ライフワークの財政問題は一貫して現実に即し解決の道を探ってきました。
その提案がどう活きたのかに重点を置きポイントを明示して要点を抜粋しています。
所属会派の代表質問や予算委員会総括質疑、常任委員会や決算特別委員会総括質疑など登壇30回、15年以上にわたる神奈川県財政を巡る松崎淳と県知事や当局との徹底議論。
番号 | 日時 | 議会 | 主要議題 | 提起した質問、意見 | 答弁趣旨 | その後の状況等 |
01 | H19.11.13 | 決特 | プライマリーバランスの黒字化 | プライマリーバランスの早期黒字化を目指すべき(H22末目標の1年前倒し)。 | 税収増を前提にしないと非常に厳しいが、その気概で取り組む。 | リーマンショックにより臨財債が大幅増、H22末の黒字化目標も未達成。 |
02 | H21.11.09 | 決特 | リーマンショックにおける予算編成 | 1250億円の財源不足の解消と、地方財政制度改革をどのように達成するのか。 | 歳出を削減するとともに、まずは現行の地方財政制度で措置してもらう。 | その後の税制改正により税収は安定化(法人の譲与税制度等)。 |
03 | H23.09.14 | 代表 | 黒岩知事就任直後の財政上の課題認識 | 東日本大震災から回復しつつある中、就任5か月目の黒岩知事の課題認識を伺う。 慎重な財政運営とスピード感をどう両立させるか。 | 将来の厳しい財政運営が見込まれる中、経済活性化による税収増を図るともに、選択と集中による財源の重点配分に取り組む。 | セレクト神奈川等の産業活性化策、殿町のヘルケア産業推進などの施策が展開。 |
04 | H24.03.09 | 予算 | 臨時財政対策債と県債残高の関係 | 臨財債を除いた指標は実態を反映していない。臨財債、通常債ともに抑制し、残高全体を減らすべき。 | 臨財債抑制は難しいが、残高全体の抑制を財政健全化方策の中で検討していく。 | この考え方が現在の「臨財債込みの県債管理目標」に続いている。 |
05 | H24.06.19 | 代表 | 緊急財政対策における県民、市町村、団体との情報共有 | 緊急財政対策の「県有施設は3年で原則全廃」「補助金一時凍結」報道などは非常に唐突。情報共有と県民理解が重要ではないか。 | 有識者から厳しい意見が出たが、県民には丁寧な説明が必要。今後、議会での議論や県民への説明に努めていく。 | その後「唐突な方針発表」などは行われていない。 |
06 | H25.11.06 | 決特 | H25県債管理目標(R5に残高減、H30にPB黒字化)の考え方 | 「臨財債込みでR5までに残高減少」「H30までにPB黒字化」とした新目標の考え方と今後の取り組みを問う。 | 財政構造改善のために新目標を設定。その達成を目指しつつ、経済活性化、地方財政制度改革の要望活動に取り組んでいく。 | この考え方が現在の「残高全体を対象とした削減目標」に続いている。 |
07 | H26.11.05 | 決特 | 緊急財政対策の評価と中期財政見通しの必要性 | 緊急財政対策における県有施設の見直しをどう評価しているか。対策終了後、中期財政見通しが出ていないので策定すべき。 | 県民利用施設11施設を廃止するなど一定の成果があった。消費税率引き上げの動向などから今は中期を策定できないが、可能な時期に策定する。 | 翌年度末(H28.3)にH28中期財政見通しを策定。 |
08 | H27.09.25 | 一般 | H25県債管理目標(R5に残高減、H30にPB黒字化)の達成見通し | H27の臨財債発行額が大幅減少したが、H35の残高減少目標の見込みはどうか。 | 継続的な減少が見込める状況ではなく、引き続き発行抑制に努める。 | 取り組みの結果、R3末(H35相当)をピークに残高は減少に転じている。 |
09 | H28.03.08 | 決特 | H28県債管理目標(R5までに2兆円台)の考え方① | 新たな目標はどのような考え方で設定したのか。達成に向けてどのように取り組むか。 | 臨財債発行額は減少したが、公債費は今後も増加、その削減を目指すもの。施策事業の見直しによる財源確保や制度改革要望による臨財債廃止で達成を目指していく。 | 現行目標がここで策定。R5末には達成できないが、R6末で達成の見通し。 |
10 | H28.03.16 | 予算 | H28県債管理目標(R5までに2兆円台)の考え方② | 今後の県債発行の考え方と次期県債管理目標の考え方を問う。 | 将来にわたっての発行額と償還額の見通しのもとに、発行額をコントロールしていく。県債管理の目指すところは公債費の削減。 | この考え方が現在のR2県債管理目標にまで続いている。 |
11 | H28.09.23 | 一般 | 県債発行に係る利子負担 | 低い経済成長率の下では、公債費の利子負担の抑制策が必要。どのように取り組むか。 | 利子負担抑制には残高減少が重要だが、調達金利の抑制も必要。市場公募における定時償還方式の導入も検討していく。 | この後、市場公募債における定時償還方式を導入したが、金利上昇を受け、現在は実施していない。 |
12 | H30.06.19 | 代表 | H28中期財政見通しの見直し① | 今後の危機的な財政状況を踏まえると、推計期間中であっても中期財政見通しを見直すべきではないか。 | 今後、消費税率の引き上げや法人の譲与税導入などがあるため、その影響を見極めた上で見直していく。 | 翌年度末(R2.3)にR2中期財政見通しを策定。 |
13 | H31.03.08 | 予算 | H28中期財政見通しの見直し② | H28策定当時と比べると県財政を取り巻く環境は変化し、実態と乖離している。推計期間終了を待たずに見直すべき。 | 策定当時の状況の変化により、財源不足は推計を下回って推移。消費税率引き上げも具体化しており、H31中に現行推計を見直す。 | 推計期間前倒しの方針を答弁。翌年度末(R2.3)にR2中期財政見通しを策定。 |
14 | R01.06.26 | 総政 | H28県債管理目標(R5までに2兆円台)の達成見込み① | 6月補正で県債を153億円発行するが、県債管理目標への影響は。それを受けてどのように目標を達成させるか。 | 今回の増額により、発行抑制の遅れは50億円→200億円に拡大。通常債は県民生活に配慮しつつ抑制、臨財債は廃止を国に働きかける。 | R5末には目標を達成できないが、R6末で達成の見通し。 |
15 | R01.10.01 | 総政 | H28県債管理目標(R5までに2兆円台)の達成見込み② | 台風15号もあり、防災面での財政需要が強まる中、現行目標の達成見通しはどうか。財調取り崩しもありうるのか。 | R5末達成には毎年の発行額を1780億円に収める必要があるが、短期的には減収補填債や財調の活用も視野に入れる必要がある。 | R5末には目標を達成できないが、R6末で達成の見通し。 |
16 | R02.03.03 | 総政 | R2県債管理目標(R5までに2兆円台)の考え方とR6以降の目標設定 | 毎年どの程度の県債を抑制すれば達成するのか。それは実現可能なのか。達成に向けてどう取り組むか。R6以降の考え方は。 | R3以降の3年間で毎年170億円抑制すれば達成するが、景気変動次第では臨財債の増額もありうる。 当面、優先順位をつけた施策事業の見直しや国への制度改正要望で達成を目指していく。R6以降はそのときの社会情勢で判断。 | 目標達成に向けた基本スタンスを答弁。 |
17 | R02.06.25 | 総政 | コロナ禍の財政運営① | コロナ禍の税収減にどう対応するか。県債管理目標はどうなるか。コロナを受けて、R2中期財政見通しも検証が必要ではないか。 | R2分は減収補填債で賄うしかないが、消費税減収分が対象外のため、制度改正を国に要望。県債管理目標の達成は非常に困難。中期財政見通し検証については、まずはコロナ影響の把握に努める。 | 国要望の結果、減収補填債の対象に地方消費税が追加(R2のみ)。歳入大幅増の要因の一つ。 |
18 | R03.03.05 | 総政 | コロナ禍の財政運営② | 県債現在高の見通しはどうか。現行目標の達成困難なら、見直すべきではないか。中期財政見通しも乖離が大きいので、修正すべき。 | 残高について、R2は減収補填債を、R3は臨財債を大量発行するため、急増。今後の動向はコロナ収束を含めた税収次第。 県債管理目標は中期推計に合わせて実施するが、中期財政見通しはコロナ収束後、検証可能な時期に実施。 | コロナ収束後のR2中期財政見通しの見直しに言及。 |
19 | R03.06.20 | 総政 | コロナ禍の財政運営③ | コロナ禍で基金取り崩しが続いているが、枯渇が危惧される。どのように対応するか。 | R3.6補その3時点の残高は275億円。コロナ対策の一部に一財負担を設けられると減少せざるを得ないため、全額国庫措置を要望中。 | 臨時交付金の追加措置等により、最終的には一財の持ち出しは大幅減、財政調整基金も目安の680億円まで回復。 |
20 | R03.07.01 | 総政 | 予算編成におけるEBPM | 財政運営でもEBPMが必要、こうした考えにより中期財政見通しを作成すべきではないか。 | 県では原則全ての事業に検証可能な成果目標を設定。中期財政見通しでも、過去のエビデンスに基づいた精緻な推計で把握していく。 | 今後の中期財政見通し策定で検討。 |
21 | R03.07.09 | 総政 | コロナ禍の財政運営④ | 今回の補正で財調を約60億円取り崩すが、残高はどうなるか。積み増しにどう取り組むか。 | 大規模店舗向けコロナ協力金のために取り崩した結果、残高は215億円。国税収入が過去最高との報道もありそれが期待できるほか、コロナ財源の全額国庫負担を国に要望中。 | 臨時交付金の追加措置等により、最終的には一財の持ち出しは大幅減、財政調整基金も目安の680億円まで回復。 |
22 | R03.11.01 | 総政 | R2県債管理目標(R5までに2兆円台)の見直し① | 交付税の増額があったが、財調残高はどうなるか。県債管理目標の現状認識は。中期財政見通しと切り離し、県債管理目標だけを見直しては。 | 国の税収減見込みにより交付税が増となる一方、実際の税収も増となるため、精算分に回る交付税が390億円。これにより基金残高は689億円まで回復。 県債管理目標は達成困難であり、中期と切り離した見直しも検討。 | 県債管理目標の見直し方向に言及したが、コロナ後の税収回復等を受けて現行目標維持。 |
23 | R03.11.17 | 決特 | R2県債管理目標(R5までに2兆円台)の見直し② | R5末の残高見込みが3.3兆円となる中、目標達成は困難で、見直すべき。新たな取り組みが必要では。 | R4当の目途がついた段階で、中期と切り離した見直しも視野に検討。 残高削減には、臨財債の廃止要望に加え、不用額の活用による借替債の抑制にも取り組む。 | 県債管理目標の見直し方向に言及したが、コロナ後の税収回復等を受けて現行目標維持。 |
24 | R04.03.08 | 総政 | R2県債管理目標(R5までに2兆円台)の見直し③ | 積立ルール変更等により、11月時点で3.3兆円だった残高はどうなるか。それに伴い、目標の見直し方針はどうなるか。 | 国から措置された償還基金費の活用や税収増等の財源活用により、積立ルールを変更、これにより残高は3.1兆円にまで減少。 これにより状況次第で目標達成も見えてきたため、現行目標達成に取り組み、次期中期推計に合わせて目標も見直す。 | 県債管理目標について、見直し方針を再度転換、現行目標達成に向けて取り組む方向に修正。 |
25 | R04.11.01 | 決特 | R2県債管理目標(R5までに2兆円台)の見直し④ | 現行目標は間もなく期限を迎えるが、その後の県債管理の考え方はどのようなものか。 | 公債費は当面高止まりするものの、全体では減少に向かう。それも視野に検討していく。 | R2目標後の県債管理の考え方について言及、今後の検討材料。 |
26 | R05.03.09 | 予算 | コロナ禍の財政運営⑤ | 5類移行も踏まえたコロナ禍の財政運営の総括はどのようなものか。 | これまで累計2.3兆円弱のコロナ対策を編成。主な財源は国庫だが、初期段階ではこれらは措置されず、財調は一時半減、税収増が追い風で今は660億円にまで回復している。コロナ禍からの回復二合わせて財政健全化にも取り組み、持続可能な財政運営を目指していく。 | コロナ対策の総括的な知事答弁。 |
27 | R05.09.29 | 総政 | インフレ環境における県債発行 | 増大する県有施設の維持更新費のためには県債の有効活用が必要。今後、どのように資金調達を行うか。 | これまでマイナス金利環境の中、比較的有利に県債を発行できたが、インフレ環境でそれが転換。今後は、フレックス枠の活用やグリーンボンド等の多様な調達手段に取り組む。 | 10年近く継続したマイナス金利環境からの転換についての言及。 |
28 | R06.02.06 | 一般 | 税収の偏在による地域間の行政サービス格差 | 本県を含む東京都の周辺自治体では、都のような独自の大型施策は実施困難なため、格差が発生。その背景にある税収偏在をどう考えているか。 | 今後は、地方自治体間の税収偏在の是正に向けた措置を講じるよう、国に要望していく。中期財政見通しにもそれを反映させる。 | 国要望について、従来の「国から地方への税源移譲」に加え、「団体間の偏在是正」に取り組むことを、ここで初めて知事が表明。 |
29 | R06.03.04 | 総政 | R6県債管理方針(残高を3兆円未満で管理)の考え方 | これまでの残高削減目標から転換するが、その考え方はどのようなものか。 | これまでの取り組みにより県債を取り巻く環境は改善したが、老朽化対策などで今後も県債需要は続くため、現状を維持しつつ必要な投資も抑制せず、適切な範囲で県債を管理していく。 | 従来の残高削減目標からの転換と、その具体的な考え方をここで表明。 |
30 | R06.06.27 | 総政 | 税収の偏在是正 | 税収の偏在是正を実現しなければ、今後も更なる地域間の行政サービス格差が拡大しかねない。この問題についての認識と決意はどうか。 | 国レベルの最優先課題である子育て施策などは、全国一律での実施を国に強く求めていくとともに、東京都と周辺地域との経済的負担の差を拡大させている現状の税財政制度の改善も併せて求めていく。 | 粘り強く国への働きかけを続ける必要性を強調、覚悟をもって取り組むと決意。 |