2006年1月30日 

神奈川県議会環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○県産木材の利用促進について

質問 (松崎委員)              県産木材の利用拡大について、県が具体的に間伐材の生産促進に取り組んでいくということだが、どういう取組をしていくつもりなのか。

答弁 (森林課長)              県としては、神奈川の森林を保っていくということで、従来から森林整備事業をしてきたわけですが、神奈川県の木の年齢、林齢と申しますけども、30年以上が多くなってきて、普通ではそろそろ木材として使う時期になってきたということで、単純に間伐をしてくれと行っても森林所有者はなかなか間伐をしてくれない。実際にお金にならなければ伐らないという山になりつつある。

こういった山の間伐を促進するために、平成17年度から、間伐後、山で木を伐りまして、丸太にして、平地の方に運び出してくる、こういった経費を含めまして、補助金として2分の1の補助をしていくといった取組をスタートさせていただいております。今後、こういった形で、神奈川の山の実態を踏まえながら、間伐を進めていく、このように考えております。

質問 (松崎委員)              実際、実施している状況はどのようなものか。

答弁 (森林課長)              間伐全体としては、面積としてはかなり進んでおりまして、例えば木材の量で申しますと17年度の見込みとしては11万7千m3の間伐が行われる予定でございます、しかしながら実際に山から木を伐りまして、間伐材として搬出される予定の量は、20分の1の6千m3という形になってございます。いずれにしろだいたい年間、こういった形で進めておりますが、19年度以降、水源環境保全再生施策なども活用しながら、間伐量それから搬出量につきましては、拡大をし、山の整備を進めていきたい、このような計画となっております。

質問 (松崎委員)              伐り出したあとだが、伐り出してきた間伐材を使うことになるが、需要の側からみるとどこに使うのか、県産木材の利用を促進する観点からどのように考えているのか。

答弁 (森林課長)              先ほど申し上げたとおり、間伐材として搬出し、生産する予定の量は、平成17年度は6千m3ということでございますが、今年度、補助金を出してまで搬出を進める取組をしてまいりまして、これを材として利用していくということには大きな課題がございます。

一つは、出てきた間伐材の大体2割程度が虫食い材ということで、特に、県の西部地域を中心に、カミキリムシが入りまして、木材に穴が空いてしまうという中で、木材として、丸太を柱などに挽きますと穴が表面に見えてしまうということで、引き取り手がないという問題がございます。

あと、木材としての利用の問題は、実際に山からおろしてきて、今後間伐量を増やしていくときに、製材業者が神奈川県内では50軒を割り込む状況になってございまして、実施に木を曳く人が少なくなっており、木材としての利用を進めるための担い手が弱くなっているという課題がございます。

質問 (松崎委員)              そういう、利用の仕方が難しい木材があるとのことだが、そうした木材の利用試験の内容や見通しについて伺いたい。

答弁

(県産木材利用

推進担当課長)  非常にいいポイントだと思いますが、実は、虫害材というのは、非常に処理が難しゅうございます。特に西湘地区、南足柄の山は、見たところ、県内で最も美しいスギの山でございまして、姿は最高なんですね。ところが、虫食っているかどうかというのは伐って見なければわからない、という非常に難しい点がございます。

今回の県産木材活用促進対策の取組方針の第一番は、「地域の特性を活かした顔の見える家づくり」ということで、現在の姉歯の問題とかヒューザーの問題とか、マンションにしましても分譲住宅にしましても誰がつくっているかわからない家に住むということが一番怖いわけでございます。そういう意味では、平成17年度は75棟つくる予定にしておりますが、施主と大工さん、工務店が本当に顔の見える関係でつくっていく、そういうことでやっておりますが、万一、虫食い材が入っておりますと、施主にこれを見とがめられますとね、本当にこの虫は死んでいるのかどうなのかと、いうのがいつも問題になるわけでございまして、自分の住んでいる家に虫がいて、構造材を食い荒らしているというのは決して居心地のいいものではございませんので、その辺で大工さんと施主の信用といいますか、せっかくこっちが取組方針として一番に挙げているポイントがちょっとぶれてくるということにもなりかねませんので、虫食い材については林業センターに運び込まないでくれと、いった要請まで出ているわけでございまして、非常に難しい。

しかし、これを合板メーカーに使いますと、薄く、1ミリあるいは2、3ミリといった単板に剥きまして、これを接着剤に張り合わせるわけでございます。

そういう形でやりますと、少々穴が空いていても、接着剤で固めてしまいますし、現在、合板、ベニヤ板も厚いものに移行しておりまして、かつては4、5ミリから12ミリや15ミリの合板でしたが、今は28ミリとか24ミリが増えており、特に昨年度は28ミリ合板が農林水産大臣のエコ大賞を取りまして、トヨタのプリウスと一緒に受賞したとの経緯がございます。

そういう意味で厚物合板になってまいりますと虫食い材も、こういう方面に使える。あるいは合板だけではなくてLVLといった単板を積層にしてつくる集成材にも使える、こういう使い方にもっていくという形で、このLVL、ラミネーテッド・ベニヤ・ランバーと申しますが、これはエンドレスに積み上げていくわけで、幅広であろうと、長尺であろうと、自分の好きなところで切って使える非常に新しい素材でございまして、日本で非常に注目を浴びているものでございまして、そういう方面に県産材を使っていきたいと考えて進めているところです 。

質問 (松崎委員)              今、話のあった、製材や厚物合板、LVLなどへの利用促進、こういった意欲的な取組が行われていることを評価したいと思う。今後、そういうものを受けて、間伐材利用促進の総合的な取組の考えについて、最後に伺いたい。

答弁

(県産木材利用

推進担当課長)    すでにこうした取組を大体1年ぐらい前から行っておりますが、なかなか出材が少なくて、今のところ300m3集めようとしているんですが、まだ200m3そこそこしか集まっておりません。

残念ながら県内にはこの種の工場はございません。それで、合板メーカーのある千葉の木更津まで持って行きまして、そこで積層するということをやっております。千葉の木更津に着けまして、8千円で虫食い材を買ってくれます。まともなスギでも今だいたい1万円でございますので、まあまあそこそこの値段で辛抱して頂けるのではないかこのように思っているわけでございます。

何せ、生産量が非常に少のうございます。木更津の工場は毎日大体500m3を木材を処理するため、例え300m3全部出てもほとんど半日で全部使ってしまうというような状況でございます。そういう中で、少しずつでも量を増やしていって、何とか森林オーナーの方に、少しはこれから儲かるな、という気持ちを持っていただかないと、いつまでたっても材が出てこないということで苦労しなければならないので、これは粘り強く少しずつ頑張ってやっていきたいと、このように思っております 。

要望 (松崎委員)              取組の内容は分かった。新エネルギーの取組の中でも木質バイオマスに取り組んでいけば、間伐材の需要が一気に進むというポテンシャルを持っていると思う。木のサイクルを神奈川方式で作り出していくのか、描き出していただきたい。