2004年12月定例会 防災警察常任委員会の質疑のまとめ

その1 <防災局関係>

(1) 新潟県中越地震を教訓に情報伝達体制の強化を求める

松崎:   今回の地震では、新潟県と市町村を結ぶ防災行政無線が途絶し、被害の実態把握が遅れた。情報の受伝達体制の重要性が改めて確認されたことを踏まえて聞くが、本県の防災行政無線設備はこのような大規模地震に対して「備えは十分」といえるのか。

県側:   現行の防災行政無線設備は昭和60年から使用しており、県内に12の中継局を設けている。震度7に耐える耐震性を有していて、風速70メートルの強風に耐えうる設計となっているほか、幹線の通信路をループ(環状)化して一部が切断されても別の方向から通信できる。停電対策は非常用発電設備とバッテリーを整備しており3日間は通信できる。市町村の端末局にも全て非常用の電源設備が整備され停電時も通信を確保できる。

松崎:   昭和60年、つまり20年経って老朽化しているのではないか。

県側:   その通りだ。平成20年を目指して現在、防災行政無線の再整備に取り組んでいる。完了すれば、地上系有線回線と衛星系通信の2系統となり、現在より一層安全性が確保される。

松崎:   今回の地震を教訓に、衛星系通信の重要性に注目が集まっている。地上系が途絶すれば最後は衛星系だ。電源の問題さえクリアできれば衛星系はどこでも使用できる利点がある。導入計画についてどのように考えているのか。

県側:   衛星系通信設備は固定式で性能の優れたものを予定している。整備のスケジュールは、まず基幹となる地上系有線回線の設備を平成17年度から19年度中ごろまでに整備した後、衛星系を市町村や県に整備する計画で、県内市町村、県の機関、国の機関など合計98の機関に設置を予定している。

松崎:   衛星系通信と地上系有線回線について、本当に新潟のような通信途絶は起きないか、再度確認したい。

県側:   地上系は光ファイバーによる専用回線を予定しており、他の通信との輻輳や回線への被害は想定外だ。衛星系は文字通り人工衛星を介するものであり停電対策も十分に行う。地上系と相互にバックアップさせることで、どのような事態にも対応できると考えている。

松崎:   防災行政無線とは別に、県は平成5年から防災情報ネットワークを運営しているが、年数を経ている上、これだけ災害の実例を目の当たりにすると強化の必要を感じる。システムを更新する予定があるのか。

県側:   この11年の間にコンピュータ技術は発達し、災害の形態もいろいろ変わって自然災害に限らずテロ災害など多様化している。したがってこのシステムを改変することを考えている。そもそも、このシステムは県庁で震度4以上の地震を観測すると、点検のため、すぐに使用できなくなり、即応体制が取れない。このため、現在新しいシステムを検討中で、サーバーを二重化して災害に強いシステムにする、インターネット技術を活用する、24時間体制化するなど、災害対策を考えた新しいシステムにする。さらに、防災行政無線の再整備で設置する地上系回線と併用したいと考えており、平成20年までには新たなシステムへの更新を終えたい。

(2) ハイパーレスキュー部隊の積極的な広報を

松崎:   皆川勇太ちゃんの救出で活躍した東京消防庁のハイパーレスキュー隊は、多様な資機材を使って困難を乗り越え救出に至った。同等の部隊は県内でどの程度整備されているか。

県側:   県内では、専門的な救助技術の教育を受け、災害現場において十分に経験を積んだ隊員で構成するレスキュー隊が27の全ての消防本部に62隊配置されている。赤外線スコープや画像探査装置、人命探査装置などの高度な救助資機材を搭載した救助工作車で出動するものだ。なかでも横浜、川崎、横須賀、藤沢、相模原の各救助隊は、緊急消防援助隊救助部隊として登録しており、隊員の救助技術と装備の両面で東京消防庁の消防救助機動部隊、いわゆるハイパーレスキューと同様な活動ができる。

松崎:   テレビで勇太ちゃんの救出活動を見た方々は東京消防庁にしかあのような部隊がないと思われただろう。同様な部隊が県内にもあることを多くの県民に伝えることも、安全、安心につながり、子どもたちにも良い影響があるだろう。存在を知らない人々に積極的な広報をしてほしい。

(3) 避難者対策、避難所のあり方を見直すべきだ

松崎:   新潟県中越地震では、一挙に自宅が崩壊して自衛隊のテントや車の中で寝泊りを続けた方が最大10万人を超えた。ところが湯沢などの旅館やホテルはがらんと空いていて、他方、テント生活や車の中で生活していた方々は次々に亡くなるという、どう考えてみても不可思議、不合理な事態が起きた。結局、被災していない市や町の旅館やホテルで一部の避難者の一時受け入れが行われたのだが、神奈川県で同様の事態になることが心配だ。

県側:   新潟県では、避難者の一時受け入れ場所として旅館やホテルとは協定を締結していなかった。ただ今回は、高齢者や障害者などの要援護者の多くが避難しなければならなかったことから、こうした方々に対しては特別の措置として、旅館、ホテル等を避難所として提供した。災害救助法の適用に際し緊急的措置として行われた。

松崎:   本県ではどうか。

県側:   新潟県と同じく本県も、旅館、ホテル等と協定を締結していない。しかし、要援護者の避難所が不足する場合には、旅館、ホテルをはじめ社会福祉施設、介護老人保健施設などの活用も含めて、緊急的措置として速やかに対応する。

松崎:   緊急的措置として、というより、もう一歩踏み込んで欲しい。災害時の支援協定なり、「非常時にはお手伝い願います」ということを一声くらいかけてみるべきだ。

県側:   一声かけた例が本県で一例だけある。湯河原町が湯河原温泉旅館協同組合と覚書を交わしており、観光客が帰宅困難者となった場合に旅館等の施設を提供する取り決めがある。

松崎:   その話は、現状のなかで、今の防災計画の枠内のことだろう。新潟の例を引くまでもなく、要援護者対策が問われている。市町村ともこの点をどうするか、検討するべきだ。

県側:   この避難措置は一義的には市町村が対応するので、県はそういう想定はしていなかった。しかし今後は、防災計画の改定を待たずに、市町村とも念入りに調整を重ねて行き、「福祉避難所」の側面からは県福祉部とも連携して取り組んで行く。

松崎:   ぜひとも前向きに取り組んで欲しい。

(4) 「一週間で出てください」学校の避難所マニュアルは見直しを

松崎:   避難所としての学校の教室を考えた場合、外の空き地よりもはるかに暖かい。神戸でも教室を使った避難があった。新潟県の被災地ではどの程度学校の教室を利用していたのか。

県警:   新聞等ではいろいろ報道されているが新潟県では今もって実態を把握できていない。ただし、避難所運営支援として本県から派遣した職員の報告では、派遣先の東小千谷小学校は、早期の授業再開を目指すため、教室は避難所として提供しなかった。

松崎:   高齢者を中心に被災後多くの方々が亡くなっている。車の中で、吹きさらしのテントのなかで何万という被災者が生活をせざるを得ないという未曾有の事態なのに、授業の早期再開のためといって教室を温存し避難所として使わせない、というのは全くもって理解できない。この点は、神奈川県教育委員会でまとめている地震防災活動マニュアルの中にも、大規模災害で避難所となった教室にいる被災者に一週間で出て行ってもらうとあり、いかにも冷たく響く。教室から一週間で出て行ってもらって授業を再開するというのは、授業にとってはいいのだろうが、人の命とか健康といった被災者に対する視点が後回しになっている。再検討すべきだ。

県警:   避難所生活の中でも子どもたちの将来に関わることは皆が心配することだろうし、学校以外の公的施設も避難所として活用されているのだが、取り上げられた点は避難した人たちの生命に関わることであり優先すべき事柄だ。また、あらかじめいろんな観点から避難所を選定しておくことも重要だろう。

松崎:   避難所にはなるべく教室は使わせない、といううわさも聞くが、信じがたいことだ。県は人命最優先で取り組むものと理解する。

(5) 避難所マニュアル策定指針見直しを確約させる

松崎:   今回の地震の教訓を踏まえて、本県の避難所マニュアルを見直すべきだ。

県警:   新潟県が行った避難所実態調査で、トイレや暖房器具の不足、プライバシーの確保が問題となったことがあげられている。また、駐車場や避難所付近で多くの方々が車中やテントで避難生活を送り、健康管理が非常に課題となっている。本県の避難所マニュアル策定指針については、こうした点を踏まえて内容について精査していく。さらに、県内の市町村に対しても、今回の地震の教訓を踏まえて、地域の実情に応じて適切な避難所運営マニュアルを整備するようお願いしていく。

(6) 災害ボランティアセンターへの支援強化を

松崎:   新潟では水害のときも地震のときもボランティアセンターが設置され、私はまずそこに行った。必ずしも新潟県民だけでなく、全国から駆けつけたプロ的な経験を持つ何人かのボランティアがセンターを切り回していた。二度行っただけだが特に三条市の災害ボランティアセンターは非常にシステムとして完璧に近かった。受付から仕事の割り振りまでシステムが出来上がり数名のボランティアが機能分担して動く。その後ろでは社会福祉協議会や自治体がまさに後方支援を行っている、またセンターの一角を仕切り、看護、医療分野のステーションも併設されている、支援先の個人情報もきちんと本部で管理している、そういう体制が整えられていた。現場で改めて感じたのは、こうしたボランティアコーディネータの果たす役割の重要性であるが、同時にこのようなセンターを持続可能なものとして運営していかなくてはならないとも思った。運営費に逼迫しているとも聞くし、街頭募金にはこうした運営費に充てるためというのもあった。新潟県ではどういう支援体制をとってきたのか。

県警: 現地の各ボランティアセンターを支援するため、県レベルで災害救助ボランティア本部が設置されている。被災地のニーズの収集と集約、ボランティアの受付と各地の災害ボランティアセンターとの仲介、各ボランティアセンターの運営に必要な人材の確保と配置、運営のノウハウの提供といった、広域的なコーディネート活動を行っている。新潟県社会福祉協議会が中心となって組織しており、運営資金も県社協でまかなっている。新潟県庁からもこの本部に運営要員を4名派遣している。

松崎:   現地で見ると、コーディネーター役のボランティアの協力で大勢のボランティアが活動しており、精神面も含めた被災者支援に大きな役割を果たしていた。神奈川県の場合に限らないが、ボランティアへの支援体制を持続可能なものにするには、社会福祉協議会よりもっと公共性の高い位置づけで支援するべきだし、運営費もきちんと支援するべきではないか。

県警:   災害時に県としてボランティア支援をどのように行うか、については、県民活動サポートセンター内でボランティアのコーディネート活動を行う部屋を提供する、必要な被害情報を提供する、など側面支援を行う。また平常時からコーディネーターの養成講座を神奈川災害ボランティアネットワークと共催で開催し、県として負担金を支出している。

松崎:   運営資金が課題となっている点を認識してもらいたい。それから、今回の中越地震に際して、県内のボランティア希望者に対し、県はどのように対応したのか。

県警:   発生から3日後に県のホームページ上に被災地のボランティアの受付窓口について情報提供した。かながわ県民センターでもボランティアに関する相談に応じ、情報提供した。発生から8日後には神奈川新聞紙上にボランティア情報も掲載した。

松崎:   何件ぐらいの問い合わせがあったか。

県警:   県民センターで発生後10日間のうちに410件であった。

(7) 震災復興マニュアルの内容充実と見直しを求める

松崎:   県では災害復興マニュアルを策定中とのことだが、今回の地震を踏まえ内容は適切と考えているか。

県警:   平成14年度から検討を開始し、15年度には復興や地震対策の専門家による会議を設置、市町村や関係機関との調整を経て8月に神奈川県震災復興対策マニュアル案をまとめた。現在は成案作成に向けて関係部局との調整を行っている。内容は、阪神淡路大震災の際の復旧・復興を踏まえて、復興体制、都市再建、生活再建、経済復興など全般を網羅している。

松崎:   中越地震で新たに課題として見えてきたものがあるのではないか。それは何か。

県警:   新潟県は、住宅確保、生活資金支援、消費生活等の相談、河川や道路の復旧、医療や福祉の確保、産業支援、雇用確保などの対策を実施しており、今後仮設住宅入居者への心のケア、ホームヘルパーの活用、NPOやボランティアと連携した高齢者の生きがい対策などの取り組みも計画されている。さらに新潟県では、特別法の制定や復興基金の創設を国に要望している。本県の震災復興マニュアルについては、随時見直しが必要であり、今後新潟県の動向を念頭に入れて、内容を充実させていく。

その2<警察本部関係>

(1)         犯罪のない安全・安心まちづくり県条例の推進を求め、警察署の生活安全アドバイザー増員を確約

松崎:   防犯環境設計が脚光を浴びている。まちづくりに際して防犯上の観点から事前指導を行い、犯罪が起こりにくくしよう、というものだ。条例案には、共同住宅建築に際して、明確に取り入れられている。そこで聞くが、共同住宅を建築しようとする者に、特に、警察署長の意見を求めることとした理由は何か。

県警:   共同住宅は、一戸建て住宅に比べて、空き巣等の犯罪認知件数が多く、共用スペースが身を隠す場所になりやすい、鍵等の建築構造が各戸とも同一で連続被害に遭いやすいなどの事情から、より一層防犯性を向上させる必要がある。警察は、共同住宅で発生した犯罪の種別、手口、特徴や必要な防犯対策など、きめ細かい情報を提供することができることがその理由だ。

松崎:   建築主の負担にはならないのか。

県警:   負担をできるだけ緩和するため、あらゆる対策・広報を実施する。各警察署には生活安全アドバイザーを配置し相手の立場に立って対応する。建築予定地の警察署に電話で問い合わせれば必要な情報を提供できるよう、ソフト面での対応もする。

松崎:   建築主が警察に意見を求めなかったり、警察の意見を受け入れなかったりすると処罰されるのか。

県警:   いずれも罰則はないし、行政処分の対象にもならない。あくまで共同住宅を建築しようとする方の自主判断だ。この規定の趣旨は広く広報を行い、関係団体のご協力を戴きながら進める。

松崎:   そうすると、例えば警察署の目の前にマンションが建設され、署長の意見を受け入れないまま完成して防犯性の向上が図られない場合も何も言えない、ということになりはしないか。

県警:   そうならないように、心がける。関係協会等にもご理解とご協力をお願いしていく。

松崎:   くれぐれもよろしくお願いしたい。次に、この規定と趣旨は同じでもより厳しい義務を課している市町村条例があるが、両者の関係はどうなるのか確認したい。

県警: 警察署長との協議を条例で義務付けているのは、横須賀市、川崎市、小田原市、茅ヶ崎市であり、県と同じ努力規定にとどまっているのは、逗子市、葉山町、鎌倉市、山北町である。このように県条例より厳しい義務を課している市町村条例の場合は、市町村条例による義務を履行することで、県条例の努力義務を履行したことになる。

松崎:   警察署長が行う、必要な情報の提供及び技術的助言として、具体的内容はどのようなものか。

県警:   必要な情報の提供とは、共同住宅で発生した犯罪の種別、手口、防犯対策などがその内容となる。また、技術的助言としては、共同部分等の見通しを確保すること、防犯性の高い建物部品を使用すること、有効な防犯設備を設置することなどである。

松崎:   効果的な情報提供や助言をする体制にあるか。

県警:   生活安全条例で警察署長との事前協議を定めている川崎市、横須賀市など6市2町の警察署では、生活安全課に配置されている生活安全アドバイザーが建築主と事前協議を行っており、平成14年から実績を残してきた。この経験を踏まえ、県条例施行後は全警察署の生活安全課に配置した生活安全アドバイザーが対応する。

松崎:   生活安全アドバイザーの資格・経験とはどういうものか、確認したい。

県警:   建築主に防犯対策面での情報提供と助言を行うわけで、警察官として把握している犯罪手口等の知識に加え、建物の構造、建物部品の防犯性能、防犯設備等の効果的な配置などの専門的な知識が必要だ。そこで、これまで防犯設備関係者や建築関係者を招いた勉強会を行うなど専門的知識の習得に努めてきた。さらに、日本防犯設備協会による防犯設備士資格認定試験の講習と試験を受けさせて能力向上に努めさせている。

松崎:   防犯設備士の資格にもクラスがあると聞くが。

県警:   防犯設備士は一般的な資格であり、この上に総合防犯設備士という上級資格がある。この上級の有資格者は県警察に2人おり、伊勢佐木署に1人、本部生活安全総務課に1人である。

松崎:   全国に先駆けた生活安全アドバイザーだが、配置したあとの知識・技能の向上策は。

県警:   専門分野の講師により勉強会や会議を実施しているが、せっかく全国をリードする制度なのでより実効あるものにしていく。

松崎:   生活安全アドバイザーが対応できない専門的な相談があったらどう対応するか。

県警:   確かに専門的知識のない分野の相談例も考えられる。たとえば、鍵取り扱い業者など関係機関団体に必要な助言をしてもらう予定だ。

松崎:   現行の生活安全アドバイザーは1警察署あたり1人と少ない。増員を図るべきだ。

県警:   複数配置が必要なことは指摘の通りであり、2人または3人としたい。

(2)         大規模災害時の初動を重視し、航空隊の24時間体制化へ県警の意向表明引き出す

松崎:   県警航空隊で運用しているヘリコプターは何機あり、勤務する人員と勤務内容はどうなっているか、確認したい。

県警:   警察用航空機として4機、県から運航管理を委託されている1機の合計5機のヘリコプターを運用している。航空隊長以下、管理要員、操縦要員、特務要員、整備要員を含め41人が勤務しており、土曜、日曜、祝日を含めて日勤体制で警ら活動や救助活動を行っている。必要に応じて、早朝、夜間も対応する。

松崎:   新潟県中越地震ではどのような活動を行ったのか。

県警:   航空隊員5人と県警ヘリコプターたんざわ1機を発生翌日から5日間派遣した。長岡市内及び山古志村で被災者の救出・搬送や警察官の搬送を行った。

松崎:   県内ではどのような活動に従事しているのか。

県警:   上空からの警戒、警ら活動のほかに、犯人の捜索・追跡、水難・山岳遭難の救助、災害・交通等の情報収集がある。さらに、事件や事故の目撃情報を求める広報活動を行っている。

松崎:   最近の救助活動の実績は。

県警: 昨年は水難救助に22回出動して3人を救助し、山岳遭難救助に20回出動して4人を救助した。本年上半期は水難と山岳遭難合わせて28回出動し4人を救助している。

松崎:   最近の検挙件数は。

県警:   地上のパトカー等と連携した検挙は、昨年は6件11人、本年上半期は2件3人となっている。最近の事例では、11月にオートバイによるひったくり事件で全国指名手配容疑者を検挙したところだ。

松崎:   大規模災害時にはヘリコプターによる全体状況の把握の成否が初動の鍵を握る。サンフランシスコ地震と阪神大震災を比べても、発生と同時に飛び立ったアメリカの場合は火災の鎮火が早期に行われたのに対し、3時間後始めてヘリが上空に上がった神戸は、火災状況の把握が遅れた分、被害が拡大した。さて、現在の県警航空隊は、日勤勤務で、早朝、夜間については必要に応じて対応しているとのことだ。しかし、24時間体制に移行することこそ、大規模災害、緊急対処事態、それから国民保護法制に基づく都道府県の広域的役割という各点からみてどうしても必要だ、と痛感している。そこで聞くが、現在の5機体制で24時間運用が果たして可能なのか、また、最低限何機あれば24時間体制が可能なのか。

県警:   最近の犯罪の発生状況や災害対策などの突発事案に対処するためには、県警ヘリコプターの夜間体制による運用は極めて重要だ。そのためにはヘリコプターの増機と勤務員の増員が必要になるので、県議会や財政当局の理解を得て航空隊を充実させたい。

松崎: 現在の5機からあと1機増やして6機になれば、最低限24時間体制化は何とか可能であると聞いているが、間違いないか。

県警:   一機あたりの年間飛行時間は、警察庁の指示により300時間と定められている関係で、24時間体制をとるには最低6機は必要になる。

松崎:   現状の5機を調べたら、更新時期が過ぎているものとまもなく更新しなければならないものの合計2機があると思うが、確認したい。

県警:   通常の更新年数は20年だが、県費購入の「かもめ」は平成18年に23年を迎えてしまう。また、県から運航管理を委託されている別の1機がやはり平成18年には20年になる。

松崎:   その2機の更新について、更新すると新しい2機が入ってくるのか。

県警: もちろん現在の5機体制はどうしても必要だし、県警察としては、現在の犯罪情勢に対応し、夜間体制をとることを考えると最低6機は必要になる。財政当局に要望していく。

松崎:   私の得ている情報は、2機の更新が迫る中、統合して1機のみの更新にするというものだ。24時間体制にするには現状の5機から6機に増やさなければならないはずなのに、逆に5機から4機に減らしてしまうというもので、理解不能な選択だ。24時間体制化しないのなら、空の機動力を整えたことにならない。間違っても現状よりパワーダウンなどということにならないよう、県警察当局の格段の努力を求める。