神奈川県議会2005年2月定例会 次世代育成特別委員会のまとめ

教育関係部門を統合して「子ども教育支援課」を県教委に新設、軽度発達障害児への教育を強化

松 崎:               最近養護学校に入学を希望する軽度発達障害の子どもが急増していると聞く。小学校や中学校でも増加しているが、県は状況を把握しているのか。

県 側:               障害が軽度であり、保護者が意識しないので診断を受けていないことが多く、診断する側も児童青年精神科の専門医が極めて少ないことから正確な人数が把握されにくい。学校を対象に調査を行うとすれば、指導の難しい子も軽度発達障害児としてしまう恐れがあり、県教育委員会はあえて実態調査を行っていない。しかし県への相談件数が非常に増えているので確実に増えているという実感がある。

松 崎:             相談があった場合どう対応しているか。

県 側:               市町村教育委員会に断った上で、指導主事を派遣し、学級の授業を見て全教職員、学年担当の全教員に対し、軽度発達障害児の基本知識を伝えるとともに、子どもへの見方や接し方を転換させる。担任が一人で抱え込んでいては解決しないから、学級や担任を支援する体制作りに向け具体的なアドバイスを行う。

松 崎:             平成15年度からは大和、海老名、綾瀬、平塚の4市で文部科学省の委嘱を受けて、モデル校を選んで支援体制を研究しているはずだが。

県 側:               学校ごとに特別支援教育コーディネーターを1~2人養成するとともに、軽度発達障害児を専門とする臨床心理士や最寄りの県立養護学校の地域支援担当教員を巡回させている。この取り組みの中で判明したことは2つあって、一つは担任が一人でその子を見るのではなく、学校全体で担任を支援する「校内支援体制」を構築することと、二つ目は、市町村教育委員会に「相談支援チーム」をつくることが、効果があると確認された。そこでこれらを広めて行きたい。

松 崎:               この二つの体制を全県に広めるということか。

県 側:               その通りだ。

松 崎:               今後の体制を含め、県教委として軽度発達障害の子どもたちの教育充実にどう取り組もうとしているのか。

県 側:               人材養成に加えて、総合教育センターでマニュアルを整備し、必要なときに誰でもすぐ入手できるよう総合教育センターのサイトに掲載したところ、他県からも好評を戴いている。今後の体制については、学校内の支援体制の整備の必要性が高まっており、義務教育課と障害児教育課を統合して新たに「子ども教育支援課」を発足させて、とくに軽度発達障害の子どもたちへの教育に重点をおいて取り組むこととした。

松 崎:             教育委員会の本庁組織の見直しにより、前向きに取り組む姿勢を評価するが、私はこの瞬間も十分手が差し伸べられていない子どものいることを意識している。現場できちんと「見える」早急な対策を求める。