2004年12月 定例会防災警察常任委員会で行った意見発表のまとめ

はじめに、40人の方々が亡くなり10万人以上の皆さんが避難生活を送るという、甚大な被害をもたらした新潟県中越地震に際し、県及び警察本部の職員ならびに県内市町村職員が救援活動に従事されたことに対し、心より御礼申し上げます。また各種の企業や団体のほか、大勢の神奈川県民が街頭での募金活動や現地での被災者救援活動に参加したことは、新潟県の市民の皆様を元気づけて復興への励みにもなり、人と人の心の触れ合いが生きる力を生み出すものだということを改めて示したと思われます。

この地震から本県としてもいくつかの点で教訓を得たと考えます。
本委員会の質疑の中でも指摘をいたしましたが、災害に強い情報の受伝達体制の整備を急ぐ必要がありますし、防災情報システムの整備に当たっては、防災行政無線との一体化を含めた取り組みをお願いいたします。また、県民の生命に直結するこのシステムの心臓部をインターネットと結ぶわけですから、サイバーテロ対策はもちろんメンテナンスもふくめて、十分安全で信頼のおける体制を敷いていただくよう特にお願いいたします。
次に、避難者対策や避難所運営については、旅館やホテルも避難先として開放していただく方向で、その条件や取り決めの締結等について市町村ともよく話し合っていただくようお願いいたします。
また、学校については今回の地震での教室への避難の実態がいまだ不明という報告でしたが、神奈川県では、教室に避難者がいては授業再開の妨げになることを理由になるべく使わせない、避難させても一週間という校舎の運用がマニュアル化されており問題です。自動車やテントなどでの氷点下の避難生活の中で高齢者が次々と亡くなっていくのに、結局授業にも使わないまま暖房つきの教室は温存されていた、そんなことのないように、教育庁を含めて全庁的に、県民の生命身体の安全を最優先とする見直しを早急にお願いいたします。
さらに、災害時に各市町村域で確実に立ち上げられることとなるボランティアセンターについては、その果たす役割の大きさや公共性に着目して、持続可能なものとなるよう、コーディネーターの養成を含めて、人的財政的支援を充実されるようお願いいたします。

さて、今定例会には「犯罪のない安全で安心なまちづくり推進条例案」が提案されております。
この条例案を視野に入れて、民主党・かながわクラブ県議団では、私と大井委員を含む4名により、先月22日から28日まで英国ロンドンとエディンバラにおいて県政調査を実施しました。英国では警察と住民、自治体、企業が一体となり、匿名の通報システムや地域防犯運動のネットワーク、深夜のパトロール、防犯カメラの運用など、予算と体制の両面で日本より重厚な仕組みを構築しており、実際に犯罪の予防と安全性の向上に数字で成果をあげている姿を目の当たりにしました。新しいスコットランドヤード、首都警察局の上級幹部からは、「市民と警察の信頼関係が全ての基礎である」との強い示唆を受け、思いを新たにしたところです。

本県における条例案では、共同住宅建築に際し、警察署長が防犯上の意見を述べ、必要な情報提供や技術的助言を行う旨の規定がありますし、警察本部としても、生活安全アドバイザーを配置するなど、すでに取り組みを進めてきているところです。今後は担当する警察官の知識・技能の向上や増員に向けた資格取得の促進など取り組みの強化をお願いします。
また、この条例に限らず、あらゆる機会を通じて、警察から住民へ、防犯知識の提供に取り組んでいただくことと、創意工夫を重ねて、自治体や企業、住民と共に犯罪予防に実効ある新しい取り組みを生み出していただくことをお願いします。
さらに、空の機動力として年々ニーズの高まっている県警航空隊については、現状5機が運用されています。ロサンゼルス地震と阪神大震災を比較するまでもなく、空からの第一報が人命救助や火災の早期鎮火に決定的な差をもたらすことはすでに明らかですから、更新にともなって機数を減らすなどということはもとより想像もしておりません。そうした大規模災害に加えて、緊急対処事態や重要事件の広域捜査を想定すると、県民の安全と安心のために24時間体制とすることが切望され、むしろ1機を追加して6機体制とすることがその最低限必要な条件ですので、実現に向け全力で取り組んでいただくようお願いします。

以上、要望を申し上げ、当委員会に付託された諸議案に賛成することを表明して意見発表とします。