神奈川県議会2月定例会

産業振興特別委員会での質疑のまとめ

<羽田空港の国際化により就航する路線について>

質問      羽田空港の神奈川口構想に関連して聞きます。

空港の関係については、羽田だけでなく、関空、名古屋と非常に国際空港が多々できてきているという状況にありまして、空港間の競争も激化してきていることが報道等でもよく報じられております。そうした中、わが県としては、県の産業の発展または県民の利便性等を含めた中で、この神奈川口構想を進めているわけですが、実際問題として、産業面及び一般県民としては、成田と比べて非常に短い時間で国外に出ていけるということが、多くの期待ではないかと思います。そこで、この神奈川口構想とあわせて羽田空港の再拡張・国際化の計画が計画どおり進んだ場合に県民がどの程度海外に足を延ばしていけるのか、その価値自体が他の空港との競争をまた進めていく条件と考えるわけです。県はどのように受け止めていますか。

京浜臨海部活性推進課長   今、国の方では、羽田の国際化に向けて、国内線の距離を参考に考えるということで2,000km以内の就航距離が想定し、これにより韓国のソウルや中国の上海程度までが想定されている範囲です。私どもはこれで決して十分だとは思っておりませんので、その範囲をできるだけ広げるように、今回の神奈川口構想の協議会においても、大臣の方に知事が要望しており、少なくとも3,000kmの圏内になりますと北京や台北、香港など東アジアの主要都市が入ってきますので、最低限この範囲までは広げていただきたいということを申し入れております。

松崎副委員長        国が2,000km、実際は1,947kmまでしか就航を認めない、といっているのは、どういう理由なのでしょうか。また、県が3,000kmといっている根拠は何でしょうか。

京浜臨海部活性推進課長    まず、国の考え方ですが、羽田空港の国際化といわれておりますように、これまでは、成田空港が国際線、羽田空港は国内線という役割を基本的な考え方として持っています。そこで、羽田空港の国内線の需要がひっ迫していて足りなくなるということで、四本目の滑走路をつくろうというわけですが、国内線の将来需要を考えると若干発着回数に余裕がでてくるということで、そこを国際線に利用としようという考えで、国はあくまでも羽田は国内線でという考え方にたっています。また、空港の運用の関係で、都心からのアクセスが近いということもあって、飛行時間の短い距離の路線の方が利用者にとってのメリットがあるだろうということで、近距離という考え方を示しています。

県では、3,000kmという距離にはこだわりませんが、できるだけアジアとの競争力ということから考えると最低でも3,000kmは必要でありますし、その先の主要都市であっても、利用者のニーズにあった形で路線を就航させるべきと、基本的に考えています。

松崎副委員長       本会議において知事の方からも、6時から23時まで3,000km、23時から6時まで6,000km、そして貨物については、成田の独占の状態を羽田でもとのいう話もあったということで、昼、夜、貨物という三点の言及があったと記憶しております。また、今の御説明をお聞きしたこところでも、国と県との具体的なエリアの問題や、考え方で少し開きがあるように思うのですが、この開きは埋めていけるとお考えでしょうか。

京浜臨海部活性推進課長   成田空港は現在2本の滑走路がありますが、そのうち1本は2,180mの暫定滑走路となっており、これを2,500mまで延ばしていこうということで、2010年くらいを目安にして成田空港の整備をしていこうということです。それぞれ成田と羽田の機能強化が図られる中で、国の方でも国際線の在り方について根本的な議論が始まるのではないかと思っており、我々も横浜、川崎を含めて勉強を実施しておりますし、首都圏の8団体で、首都圏空港問題の研究会を設置し、首都圏の空港をどうしていくのかという検討もしております。そういった取組を進める中で、国の方に働き掛けをしながら、神奈川の利便性の高い空港になるよう努力をしていきたいと考えております。

松崎副委員長       もうひとつ、これも本会議で知事の方から、羽田と成田の間にリニアを走らせたい、というお話がありましたが、これは、もしあればお聞きしたいのですが、いつごろとか、あるいは、具体的にどのようになど、何か考え方なりがありましたら、お願いします。

京浜臨海部活性推進課長   知事は空港間のアクセスということでお話しており、その実現については、少し研究しないと難しいかと思っております。採算性や事業費がどのくらいになるか、そのあたりから考えていかないと、かなり時間がかかる問題ではないかと考えております。

松崎副委員長       いずれにいたしましても、これは県民共通の利益に関わる、しかも非常に大きなことで、神奈川口の整備というのも大事ですが、羽田からどこまでいけるかということは、空港間の激しくなる競争を勝ち抜くための必須の条件だと思います。説明の中では、成田が国際線で羽田が国内線という垂直分業体制というお話がありましたが、これはわが県が求めているように、羽田はアジアパシフィック、また成田についてはグローバルというような形の水平分業体制に変えていく必要がありますし、また国際貨物についても成田独占といういままでの状態から、適切にシェアをしていくということに変えていくべきということは当然のことです。つまり、神奈川の産業振興は、羽田がどこまで国際線を就航していくか、また貨物の取扱いをいかに分業していくかに関わってくると思いますので、ぜひ取組を強化していただきたいと思います。