立憲民主党・民権クラブ・松崎委員

(松崎委員)

何点か、新型コロナウイルスの抗体保有状況等調査について伺う。

まず、この調査事業の目的と、どこが調査を実施したのか伺う。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

この調査の目的は二つあり、一つ目は、コロナ禍において、県として取るべき対策の検討に向け、実際に新型コロナに罹患した県民が、どの程度いたのかを把握することで、抗体保有状況調査を、県立保健福祉大学に、発熱等の有症状者の抗体保有状況調査を慶應義塾大学が実施しています。

また、二つ目は、長期的な視点に立って、新型コロナウイルス感染症が長期化した際に、感染の未然防止や重症化の防止につながる必要な情報を把握することで、こうした生活習慣等の実態調査を、県立保健福祉大学等が実施しています。

(松崎委員)

 慶應義塾大学では、発熱等の有症状者の抗体保有状況の調査を実施しているが、なぜ、この調査は対象を有症状者に絞ったのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

抗体保有状況の調査の目的は、コロナ禍において、県として取るべき対策の検討に向け、実際に新型コロナに罹患した県民が、どの程度いたのかを把握することです。

その中で、一般の方でコロナに罹患した方がどのくらいいたかを把握しつつ、それと比較する形で、発熱等の有症状者の中で、どの程度が実際に感染しているのかを把握して、コロナ対策に活用できるのではと考えました。そこでこの慶應義塾大学で実施した調査では、対象を発熱等の有症状者に絞って実施しています。

(松崎委員)

この調査を実施する前に、具体の内容は確認していたのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

県では、抗体保有状況調査等の全体を産業技術総合研究所に委託して実施しています。

産業技術総合研究所では、研究支援の委託を行う際に、大学等の相手先を審査する「プロジェクト立案・推進委員会」を実施し、県もこの委員会に参加しております。

その委員会で、慶応義塾大学の研究計画書の内容は確認しております。

(松崎委員)

 研究調査を実施したのは、慶應義塾大学や保健福祉大学とのことだが、県が委託したのは、産業技術総合研究所であるとは、よくわからない話である。なぜ、第二回定例会の常任委員会の報告では、産業技術総合研究所が記載されていないのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

抗体保有状況等の調査研究については、県から産業技術総合研究所に調査研究全体を委託しており、産業技術総合研究所が具体に調査研究を実施する大学等に実施を依頼しております。

 このため、第二回定例会の常任委員会の報告では、調査研究を行う実施主体である慶應義塾大学や県立保健福祉大学等を記載したほうがわかりやすいと考え、産業技術総合研究所は記載していませんでした。

 一方で、県が調査研究全体を委託したのは産業技術総合研究所ですので、今後は、こうした事業については、業務の流れがわかるよう記載してまいります。

(松崎委員)

 この調査は、産業技術総合研究所が慶應義塾大学に調査研究を再委託し、さらに、それを外注されているが、どこに再々委託したのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

採血等が実施できる健診センターである「医療法人社団 善仁会 総合健診センターヘルチェック」という機関に、採血等の現地業務を外注しています。

(松崎委員)

 そもそも、県では、この総合健診センターヘルチェックという会社に、慶応義塾大学が外注することを知っていたのか。また、再々委託の内容について仕様書で確認しているのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

産業技術総合研究所の「プロジェクト立案・推進委員会」で、研究計画書に採血等の業務を健診会社に外注するということは記載されていたので、把握していました。

 一方で、慶応義塾大学が総合健診センターヘルチェックに、具体の業務内容を示した仕様等は、その時点では確認していません。

(松崎委員)

 県では、この抗体保有状況の調査が、どこで、どのような人員規模で実施されるかを事前に把握していたのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

慶応義塾大学が実施した調査研究は、発熱等の有症状者の抗体保有状況を把握するため、県と連携しながらラインパーソナルサポートに登録している方を対象に募集しています。

実際に調査を実施したのは、今年の3月17日からの10日間で、毎日の人員規模は把握していました。

また、会場についても、事前に慶應義塾大学から伺って把握しておりました。

(松崎委員)

 県は、実際にこの調査を実施している会場に確認に行ったのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

調査に参加される方が、当日、子連れで参加する、また、キャンセルする等の情報を、会場の健診会社に電話等で伝えておりますが、会場を直接確認はしていません。

(松崎委員)

 抗体検査に参加した方に報酬は出しているのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

今回の調査では、参加した方への報酬は出しておりません。

(松崎委員)

 この調査に参加した人数は、常任委員会の報告書では703名となっているが、この人数の調査結果で、県のコロナ対策に活用していくという目的は、達成されたのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

まず、今回の調査自体は、発熱等の有症状者の抗体保有状況を確認することで、有症状者703名のうち抗体保有者が87名であり、抗体保有率が12.4%という調査結果がでたことから、一定の目的は達成されたと考えています。

また、抗体検査の結果から、発熱等の有症状者に対して、自宅で抗原検査キットにより迅速にスクリーニング検査を行い、医療機関の受診につなげていくという「抗原検査キットの配布事業」につながっておりますので、

この調査結果をコロナ対策に活用するという目的は達成されたと考えています。

(松崎委員)

 今回の抗体検査の結果が県の施策につながったと認識しているとのことだが、発熱等の有症状者に対して、自宅で迅速にスクリーニング検査行う必要性はこの時点で一般的には認識されていたと思う。このため、抗体検査の結果があってもなくても、「抗原検査キットの配布事業」は、結局は実施していたと思うが、これについて、どのように受け止めるのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 抗原検査により自宅で各個人が自らスクリーニング検査することは、国が当初は認めていませんでした。

 こうした中、今年の7月の県の感染症対策協議会に、具体の抗体検査結果のデータを一つのエビデンスとして、「抗原検査キットの配布」の必要を説明し、事業スタートのきっかけとなっています。こうしたことから、コロナ対策の施策に寄与していると受けとめております。

 一方で、ご指摘のとおり、発熱等の有症状者の感染の可能性が高いことや、発熱等の有症状者に対して、自宅で迅速にスクリーニング検査行う必要性は、委員ご指摘のとおり抗体検査の実施いかんにかかわらず、認識されていたと考えております。

(松崎委員)

 慶應義塾大学では、抗体保有状況について、抗体保有率の12.4%という事実以外に、どのようなデータの分析を実施しているのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

慶應義塾大学では、有症状者のうち、高熱や軽い風邪の症状、味覚・嗅覚症状を訴えた者の多くが、抗体保有で陽性となっているなど、こういったことが分析として出てきている。これは、ラインパーソナルサポートに登録されていたデータと、抗体保有状況調査の結果を分析したものでございます。

(松崎委員)

 抗体保有状況調査は、山形大学等でも実施されているが、フォロー調査を実施している。慶應義塾大学では、昨年度の抗体検査のフォロー調査を今年も継続するのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

抗体検査については、昨年度の段階では、フォローアップの調査を慶應義塾大学では想定しておりましたが、ワクチン接種が今年度初めから本格化したことから、慶應義塾大学では、有症状者の抗体保有状況のフォロー調査については継続はしないと聞いております。

(松崎委員)

 昨年度の段階で、すでにワクチンの接種が本格化していくことは想定できたと思うので、今年度に抗体保有状況調査を継続するという想定は、甘いのではないかと思う。

県が第二回定例会の総務政策常任委員会で報告した資料では、発熱等の有症状者の抗体保有状況調査の実施主体を慶應義塾大学と記載し報告している。一方で、慶応義塾大学の報告書では、新型コロナウイルス抗体検査の実施にかかる業務一式を外注していると記載されている。

 これは、先ほど答弁いただいた、健診会社に外注していると思われるが、再度どこに再々委託したのか伺う。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

委員ご指摘のとおり、採血等が実施できる健診センターである「医療法人社団 善仁会 総合健診センターヘルチェック」という機関に、血液の採血等の現地業務を外注しています。

(松崎委員)

 慶応義塾大学の報告書では、抗体検査に参加した人数は704名となっており、常任委員会で報告された人数である703名と異なるが、それはどのような理由なのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

慶應義塾大学が3月31日に提出した報告書では、ご指摘のとおり抗体検査に参加した人数は704名と報告されております。

 その後、今回の調査対象が、20歳以上の県内在住者としているところ、検査に参加した方の中に、19歳だった方が1名いたため、その方を除いたデータを7月の常任委員会で報告させていただいています。

(松崎委員)

 慶應義塾大学の報告書を県が改めて確認して、実際に必要な情報を県が整理して常任委員会に報告したと理解してよいか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 ご指摘のとおりです。

(松崎委員)

 次に、慶応義塾大学の研究費の決算内訳をみると、間接経費というものがあるが、これはどのようなものか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 間接経費は、事業と直接結びつく、人件費や消耗品費、外注費等とは別に、大学等の研究機関であれば、研究機関の管理のための費用、例えば光熱費、通信費、建物や研究室・大型コンピューター等の設備維持管理費等、調査研究を行う際に間接的に必要となる経費です。

 間接経費は、知的活動への依存度が高い調査研究業務等の場合は、算定が難しいため、例えば、国の公募の調査研究の場合、「直接経費の30%」と定めている例がございます。

 また、今回、抗体保有状況調査を委託した産業技術総合研究所では、研究支援を大学等に行う場合、消耗品、外注費、旅費、人件費を合計した直接経費の10%を、間接経費と定めております。

(松崎委員)

答弁では、消耗品費、外注費、旅費、人件費等を合計して、その10%を間接経費とするとのことだが、この決算内訳をみると、外注費として約909万円と間接費の91万円が記載されているだけである。

そもそも、慶應義塾大学が、調査研究を実施しているなら、当然、人件費はもちろん、打ち合わせをする旅費等は必ず発生するはずである。計画段階ではどのような内訳になっていたのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

研究計画書にある研究経費の資金計画では、

・ 消耗品費が、約159万円

・ 採血等の外注費が、約700万円

・ 旅費が、10万円

・ 人件費等が、40万円

・ 間接経費が、91万円と記載されておりました。

(松崎委員)

 今答弁いただいた計画上の内訳であれば、間接経費が発生することに対して一定の理解はできるが、報告書の決算内訳は、外注費と間接経費のみである。

 そもそも、間接経費は、大学が研究を行っていく上での間接的な経費であるのだから、人件費も旅費もない、外注だけの状態は、業務の丸投げであり、間接経費が計上されていることは大きな問題である。

 県としては、このことについて、どのように考えるのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

委員からご指摘いただいたとおり、計画段階での想定が、実際の決算での報告と異なっていることから、確認したところ、

 慶応義塾大学では、今回の人件費や旅費については、この調査研究自体が、今後の新型コロナウイルスに関するデータ解析に有用であることから、自前で対応したと伺っています。

 実際に必要であった人件費や旅費などの記載がなく、外注費と間接経費のみを計上した決算の報告書については、問題があったと考えています。

(松崎委員)

 問題があったと言われて県議員として、そうですかということではなく、私共は県民から付託を受けて、公金、税金の使い道をきっちりチェックして、県民の皆様にちゃんと報告して、次の年度の向かうということを重ねており、そうした意味合いからすると大変残念なことでもあると思う。

今回の抗体保有状況等の調査研究は、県は産業技術総合研究所に委託しており、そこから様々な大学に再委託され、更には、外注という名目で再々委託されていることが、そもそもの問題ではないか。なぜ、有症状者の抗体保有状況の調査を、産業技術総合研究所が実施しなかったのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 県では、今回の抗体保有状況や生活習慣に係る調査研究は、各調査研究の結果等を総合的に評価しつつ、今後の調査研究に活用することができると考えて、調査研究全体を産業技術総合研究所に委託しています。

 一方で、産業技術総合研究所自体は、総合的な調査研究の支援ノウハウは持っておりますが、有症状者の県内のデータ分析のノウハウ等は持っていないため、こうしたノウハウやネットワークを持つ慶応義塾大学が調査研究を実施しております。

(松崎委員)

産業技術総合研究所というのは、県庁にどういう研究所なのかをお聞きすると、非常にレベルの高い研究をしていて、非常にネットワークも豊富に持っていて、一定の資源も持っている。本県の積み重ねてきた研究のパイオニアの集積している場所だと、ほぼ皆認識は一致している。にもかかわらず、今のような答弁が返ってくると、産業技術総合研究所というのは、県からきちんとした税金を使っても、自らの研究では処理できないということがあちこちで発生するのか、いったいこの研究所とは何なのだ、どういう存在なのかという疑問もわいてくる。今回の場合、特に、仕事を撒いてしまっているので、そこがよくわからない。

産業技術総合研究所では、保健福祉大学にも抗体保有状況調査等を委託しているが、保健福祉大学でも、外注しているが、どのような会社に再々委託しているのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

県立保健福祉大学では、採血等の業務について、公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンターに、現地業務を外注しています。

(松崎委員)

どこにある団体か。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 東京都新宿区に本社があります。

(松崎委員)

 東京ということは、神奈川県内の産業振興にも直接結びついているかはわからない。

今回の抗体保有状況等の調査は、産業技術総合研究所から慶應義塾大学や県立保健福祉大学に再委託され、さらに、民間企業に再々委託されている。こうした委託の連鎖により、費用的な問題だけではなく、個人情報の取扱もどんどん杜撰になり、情報漏洩等の問題にもつながる可能性が高くなってしまう。

 県では、再々委託された、民間企業が、個人情報をどのように取り扱っているのか、確認はしているのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 本事業における個人情報につきましては、委託契約の中で、秘密の保持や、個人情報の保護として規定等の順守を求めており、これは、産業技術総合研究所が、研究支援委託をしている大学に対しても、同様に契約の中で規定しています。

 また、各大学が業務を外注した民間企業に対しても、各大学が、秘密の保持や、個人情報の保護を契約書等で規定しています。

(松崎委員)

 そもそも、慶応義塾大学が使用する発熱等の有症状者のデータは、県のデータである。各大学と再々委託した民間企業との個人情報の保護について、県は、抗体保有状況調査を実施する前に確認しているのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

 各大学は、民間企業と、個人情報の保護を規定した契約を結んでいましたが、調査を実施する前に確認はできていませんでした。

(松崎委員)

 いつ確認したのか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

決算特別委員会で抗体保有状況調査について、質疑のあった際に確認しております。

(松崎委員)

 由々しき問題だと思う。今答弁されたように、我が会派が決算特別委員会で質問していなければ、県当局は、個人情報の保護について確認していなかった。

結果的には、一定のリスク管理はしていたと言えるかどうかわからないが、こうした個人情報保護についても、細心の注意を払って業務を委託していくべきである。

業務の再委託、再々委託等が行われることで、費用面だけではなく、個人情報の保護の観点からも問題があるため、今回の調査研究のような業務の委託について費用面、個人情報の面から、今後、どのように適切に実施していくのか、ヘルスケア・ニューフロンティア推進担当部長より、お答えいただきたい。

(大木ヘルスケア・ニューフロンティア推進担当部長)

委員からご指摘いただきました、今回の抗体保有状況調査等の調査研究を委託する場合、総合的に大学等の研究機関をサポートできる産業技術総合研究所のような機関に、県が委託していくことは、総合的に研究成果を上げていく上で非常に重要だと考えています。

 一方で、県から業務を委託された機関から、大学等に調査研究支援を行う際には、その計画書の審査はもちろん、報告書に記載された決算等の内容を適切にするには、県としても一定の係わりを持つ必要があると考えています。

 また、研究支援された大学等が、今回のように一部業務を民間企業等に外注するケースも想定されるため、その費用面の確認や、個人情報の保護等についても確認していくための仕組みが必要だと考えます。

 いのち・未来戦略本部室では、今回の抗体保有状況調査等の研究支援を行うことで、今回のように県内の感染防止対策への貢献や、研究成果に基づく県内の産業の活性化等につなげていきたいと考えていますので、最終的な外注先の民間企業がどのように費用を使ったのか、また、個人情報の保護をどうチェックするのか、調査研究を委託する当室として、しっかりとしたルールをつくるよう検討して参ります。

(松崎委員)

 しっかりしたルールを作るということは必要だと思う。「産技総研」と我々は呼んでいるが、これは単なる略称というよりは、そこだったら任せて大丈夫だというある種の信頼感を込めた呼び方のはずだが、今日の質疑を通じて、はっきりしていることは、そこは常任委員会の報告はなくて、私も常任委員だが、慶應義塾や保福大に頼んだのだと受け止めていた。常任委員会報告資料にはそう書いてあるから。実際は蓋を開けて見たら、産技総研であった。これは我々が決算の審査に臨んだ時に出てきた。それも伝え聞いた話だったと思う。そうすると一体どこまで委託が進んでいったのだろうと。その業者選定の最後、県は関われたのかなと、ちゃんと業務内容を理解されていたのかなと。普通何か仕事を発注するときは、入札とか随意契約、随意契約でもいろいろ基準を設けてやるわけである。そこの対象にならない会社はこういうところだとルールもある。こういうやり方をすると最後受けている会社は、そういった審査とかを受けないわけである。一発でここにしようと。A大学、B大学、C大学が選べば自動的にそこが受けることになる。それがなんで受けるのか、どういう事業かも、それも事業の性格によって決まっていくから、必ずしも、前はここ、次はここに変えましょうということにはならないかもしれない。そうすると包括委託という別の形が実現することになってしまうので、県民からすると非常にわかりにくい。いま大木部長からはルール作りという言葉があって、大変重いと思っている。一つは財務会計上の透明性、もう一つは個人情報保護、これはもうすぐ法律だけになって条例が廃止されるかもしれないという現下の状況がある。これは本当に大丈夫かと懸念を持つ。そういった意味では思い答弁だったと受け止めている。

 そこでだが、やはり一つの部局に責任を負わせて終わりにするというわけには行かない、重要な課題だと思っている。むしろルール作りされるわけなので、県庁みんなで知恵を絞って頂きたいと強く念じている。委託を繰り返すという場合に、どうチェックを及ぼすのか、また、適正な業務ルール作り、適正な業務執行をどう担保するのか。中抜きとか丸投げとかそういったものをどうやって防ぐのか、共通の課題というものが委託事業というものにはあるわけである。県としてこれらの共通の課題を県庁全体で考える中で、透明性、公正性を担保する、確保する、これをしっかりやらないと行けないが、そうした覚悟はお持ちなのかお聞きしたいと思う。

(太田いのち・未来戦略本部室長)

これまで松崎委員から、様々なご指摘があり、答弁をさせていただいた。ご指摘のありました、委託における、それぞれの機関の業務の仕方、個人情報の保護、そういった観点で見直しをしなければならない、検討を進めなければいけないと我々も認識をしている。今回この事業について、結果としては、十分検討が進められずに実施してしまった。もう少し事前に県のほうで、適切に関わりながらできれば、そのようなことには至らなかったと考えている。そういた状況を受け、今後、先程、課長から答弁したが、様々、委託のルール、そういったものをいのち・未来戦略本部室の業務において、十分検討し、ルールづくり等を進めてまいりたいと思っている。県庁全体については、なかなか難しいところも正直あるが、関係機関とも検討したい。

(松崎委員)

 一定の覚悟はお持ちだということは何となく伝わってきたので、それはぜひ進めて頂きたいが、やはり委託事業について一定の見直しとか新たなルール作りをする場合は、取り組む時期や内容をどうするのか、ある程度は示して取り組んで頂きたい。これについて何かイメージはお持ちか。

(穂積ライフイノベーション担当課長)

今回ご指摘のあった調査研究の委託に関するルールにつきましては、早急に対策を進め、これから来年度事業に向けて準備等が始まってまいりますので、少なくともそこまでに確実にやることは、ここでお話させていただきます。

(松崎委員)

 これはヘルスケアだけの問題にしてしまっていいのか。どう思うか、高澤局長。

(高澤政策局長)

 非常に重たい課題だと認識している。いま、ヘルスケアのほうからは速やかにという話はあったが、当然、庁内横断的な体制の中で、いつとお尻を決めることは難しいかもしれません。いま委員からご指摘いただいたように、かなり多面的な検討が必要で、非常に複雑な部分もある。

 今日出た話の中では、例えば個人情報保護の関係は、政策局の中でも所管しているので、そういった部分も含めて、それぞれがそれぞれの課題の中で、課題をどう解決するのかというのもある。

 それの全体調整の中で、どう庁内のルール作りに還元させていくか、という調整も速やかに始めて、積極的にそうしたことも整理できるように、各局と一緒になってやっていけるように努めていきたいと考えている。

(松崎委員)

 私はこの質疑をやって良かったと思う。いま局長から庁内のルール作りについて言及があった。各局のご参加を頂いて、知恵を絞ってルール作りをして頂きたい。ルールで縛るだけでなく、当然それは、神奈川県の調査研究をより良くするための熱意の現われかなと思う。実際そう県民の方々に受け止めて頂くにはまだ時間がかかる。今日の質疑では、やはりこういう点がいけなかったのではないか、こういう点についてはっきりさせたほうがよいのではないかという点をいくつか提示した。県民の方々にご納得、ご理解頂けるような、ヘルスケアの事業や県政を推進していかなければならない。私は批判する立場では言っているのではなく、一緒に参画して、一緒に遂行して、一緒に責任を負うという立場の一翼を担うと思っている。二元代表制ですから。なので、やっぱりこうなると残念だ。従って、どこから見てもというのが理想だが、実現しなければならない。公金ですから。どう使われたのかが、はっきりとどこから見てもわかるというものに変えていかなければならない。よくEBPMと財政の議論で言っているが、EBPMなのかという問いを今回しなかったのは、そんなことを言い合っているよりも、実際にはっきりと、こうだと見えるように変えていく、公明性を確保する、公正性を担保する、これに尽きると思うからである。それをしっかりやって行きたいと思う。

要望を申し上げる。委託事業については、今回の抗体保有状況調査等に限らず、再委託、再々委託と現実的にはいろんなところで、費用はもちろん、個人情報の保護としても、問題が発生している。今回の問題を契機として、県として、委託事業全体のチェック体制について高澤局長から答弁があったように、県民の皆様がご納得いただけるよう、透明で公正なものに変えていただくようお願い申し上げる。そして、我々が行財政改革を共に進めるという視点で、厳しくチェックをさせて頂きながら、必要な提言をこれからも随時行って参ります。以上です。