令和5年12月8日(金) 総務政策常任委員会

(立憲民主党・かながわクラブ 松崎委員)

(菅原委員)

 私から、まず政令市・中核市における補助金の格差の是正について、お伺いしたいと思います。

これまで、この県単独補助金については一般の市町村の格差を設けて、低い補助率に設定してまいりましたが、先日の11月21日の知事定例記者会見において、格差を解消する旨、知事から表明がなされました。

この補助金の格差の問題については、政令市からも様々、たびたび要望が出されてまいりまして、我が会派としても同じ県民が住んでいる場所によって、この県の補助金に格差があることについて合理性がないと考えてまいりまして、これまでも機会を捉えながら質問をさせていただきましたし、当局の皆さんと議論をさせていただいてまいりました。

その中で知事から力強い発言がございましたので、このことについてまずお伺いをしていきたいと思っております。

11月21日の知事の定例記者会見では約30億円ほどの財源がかかるということがございました。主に、重度障害者医療費助成や小児医療費助成などに費用がかかるというような話だと思っておりますけれども、今回この格差解消に伴いまして、それぞれの事業で必要となる予算は、大体どのぐらいなのでしょうか。

(橋本資金調査担当課長)

現在、県単独補助金で政令・中核市と一般市町村で補助率に差を設けているもの、これは委員からご指摘ありました通り、小児医療費助成や、重度障害者医療費助成など、全体で6事業あります。

これらの事業の政令中核市の補助率をその他の市町村と同じ補助率まで引き上げるということにしております。

また、今回の格差解消を図るための予算規模としては、委員ご指摘のとおり、現時点で約30億円と試算しています。

その内訳でございますけれども、重度障害者医療費助成で14億円、小児医療費助成で11億円、ひとり親家庭等医療費助成で4億円でございます。その他の事業で1億円程度と見込んでおります。

なお、現在6年度当初予算の編成中でありますので、各事業の予算への影響額につきましては、あくまでも現時点での見込みとなっております。

(菅原委員)

現時点でということでよく理解します。重度障害者医療費助成、また小児医療費助成等で6つくらいあったのですかね。6つくらいある中で約30億円かかるということがよくわかりました。

その中で今回の格差解消に伴いまして、それぞれの市の影響額というのは、どのくらいになるのでしょうか。

(橋本資金調査担当課長)

来年度の当初予算の編成中であるため、見込みではございますけれども、この影響額を各市別に積み上げたところ、横浜市が18億1千万、川崎市が6億4千万円、相模原市が3億6千万円、横須賀市が1億7千万円でございます。

(菅原委員)

ありがとうございます。横浜が18億、川崎が6億、相模原市が3億、横須賀市が1億ということでありました。

横浜市が突出してこの影響額というのは大きいのはよくわかりましたし、人口規模を見ても、それはそうなのだろうなと私も思ったところであります。

ただ、若干懸念するのは県からの補助が増加したことによって、政令・中核市は今回の見直しによって財源的には少し余裕が出てくるようなことになると思いますけれども、余裕が出た財源の使途というのは、各事業の趣旨に沿ってもらいたいなと思うところです。

例えば、政令・中核市の小児医療費助成の財源が、県が補助することで、もちろん他の事業にも行うことができまして、その事業を手厚くするようなこともできたりすると思うのですが、この施策、県がその補助金を、格差を是正することによって、県として、市町村にどのような働きかけを行っていくのでしょうか。

(橋本資金調査担当課長)

委員ご指摘の通り、政令・中核市では、県からの補助が増加することになりますので、その分、財政負担を軽減することができることになります。

今回、格差解消する理由でございますけれども、子ども子育て施策や、大規模災害対策など諸課題に、県と市町村が一体となって取り組んでいくということを目指すものでありますので、子ども子育て施策などのさらなる充実に向けて、しっかりと活用していただくよう、補助事業の所管部局とも連携いたしまして、政令・中核市へ働きかけていきたいと考えております。

(菅原委員)

知事も記者会見で総合的、一体的に市町村とやっていくという発言をされていると思いますので、是非それは要望していただいて、よりよい使い方となるように、県も指摘するところは指摘をしていただきたいと思います。

また、先日の代表質問の中で、財政面で格差解消を図ることを判断するにあたり、財政面の法人にかかる外形標準課税の拡大により税収が安定化してきているとの答弁がありました。これはなかなか言葉だとよくわからないんですけれど、少しかみ砕いてご説明いただきたいのですが、県の税収が安定していることはよく分かるんですけれども、具体的にどういうことになっているのでしょうか。

(足立税制企画課長)

  本県の基幹税目である法人事業税はかつて所得のみに対して課税する仕組みだったため、その時々の景気に左右されやすいことが課題でしたが、こうした課題を踏まえ、平成16年度に、景気に左右されにくい外形標準課税が導入されました。 

具体的には、資本金が1億円を超える法人については、法人の所得に応じて負担していただく所得割に加え、人件費や資本金など、法人の事業規模を表す指標に応じて負担していただく外形標準課税の仕組みにより課税することとされております。

制度導入当初、外形標準課税の割合は課税額の8分の2でしたが、現在は8分の5と半分を超える割合まで拡大されています。景気に左右されにくい外形標準課税が拡大されたことで、景気が落ち込んだ際の減収幅を抑える効果が期待できることから、県の税収の安定化につながっているものと考えております。

(松崎委員)

菅原委員の質問に関連して少しお伺いします。この補助格差の解消については、我が会派としましても、今回の知事のご決断は県政の大きな転換であると大いに評価しているところであります。

しかしながら、代表質問でも指摘しました通り、この取組が短期的なものであってはその意義が大きく損なわれてしまうと考えております。今回の補助格差の解消について、是非恒久的な措置となるように検討を進めていただきたいのですが、当局の考えをお伺いします。

(橋本資金調査担当課長)

現在、来年度の当初予算編成の中で精査をしており、およそ30億円規模の予算を措置することを検討しております。

今回、6つの県単独補助事業を見直す理由ですが、今後、県と市町村が一体となって施策に取り組んでいくためですので、当然、来年度限りの措置とすることは想定しておらず、来年度以降も継続して措置することを検討しています。

今後、税収動向や社会経済状況が不透明な状況の中にあって、将来の財政状況を見通すことはなかなか困難ではありますが、既存事業の見直し等に取り組みつつ、今後も格差解消に必要な財源を確実に確保していきたいと考えています。

(松崎委員)

考えを伺いたいと聞きましたところ、考えを述べていただいたと受け止めておりますので評価させていただきます。

同時に、考え方を変えたんだ、ということだと私は思うんですね。どういう考え方で今までは行っていたが、考え方をこう変えたのでのこれからはこうするんだ、というそういうご説明を少しいただけると、なお有り難いのですが、いかがでしょう。これまでの考え方はこうであった、これからの考え方はこうであると。考え方のところがどう変わったのかを説明していただけないでしょうか。

(橋本資金調査担当課長)

これまで財政状況が厳しいという中で、言ってしまえば、守り的な姿勢ではあったのかと思っています。今後は必要なことはきちんと予算を付けて事業を実施していく、そういった前向きな形で事業を推進していきたいと考えています。

(松崎委員)

今までの考え方を改めたと、180度変えたと受け止めさせていただきます。守りだったところを攻めに変えたんだと。抽象的な表現ではありますが、しかし、必要なところには、総県、県を上げてやっぱり取り組んでいかないといけない。そこに政令市も一般市も差はないんだという考え方に変わったんだということを確認させていただきまして、質疑者に戻させていただきます。

(菅原委員)

私からは、先ほど外形標準課税についてお伺いしたんですけれど、要は所得に対する課税だけではなく他の課税方法があって、これが景気に左右されないものであるということがよく分かりました。これは私も企業を経営したことがないので、これが良いのか悪いのかわからない、たぶん自治体にとっては良いのかもしれませんが、企業にとって良いのか悪いのか分からないんですが、いずれにせよ、新たに毎年神奈川県から30億円程度、新たな財政的な負担が生じるということは私の答弁からも分かるところです。

財政健全化を目指してきた神奈川県の中で安易に多額の財政支出に転じることは慎むべきだと思うんですが、出すところはもちろん出さなければならないというのは私も理解しているところですが、このバランス、健全な財政運営という視点を常に持ち続けるべきと考えるんですけれど、当局の考え方を教えて下さい

(橋本資金調査担当課長)

 現在、編成作業を行っている6年度当初予算ですが、財源不足額は300億円と、かつてよりは減少してきております。

先ほど税制企画課長の答弁にもございましたが、景気に左右されにくい外形標準課税の割合が拡大したことなどにより、今後は大幅な減収が生じにくい税収構造となっています。さらに、長年の財政上の課題であった県債・公債費についても改善が図られつつあることや、財政調整基金についても目安となる水準まで積み立てておりますので、本県の財政については、安定化してきていると考えています。

 こうした状況もありまして、全県一体で対処すべき喫緊の課題に取り組むため、今回、政令・中核市への補助格差を解消することとしました。

 しかし、依然として財源不足は生じているということや、現下の経済情勢は、海外を中心に不透明な部分が大きく、税収の下振れリスクもあります。

また、介護・医療・児童関係費は、急速な高齢化に伴い、今後も増加が見込まれておりまして、決して本県財政に余裕が生じているとは考えていません。 

 そのため、今後も、あらゆる手段で歳入を確保するとともに、優先順位を見極めて、既存事業の見直しなど、必要な事業を精査することで、健全な財政運営に努めていきたいと考えています。

(菅原委員)

ありがとうございます。要望申し上げます。この補助金の格差是正は、我が会派でもこれまでも取り上げてまいりましたし、今回の知事の県政が変わるということも良く理解しました。これは是非やっていただきたいと我々も考えています。 恒久的なものにしていただきながら、県政、県民全体のことも考えていただきながら、財政運営も一緒にお願いできればと思います。