2006年1月30日 

神奈川県議会環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○新エネルギーの導入促進について

質問 (松崎委員)              このほど環境基本計画が届いた。立派な装丁で、その後、差し替えるものがあったとき、差し替えが簡単なようになっているとのことである。なるべくエネルギーを使わないようにという配慮があったのかなと思う。その環境基本計画の中に、新エネルギーの導入について触れられているので、その考え方について確認させていただきたい。導入の取組の現状について、新エネルギーについては進捗しているのか。

答弁 (畜産課長)              いまご指摘いただいた新エネルギービジョンを推進しようということで、「神奈川力構想・プロジェクト51」にも盛り込んでいるほか、環境基本計画の中にも、21のプロジェクトのひとつとして、「新エネルギーの導入促進」を掲げている。その構成事業として、「新エネルギーの民間導入促進」、「重点的な県施設への率先導入」、「地域バイオマスエネルギーなどの活用具体化モデル事業の推進」という3つの柱を立てて進めているが、実態的にはなかなか難しい。例えば、県内は風況が良い場所が少なく、良い所は国立公園など風光明媚な所が多く、大型の風力発電については導入は難しい。また、京浜臨海部の工業地帯からの排熱が使えないかということで、昨年度、京浜臨海部の熱エネルギーをMM21に持ってくるという検討を行った。確かに熱はあり、MM21においても、エネルギーが不足はしていないが補完的に使うということは可能である。ただし、どうやって運ぶか、パイプラインだと距離があるため、コストがかかるし冷めてしまう。また、トラックで運ぶとなると、現段階では、熱が冷めないような媒体がなかなかないのでかなり難しい。

さらに、森林の木質バイオマスにも力を入れているが、間伐材や端材を活用できる可能性はあるが、コスト的な問題がある。現在は、たまたま原油が上がっているので何とか行けそうだが、経済性を確保するためにはいくつか課題がある。そのほかにも、いろいろな調査研究はさせていただいているが、具体的にこれが入ってどれだけ増えたということをお示しできるところまでは行っていない。

一番力を入れているのは太陽光発電であるが、これもいろいろ課題があり、増えてはいるが、劇的に増えるというところまでは行っていないのが実態である。

質問 (松崎委員)              様々な阻害要因があることはわかったが、全国を見渡すと、それぞれの地域の特性を活かした形で新エネルギーの導入を進めている。環境基本計画を見ても、太陽光発電に力を入れるなど、いろいろやってみようと非常に意欲があることはわかるが、一方でここに重点を置くとか、例えば熱を冷まさない形で運ぶための技術開発を進めるとか、そうしたところはもっとあってよいかと思うがどのように考えるか。

答弁 (畜産課長)              新エネルギービジョンの中では、太陽光発電を始め、10種類の新エネルギーを対象としている。本県として新エネルギー導入促進に取り組む理由としては、4つのポイントがあり、まず化石燃料との代替ができることから、地球温暖化防止対策の有効な方策であること、地域分散型エネルギーとして地震などでライフラインが切れても対応できるなど災害時等への対応が可能であること、化石燃料だけでなくエネルギーの供給構造の多様化が図れる、さらに、産業振興・地域振興・雇用拡大が期待できることである。

ご指摘のように現時点では、「総花的」という印象をお持ちかもしれないが、新エネルギーの民間導入促進ということで、情報提供、研修セミナー、小中学校における体験学習など裾野を広げる取組を行っているし、予算の制約はあるものの、県の施設への率先導入も進めている。また、京浜臨海部の工場排熱利用、県中央部におけるバイオディーゼル活用の動き、県の西・北部における木質バイオマス活用、これら3つのものについて、フィージビリティを調査している段階である。現段階でどれを選ぶというのは難しいが、経済産業省などの助成制度もうまく活用しながら、ある程度の実績を残し、ビジネスパートナーとなるような民間企業の方も呼び寄せて事業化していきたいと考えている。少々遠回りの印象を与えるかもしれないが。

なお、飯田市や岩手の葛巻町などについては、他になくてやらざるを得ない、地域振興にすぐつながるという面で、比較的まとまってやりやすい部分もあるのではないかと思うが、なかなか神奈川県の場合にはそういうわけにはいかない。現時点では、どれかひとつに絞って効果を挙げるというようになっていないのが実態である。

質問 (松崎委員)              岩手の葛巻町のことについてはきょうはこれ以上聞かないが、神奈川はCO2の排出状況が目標に達しないなどかなり厳しい背景があるので、葛巻町の置かれた状況とは別の意味で、やはりせっぱ詰まっていると思う。そこで取組状況についてもっと聞きたいが、それは2月定例会に譲りたい。ります。