分に周知がされていなかったということで、活用が進まず、当初予算額は令和2年度の13億6,000万円から3年度には7億5,000万円と大幅に減額されております。そのため、7月の総務政策常任委員会におきまして、改めて制度の周知について、財政当局から福祉子どもみらい局へ伝えていただくよう、お願いいたしました。今年度の現時点での申請状況はどうなっているのか伺います。

(私学振興課長)

私立専門学校修学支援負担金につきましては、年2回に分けて申請を募集しております。令和3年度の現時点での申請状況ですが、約2,000人の申請がありました。既に1回目として9月に決定し、約9億6,000万円の負担金を交付しております。また、これから2回目の募集を予定していますので、今後、さらに増加することが想定されます。

なお、当初予算額7億5,000万円に対しまして、1回目の交付で約9億6,000万円が必要となりました。これは、不足分2億1,000万円ですが、他の事業から財源を生み出しまして、執行対応することといたしました。

(松崎委員)

一言でいうと、減額した予算に対して、その見込みをはるかに上回る額の申請が出ているということです。こういう申請状況になったことについて、どう捉えているのでしょうか。

(私学振興課長)

令和2年度は、初年度であるため、この制度がまだ十分に浸透していなかったことが、申請が少なかった要因であり、県としてより一層、周知に努めるべきであったと考えています。そこで令和3年度は、議会でのご指摘も踏まえて、専門学校生やこれから進学を考えている高校生などに対して情報が行き届くよう、改めて学校を通じて周知を行っております。

また、これまでも教育委員会とは連携しているところですが、改めて依頼をし、例えば、学校長が集まる会議の場などを活用した周知や、進路指導の際に生徒へ丁寧に説明していただくなど、よりきめ細かく、対応していただいております。こうした取組を進める中で、令和3年度の状況としましては、1回目の申請で、昨年を約500人ほど上回る申請があり、これは学校関係者がしっかりと受け止めていただいて、必要とする生徒に情報が届けられた結果であると考えております。

(松崎委員)

今から言えば、そういうことも言えると思うのですよ。だけど、2年度は周知が十分でなかった。その時に、制度を知らないで進学を諦めた子どもたち、大勢いたのではないですか。その方々に対しては、どう対応するのですか。

(私学振興課長)

情報が届かず、結果的に進学・修学を諦めてしまった方々がいらっしゃるとすれば、真摯に受け止めなければならないと思います。県として、そうした方々に改めてチャレンジをしていただくためにも、制度の情報をしっかりと届けられるよう、更なる周知に努めていきたいと考えます。私どもが所管します専門学校、例えば、医療・福祉の現場で働く、エッセンシャルワーカーを多く輩出しております。このコロナ禍で注目され、期待が高まっている状況もありまして、改めて専門学校で学び直したいという方々も増えているとも伺っています。この新制度は、そうした方々も要件が合えば、利用していただけます。県といたしましても、学生、高校生だけでなく、県の様々な広報媒体を活用しまして、幅広い層への周知にも努めてまいりたいと考えております。

(松崎委員)

絵に描いた餅という言葉がありますが、このケースほど絵に描いた餅という言葉がピッタリあてはまることはないと、私は思います。やはり、子どもたちの学ぶ機会を保障するということは、基本的な我々の役割であります。そういうことを重大だと踏まえていただいて、周知、周知とおっしゃるけれど、実際にきちんと子どもたち一人一人に届いていることを確認するところまできっちりやっていただきたいと思います。その上で、苦しい状況にある学生の皆さん、学びたい人大勢いらっしゃるその方々に活用していただけるように、教育委員会をはじめ、教育現場との連携を更に深めるなど、丁寧に取り組んでいただくことを強く要望しておきます。

続きまして、将来の子どもたちの負担となる県債について伺います。

まず、令和2年度に発行した減収補塡債の発行額と2年度末の県債残高、それから、3年度の臨時財政対策債の発行額と当初予算との対比、さらに、3年度末の県債残高の見込み、そして、4年度の臨時財政対策債が大量発行となるのか、現時点での県債管理目標における目標年度の5年度末の県債残高の見込みについて、確認します。        

(資金・公営事業組合担当課長)

初めに、令和2年度に発行した減収補塡債の発行額と2年度末の県債残高についてです。2年度は、減収補塡債を514億円発行いたしました。結果、2年度末の県債残高は、3兆3,572億円となっております。

次に、3年度の臨時財政対策債の発行額と当初予算との対比についてです。3年度の発行額は、当初予算で、2,140億円を計上しておりましたが、当初予算を319億円上回る2,459億円で国より発行可能額が示されました。

 次に、3年度末の県債残高の見込みについてです。臨時財政対策債の大量発行の影響により、3年度末の県債残高は、2年度末から485億円増加し、3兆4,057億円となる見込みです。

 最後に、4年度の臨時財政対策債の見込みと、5年度末の県債残高の見込みについてですが、3年9月に公表しました「4年度財政収支見通し」時点では、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税の額は、3年度当初予算に対して、440億円減少する見込みとなっております。

4年度の臨時財政対策債の発行額についても3年度よりは減少するものの、継続して大量の臨時財政対策債を発行しなければならない見込みです。その結果、5年度末残高は、3兆3,000億円程度となる見込みとなっております。

(松崎委員)

5年度末で県債残高の見込みが、3兆3,000億円程度ということです。そのため、県債管理目標で定める「令和5年度末に2兆円台」という目標の達成は、3,000億円以上の抑制が必要となり、更に困難な状況ですが、この状況で県債管理目標は達成できるのか、また、中期財政見通しと県債管理目標を、この際切り離して、県債管理目標だけを見直すべきと思いますが、見解を伺います。

(資金・公営事業組合担当課長)

議員ご指摘のとおり、県債管理目標で定める「令和5年度末に2兆円台」という目標の達成は、3,000億円以上の抑制が必要なことから、極めて困難であると考えています。

そのような中、現行の県債管理目標を堅持することは望ましいことではないと認識しております。県債管理目標の見直しにあたっては、県債残高の5割以上を占める臨時財政対策債を推計し直すことが必要ですが、コロナ禍の影響が見通せず、本県の税収動向や国の地方財政計画が把握できない中、どのように精緻な推計ができるのか、検証してまいります。この検証は、今後の状況について一定の方向性を見定める必要がありますので、令和4年度の当初予算編成の目途がついた段階で、中期財政見通しと切り離した県債管理目標の見直しも視野に入れ検討してまいりたいと思っています。 

(松崎委員)

県の借金である県債が見込んでいたものから増えたことから、子どもたちの将来に重い負担を背負わせないためにも、引き続き県債残高を減らす新たな取り組みが必要であると思います。具体的にどのような方策で取り組むのか、伺います。        

(資金・公営事業組合担当課長)

まず、県債残高を減らすためには、県債残高の5割以上を占めるに至った臨時財政対策債を減少させることが重要であると考えています。ここまで臨時財政対策債の現在高が増加したのは、臨時財政対策債が、国の財源不足に伴う地方交付税の代替措置として、時限的に設けられた制度であったにも関わらず、度重なる延長により、現在も継続していることが要因となっております。そこで、制度の廃止や臨時財政対策債に頼らず交付税総額の確保を図るよう要望するとともに、現状においても、財政力の高い団体に対して過度に配分される算定方法の見直しなど、全国知事会等とも連携しながら、国に強く働きかけ、発行額の圧縮に取り組んでまいります。

 また、通常の県債につきましても、県民サービスの低下を招かないよう収支のバランスを考慮しながら、従来の施策事業の見直しに加え、これまで以上に事業の優先度を厳しく見極め、発行額を決定していきたいと考えています。

 さらに、財政状況にもよりますが、不用額等により生じた財源を活用し、可能な限り借替債等の発行を抑制するなどの取り組みにも努めてまいります。これらの取組により、県債残高を減少させ、将来世代への負担を軽減していきたいと考えております。 

(松崎委員)

しっかりとそこは引き続き取り組んでいただきたいと思います。県債の低減をはかっていく策の主要な流れというか、メインで取る施策は基本限られているので、そういった借替債の抑制といったところに主眼を置きながらやっていくのは、一定の理解をします。

ただ、単に県債のみを達成可能な目標に引き下げて終わりというものではないと思います。コロナ禍で外に出て十分遊ぶこともかなわなかった子どもたちの将来に3兆3,000億円の借金を負わせる、このことをただ看過するわけにはいかない。やはり徹底した行財政改革を推進することで、県民に将来への安心を約束するという、我々は大変重い責務を引き続き背負っていると考えていますが、この点について財政当局の見解はいかがですか。 

(財政課副課長)

本県財政は、減収補塡債や臨時財政対策債の発行が急増したことにより県債残高は増加に転じているのが実情です。こうした状況は、決して望ましくなく、将来世代に負担を先送りすることなく、持続可能な財政運営を行っていくことが大変重要だと認識しておりますので、ただ今、担当課長からご答弁させていただいた様々な方策により県債残高を減らしていきます。

 そして、負担を先送りすることなく、その時々の政策課題に着実に対応するためには、限られた財源を、より効果的な事業に重点的に配分していくことが大切であり、徹底した事業見直しが必要です。そのためにも、スクラップ・アンド・ビルドを徹底し、優先順位をしっかりと見極めたうえで事業を実施していきます。

 さらに、事業を実施する場合においても、1円たりとも無駄にせず、予算が貴重な公費であることを職員一人ひとりが強く認識するとともに、改めて業務プロセスや手法を適切に見直すこととしています。こうした徹底した事業見直しを行い、不断の行財政改革に取り組むことで、将来世代も安心できる持続可能な財政運営を行っていきます。

(松崎委員)

本日、私どもの総括の質疑で取り上げている、例えば再委託の問題等を一つ取っても、やはり、再委託までいってしまうと、なかなかチェックが及ばなくて、結果どうだったのか、成果の検証もままならないという状況にまで行きかねないと私は思っています。今、徹底した見直しや手法を含めての検証といったことを議会では答弁していますが、明日になったら、また同じことが続くのかと思うとやりきれないです。やはり、そこは議会に対してきちんと約束したことであるならば、しっかりとものさしをあてて、そして見直すということをしっかり約束してもらわないと困ると思います。

 これまで、項目を絞って質問してきました。そして、2年度決算を総括しますと、やはりコロナの影響が大きいです。県税収入の減少、それから減収補塡債の大量発行、こういう中で厳しい財政運営になっている。そして、県債管理目標の達成も困難である。この厳しい状況の中で、県民、それから事業者の皆様は、毎日、暮らしておられ、働いておられます。また、将来世代については、負担を先送りにするということが現実化してきかねない状況になってきているわけであります。

やはり、EBPM(=証拠に基づいて施策・事業を構築すること)という考え方も、私は何度も取り上げてきましたが、無駄を排して実をあげる不断の行財政改革をしっかりとここでお誓いをいただき、そして実行していただきたいと思います。施策や事業について、例えばコロナ、未病という名前が付けば、施策・事業に盛り込んでもOKで、そして、どんどん委託をされていって、再委託までいくと全くチェックも及ばず、いくらの予算を、どこに使って、県民にどんな受益があったのかが分からないということでは困ります。そこで聞きますが、厳しい状況の中で、どのように財政運営に取り組んでいくのか、繰り返し聞いていますが、もう一回聞きます。           

(財政課副課長)

危機的な財政状況の中、限られた財源を活用するに当たっては、県民目線に立って、「県民が事業の成果を実感できるか」を常に意識する必要があります。そこで、令和4年度当初予算編成においても、「証拠に基づく政策立案(EBPM)」を推進し、コロナ禍で事業を見合わせているものを除き、原則全ての事業において、これまでの予算編成において設定した成果目標等を踏まえ、事業の成果を徹底的に検証し、より効果的な施策・事業の構築に努めていきます。限られた財源を、県として取り組むべき事業に一層集中することで、様々な政策課題に迅速かつ的確に対応しながらも、将来世代に負担を先送りすることのないよう、中長期的に持続可能な財政運営に取り組んでいきます。

(松崎委員)

今日の答弁は答弁として受け止めますが、ぜひ、気を引き締めて、取り組んでいただくよう要望します。

 最後の質問ですが、今、やはり第6波、この懸念が非常に大きいです。それともう一つは、足元のGDPが速報値でマイナス成長となっております。県内経済の回復をしっかりとやらなければいけません。「感染拡大防止対策」と「県内経済の回復」のバランスが重要ですが、4年度の予算編成を含めて、どのように考えているのか、現状をお答えください。

(財政部長)

4年度当初予算は、予算編成方針の時点で、前年度の1,100億円よりは縮小したものの、850億円の財源不足を抱えてのスタートとなりました。

また、財政調整基金の残高も、決算で持ち直したとは言え、3年度末の見込みは、当面の残高の目安である660億円の半分以下の299億円となる見込みになるなど、減少している状況に変わりはなく、本県財政は引き続き危機的な状況にあります。

現時点では、コロナの新規感染者数は大きく減少し、落ち着いている状況ではありますが、第6波を懸念する声もあり、依然として収束したとは言えず、先行きは見通せない状況にあります。こうした中、4年度の当初予算編成においては、新型コロナウイルス感染症対策の継続を想定するとともに、収束後を見越して、国の経済対策等と連動した取組や、ポストコロナを見据えた施策を展開していくことになると考えています。

委員ご指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染状況を注意深く見極め、感染拡大の防止と県内経済の回復のバランスを取りながら、県民や事業者の皆様にとって有益な予算をしっかりと編成していきたいと考えております。

(松崎委員)

不断の行財政改革をぜひ実行していただくようにお願いを申し上げて、私からの質問を終わります。

下記は委員会当日は質疑時間がなかったため、発言できませんでしたが、この質疑の趣旨を貫くため、改めて県に要望したものです。

EBPMの考え方に基づいて、事業ごとに成果目標を設定し、事業実施後に成果分析を行うことが重要であることから、こうしたことをベースに、無駄を排除して実のある施策を行っていくといった不断の行財政改革が基本にあるべきだと考えています。神奈川県では行財政改革を全国に先駆けて行ってきました。この行財政改革がなければ、本県財政は破綻していたと言ってもおかしくないと感じていますので、不断の行財政改革をぜひ実行していただくようお願いします。

また、県債管理目標については、現役世代の負担と将来世代の負担のバランスをいかにとっていくかも非常に重要な視点であり、その目指すべきバランスを県民の皆様から見えるようにしたものが県債管理目標であると考えます。現状の目標は、実態と乖離しすぎていますので、中期財政見通しと切り離して、見直すことに加え、県債残高の縮減に向けた具体的な取組についても効果検証を踏まえて、事業の廃止を含め、即実行することを要望します。

さらに、ビジネスモデル転換への補助、非正規労働者への対応、そして、私立専門学校修学支援負担金については、成果分析を行い、翌年度以降の予算編成につなげていくことが大切であると考えています。持続可能な財政運営に十分留意しながら、県民や事業者の皆様の目線に立って、施策・事業を推進していただくことを要望します。